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自分自身の内に塩を持ちなさい

自分自身の内に塩を持ちなさい
(マルコによる福音書9章50節)

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新著紹介(『経験学習ケーススタディ』)②

昨日、新著『経験学習ケーススタディ』に掲載されている5つの事例を紹介しました。

今日は、4つの事例の概要を説明いたします。

2部 新人OJT事例

CASE6:KDDIエンジニアリング

KDDIエンジニアリングでは、2カ月間という新人研修期間を利用して、新人自らが経験学習サイクルを回すことを支援しています。この事例の特徴は、シンプルなフォーマットの「週報」を活用している点にあります。また、新人をサポートしている人事スタッフによるフィードバックも、新人の振り返りの質を高める上で重要な役割を果たしています。この事例は、新人だけでなく、中堅やベテランにも応用可能ですので、幅広い形で応用して欲しいと思います。

CASE7:サントリー
経験から学ぶ力の源泉は、「思い」と「つながり」です。サントリーでは、この「思い」と「つながり」に着目し、入社1年目の新人を鍛えています。この事例の優れているところは、いろいろな能力を高めようとするのではなく、人材成長の基盤である「思い(主体性)」と「つながり(協調性)」に絞り込み、シンプルなツール(成長実感シート)を用いて、本人・上司・人事部・OJT担当者が四位一体となって新人を育成しようとしているところにあります。

3部 中堅・マネジャーと若手の共育事例

CASE8:昭和電工

昭和電工では、新人に対して、現場の問題を解決させる「Run‐up プログラム」と呼ばれる育成システムを導入していますが、徐々にマンネリ化、形骸化に陥ってしまいました。 これを打破するために、指導する若手社員やマネジャー層に対して、経験学習に基づく指導のあり方を徹底しました。新人や若手の育成は、彼らの成長だけでなく、指導するマネジャーや中堅社員の成長も促すという「共育」の場づくりに成功している事例です。

CASE9:トヨタテクニカルディベロップメント
入社後の3年間に、エンジニアとしての基礎力を徹底して鍛えているのがトヨタテクニカルディベロップメントです。同社では、言葉で伝達可能な形式知としての「工学的な原理原則の知識」と、身体で覚える暗黙知である「仮説検証力」という2つのプログラムを並行して実施しています。注目していただきたいのは、教える側である現場のエンジニアも、自分たちの経験知を整理することができるという点です。まさに、若手と中堅・マネジャーが共に育つことのできる事例になっています。

以上のように、同じ「経験学習を活性化する」という目的であっても、対象者の違いによってさまざまなバリエーションがあることがわかります。みなさんの職場でも、本書で紹介した事例を参考に、オリジナルの仕組みづくりにトライしてみてください。

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新著紹介(『経験学習ケーススタディ』)①

昨日に引き続き、新著『経験学習ケーススタディ』を紹介します。

本書は次のような3部構成となっています。

1部 全社事例(全社で経験学習を促している事例)
2部 新人OJT事例(新人を対象としたOJT事例)
3部 中堅マネジャーと若手の共育事例


1部の事例内容は以下の通りです(本書・事例の紹介マップより)。

CASE1:WDBエウレカ(リフレクション事例)
理系研究者の人材派遣会社であるWDBエウレカでは、毎月1回開かれる勉強会において、30分間の業務振り返りを行っています。自身の1カ月間の経験を他者と共有し、フィードバックをもらうというシンプルな仕組みであるがゆえに、手軽に導入しやすいといえるでしょう。「経験し→振り返り→教訓を引き出し→新しい状況へ応用する」というコルブの経験学習サイクルをしっかりと回すことができるように設計されており、効果も高いといえます。

CASE2:ヤフー(包括事例)
ヤフーの事例は、経験学習マネジメントのお手本ともいえるもので、経験学習の原理・原則がきっちりと押さえられています。仕組みの中心は「1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング」と呼ばれる上司と部下の面談における業務の振り返りです。これが適切に行われるように、「バリュー・ビジョン」「人材開発会議」「コーチング研修」「アセスメント」などさまざまな仕組みが整備されています。経験学習を包括的に導入したいという組織は、この事例を一つのモデルにするとよいでしょう。

CASE3:オークローンマーケティング(1on1事例)
通信販売の「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティングでは、ヤフーを手本として、1on1ミーティングを導入している最中です。現在進行形の事例ですが、上司と部下の面談を活性化するために、マネジャー教育やミーティングの効果測定などさまざまな工夫をしています。経験学習を取り入れようとしている企業にとって、同社による試行錯誤のプロセスは貴重な情報になるでしょう。

CASE4:東京海上日動火災保険(ジョブアサイン事例)
どのような仕事を積ませるかを決める「ジョブ・アサインメント」は、経験学習に大きく影響を及ぼす重要な仕組みです。東京海上日動火災保険では、10年ほど前から、職場全体で人を育てることを狙った「人材育成会議」を導入しています。通常、仕事の割り当ては直属の上司の役割ですが、同社では、直属の上司に加えて、関連部署の上司が複数体制で、任せる仕事の内容を協議します。ちなみに、ほぼ同様の制度がヤフーでも実施されています。

CASE5:堀場製作所(エンジョイメント事例)
仕事に「やりがい・関心・面白さ」を感じる「エンジョイメント」を前面に押し出して、全社的な改善活動を推進しているのが、「おもしろおかしく」を社是に掲げる堀場製作所です。同社は、「やらされ感」が蔓延していた改善活動を、「やりたい人が、やりたいところでやる」方式に転換したことで、海外関連会社を巻き込みながら、大きな成果を上げています。同社は、社是を中心に、推進室、評価制度、レビューミーティング、社内プロモーション等、さまざまな工夫をしています。

このように、各社の色が前面に出た事例となっています。残りの4事例は、明日以降に紹介する予定です。
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新著出ました 『経験学習ケーススタディ』



拙著『経験学習入門』の続編として、昨年末にダイヤモンド社さんから『経験学習ケーススタディ』という本を出させていただきました。

「経験から学ぶプロセスについてはわかったけど、どのようにしたら経験学習をマネジメントできるの?」という疑問に答えるために出版した本です。

次の9社の事例を紹介しています。

・WDBエウレカ 
・ヤフー
・オークローンマーケティング
・東京海上日動
・堀場製作所
・KDDIエンジニアリング
・サントリー
・昭和電工
・トヨタテクニカルディベロップメント


9つの事例から導き出された経験学習マネジメントのポイントは次のとおりです

①方針支援
 自社は何にこだわり、どの方向をめざすのか、どのような人材を育てたいのかを明示する。

②ジョブアサイン支援
 各個人の強みや伸ばすべき課題を考慮しながら、仕事を与える。

③リフレクション支援
 1対1の面談やワークショップ等において、業務の振り返りを促す。

④スキル支援

 経験学習における肝であるリフレクション(振り返り)をうまく促すスキルを身につけさせる。

⑤アセスメント支援
 面談等におけるリフレクションがしっかりと行われているかを測定する。

⑥経営陣による支援
 経営陣が、経験学習の仕組みを浸透させたいという「決意や覚悟」を持つ。

こうした支援を提供することで、組織において経験学習を活性化させることができるようになる、と思います。関心のある方は是非お読みください。











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恐れてはならない。わたしはあなたと共にいる。

恐れてはならない。わたしはあなたと共にいる。
(創世記26章24節)

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流れに身を委ねる

『人生をいじくり回してはいけない』(水木しげる、ちくま文庫)を読んで、タイトルの意味がわからないままだったのだが、最後に、やっとわかった。

「人生にはいろんなことが起こって当たり前。それらに一喜一憂するのではなく、放っておくことです。人生をへたにいじくり回したところで、何の解決にもなりません。起きてしまった不幸は、もうどうしようもない。ならば自然の流れに身を委ねてしまったほうがいい。しょせん人間の力ではどうしようもないこともあるものです」(p.226)

自分で何とかしようという気持ちが強すぎると、結局はよい人生を送れないのかもしれない。「流れに身を委ねる」という言葉が響いた。

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『人生をいじくり回してはいけない』(読書メモ)

水木しげる『人生をいじくり回してはいけない』ちくま文庫

水木さんのエッセイを読むのは2回目であるが、やはりインパクトがある。

彼の考え方で不思議なことは、夢と現実性が同居していること。

自分の好きなことをやる。そのために人は生まれてきたのだと私は思っています。やりがいだとか、充実感といった言葉をよく耳にしますが、結局は自分が好きなことにしか、そういうものは見つからないような気がします。(中略)私のところにも、自分は漫画家に向いているでしょうかと意見を求めに来る人がいる。そういう人は、もうその時点でダメです。自分が本当に漫画が好きなのであれば、他人の意見なんてどうでもいい。へただと言われようが、向いていないと言われようが、漫画を描き続けるものです。いや、描かなくてはいられないでしょう」(p.225)

「好きなことやって生きていければ苦労しないよ」という声が聞こえてきそうだが、それをやってきた水木さんだからこそ説得力がある。この本を読んでいると、夢を実現できたのは水木さんが現実的であったから、ということがわかる。

「楽に暮らすには、金がいります。水木サンは、物を作るのと同じくらい経済観念が発達していました。最初にアパートを経営したのは、創作自体も楽しいのですが、やはり金を狙ったわけです。漫画家の中には、やたら描いてもあんまり金にならん人もいる。ところが水木サンは、必ず金になるものしか描かない。『ゲゲゲお鬼太郎』もテレビ化される時は、画の中で指の本数が欠けていても黙っていました」(p.173)

夢ばかり追っていてもダメだし、現実的すぎても小さくなってしまう。そのバランスをとるとき、自分の潜在力を発揮できるのかもしれない。
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わたしは愛する者を皆、叱ったり、鍛えたりする

わたしは愛する者を皆、叱ったり、鍛えたりする
(ヨハネの黙示録3章19節)

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小説と現実

『舞姫』は、森鴎外(林太郎)の体験をもとに書かれている。

解説を読むと、鴎外が日本に帰国するとまもなく、エリスのモデルとなったドイツ女性が日本にやってきたらしい。

どうも、たちの悪い日本人留学生が「森は金持ちの息子」という噂をながしたのを真に受けたようだ。結局、お金で解決してドイツに帰ってもらったという。

小説の美しさに比べると、現実的な話である。

たぶん『舞姫』は、「こうであったらよかったのに」という鴎外の理想なのだろう。





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『現代語訳 舞姫』(読書メモ)

森鴎外(井上靖訳)『現代語訳 舞姫』ちくま文庫

鴎外がドイツ留学中の体験をもとにした短編である(ただし、事実とは少し違う)。

役人である豊太郎は、ドイツ留学中に貧しい踊り子エリスと恋に落ちるのだが、悪いうわさを流され役所を罷免されてしまう。しかし、その後知り合った実力者の引き立てにより、出世の道が開けていく。ただし、エリスと別れることが条件である。

「貧しい中でも楽しいのは今の生活、棄て難いのはエリスの愛、私の弱い心では思い定めよう方法もなかったが、しばらく友の言葉に従って、この情縁を断とうと約したのであった」(p46)

結局、豊太郎に棄てられたエリスは発狂してしまう、という物語である。

なんとも後味がわるいストーリーだが、「出世か純愛か」、「仕事か家族か」、「自分の得か他者への配慮か」など、さまざまな場所で同様の葛藤が存在するのだろう。

状況は違うものの、人間の本質を抉り出した名作だと思った。






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