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『トウキョウソナタ』(映画メモ)

『トウキョウソナタ』(2008年、黒沢清監督)

『空中庭園』に続き、小泉今日子が快演していた。

大会社をリストラされたが家族に言い出せない父(香川照之)、心に孤独を抱えながら主婦業を営む母(小泉今日子)、米国陸軍に入隊してしまう長男(小柳友)、給食費を使ってこっそりとピアノ教室に通う次男(井之脇海)が織りなすストーリー。

バラバラになりそうな家族が、もがきながらも再生していくプロセスを丁寧に描き出している。

わたし、やり直せるでしょうか」という小泉今日子のセリフが心に響く。

やや強引な展開もあったが、実力のある俳優達の演技にも魅せられた。

人生、いつでもやり直せる。そんな気持ちにさせてくれる映画である。




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だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい

だれでも、自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい
(コリントの信徒への手紙Ⅰ・10章24節)

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仕事の「面白さ」を体感させる

東京すしアカデミーでは、最短2か月ですし職人を養成するという。普通は何年もかけて寿司屋で修行するわけだが、いったいどのような方式なのか?代表取締役の福江氏は言う。

重要なことは、手順を覚えて繰り返し練習すること

シンプルな答えである。まず「握り」から先に教える理由は何なのか?

ゴールが見えないままに基礎をやり続けるのでは、特に若者はモチベーションを維持できません。握れるようになると、自分の技能が明確に形になるから面白いのです」

同校の卒業生は挫折することも少ないらしい。なぜか?

「既に寿司を握ることの面白さを知っており、自分がなりたい職人像やキャリアステップもイメージできているからです」

握る面白さを知っている、という点が大事だと思った。まずその仕事の「面白さ」を体感させるような教え方が、結果的に人材成長につながるのだろう。

出所:Works No. 155, p. 22-23.

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『カントの生涯』(読書メモ)

石井郁男『カントの生涯』水曜社

やや平板な記述だが、とても読みやすく、カントがどのような一生を送ったのかを理解することができた。

イマヌエル・カントは1724年、プロイセン王国(ドイツ)の馬具職人の息子として生まれる。勤勉な父親と信仰深い母親の影響を受けながら育ち、16歳でケーニヒスベルク大学に入学する。

デカルトの『方法序説』を読んだときも感じたが、この頃の哲学者は科学者であもある。カントは、宇宙物理学も学び「星雲説」も提唱していることに驚いた。

当時の哲学は、「物事は人間の知性で理解される」と考える大陸合理主義と、「何事も自分で経験しなければ理解できない」と主張するイギリスの経験主義がぶつかり合っていたのだが、これを統一したのがカントだという。

認識は経験に始まるが、理性によって整理される」というカントの結論(p. 143)は、あたりまえのように思えるが、哲学においてコペルニクス的転回をもたらしたらしい。

なお、本書を読んで感じたのは、①勤勉さ、②信仰深さ、③言語が、カントの研究を支えていたこと。

勤勉だった父親の教えを守って「5時起床、10時就寝」の生活を貫き、母親の影響から神を深く信じ、当時の共通言語であるラテン語を徹底的に習得したことが、カントの研究成果につながっているのだ。

偉大な仕事の裏には、生活習慣、思想、基礎力が存在することがわかった。

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『25時』(映画メモ)

『25時』(2002年、スパイク・リー監督)

麻薬の売人モンティ(エドワード・ノートン)は、密告されて刑務所に収監されることに。刑期は7年。ハンサムの男は、受刑者から襲われる運命にあるため、モンティには3つの選択肢がある。逃亡するか、自殺するか、あきらめて収監されるか

パッケージの帯に「感動のラスト」とあったので、どんなラストかと思ったが、「そうきたか」というくらい良かった。

音楽のクオリティもすばらしく、さすがスパイク・リー監督である。

いつもの生活の中にあるが、見過ごしているありがたさ友人や親との関係について考えさせる映画である。

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高ぶる者の目は低くされる

高ぶる者の目は低くされる
(イザヤ書5章15節)

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『八木重吉詩集』(読書メモ)

高野喜久雄編『八木重吉詩集』芸林書房

英語教師をしていた八木重吉は二人の子供をもうけた後、29歳で結核のために亡くなる。

詩を読むと、重吉が、今この瞬間を大切にする「マインドフルネス」状態で生きていたことが伝わってくる。



夜になると
からだも心もしずまってくる
花のようなものをみつめて無造作にすわっている


草をむしる

草をむしれば
あたりが かるくなってくる
わたしが
草をむしっているだけになってくる




窓をあけて雨をみていると
なんにも要らないから
こうしておだやかなきもちでいたいとおもう

にじみでる

にじみでる涙もある


重吉の静謐な世界を堪能した。










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『パターソン』(映画メモ)

『パターソン』(2016年、ジム・ジャームッシュ監督)

米国ニュージャージー州パターソン市のバス運転手パターソン(アダム・ドライバー)は詩人。仕事前や昼食中、自分のノートに詩を書く毎日。夜の犬の散歩中にバーでビールを一杯飲むのも楽しみである。

日々の生活を詩で表し、淡々と生きていくパターソン。奥さんから「詩を発表したら?」と言われるものの、あまり乗り気ではない。

しかし、思わぬことから、今まで書き溜めてきた詩を失うことになったとき「いったい自分は誰なのか?」「自分にとって詩とは何か?」という疑問が…。

最後の場面、謎の(ビジネスマン風)日本人詩人(永瀬正敏)による「白紙のページに広がる可能性もある」というセリフが心に響く。

自分はいったい何者なのか?」という問いについて考えさせられた。



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肉の思いは死であり、霊の思いは命と平和であります

肉の思いは死であり、霊の思いは命と平和であります
(ローマの信徒への手紙8章6節)

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『壁』(読書メモ)

安部公房『壁』新潮文庫

もう少し長生きしたらノーベル文学賞を取ったであろう、といわれる安部公房の初期の作品。

S・カルマ氏の犯罪(第一部)、バベルの塔の狸(第二部)、赤い繭(第三部)から構成されている。

第一部は、名前をなくした男(カルマ氏)が、不思議な国に入り込んでしまうという謎のストーリー。

第二部は、影を盗まれて透明人間になった詩人が、バベルの塔に連れていかれる話し。

第三部は、赤い繭、洪水、魔法のチョーク、事業からなる短編集

『砂の女』『箱男』の完成度が高かったのに対し、本書は粗削りで、かなり「いっちゃってる」作品。しかし、ここに安部公房の原点があるような気がした。

良かったのは「魔法のチョーク」。貧乏な画家アルゴン君はいつも腹ペコ。ある日、壁に絵を描くと実物が出てくる魔法のチョークを手に入れる。好きなものを手にれることができるようになったが、そこには落とし穴が…

本書を読み終わったときには「???」という感じだったが、思い返すと、普段は意識していない「肩書」「家」「仕事」「欲」の本質をブラックに描き出した鋭い小説である、と思った。











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