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自分自身の内に塩を持ちなさい

自分自身の内に塩を持ちなさい
(マルコによる福音書9章50節)

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『シェイプ・オブ・ウォーター』(映画メモ)

『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年、ギレルモ・デル・トロ監督)

アカデミー賞4部門受賞」という映画は、あまり観たくないのだが(食わず嫌い)、やっぱり観てしまった。

時は米国とソ連が連戦下にある60年代。

米国の「航空宇宙研究センター」に、南米から半漁人的な異生物が運び込まれ、ソ連のスパイ研究者との駆け引きが生じるのだが、そこに、清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)が関わるという物語。

途中までは「やっぱり、ハリウッド映画だな」というベタなストーリー展開なのだが、主演女優のサリー・ホーキンスの演技がすばらしすぎて、引き込まれ、ラスト・シーンは感動してしまった。

以前観た映画『しあわせの絵の具:愛を描く人 モード・ルイス』でも、サリー・ホーキンスが凄かったが、今回も良かった。

途中までは「ザ・ハリウッド映画」だったが、ヨーロッパでも評価されただけある(ただ、ヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞は微妙…)。

政府機関の憎らしい役人ストリックランド (マイケル・シャノン)がいい味だしていて、やはり「悪役」は大事だと思った。







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『キッドナップ・ツアー』(読書メモ)

角田光代『キッドナップ・ツアー』新潮文庫

2か月前に家を出て行った父親にユウカイされた小学5年生の女の子ハル。

夏休みのあいだ、お金がないお父さんに連れられて、逃避行を続けることに。

旅を続ける中で、夫婦の関係や、親戚との関係が浮かび上がり、それぞれの家庭・親族のカタチが見えてきて、「やっぱり、いろいろあるよね」と思った。

一番良かったのは、ハルとおとうさんが、夜の海で泳ぐ場面

「水の中の温度が緩やかにかわり、私の全身をつつむ海水はなまあたたかく、ゼリーみたいにやわらかかった。おとうさんが背中を支えてくれ、全身の力を抜くとふわりと体が波に浮かんだ。おとうさんの手がゆっくり離れていっても、私の体はおもしろいように浮かんだままだった。おとうさんもとなりで同じ姿勢をとる。私たちはラッコのように水に浮かんだまま手をつないだ」(p. 92)

親子の距離、夫婦の距離について考えさせられた。





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肉なる者は皆、草に等しい

肉なる者は皆、草に等しい。永らえても、すべては野の花のようなもの。草は枯れ、花はしぼむ。
(イザヤ書40章7節)

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『響(HIBIKI)』(映画メモ)

『響(HIBIKI)』(2018年、月川翔監督)

15歳の天才小説家、鮎食響(あくいひびき)は、一見不思議ちゃん系なのだが、キレると暴力的になる高校生である。

新人賞に応募すると、編集者・花井ふみ(北川景子)がその才能に驚き、響を応援するようになるがトラブル続き

果たして響は、芥川賞・直木賞を取れるのか?

響役は、「欅坂46」の平手友梨奈だが(知らなかったが…)、かなりインパクトのある(ブチ切れ)演技で引き込まれた。

印象的なのは、響は文学賞の審査員の小説は全て読んでいて、「あっ、〇〇。あなたの小説好き。握手して」という素直な対応をするところ(ただし、呼び捨て)。

もう一つ良かったのは、「賞」よりも「読者」を大事にする響の姿勢。

賞にこだわる小説家は多いと思うが、本質的に考えると、響が正しい。

本作を観て、本質を大事に生きたい、と思った。

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すべての人に対して忍耐強く接しなさい

すべての人に対して忍耐強く接しなさい
(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ・ 5章14節)
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人への投資と時間的視野

2022年5月10日の日本経済新聞「経済教室」にて、慶應義塾大学の鶴光太郎先生は次のように述べている。

「労働者によってのメリットは企業にとってコストでしかないという対立関係・常識が、急速に陳腐化してきている。企業の生産性向上の源泉が物的資産から無形資産を含む広い意味での人が生み出す資産に移り変わっていることも、その背景の一つであろう」

そして、鶴先生が提唱するのが、「従業員のウェルビーイングの向上」「社会的課題への貢献」「企業価値向上」の3つが両立し、補完関係を生む「ステークホルダー資本主義2.0」である。

ただし、この関係が成立するためには、企業の時間的な視野が重要になるという。なぜなら、従業員への投資はその時点では企業のコストになるが、ある程度の時間が経過すると、従業員のスキルやパフォーマンスに反映され、企業の利益に結び付くからである。

長期的視点を持てるかどうかが鍵となるが、目先の利益が得られないと企業がもたないのも事実である。

人へ投資する際、短期的利益と長期的利益の両方を考えておく必要がある、と思った。

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『辛夷の花』(読書メモ)

葉室麟『辛夷(こぶし)の花』徳間文庫

舞台は九州の小竹藩。

勘定奉行である澤井庄兵衛の長女・志桜里は、子供ができないために嫁ぎ先から離縁され、実家に戻り3年が経つ。

あるとき隣の屋敷に、「抜かずの半五郎」と呼ばれる、独身の木暮半五郎が引っ越してくる。

志桜里と半五郎の間に恋心がめばえたところで、お家騒動に巻き込まれ、後半は凄いことになるという物語。

何が凄いかは読んでのお楽しみであるが、まるでアクション映画を観ているような「ハラハラ、ドキドキ」感が満載で大満足。その反面、前半はしんみりとした展開で、そのギャップも面白い。

葉室作品は、『蜩ノ記』『嵯峨野花譜』に続いて、本書で3作目であるが、引き出しの多さに驚いた。

なお、本作には極悪の3家老が出てくるのだが、ストーリーを盛り上げるために、悪役が鍵になることが改めてわかった。






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あなたの重荷を主にゆだねよ 主はあなたを支えてくださる

あなたの重荷を主にゆだねよ 主はあなたを支えてくださる
(詩編55章23節)

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『人間の意味』(読書メモ)

アルフレッド・アドラー(坂東智子訳)『人間の意味』興陽館

アドラーは、「人生の意味とは何か」という問いに、次のように答えている。

「人生とは、まわりの人たちに関心(興味)を持つこと、全体の中の一部になること、人類の幸福のために自分の役割を果たすこと」(p. 13)

「『人生の意味』は『貢献すること』にあるとわかっている人だけが、勇気を持って困難に向き合い、かなりの可能性でそれを乗り越えることができるのです」(p.37)

そして、たとえパーソナリティに問題を抱えていたとしても、「協力する能力」を鍛えることで改善できるという。

なお、アドラーによれば、「人より優れたい(自分が上位に立ちたい)」という願望は全ての人に共通しており、この願望は、人が創造する原動力、貢献する原動力になる。

しかし、「人より優れる(自分が上位に立つ)」ための手段を間違えている人がいる。そういう人たちを救う鍵は、「協力する能力」を鍛えて、「共同体感覚」をもたせることである。

誰でも何らかの「強み」を持っているが、「他者と協力」しながら、この強みを「社会」のために役立てることができれば、正しい人生の歩み方になっているといえる。

西田幾多郎は、『善の研究』の中で、「自分が持つ『個人性』を『社会』のために役立てるとき、完全なる善となる」ということを言っているが、同じだな、と思った。



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