自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

バターの連想

2008年04月30日 | 植物 plants
谷津田はいずれ耕起されてイネが植えられますが、それまでのしばしのあいだ野草が生えます。また減反によって放置されるようになった田んぼは湿った場所を好む野草のよい生育地になり、放置の時間によって違う群落になって、それによってさらに多様な群落が出現します。
 そういう田んぼにキツネノボタンがありました。この仲間は鮮やかな黄色い花を咲かせます。まだ花びらがあるときからめしべの子房が発達して緑色の果実ができます。それが金平糖みたいです。
 ところでこの黄色の花びらはてらてらとした艶があります。ヨーロッパ人はこれを見てバターの艶を連想するらしく、buttercupといいます。そういえば蝶もbutterflyで、キチョウのことだと思いますが、あれをみて「バターのような飛ぶもの」と連想するのですかね。乳製品が日常に深く入り込んでいることを想わせます。
 大学生になって生物学の講義を聴けるようになったのがうれしかった頃、植物分類学の先生がこの仲間をRanunculusといい、最初のRanunはRanaつまりカエルのことで、カエルのいるような湿地に生えるからだとおっしゃったことを覚えています。



キツネノボタン 2008.4.27 町田市小野路
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谷津田の新緑

2008年04月29日 | 町田里山
谷津田の一番奥まったところはU字型になります。斜面から降りてくる物質も一番豊富なのだと思います。昔の人はこういうところに神様のエネルギーがあると信じていたと思います。
 早春の淡い緑と田んぼの濃い鮮やかな緑が対比的で、緑という色の多様性を感じます。実際、斜面と沖積地はさまざまに異質な空間であり、それが接するインターフェースが谷津田ということなのでしょう。里山はそういうインターフェースをたくさん擁する空間です。



谷津田のどんづまり 2008.4.15 町田市小野路
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谷津田

2008年04月28日 | 町田里山
尾根を降りると谷津田があります。両側を尾根に挟まれた、狭い田んぼが続きます。雨が降れば水が、そして土やさまざまな栄養物質が流れ込んで来ます。こういうところで出来る米はおいしいのではないかと思います。田んぼには水があってオタマジャクシがおり、カエルの卵もたくさんありました。畦道をあるいていたらキアゲハやスジグロシロチョウが飛んでいました。「ああ、こういうことを生物多様性の豊かさというのだな」と思いました。
 ところで畦道といいましたが、地元の方におもしろいことを聞きました。道路のヒエラルキーです。農道というのはいわば公道で、だれでも大手を振ってあるける道ですが、そこからの支道である畦になると関係者しか歩けないのだそうです。不幸があると、二人連れで報告するのだそうですが、そのとき農道から畦におりるくらいのところに二人が現れると、田んぼ仕事をしていた人はそれを察して、自分から農道のほうに行くのだそうです。ただ、近道などに使うのはかまわないのだそうですが、畦のさらに枝道である「クロ」は田んぼの持ち主しか歩けないのだそうです。それは土足で茶の間に上がるような、たいへんに無礼なことなのだそうです。
 私たちには大小の「道」の区別がつきません。きっと土足侵入をする失礼をしているのだと思います。学生に「いいこと悪いことを考えて行動しなさい」ということがありますが、そのまま自分に言われたようでした。



谷津田 2008.4.15 町田市小野路
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尾根道

2008年04月27日 | 自然 nature
町田の里山は丘陵地なので、尾根と沢が複雑に入り組んでいます。尾根には林が残り、沢は谷戸と呼ばれ、そこに田んぼがあります。谷津田と呼ばれます。尾根は乾いた感じで、あまり起伏のない尾根を歩くのは愉しいものです。新緑が少し濃くなった4月の中旬、緑のフィルターを通り抜けてきた光のなかを歩いていると、思わず鼻歌が出てきます。



尾根の緑 2008.4.15 町田市小野路
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チゴユリ2

2008年04月26日 | 植物 plants
チゴユリに近づいて観察するのもいいものですが、生態学としてはどのようなところに生えるか、個体ではなく群落としてどう生えているかも気になります。チゴユリは直射日光の当たるところにはありません。コナラなどの落葉樹の下の、薄緑色のやさしい光が射しおりるようなところに生えます。ある程度まとまって生えることが多く、それは地下でつながっているからです。毎年新しい葉が芽生えるので、新鮮な緑色のかたまりができます。花は下を向いて咲き、ハナバチが訪問してぶら下がります。立ったまま見下しても花は見えません。でも人の目を楽しませるために咲いているのではなく、ハナバチに来てもらうために柵のですから当然のことです。地上20cm くらいに展開されている世界があるのでしょう。



チゴユリ群落 2008.4.15 町田市小野路
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チゴユリ1

2008年04月26日 | 植物 plants
私が植物を覚えたのは仙台で、図鑑の調べ方や、どういう地形のところに何が生えているかといったことを先輩や周囲の友人から学びました。あの花はいつ頃咲くというのも仙台でインプットされたので、東京にくるとどうもずれている気がします。
 チゴユリはゴールデンウィークの花です。それに東京ではあまり見ることもないので、ちょっと忘れた感じになっています。そのチゴユリに出会うとなつかしい感じがして、「あれ?4月中旬なのにもう咲いているのか」と思ってしまいます。ここでは昔から4月中旬に咲いていたはずなのに。
 改めて見るチゴユリの清楚な美しさには息をのむようです。花も葉もよけいなデコレーションは一切なく、直線的で、すがすがしいです。こういう連想は自然を愛するものとしてはよろしくないと思いますが、最近の若い女性(ああ、この表現は歳をとったなによりの証拠だ)の厚化粧や過度に装飾的な服装は、私にはまったく好印象を与えてくれません。女性の美を論じるガラでも年齢でもありませんが、チゴユリのような娘さんがいてもいいんでないのと思ったりします。絶滅危惧種を保全するのはむずかしいことですが。



チゴユリ 2008.4.15 町田市図師
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ナナホシテントウ

2008年04月25日 | 動物 animals
オオムラサキの幼虫をみつけたエノキにナナホシテントウがいました。忙しそうに木を登っていきました。写真に撮ろうとすると意外に動きがすばやく、ピントをあわせるのが難しかったです。それにしても、このシンプルな形と、色のデザイン。赤と黒と、小さな白。それに艶やかな光沢。子供が好きなのがよくわかります。



ナナホシテントウ 2008.4.15 町田市小野路
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オオムラサキ

2008年04月24日 | 町田里山
ときどきでかける町田の里山にいったときのことです。谷津田があったので、尾根道からおりてみました。するとそこにエノキの木がありました。エノキはテングチョウやゴマダラチョウが食樹にする木で、そのほかにもいろいろな昆虫がいるので、きっとおいしいのだと思います。なかでもオオムラサキは日本を代表するみごとな蝶です。オオムラサキとゴマダラチョウはちょっとかわっていて、幼虫で冬越しをします。去年の秋に葉から枝をつたい、幹をおりて、木の根本の枯葉の裏にくっついて冬を越すのです。子供のころ、ゴマダラチョウの幼虫をさがしたことがあります。いっしょにいった学生に「こういうところにゴマダラチョウの幼虫がいることがあるんだ。もしかしたらオオムラサキだっているかもしれない」と「そそのかし」たら、葉っぱをひっくり返し始めました。するとひとりの学生が「これすか?」と、エノキではなく、ホオノキの枯葉をとりあげました。「違うよ、葉ならなんでもいいわけではなくて、エノキの葉を見ろよ」といいかけたとき、なんとホオノキの葉に確かに幼虫がいます。背中にある突起が3対ならゴマダラチョウ、4対ならオオムラサキです。なんとその幼虫は4対ではありませんか。「東京に残された緑地にオオムラサキが生き残っていた!」と私は大興奮。ほかの学生も見つけて10分ほどのあいだに5,6匹を確認しました。私たちはよろこんで、それから幼虫をもとの場所にもどしました。
 「あそこにオオムラサキがいるのだ」と思ってその場所のことを想うと、それまでとは違う感じがします。夏が近づけば幼虫は幹を登って枝先に達し、葉を食べて緑色に変色します。そしてエノキの葉そっくりの蛹になって7月くらいには成虫になってはばたくはずです。それを見るのが楽しみです。幼虫を見つけた日は小雨だったので、翌々日、再訪して撮影しました。エノキのようすも見事なものでした。

 

オオムラサキの幼虫とエノキ 2008.4.15 町田市小野路
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春の花 フサザクラ

2008年04月23日 | 植物 plants
(3月28日の八王子)

 道路が沢を渡るとき、ほかの木とようすが違う木がありました。停まってみるとフサザクラの花でした。ちょっと風変わりな木です。花といっても花びらはなく、しべだけです。赤くみえるのはおしべのヤクで、めしべは付け根の小さいものです。ま、サクラというのは誤解も招く、あまりよいネーミングではないような気がします。花が咲くときは葉はまったくありません。葉の形も特異で印象的です。地下部を横に伸びる枝のようなものを伸ばして増えます。ほかの植物がなかなか生えられない土砂崩れの多いような場所に生えています。



フサザクラの花 2008.3.28 八王子市恩方
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春の花 ヒメウズ

2008年04月22日 | 植物 plants
(しばらく中断していた3月28日の八王子です)

ヒメウズもありました。植物体がわりあい大きい割には花が小さいのでうっかりすると見過ごしてしまいます。花は4、5mmのミニミニではありますが、よーくみると確かにキンポウゲ科の花です。



ヒメウズ 2008.3.28 八王子市恩方
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