自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

イラスト2

2013年01月31日 | その他 others
筆ペンでの動物画です。これはイルカですが、こういう勢いのある動きを表現するとき、線の太い細いが効果があるような気がします。

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イラスト1

2013年01月30日 | その他 others
昨日、タヌキのイラストを紹介したら、ある人からお褒めのことばをいただきました。あれは筆ペンで描いたのですが、動物を描くにはなかなか適していると思います。生物学ではスケッチはペンで描くのが原則で、陰などは点をたくさん打って表現します。哺乳類の毛の表現などはむずかしいものです。ジュニア新書のカバーを描いてくださった木村しゅうじさんは達人ですからツキノワグマの毛を見事に描いています。そういう動物画を描くのも楽しいものですが、私は印象に残ったことを少なめの線でザクッと描くのが好きで、タヌキのウンチはそういう感じで描きました。日本人は子供の頃から筆になじんでいるので、強弱で太い細いを描き分けられますから、こういう「一気描き」に向いているような気がします。脚などは力を入れれば一本で描けてしまいます。足の部分は漢字のトメのようにすればそれらしい感じになります。そして最後にテンと糞を描いて画竜点睛です。

 下の絵はリスですが、やはり筆ペンで描きました。


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タヌキのウンチ

2013年01月29日 | アファンの森
しばらくタヌキの糞、種子散布、糞虫と続けました。私の一連の調査は自然界における生き物のつながりをときほぐすことにあり、タヌキの糞だけで、これだけ広がる世界があることをお伝えしたいと思ったからです。実際この体験は理屈ぬきにおもしろかったし、私だけでなく調査した学生たちが成長し、自然を見る目を豊かにしてくれたことは、大きなよろこびでもありました。一部のものはすでに学術論文になっていますし、これから論文にするものもあります。
 私は2006年に岩波ジュニア新書で「野生動物と共存できるか」という本を書きました。この本はよく読まれているようで、文章が中学の国語の入試問題によく使われています。ありがたいことに今年度から2つの教科書にも採用されました。



 私の書いてきた本ははじめ専門家を対象としたものでしたが、ジュニア新書で高校生から中学生くらいまでに若年化しました。若い頃「読者層をだんだん下げて最後は童話を書きたい」とうそぶいていましたが、それに少し近づいたような気がしました。
 タヌキの糞について、上のような趣旨で子ども向けの本を書きたいと思っています。書名はもちろん「タヌキのウンチ」で、いま検討中です。出版できることを楽しみにしてイラストを描いてみました。

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小さき者たち

2013年01月28日 | アファンの森
私たちは無知による偏見をしがちです。そのことをエンマコガネが教えてくれました。このことについて、ひとつご紹介したいことがあります。
 私はこの調査をアファンの森でしたのですが、それはある学生の卒業研究でした。私の研究室に入ってくる学生の多くはなんとなく動物が好きで、遺伝学とか生化学のような動物学よりは野外の動物を観察するような動物学を体験したいという人が多いのです。そのイメージにあるのはアフリカのサバンナでライオンとか熱帯雨林でオランウータンを観察する研究者のようです。この調査をした学生もそういう傾向がありました。私は自分の関心を話し、アファンで調べることの意味を説明しました。彼女はそのことに納得して調査を始めましたが、私には少し後ろめたいような気持ちがありました。いまどき、「性差別」と呼ばれるかもしれませんが、「うら若い女子学生に糞虫なんぞを調べさせるのか」という声が聞こえそうな気持ちがあったのです。
 でも彼女はとても熱意をもって調査をしてくれました。むしろ私があっけにとられるほどでした。馬の糞はそうでもないですが、実はウシの糞も、イヌの糞も調査に使いました。もちろんとても臭いです。糞虫でもセンチコガネやエンマコガネはまだいいですが、
「先生、マグソコガネがたくさんとれました」
などとうれしそうに話すのを聞いて(私は「よかったね」と答えただけでしたが)、その会話を聞いた人は
「??!」
だったようです。
 彼女は糞虫を、私は彼女を「観察」しました。はっきりいえることは、はじめのうち動物そのものにあった彼女の関心が、あきらかに森林の中での糞虫の役割のほうに移って行ったことです。彼女のイメージの中で、初めのうちはアファンの森はただの「散歩するすてきな緑の空間」だったはずですが、1年調査をしたあとでは、その森の中にタヌキやキツネやイノシシが毎日たくさんの糞をするイメージと、それらがすぐに糞虫によって分解されているイメージが描けるようになったのです。

 偏見や誤解をただすために最もよい方法は知るということだと思います。そのことを数ミリしかない小さき者が教えてくれたということに感動します。そして、そういう体験を共有した彼女を見ていて、大学の先生も悪くないなと思いました。
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消える糞

2013年01月27日 | アファンの森
きのうのブログを見て、思わず目をそむけた人もいたのではないかと思います。でも自然記述者は続けるのであります。

「そうか」
観察をして私は思いました。
「こんな目にもとまらぬほど小さな虫が、あっという間に糞を分解するんだ」
驚きです。この虫にすれば馬糞は巨大なビルほどの大きさのはずです。タヌキの糞でも学校の校舎くらいはあるでしょう。それを一日で崩してしまうのです。
 
「どうりで、野山で糞をあまり見ないわけだ」
そう、タヌキの糞が夏に消えるのは、タヌキがどこかに行ったのではなく、そこで糞をしたのに、糞虫が分解していたのです。

 もうひとつ大切なことがあります。私は年季の入った「昆虫少年」で、虫が大好きです。このブログを読んでくださっている皆さんも多かれ少なかれ自然好きで、昆虫も嫌いではないと察します。それでもチョウやクワガタなどの人気のある昆虫は知っていても、糞虫はあまり知らない人が多いでしょう。
「え?糞を食べる?なにそれ」
「きったな~い」
という人も多いはず。そうでなくても自分が触ったり、観察したりするのはパスという人が多いはずです。ましてや一般の人はまったく関心がなく、子供が「糞虫を調べたい」などといえば、たいていのお母さんは「そんな汚いものやめなさい」というでしょう。
 でも、この観察でわかったように、糞虫がいてこそ、野山の糞が処理されて野山がきれいなのです。それを汚いというのは大きなまちがいだということです。
 私たちは知らないところで、無知による誤解や偏見をもってしまっていると思います。エンマコガネ君はそういうことを教えてくれました。
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糞の分解

2013年01月26日 | アファンの森
馬糞を置いて、エンマコガネを10匹入れてみました。初めはこれという変化が見えませんでしたが、5時間くらいで分解が始まり、9時間後には明らかに「崩れ」がみとめられ、20時間後には球状だった糞が平坦になってしまいました。


0時間


9時間後


20時間後

ところで、今の若い人は知らないでしょうが、昭和30年くらいまでは「馬糞紙」といわれるボール紙がありました。あれはイネのわらででもできていたのでしょうが、この写真の繊維そっくりで、当時は田舎の町には馬がいたので、誰でも馬糞がどんなものか知っていました。パサパサで、あまり汚い感じはしませんでした。私は山陰育ちですが、ウシの糞を踏むと走るのが遅くなり、馬の糞を踏むと速くなるという迷信があって、運動会の前になるとそうした子がいたらしいです。私はかけっこは大得意だったので、その必要はありませんでした。そうでなくてもウシの糞はべとっとしていて踏みたくないものでした。道路は舗装されておらず、自動車はあまり走っていない時代でした。
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糞虫の力

2013年01月25日 | アファンの森
オオセンチコガネは大型で、色もきれいなので目立ちますが、数はそれほど多い訳ではありません。一番多いのはたぶんこのエンマコガネです。エンマコガネは似たようなのがたくさんいて名前の区別がむずかしいです。大きさはたてが7,8ミリといったところ、脚は扁平で糞を処理するのに適しています。体はまるっこくて、全体になめらか、糞の中をどんどん進めます。それにたいへん力が強いです。手の上において握ると指の間をもりもりと進んできますが、すごい力です。
 エンマさんとは怖そうな名前ですがとてもかわいい感じです。この虫がどのくらい糞を分解する力をもっているかを実験することにしました。この器の中央にあるのは馬糞、黒いのがエンマコガネです。




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糞虫をとる

2013年01月24日 | アファンの森
一度アファンを離れてタヌキの糞の一般的な話をしましたが、またアファンに戻ります。私は糞虫に興味があったこともあり、学生とアファンにいる糞虫を調べてみることにしました。ただ何度も森を歩いていましたが、金華山のように糞虫を見たことはありませんでした。だから、ゼロということはないだろうが、どれくらい採れるかには不安がありました。
 糞虫を捕まえるには工夫が入ります。まず餌としての糞を用意します。ありがたいことに職場の麻布大学にはいろいろな動物がいますから、糞は確保できます。これをティーバッグに入れます。一方、小さなバケツを地面に埋めます。そしてそのバケツの上に、割り箸をわたし、そこにティーバッグにいれた糞を洗濯バサミでつり下げます。そうすると、糞の匂いにつられて飛んできた糞虫がバケツの底に落ちるというわけです。バケツの底には少し水を入れておくと、飛び上がれなくなります。



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糞虫

2013年01月24日 | 動物 animals
夏にタヌキの糞がなくなるのは、糞虫のしわざです。下の写真はブレていますが、タヌキのため糞に来ていたオオセンチコガネという糞虫です。私は子供のころ、昆虫図鑑をみてこの虫の美しさにうっとりして、なまえも「cmコガネ」なんてかっこいいなと思っていましたが、後にセンチは「雪隠」だということを知りました。といれを雪を隠すというのはこれいかに?ですが、なんとなく奥ゆかしくていい名前です。



「ファーブル昆虫記」は人気のある本ですが、もちろん私も読みました。というより熟読しました。あの糞転がしのところはほんとうにおもしろくてプロバンスの風景を想像していました。そういうわけで糞虫はあこがれの虫でした。大学院生になって仙台の近くの金華山でシカの調査を始めたら、オオセンチコガネはいいくらでもいました。でもファーブルに出てくるような糞転がしとは違いました。ただし、シカの糞を転がすというより、持ち上げて運ぶのは時々見ました。



なんで糞の中にいる虫がこんなにメタリックに輝いている必要があるのか不思議ですが、世界にはきれいな糞虫がたくさんいます。ただ多くのものは黒いつやけしのようなものです。
 
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タヌキの糞

2013年01月24日 | 動物 animals
アファンのタヌキの糞にまつわる話をしています。糞を通じて(便通なんてね)タヌキの食性がわかるだけでなく、種子散布という森林の動態に貢献している可能性があることを話しました。研究する私たちにとって糞は「情報のカプセル」です。一度ため糞場をみつけると、サンプルの採集高率はぐっと効率的になります。当てもなく糞を探して山を歩くのはつらいものです。なので、他人がみれば理解不能でしょうが、ため糞場をみつけると大喜びするのです。
 ところがせっかく見つけたため糞場でも、夏になると糞がみつからなくなります。タヌキはため糞場をいくつかもっているので、見つけたもの以外の場所で糞をしているのかもしれないし、なんといっても「動物」ですから、どこかに行ってしまうのかもしれません。これは私たちにとって困ったことなわけです。
 「うーん、どこなんだ、クッソー!」
 (お聞き苦しくて、すみません)

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