佐藤賢一さんが解説をつとめた、NHK-Eテレ「100分de名著」で『モンテ・クリスト伯』を取り上げたのを機会に、登場する人物相関図を作ってみました。すでに何度も読んでいますので、およそのところはささっと出来上がりましたが、実際に図解してみて、その入り組んだ関係に、あらためて目をみはりました。
佐藤賢一さんが注目する、エドモン・ダンテスVSヴィルフォールの複雑な対立や、作家の安部譲司さんが指摘する、「メルセデスの気持ちは書かれていない」ことなど、今回の放送で再確認させられたことも少なくありませんでした。
ところで、メルセデスが従兄弟のフェルナンと結婚してしまうことについて、現代人の感覚で批判はできないのでは、と思います。当時、メルセデスは貧しく不幸な境遇にあり、ダンテスの父親の世話をしながら二年間も待ち続けたことは、最大限に評価して良いのではと思います。
もちろん、ダンテスがアルベールを殺そうとした理由に、自分を裏切り、こともあろうに仇の一人のフェルナンとの間に子供までもうけていることへの怒りがあったことは否定できないでしょう。ですが、少なくともメルセデスは、主要な復讐の相手ではなかったはずです。
むしろ、フェルナンへの復讐ではメルセデスとアルベールの幸福を奪い、ヴィルフォールへの復讐ではエロイーズとエドゥワールなど多くの人の命を奪う結果となりました。復讐にともなう犠牲を、神ならぬ身が引き受けられるのか?復讐の後の生と希望を見出すことができるのか?そういう内面の葛藤が、モンテ・クリスト伯の胸中に生まれるところに、後半のドラマの深まりがあるようです。
実質は四分の三ほどしか観ることはできませんでしたが、NHK-Eテレ「100分de名著」、なかなかおもしろく、楽しむことができました。
この放送の影響でしょうか、当「電網郊外散歩道」を、「モンテ・クリスト伯 結末」などの語で検索する方が激増しました。今はようやく落ち着きましたが、これだけの反響のある名作が、岩波文庫だのみというのは、なんとも残念です。例えば集英社の世界名作全集の松下訳など、なんとか文庫化してもらえないものかと願っています。
佐藤賢一さんが注目する、エドモン・ダンテスVSヴィルフォールの複雑な対立や、作家の安部譲司さんが指摘する、「メルセデスの気持ちは書かれていない」ことなど、今回の放送で再確認させられたことも少なくありませんでした。
ところで、メルセデスが従兄弟のフェルナンと結婚してしまうことについて、現代人の感覚で批判はできないのでは、と思います。当時、メルセデスは貧しく不幸な境遇にあり、ダンテスの父親の世話をしながら二年間も待ち続けたことは、最大限に評価して良いのではと思います。
もちろん、ダンテスがアルベールを殺そうとした理由に、自分を裏切り、こともあろうに仇の一人のフェルナンとの間に子供までもうけていることへの怒りがあったことは否定できないでしょう。ですが、少なくともメルセデスは、主要な復讐の相手ではなかったはずです。
むしろ、フェルナンへの復讐ではメルセデスとアルベールの幸福を奪い、ヴィルフォールへの復讐ではエロイーズとエドゥワールなど多くの人の命を奪う結果となりました。復讐にともなう犠牲を、神ならぬ身が引き受けられるのか?復讐の後の生と希望を見出すことができるのか?そういう内面の葛藤が、モンテ・クリスト伯の胸中に生まれるところに、後半のドラマの深まりがあるようです。
実質は四分の三ほどしか観ることはできませんでしたが、NHK-Eテレ「100分de名著」、なかなかおもしろく、楽しむことができました。
この放送の影響でしょうか、当「電網郊外散歩道」を、「モンテ・クリスト伯 結末」などの語で検索する方が激増しました。今はようやく落ち着きましたが、これだけの反響のある名作が、岩波文庫だのみというのは、なんとも残念です。例えば集英社の世界名作全集の松下訳など、なんとか文庫化してもらえないものかと願っています。
よろしければ、当ブログにまたおいでください(^o^)/
モンテクリスト伯を何度も読んでいる方に出会えたことが嬉しくてコメントいたしました。
幼少の頃のダイジェスト板から始まり、今まで生きてきた間中何度も日本語訳のモンテクリスト伯を読み返していたのですが、最近ではiPadminiを手にしたのを期に英語で読むことにチャレンジしています。英語は趣味で学習中のため拙い語学力を元に挑戦していますが、日本語で読むよりもじっくり物語に向き合えて大変面白いです。そして、フランス語の分からない私には双方の翻訳の些細な齟齬の発見が、またおかしくあります。
Eテレは見逃しましたのでどういったものかは存ぜませんが、パリでの再会後から始まるメルセデスとの互いにもの言わぬ中で通じ合っている強い感情のせめぎ合い、復讐が引き起こす災禍への葛藤、そして葛藤からの赦しが私に取って最たる魅力です。
特に「赦し」の部分が幼い私の心をモンテクリスト伯へと繋ぎ止め、思春期には伯爵の華麗な復讐の手技、緻密さが大変魅力的でした。大人になってみればマクシミリアンとヴァランティーヌの恋模様や怪しげな薬達への興味に移り、読む度に年を経る度に新たな魅力が見出され飽きることがありません。
映画化や舞台化されてはいますが、私が思う面白さはこれらで表現されることが今の所見受けられないので、どう万人に愛されていくかは分かりませんが、少しでも認知度が上がったら同じ楽しみを共有出来る人に巡り会える機会が増えるのではないかと期待しております。
今までの何度か思いついては検索を試みてきましたが、何年かぶりの検索で同じくらいの読書量の方に出会えてつい嬉しくて長文になってしまいました。
お目汚しをお詫びいたします。
当ブログへ来訪される方々も、「モンテクリスト伯 結末」などの検索がきっかけのようで、宝塚で「モンテクリスト伯」を公演している影響もあるのかな、と思っています。
NHK-Eテレ「100分de名著」の『モンテ・クリスト伯』を見た後、実家に集英社の世界文学全集があったのを思い出し、借りてきて先日読み終えました。
現在、入手できる文庫本とは翻訳された方が違ったのですね。
刊行途中で読むのが追いつかなくなったのに全巻購入して大切にしていた母に感謝です。