自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

3月の観察会 樹皮

2017年04月30日 | 玉川上水
植物が限られていると、かえって目移りしないでじっくり見るものがあります。樹皮もそのひとつで、この日はコナラとクヌギ、イヌシデ、ケヤキなど代表的な木の樹皮を紹介しました。

クヌギとコナラは同属ですから、樹皮もよく似ていますが、クヌギの方が厚く、樹皮の凸部の幅が狭く、凹部が深いので区別できます。イヌシデはこれにくらべると凹部がほとんどないほど浅いですが、縦の模様は共通しています。これらに比べれば、ケヤキはユニークで、若いうちはなめらかで、つるんとした樹皮ですが、大きくなるとうろこ状のもようができて、ポロリと落ちます。


クヌギ

コナラ(4月に撮影)

イヌシデ

ケヤキ

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3月の観察会 ロゼット

2017年04月29日 | 玉川上水


3月ですから、まだ空気は冷たく、これから春になろうとしているという感じの季節です。でも天気のよい日に地面をさわってみると、意外と暖かいことがわかります。そのかすかな温度の違いを利用して、昼間に光合成をする植物があります。もちろん常緑樹はそうしているのですが、冷たい空気のなかでは合成の効率はよくありません。少しでも暖かければ光合成がうまくいきます。
 タンポポやハルジョオンなどの葉は「根出葉」といって、茎につくのではなく、茎が地面に接する根の近くからでます。そして地面にぴったりくっついて放射状に広がります。このことで接地面積を最大限にするわけです。こういう葉を「ロゼット葉」といいます。バラの花のようだという意味のようですが、多年草が編み出した巧みな機能をもつ葉といえます。



葉といえば、ムベがあったので、複葉の説明をしました。


ロゼット葉のときも、複葉と単葉の説明のときも、100円ショップで買ってきたボードが大活躍しました。口で言ってもなかなかわかりにくいとか、小さくてわかり難い、あるいは比較対象がないために説明がしにくいなどということがよくありますが、このボードはそれを一気に解決してくれました。
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3月の観察会 アマナ

2017年04月28日 | 玉川上水
3月12日に玉川上水の観察会をしました。



植物はまだまだですが、日差しが春らしく、歩いていても気持ちのよい日でした。いつもの鷹の台駅に集まり、これという課題もなく歩き始めました。


この雑木林にはアマナが咲くので探しました。4月の第1週くらいに咲くので、まだかなと思いましたが、よく探したら蕾がありました。



ちょっと悪いなと思いながらも、解説のために少し引き抜いてみました。球根があり、これがある大きさになるまでは開花しません。





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response

2017年04月27日 | ことば
応答と責任はつながらない。ことばのことだ。応答とはなんらかの働きかけがあったときのこたえといった意味であろう。責任とは自分の役割を果たすこと、あるいは果たすべきことのことであろう。これらはまったく別のことばだ。
 米国のペンス副大統領の談話で「米海軍はこの仕事に責任がある」という言いまわしで最後に「response」と言った。Responseは応答、あるいは反応で、生物学ではたいへんよく使う。動物になんらかの働きかけをしたらどういう行動をとるか、それを反応という。米海軍がresponseを負うというのはresponsibilityがあるということで、responseすることができるということになる。だが私の中で応答responseと責任responsibilityは別の概念だった。
 これがつながるということは、responseというのは動物が働きかけに対してとる行動というより、何かがあったときにきちんとすべきことをするといった意味合いがあるということであろう。なすべきこと、これは軍隊でいえば軍務、具体的には命令の遂行ということになるだろうが、その果たすべきことをresponseといい、それができることがresponsibility(response + ability)なのだろう。
 このことから、中国で作られた概念の応答と責任は、英語圏で作られたresponseと微妙に違うということがわかった。「応答」ということばは相手があって、それに応じてこたえるということだが、responseは相手次第というより、自分のなかでなすべきことがあるという気がする。「責任」のほうは、重いことを任されるという感じで、義務的なもの、公的な立場でおこなうことという響きがある。Responseにそういう重苦しいようなニュアンスがあるかどうかはわからない。
 私は小学校のころ漢字を教わったときに、「あつい」が熱いと暑いとを書き分けるのを知って当惑した。「はやい」の早いと速いもそうだ。「あつい」は温度が高いことだから、熱いと暑いを分けるほうが変だと思った。コックさんが厨房で料理をする鉄板は「熱く」てその部屋の気温が上がれば「暑い」というのはおかしいと思った。子供は耳でことばを覚え、それがどういう状況で使うかを体得していく。意味や用法を理解していたのに、それが違う文字で表現され、内容が違うことをあとで知ったことに当惑したのだ。
 オウトウもセキニンも幼児期には使わないから、ことばもそれを使う状況も漢字を習うころからスタートする。だから「応」と「答」から受けるイメージから、働きかけに対するこたえと覚え、「責」と「任」から受けるイメージや「責任をとりなさい」のような用法から、自分勝手にはできない、重苦しいがしなければいけないことというふうにとらえて覚える。そうして覚えた、まったく違うと思っていたことばが、英語では同じところから出ているということを知り、ハッとする思いだった。


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模型 2

2017年04月26日 | 研究など research


これはネズミの全身骨格の図です。これを見て、おもな骨の名前を覚えてください。

これらのうち、肩甲骨や寛骨は特徴的な形をしています。寛骨はネズミの場合はPの字に似ているように見えます。これらも紙粘土で作ってみました。



 しかし、四肢の骨は基本的に「棒」ですから、特徴がないように思われますが、よく見るとそうでもありません。たとえば上腕骨は一部が低い鼻のように突出しているし、その下の尺骨は上腕骨との関節部が丸くえぐれています。これを私は「歌うおじさん」と呼んでいます。大腿骨は寛骨との関節部に「骨頭」と呼ばれる球状の突出があるので特徴的です。その下の脛骨は、ヒトでは腓骨と別れていますが、ネズミでは合体して脛腓骨となっています。これがちょうどバイオリンの弓のように見えます。そういうことを考えながら作りました。



これもホンモノと比べてみます。こんなに大きさが違います。



 絵はときどき描いていますが、立体的なものを作ることはしたことがないので、なかなかおもしろいです。着色してそれらしいものができたときは楽しいもので、フェイクの楽しみというのはこういうものかと思いました。ようするにそっくりなものを作る楽しみで、金儲けのための贋作作りというのは別としても、純粋なアートの楽しみとしてのよろこびがあると思います。
 思えばアルタミラやラスコーの壁画を描いた人は、動物をみて感動して、そっくりなものを自分の絵で表現したいという衝動で描いたのだと思います。私はつねづね「まねではなくユニークなオリジナルを」ということばに疑問を感じています。それを正確な描写ができない人が言えば、なおさらです。
 なにごともまずはまねでしょう。絵画のまねでもよいが、ホンモノを紙の上にそっくりに描けるようになることが必要です。これはスポーツでいえば基礎体力でしょう。それがないのにいきなり「まねよりも個性」などというのは笑わせます。
 この4月から武蔵野美大で講義するようになって「作品」をみますが、基礎体力がないなと思います。

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模型 1

2017年04月25日 | 研究など research
まずはこの写真をみてください。



これはハタネズミというネズミの頭骨と下顎骨です。わかる人にはわかるはずです。でも、実はほんとにわかる人は「あれ?」と思うはずです。実はこれは紙粘土で作った模型で、大きさはホンモノの10倍ほどもあり、タヌキくらいあります。
 私たちが子供の頃は粘土といえば重くて、色も灰色で、ねばねばしたようなもので、匂いもするし、好きになれないものでした。いまの紙粘土は軽いし、扱いやすく、絵の具のノリもよいもので、驚きました。

次の写真は下顎骨をホンモノと並べて写したものです。



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インドネシア 遠足

2017年04月24日 | 研究など research
公園は昔島だったところが、砂州でつながったものです。最後の方の一日、その「島」の山を越えて向こうの海が見えるところまで行くことになりました。


暑いので、山道を登ると汗がでます。


ボゴール農大の学生さんが現地にとまってサルの調査をしているのでいっしょに行きました。


目的地の滝の上に来ました。


そこでみんなで記念撮影をしました。

このあと、ボゴールにもどり、それからバスでジャカルタに行きました。バスに乗るとギターをもったお兄さんが乗ってきて歌をうたい、チップを要求します。その人がおりると別の二人がのってきて、ウクレレでうたいはじめました。下手ではないのですが、こっちは疲れているので静かにしてくれという感じでした。お国柄です。


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インドネシア その他の動物

2017年04月23日 | 研究など research
「その他」とまとめるのは失礼ですが・・・


サイチョウ

サイチョウがいました。hornbillつまり、牛の角のようなクチバシをした鳥ということですが、異様とも思える巨大な嘴をもっています。なんとなくマンガチックです。


エビ

山の沢が淵になって、底に砂があるところに、エビがいました。かなり大きく、長いハサミをもっていました。お菓子を水に入れたら、そーっと寄ってきました。水の中では匂いはすぐに遠くまで達すののでしょうか。不思議でした。

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インドネシア 芝生

2017年04月22日 | 研究など research
シカが集まってよく食べるところは芝生になります。これは遠目に見ればもちろん、近づいていてもほんとうにシバそっくりです。これは日本にもあるギョウギシバです。


ギョウギシバ群落


ギョウギシバ

日本ではそういう場所のうち、上に木があるところにはスズメノカタビラが増えるのですが、インドネシアではツルメヒシバが出てきます。これは日本にはありません。


ツルメヒシバ群落


ツルメヒシバ

ギョウギシバは地下部もシバにそっくりです。この地下茎を横に伸ばして広がっていきます。


ギョフギシバの地下茎

ツルメヒシバも地下茎を横に伸ばします。


ツルメヒシバの地下茎

しかし地下茎を伸ばさないでロゼット状なものもよくあり、これはシズメノカタビラとそっくりです。



というわけで、日本の芝生と比較すると不思議なくらい符合します。
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インドネシア ルサジカ

2017年04月21日 | 研究など research




この国立公園にはルサジカというシカがいます。だいたいニホンジカと同じくらいで、オスはやや大きいかな、という程度です。ツノは太いですが、枝分かれが単純です。



はじめ、シカの姿は見られませんでしたが、私には相当数いることがわかりました。というのは糞がたくさんあっただけでなく、植生が強い影響を受けているのがわかったからです。木が生えていないところは日本の芝生そっくりで、私が長年調べてきた金華山の景色と見紛うほどでした。もともとはススキのような草丈の高い草が生えていたのが、繰り返し強い採食圧がかかって芝生になっています。


昼間は森の中にいて、夜になると芝生に出てきていました。
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