自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

ハクウンボク

2007年10月31日 | 植物 plants
小平霊園にはハクウンボクがけっこうあります。先日散歩をしていて果実がぶら下がっているのをみつけました。果皮が乾燥して、中のチョコレート色の種子が顔をのぞかせていました。

2007.10.14 東京都小平市
 ハクウンボクはエゴノキの仲間で季節になると純白の花をたわわにつけます。ひとつひとつの花はエゴノキと似ていますが、花序が列になり見事なものです。ただし葉は大いに違い、大きな円形です。花に比べると果実は目立ちません。果皮は緑色だからです。
 仙台にいたとき、先輩に「ハクウンボクは小枝が妙に皮がむけるのが特徴なんだ」と教わり、この木を見るたびに枝を見ます。肝心のことをよく忘れるのに、これは覚えています。それにしてもハクウウンボクは「白雲木」だと知ったときは、あまりの詩的な表現にアセりました。White- cloud treeといってもピンと来なさそうな気がします。

2006.5.3 東京都小平市
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ヤマボウシ

2007年10月30日 | 植物 plants
ヤマボウシはミズキの仲間。属も同じで、葉脈が葉の縁に近づくと縁にそうように「流れる」ところも似ている。でもミズキやクマノミズキの花が散房状(一カ所から広がるように房になる)で、その果実がひとつひとつ小さいブドウのようなベリーになるのに、ヤマボウシはなんといっても4枚の純白な4枚の総苞が印象的。それらが花の集まりを支えており、花もぎゅっと塊まって球になるので、まるで印象が違います。そして果実は花があつまって大きな赤い球になり、種子はそのなかに埋もれるようにあります。これも鳥が食べるのでしょうが、落ちた者を哺乳類が食べることもありそうです。写真を撮ったのは9月26日でしたが、10月26日に見たらなくなっていました。

2007.9.26 東京都町田市小山田
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モンゴル自然授業 Nature lesson in Mongolia

2007年10月29日 | 研究など research
ことしの7月、モンゴルでアジアの中高生に自然の授業をするという経験をしました。私たちはモンゴルのフスタイ国立公園でいくつかの調査を進めていますが、そのうちのひとつでタルバガン(シベリアマーモット)が群落におよぼす影響を調べています。小さな動物が自然を大きく変化させることを知る好例です。タルバガンは地形を変化させるのですが、そのことが植物を変化させ、変化した植物が訪花昆虫を変化させるという、生き物のつながりを示すのにとてもよい事例です。

2006.6 フスタイ国立公園
この野外授業は8月にNHK総合で放映されましたが、今日の夕方、NHK教育で編集しなおして、私もちらっと出ました。私にとってもよい経験でしたが、十代でああいう経験をした子供たちは本当にしあわせだと思いました。なつかしく思い出しました。

2007.7 フスタイ国立公園

I had an nice experience to have a nature lesson in Mongolia where teenagers from more than ten Asian countries joined as a TV program. The theme was to study desertification caused by overgrazing. I participated and shared to interpret how marmot contribute to promote biodiversity by burrowing uniform grasslands. It was my pleasure to tell these young boys and girls how such small animals function and share great roles in nature. I was impressed by their fluent English, and felt border of countries is weak for them.
コメント (1)
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タンキリマメ

2007年10月29日 | 植物 plants
町田里山の田んぼの脇を歩いていて、緑の中に赤い実があるのに気付きました。でもベリーとは違う感じでした。近づくとタンキリマメでした。赤いさやの中に黒光りする豆が入っていました。図鑑でしか知らないものでした。豆のさやでこういうカラフルなものはあまりないような気がして、拾いものをしたような気分でした。

2007.10.12 東京都町田市図師
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コブシ

2007年10月28日 | 植物 plants
コブシはかわった実をつけます。「集合果」とよばれる細長いかたまりに朱色の種子が胚っており、熟すと顔をのぞかせます。それを指で取り出すと白い糸を引いてでてきます。種子が目立つことは確かだから、鳥に食べてもらうのでしょうが、それなら別に離れやすくてもいいのだから、糸はいらないと思うのですが、これにも何か意味があるのかもしれません。
 コブシというと中国からの留学生だった姜(ジャン)さんが、山道で「あ、コブシだ」というと、必ず大きなこえで「シラカバー、青空~♪」と大きな声で「北国の春」を歌うのを思い出します。中国でも大人気の歌で、カラオケの字幕に「父親類似的兄」(不正確)とか漢字が出てきて、「ああ、これは兄貴も親父に似てのところだな」なんて思ったものです。

2007.10.14 東京都小平市
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ごちゃごちゃさ

2007年10月27日 | 植物 plants
赤い実や青い実や、ひとつの「実」が2色だったりとさまざまですが、ひとつの種の果実はそろいの色をしています。その中でノブドウは水色や紫などいろいろな色が混じっていて、楽しい感じです。子供のままごとの常連ですね。
 私たちがこどもの頃、「ドロップ」といって、いろいろな色のキャンディーが缶に入っていました。あの缶の小さなふたをあけて缶を振ると、キャンディーが出てくるのですが、どういうのが出てくるか楽しみでした。赤いイチゴのようなのは平凡で、白いハッカ味が「高級」な感じがしていました。
 子供があの「ごちゃごちゃ」感を好きなのは、何か人間の深い心理とつながっているような気がします。私は、狩猟採集の生活をしていたヒトが、野山を歩いていてさまざまな食べ物に出会うことと関係しているのではないかと思っています。藪かげに赤い実があり、それをとってもどる道で、アケビをみつけたとか、ハチの巣は岩陰にあるから探しに行ってみてみごとに見つけた、といった経験は、多様な出会いによろこびを見いだすことにつながったと思います。それに、パンダやアリクイのように一定の食べ物だけでなく、あれこれ食べるという雑食性にも関係しています。
 専門店は便利ですが、スーパーやコンビニのほうがあれこれあって人気があります。バザールのごちゃごちゃさの魅力は大きく、いくら世の中が便利になっても消滅しないと思います。
 ノブドウから妄想が広がりました。
 2007.10.12 東京都小平市
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ジツはミが

2007年10月26日 | 研究など research
きのうのミヤマガマズミの実についての文章ですが、ジツとミを読みにくかった人があるはずです。それで思い出したことがあります。しばらく前に書いた種子散布の原稿のことです。まずは(かなり色をつけて)実例を:
野外調査の「結果」、ベリーと呼ばれる「果実」の鮮やかな色は、「実」は鳥に対するディスプレーだということがあきらかにされ、その「成果」によって動植物の理解が進んだことは生物学の大きな「結実」であった。
 私たちは「結果」とか「成果」、「結実」などを果実に関連したこととは意識しないで使っていますが、考えてみると果実がなることなのですね。実(み)は身(み)でもあり、実質、本質ということでしょう。「身になる」とか「名より実をとれ」といいます。結果などのことばができたということは昔の人には植物が身近だったことを示しているように思います。英語でもfruitfullということはありますが、resultに果実が関係しているかどうか。もっとも「由来する」をstemといったり、支店をbranchなどというのはおもしろい。日本語では「根が生える」「根回しをする」「枝葉の問題」なども植物関連ですね。ほかにもありそうです。教えてもらうと喜びます。

今日はアオツヅラフジ
 2007.10.12 東京都町田市図師
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赤い実、ミヤマガマズミ

2007年10月25日 | 植物 plants
秋になってドングリ以外にもいろいろな実がなっています。牡鹿半島でみたミヤマガマズミの赤は実に鮮やかでした。ガマズミの赤はViburnum redといって、イギリスでも鮮やかさでよく知られているそうです。果実酒にすると透明感のあるきれいな液になるようです。ガマズミに比べると一房の実の数が少ないです。対岸の金華山にはガマズミはたくさんあるのに、ミヤマガマズミのほうはありません。理由はわかりません。
2007.10.7 宮城県牡鹿半島
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イヌタデ

2007年10月24日 | 植物 plants
ドングリが続きました。秋の里山は見るもの満載ですが、どこにもあるものの代表のひとつ、イヌタデです。ススキのことを書いたときに、友人がコメントをくれましたが、それに対して私は、世の中には豪華、華麗なものを好むタイプと、質素、素朴、ありふれたものを好むタイプがあるという意味の返事をしました。イヌタデは後者の代表のような植物で、いなかの女の子のままごとの常連でもありました。タデにもそれこそいろいろありますが、豪華でも、繊細でもなく、よく日に焼けた農家の娘といった風情です。 
2007.10.12 東京都町田市図師
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クヌギのフラクタル

2007年10月23日 | 植物 plants
 あまりよくは知らないのですが、フラクタルというものがあるようです。例えば針葉樹を遠くから見ると三角形をしていますが、その枝をとりあげると、それも同じような三角形をしており、それについている小枝も同様です。こういうふうに同じ形がスケールを変えて繰り返し現れるのをフラクタルというようです。明治だか森永だか覚えていませんが、女の子がミルクの缶を持っているのがありましたが、その子が持っている缶に同じ絵があり、その缶の中にまた女の子がいてと、永遠に続くのです。これもフラクタルというのかな?
 針葉樹が三角形を繰り返すのは、そのような枝分かれをする微細な構造があり、それがまとまって小枝になり、小枝がまとまって枝になり、ということを繰り返すからでしょう。
 ドングリのことでクヌギを取り上げましたが、クヌギは枝分かれするとき、音叉のようにU字型に分かれる傾向があります。ナラ類は伐採されても再生して株を作り、これを萌芽といいますが、雑木林はこの萌芽でできています。クヌギの萌芽株はコナラなどが直線的に伸びるのと違い、U字型になる傾向があるように思います。これもフラクタルではないのかなと思います。このU字部分は子供が座るのにちょうどいい感じです。うちの孫(2歳)がクヌギのU字に座ったところを紹介します。
 2007.4.20 東京都、小平霊園
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