昨夜(8月30日)、NHKのクローズアップ現代プラスで、マダニのことをとりあげていました。番組にでも出てきた鈴木和男さんは私が東北大学の助手だったころに研究室に入ってきて、気心があってよくいっしょに調査をしました。いまは和歌山の田辺市でアライグマの調査をしています。番組では山にしかいなかったマダニが最近は街にもいて、ネコにダニがついている事例が急に増えたこと、最近、ネコにかまれた女性が「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に感染して死亡したことなどが紹介されました。
鈴木さんは徹底的に「モノ」にこだわる研究者気質で、「できるだけたくさん、できるだけ長期に」物的証拠をとるというタイプです。いろいろなことを調べている中にアライグマの感染症のこともあり、サンプルを専門家に送ってきました。データはもっと古くからとっているはずですが、番組では2011年からのSFTS感染率が紹介されました。低いときからとっていたということが肝心で、この種のデータは調べたら「えらいことになっている、で、その前は?」となり、「データがない」ということが多いのですが、鈴木さんが偉いのは、いずれそういうことになるかもしれないと見通してちゃんとデータをとっていたということです。そのグラフをみるとこの数年で急増し、その時期と死亡事例とがよく対応していました。
よせられた情報をもとに調査をして、それによって全国的な傾向があることがわかったなど、マスメディアのパワーを示した番組でもありました。
実は私はマダニに何度もかまれたことがあります。金華山はシカがたくさんいますからダニもいっぱいいます。山を歩いて野生動物の帰って風呂に入ると、体についているのに気づくことがありました。金華山にはヤマビルもいて、こちらにも刺されます。山を歩いているときは気付かないことが多いのですが、皮膚を切って吸血し、止血を阻害する酵素を出すので、出血がとまらずビクッとします。ダニはかまれてもほとんど気づきません。当時は病気をもっていなかったのだろうと思いますが、いま思うと怖いことです。
番組にはたくさんの意見がよせられ、子供を公園で遊ばせても大丈夫かなどの母親の声もありました。このことはちょっと深刻かなと思いました。
深刻だというのはダニが増えて街にまで済むようになったという事実そのものだたいへんだということでもありますが、もう少し違うことです。私は動植物や自然が好きで、だから自然と人間が共生することだたいせつだと考え、発言もしてきました。私のような者は少数派ですから、大多数の人からは「自然を相手にする道楽者」とみられるわけです。それほどキツい表現はされたことはありませんが、「けっこうな身分ですな」という感じでみている人はふつうにいます。でもそれは「自分はそうはしないが、悪いことをしている奴でもない」と思われているという感覚があります。「あんたのいうことは、まちがってはいない。いずれ日本の社会も理解してくれるだろう」という感じでしょうか。
しかし、こういうことがあると風向きが変わる可能性があります。「野生動植物を大事にするあいつら」が「守れ、守れ」などというから野生動物が増えて、その結果、ダニまで増えて人に危険になっている。「あんな迷惑な生き物なんか撲滅すればいいんだ。それを、ダニを増やす野生動物を守れなどととんでもないことを言う奴だ」ということになりかねません。
そんなことも考えさせられる番組でした。
鈴木さんは徹底的に「モノ」にこだわる研究者気質で、「できるだけたくさん、できるだけ長期に」物的証拠をとるというタイプです。いろいろなことを調べている中にアライグマの感染症のこともあり、サンプルを専門家に送ってきました。データはもっと古くからとっているはずですが、番組では2011年からのSFTS感染率が紹介されました。低いときからとっていたということが肝心で、この種のデータは調べたら「えらいことになっている、で、その前は?」となり、「データがない」ということが多いのですが、鈴木さんが偉いのは、いずれそういうことになるかもしれないと見通してちゃんとデータをとっていたということです。そのグラフをみるとこの数年で急増し、その時期と死亡事例とがよく対応していました。
よせられた情報をもとに調査をして、それによって全国的な傾向があることがわかったなど、マスメディアのパワーを示した番組でもありました。
実は私はマダニに何度もかまれたことがあります。金華山はシカがたくさんいますからダニもいっぱいいます。山を歩いて野生動物の帰って風呂に入ると、体についているのに気づくことがありました。金華山にはヤマビルもいて、こちらにも刺されます。山を歩いているときは気付かないことが多いのですが、皮膚を切って吸血し、止血を阻害する酵素を出すので、出血がとまらずビクッとします。ダニはかまれてもほとんど気づきません。当時は病気をもっていなかったのだろうと思いますが、いま思うと怖いことです。
番組にはたくさんの意見がよせられ、子供を公園で遊ばせても大丈夫かなどの母親の声もありました。このことはちょっと深刻かなと思いました。
深刻だというのはダニが増えて街にまで済むようになったという事実そのものだたいへんだということでもありますが、もう少し違うことです。私は動植物や自然が好きで、だから自然と人間が共生することだたいせつだと考え、発言もしてきました。私のような者は少数派ですから、大多数の人からは「自然を相手にする道楽者」とみられるわけです。それほどキツい表現はされたことはありませんが、「けっこうな身分ですな」という感じでみている人はふつうにいます。でもそれは「自分はそうはしないが、悪いことをしている奴でもない」と思われているという感覚があります。「あんたのいうことは、まちがってはいない。いずれ日本の社会も理解してくれるだろう」という感じでしょうか。
しかし、こういうことがあると風向きが変わる可能性があります。「野生動植物を大事にするあいつら」が「守れ、守れ」などというから野生動物が増えて、その結果、ダニまで増えて人に危険になっている。「あんな迷惑な生き物なんか撲滅すればいいんだ。それを、ダニを増やす野生動物を守れなどととんでもないことを言う奴だ」ということになりかねません。
そんなことも考えさせられる番組でした。