自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

おてんとうさま

2014年08月31日 | がんこおやじ
このところ、いやなことが続けてあった。
 しばらく前だが、ある日のニュースで原発再稼働の話があり、何を考えているのだと不愉快に思っていた直後、政府がカジノを作ろうとしていると報じたので、がんこおやじは頭に来た。阿部首相というのは、一体何を考えているのだ。おそらく背後にブレーンがいて、お金が動くことが国が豊かなことだと教えるのだろう、原発を海外に売ることでも、カジノで人生破壊者が生まれることでも、ともかく金が動けば「豊かに」なると教えられ、そのように思い込んでいるのだろう。こういう人間が国のリーダーであることの悲しさよ。
 広島の土砂災害は衝撃的なものだった。私は大きな要因は、あの地形の場所を宅地にした行政責任と、それを可能にした不動産業の動きにあったと思うが、ともかく大きな悲劇が起きた。被災者は「限界だ」といっていた。そうであろうと思う。だが、私は同時に思う。福島にはこの限界生活を3年も強いられている人が数万人あるいはそれ以上もいるということを。また今回数十人の命が失われたが、福島では今年だけでもそれに匹敵する人が自殺したということを。
 そのことについて、妻を亡くした人が裁判を起こし、勝訴したことは溜飲を下げるものがあったが、その裁判に関する東電の言い分に、その奥さんに対する記述があり、その自殺は「個体の脆弱さによる」とあったという。その文章の前には「多くの人が耐えているのに」という意味の記述もあった。要するに自分たちが多数の人の人生を破壊しておきながら、それを他人ごとのようにとらえ、そういう人は耐えるのが当然なのに、その女性は「個体の」脆弱さによって勝手に死んだというのだ。これほどひどい言い草があるだろうか。
 こうしたことを思うにつけ、私は「おてんとうさま」ということばを思う。私たちが子供のころ、お年寄りはよく「おてんとうさまが見ているから」と言ったものだ。人をごまかしてもおてんとうさまはだまされないよ、ということだ。裁判などは人が作った規則に則して勝敗をつけることで、犯罪を裁くものである。だが、私たちはそういうレベルではない、もう少し程度のよい基準で生きている。「ちょっとよくないけど、誰でもしていることだから、ま、いいか、いや、まずいかもも」という迷いは法律的には問題はないが、「おてんとうさま」が許してくれなさそうなことだと控える。でも、規則に抵触しなくても、人は目をつぶってくれることでも「おてんとうさま」が許さないこともある。
 私は確信がある。東電のしていることは「おてんとうさま」は決して許さないと。
 そのことでいえば、もうひとつあった。昨日のニュースで盲導犬が何者かに刃物で傷付けられたという。盲導犬は啼かないように訓練されているから、痛さを耐えてだまっていたのだと。そのニュースを聞いて、私はあやうく涙が出そうになった。このところ、歳のせいで涙腺がゆるんでしまったが、このときは悲しみによる涙が、怒りによって抑制されたような感覚だった。
 東電は「個体の脆弱さ」という表現をしたが、盲導犬の傷害は「器物損壊」の疑いだという。どう考えても言葉使いや法律の適用が違うだろう。器物損壊とは何事か。目の不自由な人のためにいっしょうけんめい働いている犬にやさしくすべきところを、あろうことか傷つけた馬鹿者を罰するということだろう。その盲導犬を「器物」、傷つけたことを「損壊」とは何を考えているのだ。こういうことは「おてんとうさま」に裁いてもらわないことには、とても腑に落ちない。がんこおやじの感覚には納得できないことが多すぎる。

 おてんとうさま、やさしいのはありがたいですが、ときどきはビシッと叱ってやってください。
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地下水

2014年08月31日 | 研究など research
今年のモンゴルではとてもよい体験をしました。地下水の専門家が同行してくれたのです。オルホンという川の近くですから、ほかの場所よりぐっと緑が豊富です。地下水が地表近くまで来ているに違いありません。私たちは「違いない」と思いながらも、そこまでどまりです。ところが、今回専門家がいろいろ機器を持参し、ある人は50メートルくらいのベルトをとって一定間隔で電極をさして、それによって地下水の状態を知り、現場でパソコン上にみごとな図を見せてくれました。その結果は植物の生え方とよい対応を示していました。すごいものです。
 でも私が最も感動したのは、そういう視覚的なものよりも、聴覚的なものでした。くわしい説明は聞いたのによく理解していませんが、ようするに地中の微細な音をとらえて、耳で聞けるように雑音を除いたり、必要な音を強調したりして、聞きやすくすることができるようです。メカニズムはともかく、ヘッドホンを耳にすると、「チョロチョロ」と春の小川を思わせるすてきな音が聞こえてきました。モンゴルのような乾燥地でも地下深いところにで、水が動いているのを耳で聞くというのはすばらしい体験でした。説明を聞くと、水が岩のあいだを複雑な列を作って流れているとか、一本の太い水として流れているとか、とても興味深いものでした。


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群落調査

2014年08月30日 | 研究など research
日本でもいつもしていることですが、群落をこうして調べます。この写真のときは調査面積をひろげると、出現する植物の種数がどれくらい増えるかを調べ、それぞれの種が被う面積と高さを記述する調査をしました。日本とは勝手が違い、芝生のような草丈の低い場所で、植物もあまり多くはありません。見落とさないように「舐める」ように調べます。けっこう集中力を要します。筑波大学の院生が記録を引き受けてくれたので、楽でした。ひとつが終わると、まわりの景色を眺めます。日本だと蚊に刺されるとか、汗が流れ落ちるとか、膝が濡れるとかありますが、モンゴルではそういうことはありません。カラッとしていて爽快です。ただし、日差しの強さと喉の乾きがあります。とくに日差しは強く、野帳をみたあと、目が少しくらむような感じがありますし、デジカメのモニタースクリーンが光って何が写っているか見えません。よほど強い光が射しているものと思われます。

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丘の雲

2014年08月29日 | モンゴル自然
モンゴルでは最もありふれた景色で、写真にとるほどもないというか、なんということにない景色です。でも日本に帰ってからみると、空がいかに青いか、雲がいかに白いか、丘がいかに遠くまでくっきりと見えるか、しみじみ感じます。そう、当たり前の中に見るべきものを見いだすのは、そのことの意味をとらえるセンサーが必要です。そういうセンサーを鍛えたいと思います。

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ウマと雲

2014年08月28日 | モンゴル自然
モゴッドはほかの場所よりもウマが多いようです。あちこちでウマをみかけます。ウマはとにかく姿が美しいので、ついついカメラに手が行きます。背後のカナトコ雲が印象的でした。

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2014年08月27日 | 研究など research
家畜が草を食べて、その結果群落が影響を受けているのはあきらかです。でも、そのことを実証するのには柵がいちばんです。私はこれまでにもそうしてシカの影響を調べてきました。ですから、モンゴルでもこれを実行してみました。今年の春に協力してもらって柵を8基設置しました。そして柵の内外の植物を調べたのです。


柵のひとつ


筑波大学の院生が参加してくれ、記録を手伝ってくれました。とても気持ちのよい学生さんでした。


調査がおわって記念撮影をとりました。
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夕日

2014年08月26日 | モンゴル自然
日の当たる丘の反対側を振り向くと、太陽が遠い山並みに沈んで行きます。雲がある日はその雲に日があたり、あるいは雲に影ができて、さまざまな色合いを見せます。

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陰影

2014年08月25日 | モンゴル自然
モンゴルの大半の場所では森林がありませんから、地形がそのまま見えます。おそらく地形の好きな人にはたまらないと思います。真っ平らで地平線が見える場所も少なくありませんが、ここは丘が続きます。その丘が風食や浸食によって土砂が移動させられ、低いところに堆積しているのが手に取るようにわかります。そうなのですが、その立体が、夕方になって横から夕日がさすと、日野当たる面と逆に影ができる面が生まれて立体感がいっそうはっきりと浮き立ちます。涼しくなった草原でゆっくりした時間をとって丘をながめるのもなかなかいいもので、贅沢な時間です。

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走る

2014年08月24日 | モンゴル自然
ヤギとヒツジの群れは牧民が管理しますが、ウシは勝手にでかけていって、夕方になるとのんびりとしたようすで戻って来ます。子牛はゲルの近くにおいてあるので、子牛にミルクをあげるためのようです。ウマも勝手に出かけてって、丘の上などにいますが、川辺などにいるアブなどを嫌うかららしいです。ときどき水を飲みに川に来りしますが、そのとき、列をなしてジョギングみたいに走って来ます。数キロを走ってもまったく息を乱しません。ほんとうに走るために生まれて来たような動物です。そしてどの瞬間も美しいです。

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馬群

2014年08月23日 | モンゴル自然
モゴッドはアイラグ(馬乳酒)がおいしいので有名なのだそうです。私はアルコールがいけないのでうまさはよくわかりませんが、アルコール度は低いので、お酒という感じはしません。モンゴルでは子供でも飲んでいます。少しいただくと、なんとなく軽い酔いがあって、よい気持ちで作業ができました。でもそれは丼半分くらい。モンゴルの人は何杯もゴクゴクと飲みます。お世話になった牧民のボロさんは夏のあいだは食事はしないで、アイラグしか飲まないそうです。もちろん家畜を扱うしごとをちゃんとしていますから、酔っぱらっているわけではありません。おそらく私たちとは違う消化能力をもっていてアイラグというバランスのよい総合食品をとっているのだと思います。
 そのボロさんの持ち馬が草原で草を食んでいる写真です。


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