自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

大学祭6

2010年11月30日 | 研究など research
私は頑固親父ですから、だいたいにおいて今の若者は気に入りません。中でも、熱もなく、へらへらした男の子は不愉快でたまりません。でもすなおにうらやましいと思うこともあります。豊かに育ったために、感激することも、驚くこともあまりないのは気の毒ですが、反面、たいていのことを冷静に受け止め、こともなげにこなすのは私たちの世代にはないよさです。研究室でおこなう発表などもあまり緊張せず、とても上手です。
 その彼女たちがこの日ばかりはがちんがちんでした。しかし内容はしっかりしたデータに裏打ちされていたし、練習もしていたので、緊張をしながらも立派な発表でした。
 「ああ、今の子でも緊張するときはするんだ」と、安心したような気持ちと、けなげさにかわいらしさも感じました。若者の真剣な表情を見るのはいいものです。
 私のとなりで聞いていたニコルさんは結果がスライドに示されると
「うーん」
とゴリラのようなうめき声をあげていました。そして終わったとき「よくやった」とよろこんでくれました。私も誇らしい気持ちでした。

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大学祭5

2010年11月29日 | 研究など research
ニコルさんの話についで、アファンの森で調査をしている学生2人がその成果を発表しました。「アファンの森」という響きからすると、原生林を連想しますが、アファンの森は原生林ではありません。雑木林です。雑木林は炭焼きの原料をとるために管理された人手のかかった林ですが、この30年ほどは用途がなくなり、荒れています。関東平野ではアズマネザサやヒサカキなどが生い茂って、場所によっては歩くのもたいへんなほどです。里山に暮らす人々は炭焼きだけでなく、たき付けなどに低木を利用したので、林はつねにきれいに手入れがされていました。そうした林に人が入らなくなって荒廃しているのです。アファンの森もその例にもれず、「幽霊森」と呼ばれるほど荒廃していたそうです。その森を手に入れたニコルさんは薮のしげる森に手をかけて明るい林に仕立てました。そうしたらたくさんの生き物がもどってきたそうです。ただきちんと生物学的なデータはとられていませんでした。私はこの森に関心をもってくれた2人の学生に、森林管理と地表植物の関係、とくに花と訪花昆虫の関係を調べてもらいました。
 ふたりは今年の春から月に2回の調査をしてよいデータをとりました。そして、大学祭のために入念に準備をして、森林の管理の違いがいかに花や虫に影響を与えるかをとてもわかりやすく話してくれました。


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大学祭4

2010年11月28日 | 研究など research
今年の大学祭はちょっとスペシャルでした。学術展示をしたのに加えて、ニコルさんの講演があったからです。ニコルさんのアファンの森の話は何度かしたと思いますが、その森の話と生物学の話をしてくれました。話の最後に傷害をもった子供をこの森に暖かく迎えて遊ばせてあげる活動の紹介があり、とても感動的でした。ニコルさんは多能な人ですが、歌も一品で、映像の背後に流れる歌が実に心にしみいるものでした。




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大学祭3

2010年11月27日 | 研究など research
11月のはじめに大学祭の紹介をしていましたが、途中で別の話題に移りました。ここで大学祭にもどします。

 大学祭でおこなった展示には4つのコーナーがあり、人気があったのが「動物の手足展」でした。要するにもともと同じ哺乳類の腕が、生活に応じて鰭のようになったり、翼のようになったりしたことを、解剖学的に説明したものです。この展示では骨の白を印象づけるために背景を紺色にしました。

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SAGA 12 ポスター発表、学生5

2010年11月26日 | 研究など research
Nさんは多摩動物公園でインドサイの調査をしました。インドサイは鼻の上に1本の角をもつサイで、体は甲羅をはったようにごつごつです。動物園で間近にみたときのその大きさにたまげました。体に似合わず神経質で、同時に甘えん坊でもあるらしく、飼育係の人に甘えていました。Nさんは絶滅動物の保全に役立ちたいという希望をもっており、かつて私たちが動物園でアジアゾウの実験をしたのを聞いて、そういう調査をしたいと考えました。それでサイが野外で種子散布に貢献していることを示すための実験を考えました。たいへんな作業でしたが、それをやりとげ、なかなかよい結果も得ました。



というわけで、SAGAの大会準備、実施、発表を通じて、学生諸君はまたひとつ成長してくれました。
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SAGA 11 ポスター発表、学生4

2010年11月25日 | 研究など research
KO君は東京の西にある日ノ出町というところにあるゴミ処分場跡地で動物の調査をしています。なんだか汚いことをしているみたいですが、ゴミの中で動物を調べているわけではありません。かつてこのゴミ処分場の跡地をいかに利用するかという議論があり、町民のスポーツ施設にしたほか、動物を蘇らせるビオトープが作られました。もちろんゴミを埋めたあとに厚く土をかぶせています。ふだんは立ち入り禁止なので動物がのびのびと暮らしているようです。KO君は自動撮影カメラでタヌキやキツネ、アナグマ、ハクビシン、ノウサギ、アライグマなどを撮影しました。私はこの跡地に回復したススキ群落に着目して、その保護をお願いしてきましたが、そうしたらそこにカヤネズミという、球状の巣を作るネズミが戻ってきました。


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SAGA 10 ポスター発表、学生3

2010年11月24日 | 研究など research
AOさんは研究室に入ってきたとき、ウマが大好きだということで、ちょうど私がモンゴルで調査をしていたのでタヒという野生馬の調査をすることになりました。みかけはおとなしいお嬢さんという感じですが、なかなかのがんばり屋で、モンゴルのきびしい自然の中でもしっかりと調査をしました。発表ではタヒとアカシカの群落選択と食性比較をしました。

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SAGA 9 ポスター発表、学生2

2010年11月23日 | 研究など research
Yさんは町田の里山で2種類のカエルの場所と食べ物を比較しました。カエルが少なくなっているので、捕まえて殺して調べるようなことはできません。それで胃袋を反転させてゲロをはかせるという方法があって、それで調べました。ジャヤンタさんが質問していますが、会話はうまくできたかな?

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SAGA 8 ポスター発表、学生1

2010年11月22日 | 研究など research
私はこの機会に学部の4年生でも学会で発表させてみようと思いました。もちろん専門家のようにはいきませんから、ポスターの大きさも半分にし、簡潔な内容を発表してもらいました。類人猿に関心のある人の集まりでしたから、一般の野生動物にはさほど関心がないようでしたが、それでもぽつぽつと訪問者があったようで、よい経験になったと思います。
 これはSさんです。彼女はタヌキのすんでいるところにソーセージをおき、その中にプラスチックのラベルを入れ、それを食べたタヌキが排泄した糞を探すことで、タヌキがどこまで運ぶかを調べました。

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SAGA 7 ポスター発表

2010年11月21日 | 研究など research
学会では聴衆の前でしゃべるものだけでなく、自分の研究をポスターにして、その前で相手の顔をみながら説明する「ポスター発表」というのがあります。小さな学会でしたが、テーマが類人猿なので留学生や訪問海外研究者もいてなかなか国際的な雰囲気でした。

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