リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

西洋音楽と信長・秀吉の時代

2024年06月21日 11時14分57秒 | 音楽系

アマゾンで注文していた「文庫版完訳フロイス日本史3」が届きましたので、少し目を通してみました。

第48章に、オルガンティーノ師とロレンソ修道士を多くの武将のいる前に呼びいろいろ話をした場面が出て来ます。「・・・信長は司祭がヨーロッパから日本に来るのにどのような旅をしたかを地球儀によって示すことを希望した。彼はそれを見聞した後、手をたたいて感心し、驚嘆の色を見せ・・・」とあるように信長は宣教師達の国の文化に多大な関心を抱いていたことが分かります。

それと戦乱に明け暮れていたとはいうものの信長が全て出陣していたわけではないみたいで、結構キリスト教文化に触れる機会があったようです。ということは安土のセミナリオで生徒達が演奏している音楽(もちろんルネサンス音楽です)に触れた可能性も出て来ます。ただそのようなことに関する記述はありませんので、ほとんど耳にしていなかった可能性も高いです。少なくとも秀吉の御前演奏のような公式行事ではルネサンス音楽を聴いていないことは確かなようです。

先に紹介しましたように天正少年使節の面々は秀吉の御前演奏を行った(文庫版完訳フロイス日本史4)事実がある他、九州の地でも人々の前で演奏を行っています。

「一行が彼の地からもたらした多数のさまざまな楽器を奏したり歌ったりするのを聞くと、誰しもがひとかたならず喜んで、そうした多数の楽器の協和音と、その間に保たれる相応性とには驚嘆した」(同書11)

同記述から天正少年使節の4人は弾き語りをしたというところまでは確かですが、残念ながらここでも曲目に関する記述はありません。