自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

モンゴル 54 ヒエンソウ

2023年09月30日 | モンゴル
 私にとって、今年の夏の一大イベントであったモンゴル調査を紹介してきました。最後にミニ植物図鑑を紹介しましたが、花の写真を見ると現地のことが思い出されて、モンゴルの「匂い」のようなものが蘇ります。ひとつひとつに思い出がありますが、あえてひとつを取り上げるとするとヒエンソウかなと思います。

 この花の色の青はほかに似たものがありません。吸い込まれるような濃い青で、圧倒的な存在感があります。



 花の作りも個性的で、距と呼ばれる細長い筒のようなものがあり、蜜はその奥にあるので、口の長い昆虫が訪れます。「飛燕草」とは、これをツバメが飛んでいるようだということのようです。

 私は大学の研究室の壁にこの花の写真を飾っていたことがあります。ときどきお茶飲み話に訪れることのあった女性が、部屋に入ってきてこの写真を眺めて、しばらく言葉を発しませんでした。その人は日本人と結婚し、名前も日本人の名前で、日本語もとても上手でしたが、中国の内蒙古自治区の出身だということでした。
 彼女はおもむろに話を始めました。小学生だったころ、草原を散歩していて、この花を見つけました。花が好きなお母さんに見せたくておうちに持って帰ったら、いつも優しいお母さんが、その時だけは怒って
「どうして根から掘ってこなかったの。これでは枯れてしまうでしょう!」
と言ったそうです。彼女は悲しくて、翌日、その場所に行って根を掘ろうと思って探したけど、広い草原のことでその場所がわからなくて、困ってしまって泣いていたそうです。
 確か数学か物理学の研究者で、とても知的で、上品な人でしたが、その話をしながら、遠い日のことを思い出す目が印象的でした。
 私も少女がモンゴルの草原で困ってしまって泣いている姿を想像して心が痛みました。
 この花を見ると、この話を思い出します。


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モンゴル 53 図鑑3

2023年09月29日 | モンゴル


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モンゴル 52 図鑑2

2023年09月28日 | モンゴル



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モンゴル 51 図鑑1

2023年09月27日 | モンゴル
ウランバートルで1日ゆっくり過ごして次の日に帰国しました。日本に帰っても気になって、学生用に植物便利図鑑を作りました。分類学はさっぱりなので、色でまとめて、白い花のページ、黄色い花のページのようにしました。






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モンゴル 50 帰途

2023年09月26日 | モンゴル
それから砂の道を走ってから、国道に出ました。舗装道路に入ると、それまでの道のりの「ゆれ」が嘘のようです。なめらかな道をを走りながらきがついたのは、うっかりホテルのスリッパを履いたままだったということです。朝、靴を車に入れて、後で自分のスリッパに替えるつもりでいたのですが、子供たちに見送られて気持ちがそっちに行ってしまっていました。
 ホテルには「ごめんなさい」です。


あとはひたすらこのような道を東へまっしぐらでした。

お昼にレストランに寄りました。私はあるテーブルに座ってカウンターのある壁の方を向いて座っていました。待っていたら、団体客が入ってきました。どうやら韓国の若者たちのようでした。窓際のテーブルに座ったようでした。私がそのまま待っていたのですが、シーンとしています。「若者が団体で入ってきたのに」と思い、振り向くと、全員がスマホを覗き込んでいました。
「なんだこいつらは」と思い、同時にうすら寒いような思いがしました。でも、同時に思ったのは、日本の若者でも同じのではないかということです。私とて、スマホなしには暮らせないような感じはありますが、しかし、知り合いと食堂に入って会話もしないでスマホを覗くということはあり得ません。便利な道具を使うのは問題ありませんが、人間の普通の行動をしなくなるほどの依存度となると問題です。行動や心理を道具によって本来あるものと違てしまうのは多いに心配です。


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モンゴル 48 標本

2023年09月25日 | 標本
モゴドの集落を出て国道を目指すと思っていたら、ジャガさんがある上に寄りました。数年前、博物館を作るときに、いろいろ手伝ってくれたスフエさんの家です。どうやら息子さんがウランバートルで働いているので、車に乗せてくれということだったようです。それと、一緒に働いている友達も同乗させてくれというので、その人が来るのを待つ頃になりました。そこで待っているときに、スフエさんが見せたいものがあるというので、見せてもらったのは動物の頭骨標本でした。キツネとノロジカでした。日本と違うのは、毛皮をつけたままでも腐らないことです。カチカチに乾燥してしまうので、腐敗しないで乾燥してしまうようです。これらは来年来た時に、骨にすることにしました。

キツネ

ノロジカ

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モンゴル 48 ウランバートルへ

2023年09月24日 | モンゴル
8月5日

8月5日になり、いよいよウランバートルに戻ることになりました。学生たちがホテルに泊まっている子供たちと仲良くなっていたので、出発の時に見送ってくれました。


子供たちが元気で素直なのが印象に残っています。そう思うと、今の日本の子供たちは何か元気が足りないように感じます。

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モンゴル 47 落馬

2023年09月23日 | モンゴル
8/4

ゴールが見えてきた頃、私たちの横を走っていた少年が落馬しました。落馬を見たのは私は初めてでしたが、ヘルメットをかぶった子が多いところを見ると、時々あるのだろうと思います。
ウマはどうするかと思いましたが、そのまま走っていました。


家族が車で並走していました。見ると少年は悔し泣きをしていました。それはそうでしょう。春から馬と共に練習をして、馬を励ましながら今日を迎えて、もう少しでゴールというところで馬から落ちたのですから。
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モンゴル 46 走る

2023年09月22日 | モンゴル
8/4

ゴールが見えてきました。先頭と最後では数百メートルの差がつきました。

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モンゴル 45 走る

2023年09月21日 | モンゴル
8/4
少年たちは馬に大きな声をかけます。「頑張れ」という気持ちなのだと思います。こんな小さな子ですが、馬に乗れば自分の判断で走らせなければいけません。
 競馬は初めてという子もいるはずです。どんな気持ちかと想像します。

いずれにしても、この広々とした大地を友達と馬で走る・・・このことが、お父さんの頃も、おじいさんの頃も、ずっと続いてきたということに感動します。

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