自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

ごあいさつ、長文ご容赦

2012年05月31日 | ごあいさつ Greetings
5月が終わろうとしています。新学期が始まって4月、5月と、一年で最も麗しい季節が通り過ぎました。大学というところは年度末と新年度ははなはだ忙しく、季節を楽しんでいる余裕を与えてくれませんが、週末を利用して山梨や長野を訪れることがありました。
 美しい自然、といっても私たちが眼にするのは、テレビで見るアラスカやヒマラヤの大自然、あるいは原生的な自然ではなく、多かれ少なかれ人手が入った自然です。長野や山梨はそうした「半自然」があふれています。遠くにまだ白い峰を望み、その手前に青黒い森林のある山があり、近くには緑色の雑木林や田圃や畑がある、というのが典型的な景色です。こうした景色を見るたびに、美しさにため息が出ます。同時に、そこには脈々と受け継がれて来た人の暮らしがあり、想像すれば、さまざまな人生のドラマがあったことが、思われます。
 こうした田園地帯が美しければ美しいほど、一方で人が溢れ、寸刻を惜しんでホームを走り、狭い土地にぎゅうぎゅうづめになり、人に溢れながらもその誰とも面識がないという、異様な都市生活があります。そうであるのに、同じ国のこの田園地帯では人口流失が起きて、社会が維持できなくなっているという現実があります。なぜ、こんなすばらしい土地が「限界」にならねばならないのか。
 私は経済というものがちっともわかりません。働くということの基本は産み出すということで、一次産業がそれをするものであるはずです。産み出せば豊かになる。産み出すというのは自然から利用できる物を引き出すということです。だからこそ生命を産み出す神に感謝した。産み出したものを加工するのももちろん「働き」つまり「仕事」でしょう。でも、誰かが産み出したものを流通させることは「仕事」か。情報を流す工夫をすることは「仕事」か。何十年も毎日毎日畑に出て作物を作って、一生のあいだに作ったたくさんの作物からいくばくかのお金を得て暮らし、中には家の立て替えをするほどがんばる人もいる。社会はそうした努力に支えられてきたし、努力をした人がおおむねそれに応じた豊かさを手にして来ました。しかし情報流通の思いつきをしたあんちゃんや、伸びそうな企業の株を狙って買ったおばさんが、一晩でその何百倍も何万倍も儲け、そうした人がヒーローのようにもてはやされるというのは、どうにも理解ができず、納得もできません。少なくとも感覚としてわかりません。
 多くの人が感じている、そういう「なんだかおかしい」感じがこの国ではますます大きくなり、どうにもならないところに来つつあるのではないか。以下のことはすこし飛躍がありますが、「なんだかおかしい」でつながります。
 原発の犠牲者が苦しみ、津波を生き延びたのに自殺をする人がいます。一方で、加害者である東電は反省のようすはまるでなく、それに対するマスコミの甘さも眼に余ります。おかしいではありませんか。これだけの恐ろしい体験をし、大飯原発は活断層の上にあることがわかってなお、再稼働をしようとしているようです。夏にこれまでのライフスタイルを維持しようとすれば少し電力が足りないからというのが理由だといいます。正気の沙汰とは思えません。ごく常識的に考えれば、「日本列島は災害列島であり、原発は危険かもしれないと思いながらも、安全策をとり、豊かな電力を産んで来たので、生活もよくなった。これはよいことだと思って来た。しかし、それはとんでもない間違いだということがわかった。今後すべきことは、再発防止のために少し生活は以前にもどるが、国民の安全を守り、世界の放射能汚染を避けるためには、原発は稼働できません。電力使用抑制に協力してください。」となるはずです。
 香港やモナコのように土地が狭いのではない、モンゴルのように木が育たないのではない、ヨーロッパのように地震が少ないのではない、アマゾンのように自然利用の歴史がないのではない、北朝鮮のように恐怖政治をしているのではない、世界のどこの国民よりも勤勉な人が多い、その国がどうしてこうもわけのわからない国になってゆくのか、どうにも納得ができません。
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ミミズ塚

2012年05月30日 | 自然 nature
奉職する麻布大学のキャンパスにロータリーがあり、そこには芝生が生えていますが、4月の中旬からミミズ塚が目立つようになりました。直径5cmほどの塚がたくさんできました。ミミズは土を食べては排泄するので、こうした塚ができるのですが、なにしろどこにでもいる。一匹の働きは小さくでも多数が時間をかければたいへんな量が動く訳で、徐々に土は「あがって」いきます。このことを初めて示したのはあるチャールズ・ダーウィンです。30年くらいかけて白亜が埋まったことを示したそうです。進化論とミミズは直接関係しませんが、ダーウィンは「微々たる変化が積み重なって大きな変化になる」ことに関心をもっていたそうです。

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アファンの森4月 15 クルミその後

2012年05月29日 | 自然 nature
これでアファンの4月はおしまいですが、後日談があります。私たちはオニグルミとリスのことを調べようとしていますが、持ち帰ったクルミをしばらく放置していた学生が
「あー、出ている!」
というので行ってみると、クルミがぱかっと割れて、中からモヤシのような実生が出ていました。あの硬いクルミをモヤシが割るなんて、ほんとにびっくりです。



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アファンの森4月 14 墓地

2012年05月28日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

歳をとると早く目が覚める。学生が眠っているあいだに散歩(といってもドライブだが)をした。よい天気で今シーズン初めての訪問でもあったので部屋にいるのがもったいないと感じたからだ。植物をさがしてドライブしていたのだが、ふと小さな墓地を通りかかった。小さな灯籠のようなものや、道祖神のようなものがあり、「かわいい」感じがした。
 日本中そうであったが、ぎりぎりで生きて来た農民に大きな墓を作る余裕はなかったに違いない。そうした生活のなかから精一杯作ったのが、こうしたささやかな、質素な墓だったのだろう。だが、どうであろうか。この見事な背景。山頂部に白い雪をいただく妙高、黒姫を望むというのは、またとない豊かさではないか。
 野良仕事をしながら、その手を休めて山を眺める生活であったろう。そうして幼児から青年となり、家庭をもち、歳をとる。自分はここに入って山に眺めてもらう、そう確信して一生を閉じたであろう。それは決して「貧しい」一生ではない。現代人はいかに?

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アファンの森4月 13 動物の話題

2012年05月27日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

動物の話題も少し。
アマガエル君はよく見かけた。ただ枯れ葉色の林で調査したときだったので、みな茶色で、夏にみた緑色ではなかった。



緑色といえばこれ。シュレーゲルアオガエルである。流れの中で気持ちよさそうだった。



畑の脇に白樺の林がある、なかなか感じのよい場所があった。たぶん半月前には雪が積もっていた場所にハタネズミのトンネル跡があった。この写真の幅は2mほどだが、そこを縦に横に走っていたが、体調10cmほどの体を思えば、大工事である。人にたとえれば深さ1メートル、長さ何十メートルものトンネルであり、それを重機などもなしで作ってしまうのだからすごい。雪が融けてしまうとフクロウなどに狙われるから、どこかに隠れなければならない。

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アファンの森4月 12 シダ

2012年05月26日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

暗いスギの林にクサソテツがあった。独特の緑色で透明感があり、そこに半逆光が射してハッとするような美しさがあった。若い葉を「コゴミ」(「こごみ」は「こごむ」「かがむ」などと同根で、葉の先がくるくると巻き込んでいることに由来すると思われる)といって山菜として食べられる。

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アファンの森4月 11 ナラ

2012年05月25日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

アファンの森は「森」という名前から原生林のようなイメージを持ちがちだが、そうではなく雑木林で、かつては薪炭林であった。いまでもその証拠を見ることができる。このコナラは株立ちをしているが、繰り返し伐採され、「ひこばえ」していた証拠である。



 昨年の秋はわりあいに豊作で、ドングリがたくさんおちた。そのドングリたちがいま芽生えようとして、殻の中から「実」が出ていた。この部分が子葉である。ネズミやリスや、クマにとってもごちそうなのであろう。

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アファンの森4月 10 サクラ

2012年05月24日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

春の気の代表のひとつがコブシ。大きな花は「みごと」という印象。



林縁などに背の低い、あまり目立たないサクラが咲いている。マメザクラで、控えめな感じが好ましい。



野生のサクラの代表といえばヤマザクラ。ソメイヨシノよりは花の色が濃く、健康な乙女という風情。その淡紅色に葉のえんじ色がとてもよく似合う。

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アファンの森4月 9 低木

2012年05月23日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

「冬の」林の中に一部の早春の草本があるほかに、低木が春を告げていた。ナニワズは常緑で、花をつけてた。ジンチョウゲの仲間で、そういえば色違いのよく似た形をしている。別の名をナツボウズというが、これは冬に緑の葉が夏におちて「ボウズ」になるから。



アファンにはよくある低木のアブラチャン。



アブラチャンにくらべると数は少ないが同じ仲間のクロモジ。いずれも、枝がよい香りをするが、微妙に違う。

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アファンの森4月 8 冬芽

2012年05月22日 | アファンの森
4月28-30日のアファンの森です

目はついつい早春の花のほうに行ってしまうが、冬芽もおもしろい。ホオノキは大きな葉をもっているのげ、冬芽も大きい。



去年の秋にオニグルミの調査を始めたので、若木に印をつけていた。それをみたら、維管束の跡であろうが、枝の構造の断面が見え、それがどう見ても2つの目と口に見える。私にはサルの顔に見えたが、「頭」が帽子のようにも見え、そうであればピエロかなにかのようにも見える。

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