自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

今年を振り返る 4 個人的なこと

2016年12月31日 | ごあいさつ Greetings
<個人的なこと>
 我が家でことし最大のできごとは7人目の孫である航大(こうた)君が生まれたことです。長女の4人目の子で、6人の孫の唯一の女の子、茜ちゃんは「仲間がもう一人かも」と期待していたみたいですが、男の子でした。我が家は3人娘、カミさんも4人姉妹なので、孫は男の子が多いのが不思議な感じがします。こうちゃんはおっとりしていて、よく眠り、起きてはにこにこ笑ったりするので、見ていて癒されます。


新しい仲間「こうた」君

 もうひとつのできごとは私たちが結婚40周年で、記念してモンゴル調査にいっしょに行ったことです。私は高校1年生のクラスが50年ぶりの同窓会を開くというのでカミさんもいっしょに同郷の米子に帰省しました。


モンゴルのオルホン川を背景に

 「できごと」といえばそのくらいですが、私としては風邪ひとつ引かずに元気に一年が過ごせたこと、自分の好きなことをしながら穏やかな日々を過ごせたことが一番ありがたかったと思います。NHKの朝ドラ「ととねえちゃん」をよく見ましたが、そのテーマがまさにそのことでした。「暮しの手帖」は我が家にあり、幼かった私にも「この本はほかの本当は違う」と感じられるものがありました。あの番組で「暮しの手帖」を思い出し、戦後、満州から引き揚げてきた両親がどんな思いで日々を過ごしてきたかを想像するきっかけになりました。


母、豊子と父、孝男(1953年)

 今年は世界中で憎しみ、異質の排除、暴力が勢いを持つようになっているように感じます。私はその逆のこと − 慈しみ、異質の評価、非暴力 − を大切にしながら、おだやかに日々を過ごしたいと思います。
 思えば私の半生は生き物を調べることに費やしましたが、それが慈しみや異質なものを尊いと思うこととつながっていることに気づくようになりました。ささやかな経験をもとに、この世がおだやかになるよう、少しでも役に立ちたいとも思います。

 ことし一年、問わず語りをお聞きいただき、ありがとうございました。皆様、よい年をお迎えください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年を振り返る 3 論文など

2016年12月30日 | ごあいさつ Greetings
<公表した本、論文など>
 ことし出版された本は以下の3冊です。
「タヌキ学入門--かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔」、誠文堂新光社。

これは一般向けにタヌキのことを紹介したもので、生物学の話だけでなく、昔話などにも言及しました。


「玉川百科 こども博物誌 動物のくらし」、玉川大学出版部。

これは小学生の低学年を対象にしたもので、哺乳類だけでなく、鳥類、寮生爬虫類、魚類も含み、それぞれの専門家にわかりやすく書いてもらいました。イラストがすばらしく、よいできになりました。



「増補版野生動物管理−理論と技術−」,羽山伸一・三浦慎悟・梶光一・鈴木正嗣,編、文英堂出版,東京。

これは専門書で、このなかにつぎの2つを書きました。
生態系と野生動物のインパクト.:117-142.
食性分析.:295-297.

 論文は4編書きました。
足立高行・植原 彰・桑原佳子・高槻成紀.2016.
 山梨県乙女高原のテンの食性の季節変化.
 哺乳類科学,56: 17-25.
足立高行・桑原佳子・高槻成紀,2017
 福岡県朝倉市北部のテンの食性−シカの増加に着目した長期分析.
 保全生態学,21: 203-217.
 この2つは大分の足立さんがテンの糞を長いあいだ根気強く分析されたもののまとめをお手伝いしたもので、乙女高原のテンの糞は植原さんが採取したものです。福岡のものは11年間におよぶもので、そのあいだにシカが増えて、テンが食べる昆虫や低木の果実などが減ったことがわかりました。

Yamao, K, R. Ishiwaka, M. Murakami and S. Takatsuki. 2016
Seasonal variation in the food habits of the Eurasian harvest mouse (Micromys minutus) from western Tokyo, Japan.(東京西部のカヤネズミの食性の季節変化)
Zoological Science, 33: 611-615.
 これは日の出町廃棄物処分場跡地に復活したススキ群落にもどってきたカヤネズミの食性を糞分析で解明したもので、夏の昆虫、冬の種子と季節変化があることが初めてわかりました。またダンゴムシやシデムシなど地表を歩く昆虫などが食べられているという意外なことも初めて明らかになりました。

Morinaga, Y., J. Chuluun and S. Takatsuki. 2016.
Effects of grazing forms on seasonal body weight changes of sheep and goats in north-central Mongolia : a comparison of traditional nomadic grazing and experimental sedentary grazing, (伝統的遊牧と固定飼育によるヒツジとヤギの体重の季節変化の違い:モンゴル北部での事例)
Nature and Peoples, in press
 これは伝統的な遊牧で育てた場合と実験的に固定飼育した場合、ヒツジやヤギの体重がどう違うかを比較したもので、固定するとやせることがわかりました。私たちは事情を知らないで「モンゴルは土地面積に対する生産性が低い」と批判する声があるのを、それには意味があるのだということを示したいと思いました。

 そのほか、書評を書きました。
高槻成紀, 2016.
日本のイヌ- 人のともに生きる 菊水健史・長澤美保・外池亜希子・黒い眞器.
JVM. 69: 197. 
高槻成紀,2016.
「女も男もフィールドへ」椎野若菜・的場澄人(編)(2016)古今書院
哺乳類科学, 56: 293-295.

 以下はエッセーや解説です。
高槻成紀, 2016. いきものばなし10, ニホンジカ. ワンダーフォーゲル,2016.2: 156-157.
高槻成紀, 2016. 唱歌「ふるさと」から里山の変化を考える. 環境会議, 2016春: 40-45.
高槻成紀, 2016. 麻布大学いのちの博物館を語る. 日本農学図書館協議会誌, 181: 7-14.
高槻成紀, 2016. 東京のタヌキ。東京人, 372(2016年7月): 7.
高槻成紀, 2016. 子供たちに動物の息吹を伝えたい.週間読書人,2016.8.5
高槻成紀, 2016. シカ研究者がみた最近の日本の山. 木の目草の芽, 125: 1-4.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年を振り返る 2 講演など

2016年12月29日 | ごあいさつ Greetings
<講演など>
振り返ってみれば、「こんなに?」とわれながら驚きます。
1月15日 かわさき市民アカデミー、「シカと植物の関係」
2月13日 相模原・町田大学地域コンソーシアム、「麻布大学いのちの博物館ができるまでとこれから−大人も子供も学べる場を目指して」
3月10日 TBSラジオ「荻上チキSession22」
3月19日 B&B、「動物博士! うんちを集めてるって本当ですか!?」
4月18日 武蔵野美術大学、「玉川上水のタヌキを調べる」
4月23日 アースデイ東京2016、「森の再生」「地域創生」
4月24日 国立市公民館環境講座、「動物の言い分〜都市生活と野生動物〜」
4月25日 武蔵野美術大学、「生き物のつながり、1. 花と虫」
4月25日 武蔵野美術大学、「生き物のつながり、2. 分解昆虫」
5月18日 御岳山、
7月12日 かわさき市民アカデミー、「野生動物の言い分」
9月01日 森林インストラクター東京会、「森林と動物−シカを中心に動植物の
つながりを考える -」
9月09日 ラディッシュボーヤ、「森から海へ」
10月02日 館山猟友会、「シカ問題を考える」
10月29日 兵庫県養父、「シカ問題とその背景」
11月15日 武蔵野美術大学、「玉川上水調査 これまでにわかったこと」

このときの講演の動画はこちら

11月18日 かわさき市民アカデミー、「森林管理と生き物のつながり」
11月20日 相模原市立博物館、「東京西部に生息するテンとタヌキの食性比較」
11月24日 早稲田大学エクステンションセンター、「唱歌ふるさとの生態学」
11月25日 日本山岳会、「シカ研究者がみた最近の日本の山」
11月27日 桐生自然観察の森、「シカと植生と人間について」
11月29日 かわさき市民アカデミー、みどり学1「シカ問題を考える」
12月01日 早稲田大学エクステンションセンター、「野生動物の言い分ータヌキやクマに語らせたら・・・」
12月06日 かわさき市民アカデミー、みどり学フレッシュ「身近な野生動物−タヌキを例に−」
12月21日 Darwin Room, 「玉川上水調査 これまでにわかったこと」


Darwin Room で清水さんと

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年を振り返る 1 研究など

2016年12月28日 | ごあいさつ Greetings
押し迫りました。ことしを振り返ってみたいと思います。そのために、以下の順にまとめてみました。

仕事、調査、講演など、公表した本、論文など、個人的なこと。

<仕事>
 昨年3月の定年退職し、4月からは「麻布大学いのちの博物館」設立のお手伝いをすることになりました。博物館は昨年9月に開館したのですが、半年は専任の人はおらず、派遣職員の方に受付や資料整理などをしてもらっていました。それが4月からは事務職員がついて、本格的に動き出しました。私は上席学芸員という立場です。


麻布大学いのちの博物館外観

常設展示のほかに企画展として「ロードキル」、「動物の目」を実施しました。また新規収蔵展示として「須田修氏の遺品」の展示をしました。


ロードキル展


動物の目 展


須田修氏遺品 展

これとは別に夏に「夏休み子供教室」として動物の骨の勉強をしてもらいました。


夏休み子供教室

団体来館もあり、解説をしました。またミュゼットという学生の博物館支援サークルがあり、毎週土曜日に「ハンズオンコーナー」として、動物の骨をさわってもらう活動をしてもらいました。オープンキャンパスや大学祭では展示解説をしてもらいました。このほか増井光子資料の登録作業などをしています。


<調査>
 今年の3月から武蔵野美術大学の関野吉晴先生が進めておられる「地球永住計画」の活動の一環として玉川上水の動植物を調べることを始めました。タヌキを「主人公」にし、食性、糞を利用する糞虫を調べるほか、訪花昆虫や動物散布される果実の調査などをしました。毎月観察会をし、参加者の協力をえて調査をしました。玉川上水にはほぼ毎週、夏には週に2、3回通いました。


解説をする

 これまでの継続調査も続けられるものは続けています。タヌキの糞分析の比重が大きく、仙台の海岸のタヌキは知人が毎月糞を送ってくれています。東松島でニコルさんたちが進めている「復興の森」にいって観察したり、タヌキの糞を採取したりしています。長野の黒姫にあるアファンの森でもタヌキの糞を集めています。今年からは明治神宮でもタヌキの糞集めをできるようになりました。なおタヌキの糞分析といえば陛下が皇居のタヌキの食性を糞分析であきらかにしたすばらしい論文を書かれたことも私にとって重要なことでした。
 乙女高原は昨年の終わりから今年にかけてシカの影響を防ぐために大きな柵が作られたので、その群落調査に行きました。11月の草刈りのときにカヤネズミのものと思われる地表巣を発見しました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

孫のコンサート

2016年12月27日 | 家族
クリスマス会の翌日は長女のところの長男(6年生)と長女(といっても3番目で1年生)がピアノ演奏会だというので聞きに行きました。
開演と同時にその二人が壇上に上がったので、どうしたのかと思ったら、開演のお知らせみたいな感じでベルをオルゴール風にならす係りに選ばれたようです。よく似ているので、お兄ちゃんと妹という感じで会場がなごみました。


ベルで開演



最初が長女の茜ちゃんとお父さんの連弾で、とてもじょうずでした。この子は全然緊張しないみたいで、むしろうれしげです。



それからお兄ちゃんの遼大(りょうた)君の番になりました。やや緊張気味かとみうけましたが、演奏が始まるとまったくそうではないことがわかりました。強弱やテンポも感じながら演じているのがよくわかりました。この子は小さいときから歌がうまいし、口笛やリコーダーなども大人なみだとは思っていましたが、4月から始めて半年ほどでこんなになるなんてまったく驚きました。それに、お父さんがこんなにうまいとは全然知りませんでした。我が家でギターをつまびいて歌う歌はどちらかというと下手なので、びっくりです。
「だいぶ練習したの?」
とあとできいたら
「そりゃあ、もう」
ということでした。


そのあと、今度は茜ちゃんのソロになりました。この子はとくに歌がじょうずで、なんだかコブシをつけて歌ったりするので感心していましたが、ピアノを弾くときも首を右に左にゆすりながら音楽を体で感じているのがよくわかりました。

最後に遼大君が出てきました。どちらかというとおとなしく、人前で意見をいったりするのは苦手らしいですが、じいさんの心配をよそに堂々たるソロでした。右手のかなり速い動きと、左手の伴奏をボーンと弾き放つところなど舌を巻きました。子供というのはすごいもので、それを完全に暗譜していました。演じ終わると大きな拍手がわきました。



無事に終わって記念撮影。最高のクリスマスプレゼントになりました。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリスマス会

2016年12月26日 | 家族
今年もクリスマス会をしました。子供達はおおはしゃぎ。ちょっと久しぶりに我が家に集まったので、円卓のまわりを「歩こ、歩こー、わたしはげんきー」と歌いながらグルグル歩いていました。1歳のだいちくんはなんのことだかわからず、「なんだかにぎやかだな」と感じながら、でもうれしげでした。2ヶ月のこうたくんはおっとり君で、眠っているか、おきると上をみて、ときどきニマっと笑ったりしています。新しい仲間がくわわったクリスマス会でうれしさ倍増でした。


こうた

 ことしははじめにプレゼント交換をすることにしました。


だいち

たくま

あおい

あかね

しゅう

りょうた

あかねちゃんのときは、みんなが「なんだ、なんだ」と集まりました。


おじいちゃんの昔の教え子でいつもすてきなクリスマスプレゼントを送ってくれる人からことしもプレゼントが送ってきました。それを配ってパチリ


「今夜はサンタさんがくるまで起きてるんだ!」
とがんばるそうです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クチナシ

2016年12月25日 | 植物 plants
クチナシという植物があります。庭木として植えられているのをみます。12月のはじめに果実をみかけました。大半は鳥に食われていました。
 この果実を和紙で挟んでしばらくおいて、乾燥したので取り出してみたら、朱色に染まっていました。茜色というのだと思います。


クチナシの果実


和紙にそまったクチナシの色



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カヤネズミ情報

2016年12月24日 | 研究など research
カヤネズミの地表巣の発見の情報をお伝えしました。これについてある人からコメントがありました。それによると、以下のサイトに秋田県での「ノネズミの巣」の記録があるというので、みたら私の目にはまぎれもなくカヤネズミの巣に見えるものでした。

その1
その2

ということは北限が宮城県という記録はすでに更新されていたということです。ますます確信を深めました。ご連絡いただいたbluetittitさん、ありがとうございました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アファンの森の沢

2016年12月23日 | アファンの森
アファンの森には小さな沢があり、季節ごとにようすを変えます。


4月27日 春の草が芽生え心が浮き立つ季節です。


7月7日 新緑で森全体が緑色に染まります。


10月10日 少し林が明るくなった感じです。


10月27日 紅葉が始まり、草が枯れて少し寂しくなりました。


12月10日 木の葉がすっかり落ちて地面を被い、草も枯れました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鎌倉橋

2016年12月22日 | 玉川上水
津田塾大学の少し東に鎌倉橋という橋があります。なんで玉川上水に「鎌倉」かというと、ここに南北に「鎌倉街道」があるのです。文字通り「いざ、鎌倉」のための道路が各地からついているようです。ヨーロッパのローマのようなことがあるようなのです。
 そこから東を見るとなかなかよい景色なので、春に何枚か撮りました。季節の変化がよくわかります。


4月13日 まだ緑が少なく、ういういしい浅い緑


4月24日 急に濃い緑に。


4月30日 もう夏の装いです。半月で激変

その後はあまり変化がありませんでした。

10月16日 秋のようす

ところが、紅葉になって「そろそろ行こうかな」と思いながら、11月末はばたばたしているうちに過ぎてしまいました。12月10日になって行ってみると、少しピークを過ぎていて、紅葉のみどころではなく、やや寂しい冬の景色の入り口になってしまっていました。残念

12月10日 紅葉のピークは過ぎてしまった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする