アズマギク
この作品はキキョウに比べると「仕上げ」が甘いかもしれません。というのは下のほうの葉に見られるように、色を塗りきっていないところや、根が丁寧に描いてないからです。
そうではありますが、実に美しい作品です。自分で描いてみればすぐにわかることですが、キクの花びら(舌状花)を描くと一枚でも大きさが違ったり、向きが違ったりすると不自然さが目立つのです。しかしこの作品はそれが全くありません。花びらの重なりも難しいものですが、そこも巧みに描いてあります。それと中央の小さい丸(頭上花)も小さい丸がたくさん描いてあるのではなく、中央のものは小さく、外側ほど大きく、描き分けてあります。白い紙に白い花を描くのはどうしようかと思うのですが、ここでは台紙が薄茶色なので、花びらを白く彩色してあります。そして中央部のくぼみを、微妙に濃くして立体感を表現しています。