自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

帰国しました

2008年08月31日 | ごあいさつ Greetings
昨日モンゴルから帰りました。8月16日に到着したときは暑く、昼間はげんなりするほどでしたが、1週間ほどのあいだに寒くなり、なんと雪が降りました。その日の明け方はマイナス5度を下回り、「ああ、やはりモンゴルは北の、高原の国なんだ」と実感しました。今回は学生4人が同行したので、これまでとはひと味違うモンゴル訪問となりました。それぞれに体験をし、成長してくれたと思います。これから、また徐々にご報告しますが、とりあえずはモンゴルらしい家畜の写真を送ります。

 日本はまだ蒸し暑さが残っているようです。ご自愛のほど。

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レンゲショウマ

2008年08月15日 | 植物 plants
モンゴルから帰ってきたばかりだったので、当然のようにモンゴルの話題に集中しました。実は16日からまたモンゴルに行きます。なんだか「一時日本にもいた」ような具合です。片付けと次の調査の準備に忙殺されましたが、12,13日はお盆休みで奥多摩にある御嶽山(みたけさん)に行ってきました。ここはレンゲショウマの群落があるというので知られています。実際なかなかの名花だと思いました。ここ以外ではみたことがありません。つぼみがまんまるでかわいかったです。白と紫のコンビネーションが大胆で、上品です。




レンゲショウマ 2008.8.12 東京御嶽山(みたけさん)

16日から30日までモンゴルに行くので、ブログはその間お休みします。
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お手伝い

2008年08月14日 | 研究など research
モンゴルではひとりの院生が放牧と群落について研究をしています。群落の生産性を調べるために柵を作って、柵の内外の植物量を調べるなどします。これはそのお手伝いをしている高校生たちです。2つの家庭のきょうだいたちで、モンゴルでは家族や親族がたいへん仲がよく、私たちの世代が子供の頃の日本を思い出すことがあります。
 それにしても、この景色。木のない景色はわれわれ日本人には特殊なものと感じられますが、この子たちにとっては日常的な景色なのですね。



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馬群

2008年08月13日 | モンゴル自然
ウマが「走る動物」であるのは動物学の教えるところですが、実際にウマをみているとほんとうにそうだと感じます。人でいえばジョギングのような軽い走りのなんと気持ちのよさそうなことか。とくに用もなさそうなのに、一山越えて走ってはもどってきて、それで息が乱れるふうもありません。そして、その姿の美しいこと。ウマはモンゴル人にとって特別の家畜だといいますが、さもありなんです。

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ヒエンソウ

2008年08月12日 | モンゴル植物
その青さはうまい喩えが思い当たりません。鮮やかな青さで、目に染みるような濃い青だが、深くはない。私の知る限り日本の花にはない青です。花の質はややビロード感があります。こういってはなんですが、牧場の牛や馬がいるところに生えるという感じではありません。でも実際にはそういうところにもあります。
 ヒエンソウのヒエンとは飛燕、花の形からきています。園芸品でデルフィニウムというのがありますが、そのものです。お世話になっているモンゴルの主婦はこれを「花嫁の花」と呼ぶのだと教えてくれました。

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丘の雲

2008年08月11日 | モンゴル自然
純白の、境界のくっきりした積乱雲が湧き上がりました。きっとその雲に近づけばシューッとか、ゴーッとかいう音がしていそうです。浮かんでいる積雲とは違い、上昇してゆきます。その頂が横にのびて「かなとこ雲」になりました。想像力の乏しくなった私にはむずかしくなりましたが、子供ならいろいろなものになるのを連想すると思いました。

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ダブルリング

2008年08月10日 | モンゴル自然
今年のモンゴルは雨が多いようです。6月に雨が降って、植物が旺盛に茂っていました。
滞在中に何度か雨が降り、一晩は雷雨となりました。モンゴルの雷のすごさといったらありません。空一面がオレンジ色や薄紫色になります。ゲルの中は真っ暗ですが、天窓からその光が差し込み、ゲルの中にいる人の顔が、額や鼻、頬骨が輝き、逆に鼻の下や顎の下が真っ黒になります。
 その写真は写すことができませんでしたが、翌日虹が出ました。その虹が、写真ではちょっとわかりにくいですが、よく見ると二重になっていました。二重虹は初めて見ました。

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馬上少女

2008年08月09日 | モンゴル自然
モンゴルで撮影した写真の「きれいどころ」を紹介する傾向がありますが、実際に私が毎日していることといえば、地面にしゃがみこんで、ときにはいつくばって、植物の名前を確認して、その量を記録することです。なかなかの集中力を擁する作業なので、しばらく続けていると疲労感があります。
 そうした作業をひとりで黙々と続けます。あたりは静寂そのもので、ときどき風がとおりすぎてゆきます。花のあるところではハチの羽音が聞こえたり、鳥のさえずりが聞こえたりしますが、静謐な時間が流れます。
 日本では聞くことのない音に、馬の蹄の音があります。植物の記録をとっているときに、遠くから馬蹄の音が聞こえ、それが近づいてきました。たいていは大人の男性ですが、このとき馬上にあったのは7,8歳と思われる少女でした。私が作業を止めて見上げると、どんどん近づいてきました。でも50mほど離れたところを通り過ぎていきました。私に近づいたとき、ギャロップに近い走りに加速しました。見事な馬のさばきです。
 少女は伝統的な緑色のモンゴル服にオレンジ色の帯をし、お下げを結っていました。それが風にゆれていました。健康そうな、しっかりした表情で、笑みはありません。モンゴル人であることが誇らしげでした。私のほうを見ないようにして直進していましたが、私が視界から消えそうになる瞬間に、チラリとこちらを見て、そのまま走り去りました。
 西のほうに向かって走って行きましたから、その先にある小山は陰になり、その陰の中に入りましたが、馬上の少女には夕日があたっていました。
 必要ないことですが、私のなかに妙な心理が去来しました。ほんの少し前まで、日本人には日本人に似合う着物があり、ふさわしい髪を結い、下駄を履いていました。それを古いしきたりはよくないとして、洋服に替え、髪を切り、靴に履き替えました。そうすることが「近代的」であるという理由にならない理由で。この少女のなんと違うことか、と。
 一人の少女が馬で走り去ったことに、現代日本を投影する必要などまるでないことですが、でも私の心にまちがいなく、うらやましさと恥ずかしさがあったことを、憶えておこうと思いました。





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花をみる

2008年08月08日 | モンゴル自然
私はモンゴルの自然のなかで植物の調査をします。精神を集中して、植物の名前を確認し、わからないものがあれば採集し、あとで調べます。作業を続けていると、いろいろな思いが湧いては消え、また別の思いが湧いてきます。日本によく似た植物があると、長い時間にそれぞれの環境で種が形成されたのだということを実感し、不思議な感動にとらわれます。近縁な植物がモンゴルの乾燥環境で大きく形を変えているのも生物の不思議さを感じさせます。自分の周りにある植物が深い知的刺激を与えてくれることを感じます。
 そんな作業をしているときに、ふとみあげるとウシの子が、同じ植物の中で口をムシャムシャと動かしてよだれを垂らしていました。
 「そうか、君はこの植物を食べ物として見ているんだ」
 なんだか自分で勝手に感動していたことがおかしく思えました。私は生業としては動植物で「食って」いますが、ウシ君は文字通り日夜そのことを実行しているわけです。

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訪花昆虫

2008年08月07日 | モンゴル動物
モンゴルの広さ、大群落の印象が強かったので、そういう写真が多くなりましたが、その大スケールな自然の下にはもちろんミクロな世界が展開されています。生態学にはどちらの視点も大切です。今年のテーマは放牧によって生物多様性がどういう影響を受けるかというもので、具体的には植物群落の変化とそれにともなう動物の変化を調べることにしました。そのひとつが訪花昆虫です。花を訪れて受粉を手伝う昆虫です。ハチがその代表ですが、写真に示すようなハナアブやハナムグリという甲虫もいます。「昆虫少年」だった私は、花に囲まれて、そこに来る昆虫を眺め、じつに至福の時間をすごしました。







■クガイソウとマルハナバチ、セリの1種とハナムグリ、キンロバイとヒメハナアブ
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