松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『トウキョウソナタ』(映画メモ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/5a/62/af9e83f4d5b1652110db2db438aea86b_s.jpg)
『空中庭園』に続き、小泉今日子が快演していた。
大会社をリストラされたが家族に言い出せない父(香川照之)、心に孤独を抱えながら主婦業を営む母(小泉今日子)、米国陸軍に入隊してしまう長男(小柳友)、給食費を使ってこっそりとピアノ教室に通う次男(井之脇海)が織りなすストーリー。
バラバラになりそうな家族が、もがきながらも再生していくプロセスを丁寧に描き出している。
「わたし、やり直せるでしょうか」という小泉今日子のセリフが心に響く。
やや強引な展開もあったが、実力のある俳優達の演技にも魅せられた。
人生、いつでもやり直せる。そんな気持ちにさせてくれる映画である。
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だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい
だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい
(コリントの信徒への手紙Ⅰ・10章24節)
(コリントの信徒への手紙Ⅰ・10章24節)
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仕事の「面白さ」を体感させる
東京すしアカデミーでは、最短2か月ですし職人を養成するという。普通は何年もかけて寿司屋で修行するわけだが、いったいどのような方式なのか?代表取締役の福江氏は言う。
「重要なことは、手順を覚えて繰り返し練習すること」
シンプルな答えである。まず「握り」から先に教える理由は何なのか?
「ゴールが見えないままに基礎をやり続けるのでは、特に若者はモチベーションを維持できません。握れるようになると、自分の技能が明確に形になるから面白いのです」
同校の卒業生は挫折することも少ないらしい。なぜか?
「既に寿司を握ることの面白さを知っており、自分がなりたい職人像やキャリアステップもイメージできているからです」
握る面白さを知っている、という点が大事だと思った。まずその仕事の「面白さ」を体感させるような教え方が、結果的に人材成長につながるのだろう。
出所:Works No. 155, p. 22-23.
「重要なことは、手順を覚えて繰り返し練習すること」
シンプルな答えである。まず「握り」から先に教える理由は何なのか?
「ゴールが見えないままに基礎をやり続けるのでは、特に若者はモチベーションを維持できません。握れるようになると、自分の技能が明確に形になるから面白いのです」
同校の卒業生は挫折することも少ないらしい。なぜか?
「既に寿司を握ることの面白さを知っており、自分がなりたい職人像やキャリアステップもイメージできているからです」
握る面白さを知っている、という点が大事だと思った。まずその仕事の「面白さ」を体感させるような教え方が、結果的に人材成長につながるのだろう。
出所:Works No. 155, p. 22-23.
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『カントの生涯』(読書メモ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/20/ca/c65e8fc817d2532b6eb8547ea7264747_s.jpg)
やや平板な記述だが、とても読みやすく、カントがどのような一生を送ったのかを理解することができた。
イマヌエル・カントは1724年、プロイセン王国(ドイツ)の馬具職人の息子として生まれる。勤勉な父親と信仰深い母親の影響を受けながら育ち、16歳でケーニヒスベルク大学に入学する。
デカルトの『方法序説』を読んだときも感じたが、この頃の哲学者は科学者であもある。カントは、宇宙物理学も学び「星雲説」も提唱していることに驚いた。
当時の哲学は、「物事は人間の知性で理解される」と考える大陸合理主義と、「何事も自分で経験しなければ理解できない」と主張するイギリスの経験主義がぶつかり合っていたのだが、これを統一したのがカントだという。
「認識は経験に始まるが、理性によって整理される」というカントの結論(p. 143)は、あたりまえのように思えるが、哲学においてコペルニクス的転回をもたらしたらしい。
なお、本書を読んで感じたのは、①勤勉さ、②信仰深さ、③言語が、カントの研究を支えていたこと。
勤勉だった父親の教えを守って「5時起床、10時就寝」の生活を貫き、母親の影響から神を深く信じ、当時の共通言語であるラテン語を徹底的に習得したことが、カントの研究成果につながっているのだ。
偉大な仕事の裏には、生活習慣、思想、基礎力が存在することがわかった。
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『25時』(映画メモ)
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麻薬の売人モンティ(エドワード・ノートン)は、密告されて刑務所に収監されることに。刑期は7年。ハンサムの男は、受刑者から襲われる運命にあるため、モンティには3つの選択肢がある。逃亡するか、自殺するか、あきらめて収監されるか。
パッケージの帯に「感動のラスト」とあったので、どんなラストかと思ったが、「そうきたか」というくらい良かった。
音楽のクオリティもすばらしく、さすがスパイク・リー監督である。
いつもの生活の中にあるが、見過ごしているありがたさ、友人や親との関係について考えさせる映画である。
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『八木重吉詩集』(読書メモ)
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英語教師をしていた八木重吉は二人の子供をもうけた後、29歳で結核のために亡くなる。
詩を読むと、重吉が、今この瞬間を大切にする「マインドフルネス」状態で生きていたことが伝わってくる。
夜
夜になると
からだも心もしずまってくる
花のようなものをみつめて無造作にすわっている
草をむしる
草をむしれば
あたりが かるくなってくる
わたしが
草をむしっているだけになってくる
雨
窓をあけて雨をみていると
なんにも要らないから
こうしておだやかなきもちでいたいとおもう
にじみでる
にじみでる涙もある
重吉の静謐な世界を堪能した。
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『パターソン』(映画メモ)
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米国ニュージャージー州パターソン市のバス運転手パターソン(アダム・ドライバー)は詩人。仕事前や昼食中、自分のノートに詩を書く毎日。夜の犬の散歩中にバーでビールを一杯飲むのも楽しみである。
日々の生活を詩で表し、淡々と生きていくパターソン。奥さんから「詩を発表したら?」と言われるものの、あまり乗り気ではない。
しかし、思わぬことから、今まで書き溜めてきた詩を失うことになったとき「いったい自分は誰なのか?」「自分にとって詩とは何か?」という疑問が…。
最後の場面、謎の(ビジネスマン風)日本人詩人(永瀬正敏)による「白紙のページに広がる可能性もある」というセリフが心に響く。
「自分はいったい何者なのか?」という問いについて考えさせられた。
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肉の思いは死であり、霊の思いは命と平和であります
肉の思いは死であり、霊の思いは命と平和であります
(ローマの信徒への手紙8章6節)
(ローマの信徒への手紙8章6節)
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『壁』(読書メモ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/51/d8/ea8a60efc990038d21eb30465af206ba_s.jpg)
もう少し長生きしたらノーベル文学賞を取ったであろう、といわれる安部公房の初期の作品。
S・カルマ氏の犯罪(第一部)、バベルの塔の狸(第二部)、赤い繭(第三部)から構成されている。
第一部は、名前をなくした男(カルマ氏)が、不思議な国に入り込んでしまうという謎のストーリー。
第二部は、影を盗まれて透明人間になった詩人が、バベルの塔に連れていかれる話し。
第三部は、赤い繭、洪水、魔法のチョーク、事業からなる短編集。
『砂の女』『箱男』の完成度が高かったのに対し、本書は粗削りで、かなり「いっちゃってる」作品。しかし、ここに安部公房の原点があるような気がした。
良かったのは「魔法のチョーク」。貧乏な画家アルゴン君はいつも腹ペコ。ある日、壁に絵を描くと実物が出てくる魔法のチョークを手に入れる。好きなものを手にれることができるようになったが、そこには落とし穴が…
本書を読み終わったときには「???」という感じだったが、思い返すと、普段は意識していない「肩書」「家」「仕事」「欲」の本質をブラックに描き出した鋭い小説である、と思った。
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