自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

9月の乙女高原1 キアゲハ

2013年10月31日 | ゾウ孤児支援
東大牧場の実習の報告を終わりました。

9月12日にまた乙女高原に行きました。標高が1700mあるので、平地よりは秋が早く来ます。これが夏の最後という感じでした。ノハラアザミにキアゲハが来ていましたが、翅がかなりいたんでいました。



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読後感想1

2013年10月30日 | 読後感想
「動物を守りたい君へ」を読んでの感想を頂戴しました。ご本人の了解を得て、紹介したいと思います。

高槻 先生

昨日、岩波ジュニア新書『動物を守りたい君へ』を拝受しました。ありがとうございます。

一読後、高槻先生の子どもに向けた語り口は、とてもやさしく感じました。わたしの家の娘が、ちょうど、今、中学3年生で、将来の事をあれこれ悩んでいるようです。ちょうど娘に語り書けるようで、読んでいて、暖かくなりました。

わたしは、この本を読んでいて、特にペットや家畜のところでは、アフリカの猟師マルセルのことを思い出しました。マルセルは猟の獲物も、生きた家畜も等しく<ニャマ>と呼んでいました。アイヌや琉球の猟師は、食肉と生きた家畜は区別したのでしょうか? 実は、わたしも、アフリカの村人の見方に習ってニワトリを「冷蔵庫の要らない生きた鶏肉」と呼んで(まさか、原稿に書いたのではありません)、ある編集者さんから呆れられたことがありました。しかし、「呆れるほど奇妙なものの見方」と言うより、アフリカと日本の価値観の差のように思っています。それには経済力もあるのでしょうが、根本的な人間観や自然観の差があるのではないかと疑っています。

チンパンジーの認識は、ヒトとは違います。その事を言い換えれば、チンパンジーとヒトで、「住んでいる世界が違う」と言うことになります。いちばん大きな違いは、たぶん象徴性を持つか持たないかということです。ヒトには象徴性があるから<ことば>があり、記憶がある。しかし、チンパンジーには、少なくともヒトのような象徴性がみられません。

わたしたちは保全という考え方が世界の共通認識のように「誤解」しているのですが、実はヨーロッパの考え方のような気がします。「ヨーロッパの考え方」とは、キリスト教的な世界観ということになるのでしょうか。猟師マルセルにとって、我われが野生動物や食肉やペットと区別して認識するものも、全て<ニャマ>です。そのかわり、我われには見分けの付かない火に、いくつもの種類があるのだと言います。その内のある火は、いのちある野生動物を肉に変える火です。火を起こせるか、起こせないかは、一人前のおとなとして、プライドが懸かっているのかもしれません。

などと、愚にもつかない事を考えながら、読んでいました。いつかまた、わたしからも贈れるように、がんばって書きます。ありがとうございました。
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これを寄せてくださったのは三谷 雅純さんで、チンパンジーの研究者です。感想はさまざまですが、その人にしか書けない感想をもらうとほんとうにうれしいものです。自分の書いた文章が読んだ人をある世界に引きずり込んで、そこに思考や想像を産み出すとしたら、なんとすばらしいことでしょう。三谷さん、ありがとうございました。
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牧場実習6 雲

2013年10月30日 | 研究など research
引率を終え、学生を残して帰ることになりました。常磐線というのはめったに乗ることがありません。途中で乗り換えがありましたが、たぶん15分かそのくらい待つことになりました。その駅のホームで待っていると、入道雲が目に入りました。今年の夏は格別暑くてたいへんでしたが、この日も暑かったものの、どこかさわやかさがあり、カラッとしていて吹く風が心地よく感じられました。とても静かでのんびりした、日常では忘れていたような時間でした。



5分ほど経ったらもう雲の形が変わっていました。
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牧場実習5 草や虫

2013年10月29日 | 研究など research
いつでもどこでも花や虫に目を光らせている私は実習のあいまにもきょろきょろしていました。


ヘクソカズラは空き地などにどこにでもあるつる植物です。くさい匂いがするのでヘクソとひどい名前がつけられていますが、花をみるとなかなかきれいです。確かによい匂いとはいえませんが、草刈りをしたらたいていこの匂いがするので、皆知っているはずです。意識はしていなくても、雑草の中をあるくとこの匂いを体験しているはずで、ある種のなつかしさもあるはずです。


ガガイモが咲いていました。珍しいというほどではないですが、ヘクソカズラのようにはありません。葉がスペード型をしています。実はこの葉をシカが食べないので、シカが増えたところでは、増える傾向があります。これはアサギマダラという蝶の食草なので、この蝶が増えている可能性もあります。


テントウムシ:たぶんナナホシテントウというのだと思います。


ベニシジミ:以前ほど見なくなりました。目立ちませんが、この配色はなかなかのものだと思います。

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牧場実習4 ウシ

2013年10月28日 | 研究など research


 ウシはミルク用のホルスタインで実習として手でしぼらせてもらっていましたが、実際は機械で搾乳します。ホルスタインの大きさは印象的です。ミルクを絞られるのを見ていたら、肛門が開いてうんちがどっと出て来ました。品種改良されて性質もおとなしく、警戒心をなくしたのでしょうが、搾乳中に排泄をするというのはすごいと思いました。以前、岩手でシカの調査をしていたとき、ある農家で獣医さんが胎児の育ちを知るために、肛門に腕を入れ、肘くらいまで入れるのを見て私は驚きましたが、そのとき、そのウシは平気で草を食べていました。そのときにも同じ感覚を覚えました。家畜というのはある意味、無感覚にさせられているところまで、徹底的な品種改良をされたのだなあと。
 東大牧場の先生に意外なことを聞きました。まったく意外なことではなく、ひょうっとしたらと思って担当の先生に「3.11の影響はあったんですか?」と聞いたところ、あったかどころではなく、牧場内の広い採草地の牧草が放射能汚染されたそうです。1年後は新しい植物が出て来たので、問題はないそうですが、一定期間はその牧場の牧草は家畜に食べさせてはいけないと決まっているということで、そうなると自給していた牧草を購入しないといけないので、経営的にたいへんなのだそうです。
 あとでNHKブックスで「汚染土壌」という本が出て、この牧場で非常に精力的に放射能汚染と家畜のことが調べられていたことを知りました。
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牧場実習3 ウマ

2013年10月27日 | 研究など research
家畜でも牛馬となると大きく、危険もあるので、指導する側も緊張感があります。もちろん学生にとっては初めてのことだし、実際に間近で見るとその大きさに圧倒されるようでした。


この学生は乗馬をしているということで、慣れたようすでウマを移動させていましたが、ふつうはもっとびびっています。

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牧場実習2 ヤギなど

2013年10月26日 | 研究など research
学生はヤギ、ウシ、ウマなどの家畜や牧草のことなどを教えてもらう体験もします。たまたま生まれてまもないヤギの子がいて、学生から歓声があがっていました。そのあとで作業用の車を運転させてもらっていました。



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牧場実習1

2013年10月25日 | 研究など research
予想外に長くなりましたが、乙女高原の植物の話を終わりました。9月2日には学生の実習の引率で茨城県にある東大の牧場に行きました。とても広くてよい施設でした。以前一度来たことがあるはずなのですが、記憶がつながりませんでした。驚いたのは、私が以前勤務していた東大の博物館の事務をしていたかたが、当時北海道富良野の演習林に転勤になったのは知っていたのですが、その人がここに異動になっていたことです。「やあ、やあ、世の中狭いですね」と再開をよろこびました。
 さて、この牧場は大学の研究教育のための施設ですから、普通の牧場とはいろいろ違います。先生からていねいな説明がありました。


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乙女高原とモンゴル11 秋の七草

2013年10月24日 | 乙女高原
 茅場は農民の生活に不可欠だから管理されてきた、つまり食うがための営みの産物ではあるわけですが、私が世界に誇れると思うのは、我々の先祖がこの茅場に生える植物を愛でる習慣を確立したということです。もちろん暮らしに余裕があり、知的な訓練を受けた貴族が風雅な趣味として花を愛でるというのは世界のどこにでもあったでしょう。しかし農民がきびしい労働の中にありながらも野草に関心を示したということ、それもススキという、あでやかさとは無縁な風媒花に美を見出したというのはほんとうに類い稀なことだと思います。
 秋の七草はススキ、ハギ、ナデシコ、オミナエシ、キキョウ、フジバカマ、クズですが、このブログのシリーズで出て来たものの多くがノミネートされます。つまり秋の七草は茅場の植物だということです。おそらく平城京の茅場に咲いていたのだと思います。たしか、若狭湾から京都を経て奈良まで、のろしで一瞬に情報を伝えるために、要所要所に林を伐って茅場を作っていたというのを読んだことがあります。
 乙女高原にはキキョウはありませんが、紫色のきれいな花としてリンドウがあります。フジバカマとヨツバヒヨドリはいとこみたいなものです。クズは乙女高原の草原にはないようですが、もちろんまわりの里山的なところにいくらでもあります。だから乙女高原で「準秋の七草」を選ぶことはできます。
 ただ私に乙女高原の秋の七草を選べといわれれば、ススキ、リンドウ、ハンゴンソウ、カワラナデシコ、オミナエシ、タムラソウ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、あれ?8つになってしまった。ウーム、ひとつを落とすとすると、ハンゴンソウですかね。私はどうしても小さめの植物をえこひいきしてしまいます。でもワレモコウは大きいけどはずせない。ほかに似た植物がなくそのユニークさがなんともいえません。
 選者高槻による七草は、色でいえば、暖色から紅(タムラソウ)、ピンク(カワラナデシコ)、えんじ(ワレモコウ)、黄色(オミナエシ)、茶色(ススキ、これは穂の銀色とすべきか)、淡紫色(ツリガネニンジン)、青(リンドウ)とよく散らばっています。形もススキの長いカーブから、オミナエシの散型花序、ワレコウの粒粒とこれまた多様です。これらを数本ずつとってきて花束にしたらすばらしい配色になるはずです。



私の選んだ乙女高原の秋の七草
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乙女高原とモンゴル10 草原であるということ

2013年10月23日 | 乙女高原
という訳で、乙女高原とモンゴル草原には驚くほどよく似た植物があります。そのほとんどは日当りのよい草原に生えていますから、日本では森林がないところに生えているということになります。代表的なのが茅場とよばれるススキ群落で、これは森林を伐採したあと、一年に一度か二度刈り取りをすることで維持されてきました。難しくいえば植生遷移を阻止することで維持されるということになりますが、要するに木が生えてきたら、大きくならないように刈り取ることを続けるということです。そうすると日当りのよいところに生える植物が暮らせるというわけです。もちろんその代表がススキで、ススキのことを茅といいますから茅場(萱場とも書く)と呼ばれました。茅場は里山には必ずあって、茅は茅葺き屋根を葺くにも使ったし、家畜の餌になりました。


茅場 長野県小海町にて
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