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だれかのために

ファッション評論家のピーコさんは、20年前にがんのため左目を摘出している。病気をしたことで、自分のことばかりではなく、まわりの人のことも考えられるようになったという。

「私は、"自分が得したい"っていう欲がなくなることが、健康にいちばんいいと思うの。自分のためじゃなく、だれかのために何かしたい。そうするとね、自分を素敵だと思ってほしいとか、頭がいい人だと思ってほしいっていう気持ちがなくなるもん。こう考えると、ストレスもたまらないわよ。」

なかなかそういう境地には達することができないが、たしかに、多くのストレスは自分の思うようにいかないことから生じているのだろう。自分のことと他人のことをバランスよく考えることが、適度なストレスの中で生活する秘訣だと思った。

出所:「自分のためではなく、だれかのために何かしたい」『からころ』2009.17号, p.4-6.

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3つのスピード

早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成先生によれば、経営にはつぎの3つのスピードが必要だという。

問題に気づくスピード
意思決定のスピード
実行するスピード

問題を解決するためには、問題を見極め、解決策考え、それを実行しなければならない。それぞれのステップのスピードを速める必要がある、ということだろう。

もちろん、速ければいいというものでもなく、質も大事である。しかし、時間をかければ質が高まるものでもない。要は、質を担保するのに最低限必要なデッドラインを設けることが大切になる、と思った。

出所:内田和成「顧客パワー台頭「業界」も死後に」日経ビジネス2010年3月29日号Special Issue, p.52-55.
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いのちに至る門は小さく

いのちに至る門は小さく、その道は狭く、それを見いだすものはまれです
(マタイの福音書7章14節)
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『私の青春物語』(読書メモ)

平山郁夫『私の青春物語』講談社

昨年末に亡くなられた、日本画家で元東京芸大学長の平山郁夫先生の自伝である。

自伝だと自慢話が多いのがふつうだが、平山先生はあまり自慢をしない。むしろ、自分が習ってきた先生方の話が多い。その中で印象的だったのは、当時の芸大(日本画学科)の教育方針。

「実技も、安田、小林先生をはじめとする教授陣の方針は、学生に自由にやらせるというものでした。早くに教え込んでしまうと、型にはまり固まってしまうから、できるだけ個人の人格や価値観を生かすように教えられたのだと思います。若くして型にはまると、いざ自分の個性を出そうとしても、誰かの模倣しか生まれません。創作においては型は拘束力になってしまい、スケールが小さくなるのです。むしろ、人間として豊かな感性や幅広い知識を身につけることに主眼を置いて、次世代の日本画を担う若い学生たちが、どんな新しいものを生み出すか、先生方は期待と関心をもってみていらしたのかもしれません。」(p.66)

日本の伝統芸能では、「まず型を覚えて、次に自分の個性を出す」という「守・破・離」の考え方が強調されるが、ちょっと違った考え方である。学習には模倣が必要だが、それが強すぎると、創造性が弱まってしまう、ということなのだろう。

また、平山先生は、芸大に合格したとき、芸術家であるおじさんから「一流に接しろ」「むこう十年間は絵でお金を取るな」という訓示を受けたらしい。その理由はつぎのとおり。

「描いた絵が売れて金まわりがよくなった同級生で、堕落した奴が多かったからだ。未熟なうちに金を持つと、無駄な勉強をしなくなるだろう。しかし、そういう時期は無駄なことが大切なんだよ。」(p.31)

本書のなかで平山先生は、たびたび「無駄な勉強」の大切さを指摘している。ここで言う「無駄」とは、直接仕事の役に立たないかもしれないが、人間性を豊かにする教養である。

自分の関心・価値観を大事にしながら、一見無駄に思える幅広い勉強をする。そこから新しいものが生まれてくる、ということが伝わってきた。
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顧客を選ぶ

バネ製造の中里スプリング製作所の経営方針はとてもユニーク。それは「嫌いな顧客とは付き合わない」こと。

過去、納入先の自動車メーカーから猛烈な値下げ要求にあい、ごう慢な顧客との取引中止を宣言。一時は取引先が15社に減り、売上も激減してしまうが、徐々に上得意先との関係を深め現在は1300社以上の顧客と取引している。

同社の強みは、商品の種類の多さと、顧客の要望に臨機応変に応じる技術力にある。工場に顧客の技術者を読んで、その場で試作し図面を作成することもできる。

中里スプリングでは毎期、「好きな顧客ベスト30と嫌いな顧客ワースト10」を社員投票で発表する。そして、社員から「取引先担当取り下げ申請書」が提出されて、認められれば取引が中止になる。

パートナーとして付き合える顧客との関係を強め、利益につながらない顧客との関係を断つことの重要性は、CRM(顧客関係管理)においてもしばしば指摘される。

顧客を選ぶことができるのは力のある企業に限られることを考えると、顧客選択力を高めることは、他社にない強みを身につけること同義であるといえるかもしれない。

出所:日経産業新聞2010.3.24
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感動を与える

世界的なデザイナーである吉岡徳仁さんは、斬新な切り口で常に新しいものを生み出し続けている。

31歳の頃、師匠でもある三宅一生さんの巡回展の会場を担当し話題を呼んだ。その時のことをつぎのように振り返っている。

「それまでは完成させることで精一杯。自分のためだけではなく、人に喜んでもらえるものを作らなくては、と考えるきっかけになりました。」

エルメス、カルチェ、スワロフスキーなど世界の名だたるブランドから声がかかる吉岡さんは「不可能を超えられるものがあれば追う。そういうものに魅力を感じますね」と語る。

感動を与えることがデザインである」という彼の言葉の中に、「自分のために働くこと」と「他者のために働くこと」が融合した仕事観を見た。

出所:「カタチのないデザイン:吉岡徳仁」『VISA』2010 No.444, p6-9.
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どのような悪も

どのような悪もわたしを支配しませんように
詩編119章133節
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『子供が育つ条件』(読書メモ)

柏木惠子著『子供が育つ条件:家族心理学から考える』岩波新書

気になるタイトルである。

著者の柏木先生によれば、日本の子供は、他国の子供とくらべると「成績がよいにもかかわらず、自信がもてない」傾向にあるという。つまり、自己有能感が低い

なぜか?

親が子供のために「よかれ」と思って、早いうちからピアノ、水泳、英語などを習わせる「先回り教育」が原因の一つであるという。何でもかんでも親が用意してしまうため、自分の力で何かを達成した経験が少なくなり、自ら学ぶ力が低下するわけである。

「子育て」ではなく「子育ち」をいかに促すかが親の役目となる。

もうひとつ日本の特徴として挙げられているのは、「母は育児、父は仕事」という文化が根強いため、母親に育児が押しつけられてしまっている点。これは、かなり耳の痛い話。

すぐにできそうアクションは、家族全員で食事をとること。「共食」が集団の絆を強めることはよく知られている。

本書の結論は「親が成長していれば子供は育つ」とシンプルだ。「勉強せい、勉強せい」と言っている親にかぎって成長していないことが多い。観察学習力に優れている子供は親の背中を見て育つ。

以上の主張は、企業にも当てはまりそうである。いろいろと先回りして与えすぎると、成長の機会を奪ってしまう。ともに食事をとる機会も少なくなり、絆も薄れる。上司の成長が止まっているので部下も育たない。

逆に、管理職が生き生きと成長し、自分で考える機会を与え、飲み会をさかんに開催する職場では若手が育つ、といえるのではないか、と思った。
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地方企業のCRM

山梨県を中心に店舗展開するスーパー「オギノ」(年商750億円)は、優れた顧客分析力を持つ。まず、POS(販売時点情報管理)データに頼らない。

なぜか?

「POSは売り場ごと、商品ごとにタテ割りで数字を取る。だから、部門別の管理に走ってしまいがち」と荻野社長は言う。

オギノの凄いところは次の3つ。

第1に、売上高会員比率95.6%を誇る会員カードの購買データを使って「同時購買分析」を行い、「併売」を積極的に行っている。例えば、「レトルトカレーと福神漬」「ニラとレバー」を一緒に売る方法である。

第2に、顧客を8種類のタイプに分けて、タイプ毎にアプローチをかける。最近増えている「簡便調理派」や「健康志向派」をターゲットにして売り場を提案しているという。

第3に、主要メーカーと連携し、「売上の4割を占める購買数上位10%の顧客」に対してDMを打ち、打率の良いキャンペーンを実施している。

これらの施策は、いわゆるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の考え方に沿った販売手法であり、最先端を走っているといえる。

地方のスーパーがここまでやっているのを知って驚いた。ただ、よく考えると、地元の顧客の愛着を獲得しやすい地方のスーパーだからこそできるのかもしれない。しかも、ここ5年くらいに試行錯誤しながらノウハウを積み上げてきたところが評価できる。

不況に負けないCRMのお手本といえそうだ。

出所:「オギノ:"ニラレバ"販売で儲ける」日経ビジネス2010.3.15, p.30-32.
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自分の時間軸をもつ

40年の間、人が訪れない山岳や熱帯雨林を撮り続けてきた写真家の水越武さんは、次のように述べている。

「人それぞれの人生には、それなりのステータスと階段のようなものがあります。しかし、その社会システムから降りてしまうと、精神的にフリーになる。先を急がなくなり、自由に自分が納得いくまで何かにかかわることが可能になる。自分の時間軸で、徹底してのめり込むようになります。」

ふつうの人は「社会システムから降りる」ことはなかなかできない。だから、いつも何かに急かされて仕事をしている。だが、気持ちの中で「社会システム」にとらわれないで生きる決意をすることは可能なのではないか。

自分の時間軸を持ち、納得するまで、徹底してのめり込む。そうした仕事の仕方をしてみたい、と思った。

出所:「自分の時間軸と目を養え 見えるには時間が必要」日経ビジネス2010年3月15日号、p.134.
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