自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

望郷2

2012年06月30日 | 自然 nature
昨日からつづく

 そんなアイルランドですが、人々は貧困ゆえに国を捨てて世界中に移民として移住しました。想像するに、見知らぬ土地でアイルランドの人どうしが集まって「庭の千草」を歌ったことでしょう。原題は「The Last Rose in Summer」。庭の白いキクではなく、牧場の縁に咲く野バラです。この歌はヘイリーさんの絶品があります*。
http://www.youtube.com/watch?v=GweJ50cwXCA

 「アイルランド、野バラ」でインターネット検索すると日本のタカネバラによく似た花が出て来ました。園芸のバラの原種なのだろうと思います。日本のノイバラよりは大輪で豪華さがあるようですが、しかし園芸バラにくらべれば楚々としたものです。

これがアイルランドの野バラのようです。


白いものもありました。


日本のノイバラ。2008.5.25 野火止用水

 夏の空気がいつのまにかひんやりしたものになり、草が枯れたり、木の葉が散ったりするのを見るとき、異国にいる人はふるさとの子供のことを思い出すはずです。両親がふるさとにいるケースもあったことでしょう。兄弟を残した人もいたことでしょう。さまざまな事情があっても、いまここでがんばっている。ふるさとは共通だという思いを抱きながら、「夏の最後のバラ」を歌ったのだと思います。

 モンゴルのクルマユリのことからあれこれ連想しました。

* この歌の「虫の音も」の部分が私たちが学校で教わったのと違います。ドレミミレドではなく、ドレミファミレドで、地味な感じです。ところでYou Tubeの録画の中でヘイリーさんのあとに出てくる赤いドレスを着た人は名前がわかりません。ケルティック・ウーマンの一人なのですが、ほかの人は名前が出るのに、この人の名前はみたことがありません。私はこの人の声が一番好きです。ダニーボーイはとくに感動的です。http://www.youtube.com/watch?v=K2z4fiot8A8
名前をご存じのかたは教えてださるとよろこびます。
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望郷1

2012年06月29日 | うた
きのう、内モンゴル出身の知人のことを書きました。その文末にクルマユリのことで少女時代の記憶が呼び覚まされて、なつかしさのあまり母国のお母様に電話をしたということだったということを書きました。
 子供の頃をなつかしく思い出すというのは「よい気持ち」のことです。多くの人はよい想い出をもっているから、「あの頃に帰りたい」ような気持ちをもつと思います。私自身もそうで、両親とも人一倍子供好きでしたし、昭和20年代の山陰ですから、周囲も仲良く、社会全体が子供を見守るという雰囲気があったので、自分が愛されて育ったと思える雰囲気があったと思います。ただ、父の仕事の関係でひっこしをしたし、父は九州出身の次男で、戦争中は満州にいた、いわゆる「引揚者」ですから、核家族で借家住まいでした。そのため、「埴生の宿」のような家につながる懐かしさはありません。幼時の記憶は時間的には戻せませんが、私の場合は空間的にも再訪不能です。もっとも日本の町はどこでも昭和20年代のようすを保持しているところはありませんが。
 そういうことはありますが、私たちは「この場所で子供時代をすごした」という感覚をもつことはできますし、かりに群馬なり、静岡から東京に来て暮らしていても、つながる土地にいる気持ちがあります。北海道や九州の出身であっても、同じ国土にいるという感覚があります。
 ところが、海外で暮らすようになった人にとっては、自分が遠くは慣れた土地にいる ー それは空間的に離れているだけでなく、気候や地形だけでなく、言葉も習慣も歴史も違う ー という感覚があるはずです。そういう状況にいる人の、故郷を思う気持ちとはいなかるものでしょうか。

 私たちになじみの「庭の千草」という歌があります。日本の秋に、清らかに掃かれた庭に咲く白いキクの花が浮かびます。

あゝ白菊。あゝ白菊。
ひとりおくれて。咲きにけり。


ところが、これはアイルランドの歌で、野バラを歌ったものです。アイルランドの研究者に知人がいますが、非常に愛郷心の強い人で、たまたま私が先輩からもらったネクタイの柄がクローバ模様だったのを見つけて「なんでアイルランドの模様のネクタイをしているんだ」といいました。ナショナルカラーが緑で、植物好きの人が多いです。土地が痩せているために、岩のようなところに家畜の糞をまいてジャガイモを作ったというような話が司馬遼太郎にありました。イングランドの迫害や差別を受けた哀しい歴史があるようです。妖精がいるらしく、大英帝国の中にあっては魑魅魍魎がいそうな、縄文世界に通じるようなものを感じる国のようです。私はこの国のリバーダンスをみると血が騒ぎますが、そこにも抑圧された民族の哀しさを感じます。

(つづく)
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クルマユリの話

2012年06月27日 | 植物 plants
しばらく続いたアファンの森の話題が一区切りつきました。今日はいつもと違う話題です。

 最近、とあるきっかけで中国内モンゴル出身の女性と知り合いになりました。さまざまな時代の流れがあり、今は日本市民として暮らしておられます。日本に留学して物理学を研究しておられたそうですが、いかにも聡明な感じの方です。お話をうかがうにつけ、植物が好きだということがわかりました。私は何度か経験したことがありますが、生き物好きというのは国を越えて「あなたもわかるんですね」という深い共感をもち、仲良くなれるものです。その人の植物の「好きさ」の程度はふつうの日本の市民よりはよほど上で、かなりの植物名を日本語でいえるほどです。私はモンゴルで写した植物の写真をまとめて図鑑のようなものを作っていますので、それを見ながらいろいろ話が弾みました。
 その「図鑑」の中にクルマユリがありました。モンゴルの草原でときどきみかけますが、「万緑叢中紅一点」とはこのこと、鮮やかな朱色が緑の中で映えます。ササユリなどの花に比べるとよほど小さく、径が5cmほどで、花びらが反り返っているのが、愛らしい印象があります。


モンゴルのクルマユリ 2010.6.30

 この花の写真をみて、彼女の表情が変化しました。そして次のような話をしてくれました。

 小学校に上がったくらいの頃、植物が好きで、草原に出ては花を見ていました。きれいな花があるととってきてはお母さんに名前を聞きました。ある日、今までに見たことのないきれいな花を見つけて、思わず摘んで家に帰りました。そうしたら思いがけないことにやさしいお母さんがきびしく叱ったそうです。
 「この花は昔はよくあったけど、今はほとんどなくなってしまったのよ。それをどうしてとってなんか来たの。どうせとるなら根からとってくれば、庭に植えればまた生えてくるのに。」
 彼女はクルマユリを摘んだ場所にいって、一生懸命根を探しました。でもいくら探しても見つかりません。そのうち夕方になり、暗くなってきましたが、見つからず、とうとうあきらめて家に帰りました。


 私には彼女が6、7歳のときの姿が眼に浮かびました。そしてあの地平線の見える草原の夕方、太陽が落ちようとすると、自分の陰が遠くまで伸びる、あの夕焼けの中で、涙を流しながらクルマユリの根を探している少女のことを想像しました。

 この話がとても印象的だったので、もう一度会ったときに、
「泣いたでしょう」
と聞きましたが
「覚えていません」
という返事でした。でもモンゴルの子供は両親をとても尊敬します。お母さんに叱られたら、どうしてよいかわからなくなって泣いていたに違いないと思います。
 おだやかで、ややうつむきかげんで静かに話をする彼女が花のことになると浮き浮きしたようすになったことが印象的でした。私が撮った一枚の写真が、忘れていた彼女の記憶を呼び覚ましたらしく、母国のお母さんに電話をしてこの花の話をしたそうです。
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アファンの森12 少年

2012年06月26日 | アファンの森
5月20日、23日のアファンです。

4月に調査をはじめてから、アファンの森のセンター近くでかわいい少年をみていました。無心に遊んでいるようすです。この前のときは、自転車に乗るお兄ちゃんを追いかけてお母さんと森の中を歩いていました。その次にもみかけたので、
「なんさい?」ときいたら、それには答えないで
「かいじゅうのたまご」
といって、丸い石を差し出しました。
「へえ、そうか、赤ちゃんうまれそう?」
「まだ」
「そうか」
という会話でした。
今度またみかけたので
「かいじゅうの赤ちゃん生まれた?」
といったら返事がありませんでしたが、この子のやわらかな心の中では、卵の中に怪獣の赤ちゃんが育っているのがみえているようでした。

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アファンの森11 動物

2012年06月25日 | アファンの森
5月20,23日のアファンです。

動物も少し。


ハムシ
これはルリハムシそのものか、そのあたりのものだと思います。メタリックな輝きがじつにきれいです。


ベニホタル
これもはっきりわかりませんが、ベニホタルのあたりの一種と思われます。ブレていますが、触覚が独特です。


アマガエル
アファンの森で一番よくみかけるカエルです。よくこちらの動きを見ていて、カメラを向けると逃げようとするので、背中を写すことになりがちですが、このときはそっとつかまえて手にのせましたが、こちらを見ていました。なかなか気の強そうな表情です。
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アファンの森10 木本

2012年06月24日 | アファンの森
木本も少し。


アオキ


ニワトコ


ミズナラ


ズミ
サクラやウメは5枚の花びらで端正な形をしており、果実は食べておいしいし、私たちにとてもなじみがあります。ズミは長野県には多いと思います。牧場などには必ずといってよいほどよくあります。私は鳥が運ぶせいだと思っています。葉が独特の切れ込みをもつし、枝が棘のようになるので、ユニークです。
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アファンの森9 地味な花

2012年06月23日 | アファンの森
5月20日、23日のアファンです。

華やかな花とくれば、その逆に地味な花もたくさんあります。たくさんあるのですが、撮影がむずかしくて、ついつい敬遠しがちです。


コメガヤ


ホガエリガヤ

イネ科やスゲは緑色の花なので目立ちません。花だと思っていない人もたくさんいます。でも、近づいてよく見ると実に美しい機能美をもっています。コメガヤとホガエリガヤはかなり個性的でひとめでわかりますが、識別のむずかしいものも多く、検索表を前にため息がでることがあります。それだけにわかったときはうれしいものです。私の好みからすれば、これみよがしの派手な花よりはこういう花のほうが好きです。花が華やかなのはあたりまえで、そのために進化してきたのではありますが、これは好みのことですから・・・。
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アファンの森8 華やかな花2

2012年06月22日 | アファンの森
5月20日、23日のアファンです。


ムラサキケマン
この植物はウスバシロチョウというアゲハチョウの一種の食草で、林縁によく生えています。


ラショウモンカグラ 
シソ科でこの花が長い穂にぽつんぽつんと着きます。
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アファンの森7 華やかな花

2012年06月21日 | アファンの森
5月20日、23日のアファンです。

もちろん華やかな花もあります。


クリンソウ

スミレ

タチツボスミレ

ミツバツチグリ

キジムシロ ミツバツチグリと同じ属でよく似ていますが、複葉が3つではなく7つくらいに別れていて、茎が赤味を帯びています。

こうしたカラフルな花が森に彩りをそえます。
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アファンの森6 白い花

2012年06月20日 | アファンの森
5月20日、23日のアファンです。

小さくはないが白くて清楚な花。


シロバナエンレイソウ

ホウチャクソウ

これは清楚とは違い妖艶なものです。大ぶりで、見事なものです。

ヤマシャクヤク
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