自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

ヤブラン

2011年01月31日 | 植物 plants
その雑木林はあまり植物が豊富というのではないのですが、よく見るといろいろ見つかります。冬にはヤブランの実が目立ちます。


ヤブラン 2010.12.31 小平
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雑木林

2011年01月30日 | 植物 plants
霊園には小さいながら雑木林があり、私はたいていそこまで足を伸ばします。当たり前みたいですが、霊園はずいぶん広いのです。私はここに来ると、いつも同じ角度から写真を撮るようにしています。今は落葉して明るいこの林も、夏には葉がしげって暗くなります。


雑木林 2010.12.31 小平


2007.5.20
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モチノキ

2011年01月29日 | 植物 plants
おそらく植えたものだと思いますが、モチノキが赤い実をつけていました。ただモチノキにはヒヨドリなどの鳥がよく訪れ、木の下にはたくさんの糞が落ちています。ということはそれによって運ばれて発芽するモチノキもありうるということです。
その糞を見るとモチノキの種子がたくさん入っていますが、おもしろいのはそれだけでなくそのほかにもいろいろな種子が入っていることです。トウネズミモチがよく入っているし、センダンの大きな種子が入っていて驚くことがあります。
こうして都市の緑地は鳥によって種子の交流をしています。


モチノキ 2010.12.31 小平
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春への備え

2011年01月28日 | 植物 plants
「アファンのネズミ」が思いがけず長くなり、書いているうちに私も力が入りました。文章を書くということは自分の考えを整理することにもなり、書いているうちに思いを新たにしたり、確信をもったりすることにつながることがあるものです。いくつかのコメントを頂戴しました。印象をお聞かせいただけるとよろこびます。
 さて、このシリーズの前にはあいかわらずの日常的なことを書き綴っていたのでした。年末にぎっくり腰にない、ようやく歩けるようになって近所の霊園をゆっくりと散歩していたら、ゆっくりのおかげで新たに気づいたものがあったといった話をしていました。
 その続きです。霊園にはコブシがあり、枝先に冬芽をつけていました。多くの木の冬芽と違い、大きめで銀色の産毛が生えています。動物の毛のようにも見えますが、思えば動物の体毛も寒さを防ぐためのものです。「ネコヤナギ」というくらいで、あの冬芽も産毛で被われています。
 この中に来春をまって葉や花がひそやかにエネルギーを蓄えています。


コブシ 2010.12.31 小平
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アファンのネズミ11 お礼

2011年01月27日 | アファンの森
 私たちはツキノワグマとかフクロウとか、あるいはアサギマダラとかホタルブクロといったひとつひつつの生き物そのものにもちろん興味をもっていますが、それらの生き物がつながって生きていることを知ることにもっと強い興味をもっています。人が森林に働きかけることが生き物つながりにどういう影響を与えるのか。それを明らかにすることは戦後の日本人が自然に対してなしてきた仕打ちを知ることにつながり、それを見つめることで、今後どうすべきかという答えも見えてくると思うのです。それに、生き物のつながりを解きほぐすのはシャーロックホームズのような楽しみがあります。

 「ネズミを調べて何がわかるの」という質問に対しての、長い返事になりましたが、どう説明しようかと考えるのもなかなか楽しいことでした。よい質問をありがとうございました。
 これをきっかけにアファンの森のホームページのこのブログのことを紹介していただきました。それでコメントをくださった方もあり、うれしく思いました。そのことにもお礼申し上げます。
 来シーズンに向けて、あれこれと思いをめぐらせ、自然の話を聞く「作戦」をたてています。それもまた楽しいものです。



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アファンのネズミ10 衣食住

2011年01月26日 | アファンの森
 ところで、フクロウの食べ物のことは少しわかりましたが、実はすまいの問題もあるのです。雑木林というのは20年か30年くらいの周期で伐採して炭を作ってきたわけです。その結果、木の太さはせいぜい20cmくらいどまりです。これではフクロウがすむ「ウロ」のあるような木はありません。だからこそ、人が作った巣箱をかけてやると営巣するのです。八ヶ岳でフクロウを調べている人の話では、戦中戦後に伐採をしたために、太い木がなくなり、巣が作れないので、たとえば放棄された自動車の下などでも営巣しているのだそうです。
 ネズミがたくさんいる森があり、そこに一抱えもあって幹に「ウロ」があるような老樹があってはじめてフクロウが安住できるのです。ネズミもいなくなった自然は恐ろしいことですが、ネズミがいるのに巣になる大木がないというのはフクロウにとっては本当にかわいそうな話です。このことが、戦後の日本社会が森を「材木を作る工場」のようにとらえたことの結果であるとすると心の痛む話です。
 私は縁あってアファンの森で生き物調べをさせてもらうことになりましたが、森の時間からすればそれはほんの一瞬の邂逅にすぎません。私が生まれるずっと前から木々はここにいて、せせらぎの音をきいていたし、私が死んだずっと後にも黒姫の空を眺めています。そのときも冬が来て、木々は雪の中に凛と立ち、夏が訪れて、木々はセミの声を聞きます。
 私は少年時代から半世紀、生き物をながめてきました。そうしてこのごろようやく森のゆったりした時間を感じることができるようになったような気がします。そして50年後のアファンの森を思い描きます。そのとき、アファンの森の木々にはフクロウが暮らせるほど立派に育っているでしょうか。



そのイメージです。私はパソコンを使って描くような絵が嫌いで、こうして手描きで描くのが好きです。線を引いても機械なら等間隔にしてしまいますが、なんとなくずれたりして、そのほうが自然界にあるものに近いのです。
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アファンのネズミ9 フクロウの役割

2011年01月25日 | アファンの森

 ところが調べてみてわかったのはアファンのフクロウが食べていたネズミの7割くらいがハタネズミだということでした。ハタネズミは森林よりも草原を好み、条件が許すと爆発的に増えると書きました。アファンの森でもとくにドングリが豊作だったあとにはハタネズミが増えるようです。私たちが調査を始める少し前にネズミが大発生して、せっかく植えたコナラなどの若木をひどく食べてしまったそうです。それはハタネズミが好む明るい草地のような場所でした。フクロウはこういう場所に来てハタネズミを捕らえていた可能性が大きいです。とくにハタネズミが多い年はそうでしょう。ということは、爆発的に増えたハタネズミをフクロウが食べることで、その過剰分が抑制されることになり、それは木々が痛めつけられるのを緩和することになります。
 「フクロウはすみかを提供してもらっているので、森に恩返しをしている」と考えるのはストーリーとしてはおもしろいですが、実際はそういうことではありません。ハタネズミは増えるチャンスが訪れれば増えるだけ増えようとするし、フクロウは一番無駄なく捕れる餌を捕ろうとしているだけです。そのことが結果として増えすぎたハタネズミを抑制し、樹木への被害を小さくしているのです。
 ひとつだけ間違いなく言えるのは、もしフクロウがいなければハタネズミの増加はもっとひどいものとなり、若木への被害はもっと深刻になるに違いないということです。これは森林という共同体における異常な現象をフクロウが緩和しているとみることができます。
 生物多様性ということばがなんとなく流行し、できるだけいろいろな生き物がいることがいいことだといった乱暴なメッセージが跋扈していますが、多様性が尊いことの本当の意味は、例えばこのようにフクロウがいることが森林の機能を潤滑にしているということのはずです。
 フクロウはとても魅力的で、雛のかわいさといったらありません。だからフクロウを守ろうということでもいいのですが、こういうふうに「フクロウには森林の機能を維持する働きがあるから守るべきだ」というほうが、保護理念としてもよほど強いものになります。私たちはそうしたことに役立とうとして、日夜コツコツと自然の話を聞く努力をしています。
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アファンのネズミ8 アファンの森とフクロウ

2011年01月24日 | アファンの森
 なぜ、こんな面倒なことをしたかというと、私に次のような考えがあったからです。フクロウという鳥はネズミを食べることに特化した猛禽類です。フクロウが生きるためにはたくさんのネズミが必要ですから、フクロウがいるということはネズミが豊富であることを意味します。そして、たくさんのネズミがいるためにはそれを支える食物となる動植物が必要です。
 そう考えると一羽のフクロウがいるということが、豊かな自然のあることの証拠だといえるわけです。私はそうした生き物のつながりを調べるのにフクロウの食べ物を調べることがふさわしいと考えました。
 調べてみてわかったのは、アファンの森のフクロウが運んで来たネズミは、森ネズミよりもハタネズミがはるかに多いということでした。これはちょっと意外な感じです。「アファンの森」ということばのイメージからすれば、森ネズミを食べていそうだからです。



フクロウの標本。これは私が宮城県の金華山の山を歩いているときに見つけた新鮮なフクロウの死体を、東大の博物館にいる中坪君に標本にしてもらったものです。彼はただの骨格標本にしないで、翼に羽根をつけてくれました。私の最も気に入っている標本のひとつで、いまにもネズミを捉えそうに組み立てられています。
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アファンのネズミ7 成仏

2011年01月23日 | アファンの森
 少し脱線します。私はこのたくさんの骨を見ていて、あることを思いつきました。この骨の集団をなんとか魅力的に見せたいと思い、これを昆虫標本箱に並べようと思ったのです。昆虫標本にはクワガタやコバネムシは針を刺して並べますが、ハムシとかゾウムシのような小さい物は針をさせないので、小さな紙切れのようなものを針に刺し、そこに虫をのり付けします。そこでネズミの骨を同じようにして並べようというアイデアです。プラスチックの小さなプレートを作り、そこに木工ボンドで小骨をくっつけました。これを骨ごとに分けて並べました。
 できあがるとなかなか壮観で、アファンの巣箱だけで昆虫箱4つが必要でした。


骨を収めた4つの標本箱

 思えばこの骨たちは不思議な運命を辿ったといえます。この骨が体の一部であったネズミは、ふつうであれば静かに一生を終えて地面に戻っていくはずのものを、ある日フクロウに襲われ、「なんだ、なんだ?」と思ううちに、フワリと持ち上げられて宙を舞い、巣に運ばれました。そしてフクロウの雛に飲み込まれ、その骨が吐き出されました。その後、これもふつうであればそこで朽ちて、長い時間をかけて木が倒れ、やはり地面に戻ったはずです。それがどういう因果か研究者に拾われてしまいました。そういう奇縁をたどった骨も、ふつうなら袋に入れられ研究室の引き出しにでも収まるのですが、この骨たちはこともあろうに昆虫針の先につけたプレートにのり付けされ、昆虫箱に並べられたのです(今はアファンの森のセンターに収まりました)。
 さらに言えば、それを写真にとられて、このブログをご覧の皆様の前に「曝される」ことになったのです。これは「晴れ姿」というのか「成仏できなかった」というのか。いずれにしても類まれな運命を辿ることになったことだけは確かです。


左側が下顎、右には頭骨が見える


大腿骨など四肢骨が並ぶ




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アファンのネズミ6 下顎

2011年01月22日 | アファンの森
 骨を見ながら、「これは顎の骨だ」などと言い当てるのは楽しいものです。でも、ばらばらになった骨からネズミの種類を言い当てるのはむずかしいことでした。頭骨は破損しているし、手足の骨や肩甲骨、寛骨などは種の違いはわかりません。そうした中で下顎の骨は使えそうでした。骨も丈夫なものではありますが、それよりも歯はよほど丈夫ですから、よい状態で残っていますし、下顎も頭骨ほど大きく、立体的でないので、壊れにくいようでした。下顎骨(したあごぼねとは読まないでカガクコツと硬く読む)。全体の形ははっきりちがいます。


アカネズミの下顎


ハタネズミの下顎

 そして森ネズミとハタネズミは食性が違うことを反映して、歯もまったく違うことがわかりました。使ったのは奥歯ですが、森ネズミのほうは私たちの奥歯と同じように数本の「根」(歯根)があって下顎につきささっています。その上のほう(歯冠部)は食べ物をすりつぶすために平坦で、私たちの歯のように中央が少しへこんでいます。それがちょうど臼のようなので「臼歯」(きゅうし)と呼ばれます。



これはアカネズミの下顎の臼歯の列で、臼のようすがわかります。




これはアカネズミの臼歯を横から見たところです。なるほど人の臼歯と似ていると思うかもしれませんが、下に見えているのはモノサシで、目盛りは1mmです。いかにミニミニであるかご想像ください。それにしても「くぼみ」が汚れているなあ。君ィ、歯をみがいてないな?

 これに対してハタネズミの奥歯はまったく違います。横から見ると、縦方向に溝があって、それがまっすぐに続いてプレートになっているので段ボールみたいです。



 これはハタネズミの臼歯3本を歯槽から抜き出したところです。右側が先端になります。これが歯槽に収まっており、その状態でみると上のように一枚のプレートにしか見えません。一番奥の歯は歯槽内でかなりカーブしています。



外側にはエナメル質という特別に硬い組織があって、トタン板のようで、これが硬い食べ物をすりつぶします。上からみるとそのトタン板の波模様が見えます。アカネズミのものと比べると臼歯列の長さも倍くらい長いので、「すりつぶし」l効果は大きいに違いありません。


このことからもハタネズミというのはそうとう特殊化したネズミだということがわかります。



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