自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

年末のご挨拶、長文ご容赦

2012年12月31日 | ごあいさつ Greetings
今年も閉じようとしています。まずは、独りよがりな問わず語りにご訪問いただいたたくさんの皆様にお礼もうしあげます。ありがとうございました。
 今年についてはあまり振り返りたくもない気持ちが強いですが、今年がどんな一年だったかを考えるのも意味のあることでしょう。
 このブログは写真でもっているので、この一年を振り返って一枚を選ぶとするとこれでしょうか。



これは岩手の三陸海岸で、この8月に訪問しました。若い頃よく調査で行ったところで、景色は当時と何も変わりませんが、海岸におりると悲惨な現実がありあました。小さな港町に行きましたが、病院の3階まで窓ガラスが全部割れていました。患者を津波が直撃したことが想像されました。「なんで日本で一年半もたったというのに復興できないんだ。」というもどかしさ、行政への不信がつのります。
 選挙では自民党が圧勝し、安倍首相は「美しい日本をとりもどす」といいました。そして実際にやることは「エネルギーはとても大切だから民主党の原発ゼロは白紙撤回する」といいました。
 私も日本は美しい国だと思うし、それを後世に伝えたいと思います。しかし安倍首相とは2つの点でまったく違う考えをもちます。
 ひとつは美しさは日本の自然の豊かさにあり、そのことへの思いはこのブログの根幹にあり、私の一生を支えて来たのも自然の賛美にあります(もっともそれは国境をこえていますが)。日本列島は中緯度の島国であるがために、寒帯から亜熱帯まで、流氷からマングローブまである、世界でも比類のない多様な自然に恵まれています。のちに日本人になったヒトは2万年くらい前にこの列島に入り、狩猟採集をし、その後稲作をし、平野を改変し、植林をしと、国土を改変しながらくらしてきました。この国の自然はしかし、やさしいばかりではなく、台風、地震、豪雪など災害列島でもありました。農林業に生きて来た日本人は自然と対立はしないで、恐れ敬いながらつきあってきました。里山とよばれる景観はその産物、あるいは「作品」といってよいほど美しいものでした。世界に誇るべき景観といってよいでしょう。
 それを放射能汚染してしまった。2万年の歴史になかったことをしてしまったのです。ただ、町や建物が破壊されても、これまでしてきたように日本人はいかに困難なことでも、時間をかけて復興することでしょう。しかし放射能汚染はまったく質の違う災害であり、しかも永遠に続くことです。この汚染を最少限にすることは事故を起こした我々の世代の責任ですが、同時に今後は一切原発を作らないことは絶対にしなければならないことです。安倍首相はこれだけの犠牲を出し、取り返しのつかないことをしながら、それをあえてしようとしているのです。美しい日本をとりもどすどころか、永遠に続く穢れを一度ならずおこそうとすることをしようとしているのです。これは列島に対して、地球に対して倫理的に許されざることだというのが私の考えです。
 日本の美しさのもうひとつは自然だけでなく、人の心にあると思います。人は私たちを個性がないとか、ユーモアがないとか、くそまじめだとか、アガリ症だとかいろいろケチをつけます。それらはみな当たっています。ではなぜそういう国民性が産まれたか。やはり自然や社会の産物だと思います。自然に対する畏敬についてはすでに書きました。肉体的にも平均的に小さく、筋力は弱く、視力が悪いなどの特徴は認めないといけないでしょう。哺乳類に共通なこととして島では小さい傾向があるので、生物学的な背景はあるのだと思います。私は日本の自然が豊かだからこそ、多少筋力が弱くても、目が悪くても、生き延びて来れたのだと思っています。モンゴルに行くと、「ここでは弱かったり、目が悪かったら死んでしまう」と思うことがあります。稲作は大規模な土木作業を要し、田植えも稲刈りも協力が必要です。そのためには勝手な意見をいう奴は敵です。非協力的な人間は排除しなければ共同作業は成り立ちません。そういう生活が数百年も続けば没個性的な人間が主流になるのは必然でしょう。個性的であることは今でこそ、よい意味で使われますが、稲作社会においては悪そのものでした。農作業は忙しく、動植物はことばでごまかすことはできません。ヘラヘラ笑ったり、口先で人をだましたりする軽薄な人間は排除されます。そういう人間よりは寡黙で勤勉で誠実な人間が評価されます。そういう人は大衆の前で話したりすることは苦手で尻込みしてしまいます。
 そういう国民性を、まったく違う歴史や社会をもつアメリカと比べて、違うからよくないとすれば日本人はよくないことだらけです。しかし、それらは違いであって善し悪しではないことに気づくべきです。アメリカ人のような国民性ではこの災害列島で米作りはできなかったはずです。
 私はそういう日本人の特徴を全部よいとは思いませんが、協調性や互助性という部分は「美しい」と思います。そして農民のもつ、産み出す者は産み出した物を粗末にしない態度も美しいと思います。いまの日本は生産する人よりも消費する人が中心になっています。というより、国そのものが消費することを軸にしています。食料自給率の低さはそれを象徴的に表しているでしょう。資源やエネルギーを浪費することを重要と考えるような社会を私は好みません。安倍首相はしかし「エネルギーはとても大切だから」と、そちらを見直すことはなく、それを前提として原発を含むエネルギー確保を政策とするようです。
 それらは「美しい日本をとりもどす」ことにならないばかりか、まったく逆を向いていると思います。毎週多数の人が原発反対のデモに結集し、国民の8割が原発ゼロといっているのに、首相がまったく違う方向を推進しようとしている。不幸なことです。これをどうすれば次世代に顔向けできるか、出口が見えないまま重苦しい気持ちをかかえながら年を閉じようとしています。
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霜1

2012年12月30日 | 乙女高原
11月にはもう一度アファンに行きました。一週間しかたっていないのに秋から冬になっていました。野尻湖の近くに泊まってアファンに向かいましたが、霜が降りていました。イネ科の葉に不思議なものをみつけました。霜はきっと空中の細かい水滴が凍って細かな砂糖のようにすべてのものにくっつくのだと思います。水の結晶です。ところが、です。おかしなことが起きたようです。前の日に雨でもふって、それは雨の玉ですから大きい水玉になりました。直径2ミリくらいありそうです。それはそれで凍って氷玉になりましたが、その氷の玉に、霜が降りたようです。その微細な氷の粉末はつぎつぎに発達して、毛の束のようにのびています。氷の上に氷、これはなんというか、親子丼、あ、いやそれはおかしい。ともかく氷の上に氷が降りたということです。
 昔「なんとか音頭」だか「なんとか小唄」というのがはやって「富士の高嶺に降る雪も、京都先斗町に降る雪も、雪にかわりがないじゃなし」という変な歌詞の歌がありましたが、この氷玉と霜は数時間たてばとけて水になって合流したと思います。
 うむ、これはなんというか、同じ物質であっても状態によって違うことを象徴的に表現しているのであって、輪廻の思想につながるというか、高度に哲学的なことであって、なんてね。

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11月のアファン20 飯綱山

2012年12月29日 | アファンの森
アファンの森を出ましょう。アファンの森といえば黒姫として知られていますが、アファンの森があるのは黒姫という土地なのですが、黒姫山という山にあるのではなく、となりの飯綱山です。この山は重量感があってなかなかいいですが、アファンは東側にあるので、調査している時も午後には東側の山には日があたっているのに日があたらないことが多いです。それにしてもコナラの黄葉がベストのタイミングでした。

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クリスマス実況補遺

2012年12月28日 | うた
クリスマス会のようすを紹介しました。「きよしこの夜」をうたうことになり、おじいちゃん(私)のギター伴奏で合唱することになりました。そうしたら「紅一点さん」もギターを持ち出して来ました。このギターはこの子の母親がこのくらいの年に私が作ったものですから、30年も前のものです。で、おじいちゃんのギターを聞きながら、どういうことかなんだか悲しげな表情になりました。少ししっとりしたメロディーに悲しげな表情がいいと思ったのかもしれませんが、情感いっぱいで、もう真央ちゃんも顔負けです。そのときのことは私自身はもちろん撮影できませんでしたが、家族が実況をとらえてくれていたので、紹介します。
う~ん、我が家は歌好きのDNAが流れておる!




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11月のアファン19 森のようす

2012年12月28日 | アファンの森
というわけで、楽しかった調査を無事終えました。最後にもう一度、秋のアファンの森の代表的な景観を紹介しましょう。山道にこの森で間伐した木で作ったチップを蒔いてあります。半年前には新しいチップが色鮮やかでしたが、雨を受けておちついた色になりました。落葉樹の黄葉とササの配色が見事です。

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11月のアファン18 調査のあいまに

2012年12月27日 | アファンの森
調査が一段落してパチリ。

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11月のアファン17 調査

2012年12月26日 | アファンの森
黄葉のきれいな森を散歩してきれいなものをみつけて楽しそうだと思われると思います。そのとおりなのですが、私たちはアファンの森に調査に来ています。

 学生の一人がリスとクルミのことを調べていて、今回は高さの違う餌台をつけて、そこにリスやネズミが来るのを調べることにしました。カメラをとりつける学生です。


カメラをつけた木からみた餌台です。

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来てくれたかな?

2012年12月25日 | その他 others
きのうは家族が集まってクリスマス会をしました。三人の娘が嫁ぎましたが、三人とも近所に住んでいてくれるので、毎週週末には集まります。長女には三人の、次女には一人の孫がいるので、保育園状態になります。上は小二、下は二歳です。
 さて例年のことながらゆうべはたいへんなことになりました。ごちそうをいただいたあとは恒例のプレゼント交換です。アミダくじにしてもらう人の順番を決めたのですが、どういうわけか大人から決まり、思い思いのプレゼントに歓声があがります。



 四人の孫の紅一点は三歳。のびのびと育っています。お気に入りをたくさんもらい上機嫌です。



 幼稚園の男の子は気がせくほうで、もらう人が決まると「はい、これ」と必ず一番はじめにアピールします。人によろこんでもらうのがうれしくて待ちきれないんですね。そういう性格ですから「次は僕かな」と期待するのになかなかあたりません。8人目、9人目となってもまだその子にあたりません。夜も更けてきました。その子は思わずため息をつきながら顔を覆ってしまいました。結果的にはなんと11人の一番最後。でも、お気に入りの本をもらったりして、すっかりご機嫌がなおりました。よく待ったね。この順番は神様が決めたとしか思えません。
 お父さんがスマホをみながら言いました。「あ、サンタさんはいま移動中らしい。」なにやらアメリカの宇宙関係の組織から衛星を使ってサンタさんの位置情報を伝えているのだそうです。これはほんとの話で、実際に子供がサンタさんに送ったメールがあやまってそこに届いてしまい、気のきいた人がちゃんと返事をして依頼、毎年クリスマスイブには情報を発信するようになったのだそうです。まわりの大人も「え、そうなの?」「もう出発したんだ」と言いますから、子供はもうドキドキです。
 小二のお兄ちゃんのようすがなにか変です。ごちそうにもあまり口をつけていません。プレゼントは一応喜んでいましたが、いつもとは違うよな気がしました。母親(私の長女)がいうには昨夜ふとんの中で言ったそうです。
 「今年はサンタさん、オレのところに来てくれないかも・・・」
 「どうして?」
 「だって、**のことつねったし・・・」
 どうやら弟とケンカしたようです。弟をつねるなんて、いい子じゃないからサンタさんが来てくれないと思ったようです。
 それで24日はそのことが気になって気になって、朝から落ち着かず
 「今夜はサンタさんが来てくれないんじゃないか」
 と気もそぞろだったのだそうです。
 私からみればよくもこれほど、と思うほど弟と妹にやさしいおにいちゃんです。少しケンカしたかもしれないけど、それをはるかに上回るほどたくさんやさしくしてあげたんだから、きっとサンタさん来てくれるよ。
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11月のアファン16 林床

2012年12月25日 | アファンの森
新しい落ち葉はきれいだといいましたが、その新しい絨毯を得て、それまであったものが違ってみえるのに気づきました。

若いコナラは落葉が遅れる傾向があります。まだ緑色の小さなコナラ。


コハウチワカエデでしょうか。カエデはさすがに鮮烈です。


上から落ちてくるカエデにも鮮やかなものがあります。そして緑、赤、黄色、茶色と色が混じり合う楽しさが産まれます。実にゴージャスなものです。


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11月のアファン15 仲間

2012年12月24日 | アファンの森
山道をあるいていたらカエルがいました。ヤマアカガエルというのだと思います。寒いから変温動物はたいへんだろうなと思いましたが、元気に跳ねていました。

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