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『夜の署長』(読書メモ)

安東能明『夜の署長』文春文庫

以前読んだ『撃てない警官』『出署せず』『伴連れ』が面白かったので、買ってみた。

いつものノリはなく、ややがっかりしたが、内容よりも驚いたのは最近の捜査方法

これまでは「聞き込み」が主流だったのに対し、現在は防犯カメラが鍵を捜査の握っているのだ(たぶん)。

例えば、コインロッカーの爆破事件があったときには、まずそのコインロッカーの上にある防犯カメラで人物を特定した後で、その近くにある通路の防犯カメラで別の映像を入手する。さらに、その人物がタクシーに乗ったという情報をもとに、コンビニの防犯カメラでタクシー会社と運転手を割り出し、行先を確認するというぐあいだ。

そういえばボーンシリーズ(映画)でも、CIAは防犯カメラを使って(世界のどこにいても)ボーンを見つけ出していたのを思い出した。

監視社会が進んでいるようで、ちょっと怖くなった。



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『光』(映画メモ)


『光』(2017年、河瀬直美監督)

前作『あん』に引き続き永瀬正敏がいい味出してた。最近見た映画の中ではベストかも。

視力を失いつつあるカメラマン中森雅哉(永瀬正敏)と、映画の音声ガイド原稿を書くライター(ディスクライバー)である美佐子(水崎綾女)との絡み合いを描いた作品。

はじめはぶつかり合う二人だが、次第に惹かれあうというストーリー。とにかく雰囲気と映像が美しい

カメラマンとディスクライバーとしてのプロフェッショナリズムも伝わってきた。

それにしても、声が出なくなった歌手と同じように、視力を失ったカメラマンは、どのように生きていくべきなのか。

強みを失った人の成長」についても考えさせられた。
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うろたえてはならない。おののいてはならない。

うろたえてはならない。おののいてはならない。
(ヨシュア記1章9節)


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『向田理髪店』(読書メモ)

奥田英朗『向田理髪店』光文社文庫

舞台は北海道苫沢町(モデルはたぶん夕張)。かつては炭鉱で栄えたものの、現在はさびれ過疎化してしまっている。そんな街で理髪店を営む向田康彦53歳を中心としたストーリー。高齢化社会の問題について考えさせられる内容である。

6編の連作から成っているのだが、その中でも「中国からの花嫁」が良かった。

40歳になる農家の長男が、斡旋業者を通して中国からお嫁さんをもらったことに絡む話しなのだが、人のつながりの大切さが伝わってくる逸品である。

なお、主人公の康彦は、札幌の広告代理店に勤めたものの、ついていけなくて故郷に帰ってきたというトラウマを持っている。しかし、物語を読んでいくと、さびれた苫沢町での暮らしのほうが豊かであることがわかる。

本書を読み「ちゃんとつながらないといけないな」と思った。






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『オール・ザット・ジャズ』(映画メモ)

『オール・ザット・ジャズ』(1979年、ボブ・フォッシー監督)

これはかっこいい映画である。

ボブ・フォッシー監督の自伝的なミュージカル映画なのだが、目が釘付けになる

女たらしだが凄腕の演出家ジョー・ギデオン(ロイ・シャイダー)の朝は、目薬をさし、シャワーを浴び、覚せい剤タブレットを飲んで「イッツ・ショータイム!」という気合で始まる。

何人もの女性ダンサーと関係を持つジョーだが、演出に関しては妥協を許さない。いわゆる仕事人間である。この映画を観ていて感じたのは、彼にとって女性との関係は仕事のための原動力or手段ではないか、ということ。

家庭のことは奥さんにすべて任せて、自分は仕事に打ち込むビジネスパーソンとジョーの姿が重なった。


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神は愛です

神は愛です。愛にとどまる人は、神の内にとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。
(ヨハネの手紙Ⅰ・4章16節)
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窮地に追い込まれて生まれる傑作

16~17世紀にイタリアで活躍した天才画家・カラヴァッジョ

ローマで成功した彼は、35歳のとき、決闘で人を殺してしまい死刑宣告を受ける。

出頭を拒んだカラヴァッジョは、ローマを脱出しナポリへと逃げる。そして、逃走資金を稼ぐために、絵を描きまくったらしいのだが、このころに数々の傑作が生みだされたという。

賭博のために借金まみれになり、借金を返すために『罪と罰』を書いたドストエフスキーと似ているな、と思った。

個人の内面のエネルギーだけでなく、窮地に追い込まれることで傑作が生まれるのだろう。

出所:北海道新聞2019年7月14日



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『羊をめぐる冒険』(読書メモ)

村上春樹『羊をめぐる冒険(上・下)』講談社文庫

『風の歌を聴け』が良かったので、青春三部作の完結編と呼ばれている本書を読んだ。

大人になった僕が結婚し、離婚してから、耳のモデルをしている彼女と一緒に「なぞの羊」を探す物語。友人の「鼠」も出てくる。今まで読んだ『ノルウェイの森』や『風の歌を聴け』と違って、ミステリーやファンタジーの要素が入っているのが意外だった。

ただ、いつも冷静で淡々と生きている「僕」は変わらない。

印象に残ったのは、耳のモデルをしている彼女との会話(上巻, p.77)。

「あなたは、あなたが自分で考えているよりずっと素敵よ」
「なぜ僕はそんな風に考えるんだろう?」と僕は質問してみた。
それはあなたが自分自身の半分でしか生きてないからよ」と彼女はあっさりと言った。
「あとの半分はまだどこかで手つかずで残っているの」
「ふうん」と僕は言った。

「半分しか生きていない」という表現がすごい。よく考えてみると、自分をフルに生きている人は少なくて、部分的にしか自分を生きていない人のほうが多いのかもしれない。

村上春樹の小説は、ストーリーよりも、描写や会話のディテールに魅力があると思った。




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『ビバリーヒルズ・チワワ』(映画メモ)

『ビバリーヒルズ・チワワ』(2008年、ラジャ・ゴズネル監督)

チワワを飼っているので観てみた。いわば犬の成長物語である。

チワワのクロエは、ビバリーヒルズに住むセレブ犬。ブランド物の服を着て、リッチな食事をし、ぜいたくな暮らしを送っている。しかし、飼い主の姪のレイチェルがメキシコ旅行にクロエを連れて行ったときに、犬窃盗団に連れ去られてしまう。元警察犬のシェパード・デルガドと脱出したクロエは、旅の途中でいろいろな経験をし、犬として成長するというストーリー

ちなみにチワワはメキシコ産であり、チワワ族の犬たちが住むアステカ遺跡が出てくる。そこで軍団の総帥がチワワの歴史を語り「戦士として誇りを持て!」と諭す場面が印象的である。

生まれ持った自分の性質を知ることは、自分らしく生きることにつながる、と思った。

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高い者は低くされ、低い者は高くされる

高い者は低くされ、低い者は高くされる
(エゼキエル書21章31節)

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