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造園学的な感覚でいえば「何かをすること」が仕事ですから、「何もしないでください」というのは呑めないことだと思います。しかし私は、この場所はもともと農業地帯であり、雑木林や茅場があった場所で、そこには独特の生態系があった、それをいわば破壊した後、復元すべきは里山的自然であるべきだと考えました。
何かを植えてこそ「仕事だ」という造園的感覚がずれているのと同様、都市住民にはしばしば「自然こそ素晴らしい」という観念的な価値観が濃厚にあります。そのために自然といえば知床や白神のような原生的自然と、里山のように人の営みの中で培われた、いわば「反自然」があることを区別しません。私はそのことを区別して、目指すべきビジョンを明確にすべきだと主張しました。そしてこの草地をススキ草原にすることを提唱しました。ここの土壌は客土したもので、かなり痩せています。その上、地下には防水シートが敷いてもあるので、普通の場所とは違いますから、すぐに里山の茅場のような環境が戻ってくるかは判断しかねました。
それでも数年でススキ腹になり、そこにノウサギやススキ原にいるカヤネズミという小さいネズミも「戻って」きました。狭山丘陵には所々に草地的環境が残っていますから、そういうところに生き延びた個体が戻ってきたのだと思われます。
そうして現在ではなかなか見事な里山景観が蘇りました。
谷戸沢処分場の景観。背後がコナラの雑木林で、手前がススキ原