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『モリー先生との火曜日』

『モリー先生との火曜日』(ミッチ・アルボム著、別宮貞徳訳、NHK出版)を読んだ。

モリー先生とは、著者の大学時代の恩師のこと。難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒されていて寝たきりである。スポーツコラムニストとして仕事中心の生活を送っている著者は、ひょんなことからモリー先生と再会し、毎週火曜日に対話することとなる。

モリー先生の身体は日に日に弱っていくが、精神は衰えない。モリー先生との対話を通して、著者は自分自身の生活や価値観を振り返っていく。会話のテーマは「死、家族、感情、老い、金、愛、結婚、文化、許し」である。

印象に残ったのは、モリー先生の次の言葉。

「多くの人が無意味な人生を抱えて歩き回っている。自分では大事なことのように思ってあれこれ忙しげに立ち働いているけれども、実は半分ねているようなものだ。まちがったものを追いかけているからそうなる。」

「実はね、ミッチ。いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べるんだよ。」

「老化はただの衰弱じゃない。成長なんだ。」

「人に与えることで自分が元気になれるんだよ。」

は、自分のことと同じようにほかの人の立場を気にかけるものなんだ。」

互いに愛せよ。さもなくば滅びあるのみ。」

この本を読みすすめるにつれて、自分がいかに世間の価値観から影響を受けているか、いかに自分自身を見失っているかに気づかされた。
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永守流の再建

日本電産の永守会長の再建手法には定評がある。27件目の企業買収先である日本サーボは、1年前には収益悪化から従業員200人の削減に踏み切る寸前であったのが、買収1年後には過去最高益を更新したという。

業務改革の方法は、まず、清掃&整理整頓を徹底し、ムダを目に見える形にすること。そして、資材費、経費、在庫を徹底的に削減する。永守会長は、毎週現場を視察して問題点を指摘し、すぐに改善させる。膨大な稟議書のすべてに目を通し、1円以上の支出を決済するという。

すごいところは、締め上げるだけでなく、制服を新調し、新規採用を再開し、独身寮の建て替えを決めた、という点。これらは「ムダ」ではない、ということだ。

しかし、1点疑問がある。20社以上も再建しているのだから「何をどうすればムダが省けるか」についてのノウハウは蓄積されているはずで、永守会長が直接出てこなくとも、他の役員でも指導可能ではないか、ということ。それとも、再建ノウハウは、永守会長の暗黙知となっていて他の人にはマネができないのだろうか。

もし他の人と共有できるノウハウがあるのなら、永守会長抜きで再建するところを見てみたい気もした。

出所:日経産業新聞2008.5.26
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カベを毎日破れ

元経団連会長の土光敏夫氏は、若い人達に「カベを毎日破れ」と言っていたそうである。カベを毎日見つけ、それを活力で破ることで人は成長する。

土光氏による、活力の方程式は次のとおり。

活力=知力×(意力+体力+速力)

「知力」とは知識や技術だが、これだけでは活力は生まれない。行動力が必要となる。行動力は「意力(意志・根性・やる気)」「体力」「速力(タイミング)」から成る。これらがすべて揃ったとき、活力が生まれ、カベを破ることができる、という。

言い換えると、活力=能力×(意欲+体力+スピード&タイミング)ということになろうか。

果たして自分は「毎日、カベを破っている」だろうか?そもそも「毎日」というのはやりすぎではないか。せめて「毎週」くらいにしてほしい、と思ってしまった。しかし、土光氏は次のように述べたという「立って動いてみろよ。カベは行動する者にだけ見えるのだ。」

そもそも行動が足りない、ということに気づいた。

出所:日経産業新聞2008.5.29(「朝礼で使える名言」皆木和義)
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自分の気持ちがわかった

昨日行われた経営学原理Ⅰのテーマは「組織の構成要素」と「モチベーション理論」。前者は、コンサルティングの際に使われることの多いコッターのモデルで、組織を「経営陣、従業員、有形資産、公式システム、技術、組織文化、コミュニケーション・意思決定」という側面から分析するもの。

後者のモチベーション理論としては、マズローの欲求階層説と期待理論を紹介した。そして、いつものように、自分が所属する組織や自分自身にモデルを当てはめて、分析してもらった。

組織の構成要素を自分のバイト先に当てはめた男子学生は「バイト先についてはじめて真面目に考えた。詳しい経営状態まではわからないが、自分も働いているからにはちゃんと売り上げに貢献したいと思った」という感想をよせていた。

モチベーション理論で自分を分析した女子学生は「今回の授業で、自分の今の気持ちがよくわかった」「自分を見つめなおす機会になった」と述べていたのが印象的だ。マズローモデルや期待理論は、自己分析のツールになりうるようだ。

今回のモデルを使って、自組織を改善したり、自己管理能力を高めてほしい、と思った。
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学習不安と生存不安

学習することは「楽しい」というイメージがある。しかし、組織文化研究で有名なエドガー・シャインによれば、「学習することは、そもそも苦痛である」という。

何か新しいことを学習するとき、「これまでのやり方を捨て去る恐れ」「習得することができるかどうかという不安」を感じる。シャインはこれを「学習不安」と呼んでいる。人が学ばないのは、学習不安が大きいからだ。

では、何が人を学習に駆り立てるのか?それは「生存不安」である。生きていくためには、変わらなければならないとき、人は学習する。受験生は、将来、高い地位について多くの報酬を得る可能性を得るために勉強して良い大学に入ろうとする。社員は、リストラされないように、頑張ってスキルを身につける。

学習を促進するためには、「学習不安を低減させる」ような環境を作り出すアプローチと、「生存不安を増大させる」かというアプローチの二つがあるという。前者は「やればできるんだよ」ということをわからせて、学習する喜びを味あわせるポジティブな方法で、後者は、危機感を煽り「学ぶ者だけが生き残れる」と感じさせるネガティブな方法といえるだろう。

組織の学習パターンは、これら2つのアプローチを組み合わせることで、いくつかに分かれそうだ。ちなみに、シャインによれば、「学習不安を低減させて、社員を心理的に安心させることは難しいため、たいていの企業は生存不安を増大させることを好む」という。

学習する組織とは、たぶん、社員に学ぶ楽しさを味あわせて、学習不安を低減することができる組織なのだろう。

出所:Edogar H. Schein「学習の心理学:不安感が学ぶ意欲を駆り立てる」Diamond Harvard Business Review, March 2003, 48-59.
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喜びなさい

『いつも主にあって喜びなさい』
(ピリピ人への手紙4章4節)

人生、良いこともあれば悪いこともある。悪いことが続けておきることもある。それでも、パウロは、何があっても「喜んでいなさい」と言っている。

以前、知人から薦められて『讃美の力』(マーリン・キャロザース著)という本を読んだことがある。この本のメッセージは簡潔で「何が起きてもとりあえず「神様ありがとうございます」と言ってみる」というもの。すごく嫌なことがあったあとに、試しに「ありがとうございます」と言ってみたところ、なんだか心が少し軽くなった感じがした。

「経験から学ぶ」とき、たとえそれが失敗や屈辱であっても、そうした経験ができたことを喜ぶ気持ちを持つとき、成長することができるのかもしれない。
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若手育成能力

最近、入社2,3年目の社員に挑戦的なプロジェクトを任せるケースをよく目にする。離職防止の意味もあるのだろうが、中堅以上の社員にはない若い感性を生かすという効果もあるようだ。

オフィス内装設計の翔栄クリエイトでは、入社2年目社員4名に自社オフィスの設計を任せるプロジェクトを発足させたという。コンセプトは「本音を共有できるオフィス」。同社の社員数は52名で、多くは中途入社。今回のプロジェクトの狙いは、2006年から開始した新卒採用人材の育成にある。

それにしても、自分の会社のオフィス設計を任された若手社員のモチベーションやスキルは上がるだろう。会社に対する愛着も高まるに違いない。

職人の世界では、新人を鍛える際に、いきなり仕事を任せることをしない、ということを聞く。まずは雑用的な仕事をこなしながら先輩を観察し、徐々に高度な仕事を任されるようになる、という育成方法だ。たとえば、理髪師の場合「最初の3年はシャンプーのみ」とか、料理人は「皿洗いから」など。

新人の育て方には、翔栄クリエイトのように、いきなり挑戦的な課題に取り組ませて育てる方法と、昔の職人世界に見られるような積み上げ方式がある。両者を組み合わせることで、いろいろなパターンの育成方法が生まれるに違いない。組織が持つ「若手育成能力」が、その組織の将来の発展を左右する、と思った。

出所:日経産業新聞2008.5.21
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遊び感覚で原理を学ぶ

今の若者は、すぐに役立つ知識や技術には関心を示すが、基礎理論など、一見遠回りになるようなことには手を出さない傾向があるという。思考が短期化しているのかもしれない。これは世の風潮とも一致している。

自動車の変速機製造メーカーであるジヤトコでは、ゲーム感覚モノ作りの原理を学べる研修プログラムを開発した。たとえば、空き缶とコイルを使ってモーターが回転する原理を教えたり、金属加工技術を使って昆虫やアニメキャラクターの絵を描かせるといった課題だ。

ふだんの変速機の生産ラインでは、そうした技術や知識は不要らしい。しかし、いざ機械が故障した場合に、機械の原理を知っているかどうかで対応時間も異なる。

以前、ITプロジェクトマネジャーの方にインタビューしたときにも同じようなことをおっしゃっていた。システム開発をゼロから作った昔の技術者とちがって、今の人達はシステムの中身を知らない傾向がある。何も起こらなければ問題ないのだが、いざトラブルになると、システムの原理を知らない人は、知っている人にくらべて、トラブル対処に数倍の時間がかかるという。

モノづくりに限らず、営業でも人事でも「原理」を知ることで、仕事に深みが出ると思う(そもそも、原理を明らかにすることも大変そうだが)。

われわれ日本人は「原理は苦しい修行を通して学ぶもの」とつい考えてしまいがちである。ジヤトコの優れた点は、遊び感覚、ゲーム感覚で「原理」を習得させようとしているところ。楽しみながら原理を学べば、そのうち「どうなっているんだろう」という疑問がわき、自ら探索するようになるのかもしれない。

出所:日経産業新聞2008.5.20
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お母さんの仕事術

子育てをしながら管理職・経営者をしているお母さんは大変だ。家事をしながら、子供や夫の面倒を見て、仕事もバリバリこなす。彼女たちの仕事術は、生産性を高める上で有益なヒントを与えてくれる。

日経産業新聞(2008.5.20)に、ワークライフバランス社長の小室淑恵さんの記事が載っていた。小さい子供を抱えながらベンチャー企業の社長も務める小室さんの仕事法は次の3点。

1)本当に自分しかできない仕事に絞る
2)30-1時間毎に時間を区切り、集中力を高める
3)仕事の密度を高め、商談は1回で決める

要は、こだわりを持った重要な仕事に的を絞り、集中して取り組むということだ。自分を振り返ってみると、他人がやったほうがよい仕事を抱えていたり、一つの仕事をだらだらと区切らずにこなしていたり、あるテーマで何度も会議を開いてたりする。

緊張感を持ちながら仕事をすることが大切だ、と思った。
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視野を広げるツール

昨日の経営学原理Ⅰのテーマは「製品・市場マトリックス」と「業界構造分析」。「10分ほど僕が説明した後に個人分析を行い、2-3人のグループでディスカッション」というのを2クール実施した。個人分析では、習った経営理論を使って身近な事例を分析することが求められる。

製品・市場マトリックスを使って分析した女子学生は「服のブランドについて考えてみたときに、いかに自分が戦略にはまっていたかがわかって面白かった」と答えていた。

業界構造分析を使った学生は「収益性の高い業界は少ない、ということがわかった」「ゲームやテレビ業界は、かなりインターネットの普及に苦しめられていると思った」という感想を出していた。

経営の理論は、自分の視野を広げるためのツールになりうることを実感できたようだ。

なお、今日からは席を決めて、知らない人とディスカッションを実施。学生いわく「知っている友達同士でグループディスカッションするよりも、知らない人同士で話し合った方が内容が濃かった」。集中して話し合うことができたのだろう。前回と比べて、全体的に議論の質も向上したようだ。

それにしても、300人以上の学生が一斉にディスカッションすると、教室は一種独特の雰囲気になる。
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