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わずかな物に忠実だったから

『あなたはわずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。』
(マタイの福音書25章21節)

これは、イエス・キリストが天の御国を「たとえ」によって説明した箇所である。

ある主人は、しもべ3人に、それぞれ5タラント、2タラント、1タラントのお金を預けて旅に出た。5タラントと2タラントを預かった二人のしもべは、そのお金をもとに商売をして利益を出したが、1タラント預かったしもべはそれを地中に隠しておいた。帰ってきた主人が二人のしもべをほめたときの言葉が、上記のみ言葉である。それに対し、お金を使わずに隠しておいたしもべは叱られてしまう。

神様は、私たち一人ひとりに独自の能力(賜物)を授けてくださっており、それを活用することを望んでいらっしゃる。私たちは「自分にはたいした才能がない」とボヤいて、十分に活用しないことがある。たとえ自分の能力が限られたように思えても、それを最大限使いきる姿勢が大切になるのではないだろうか。
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経営幹部育成

大和ハウスでは、将来の経営幹部育成を目的として「大和ハウス塾」と名づけられた会議(研修?)を月に1回開いているという。

参加者は、営業、設計、経理などの各部署から選ばれた40代後半の社員60名。異なる部門の専門知識を教えあうと同時に、新規事業の計画や既存事業の改革案をまとめて経営陣に提出する。

会長や社長も定期的に参加し、人材を見極める。

こうした試みは大切だと思うが、GEなどのリーダー選抜方法と比べると、気になる点もある。それは年齢だ。

経営幹部として必要な経験を積ませるには、30~40代は大事な時期。40代後半の人材から幹部候補を選ぶとなると、その時期を過ぎていることになる。

日本企業の実情を考えるとわからないこともないが、せめて10年早めて、30代後半の人材を選抜した上でこうした試みをしたらどうかと思った。

出所:日経産業新聞2008.8.25
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改善マイスター

業務改善の先進企業は、現場における推進リーダーを養成することが多い。1月に紹介したトキメックでは「改善マン」と呼ばれるリーダーが活躍していた。

全員参加型の生産革新を進める神鋼電機でも「改善マイスター」と呼ばれる社内資格を設けて制度化しているという。

改善マイスターの役割は、工場レベルと部門レベルで、毎月、特定の工程やテーマについて「自主研」と呼ばれるミーティングを実施し、集中的に議論・検討することだ。

毎年10~20人の改善マイスターが選抜され、これまで120人以上が現場で活躍しているとのこと。

神鋼電機で特徴的なのは、改善効果をコスト削減額で表示し、賞金と結びつけている点である。5万円以下、50万円未満の削減から2000万円以上の削減まで6段階の賞を設けて、最高20万円の賞金が支払われるらしい。

「たくさん提案はあるがマンネリ化している」という声をよく聞くが、神鋼電機のように提案のインパクトに格差をつけることで、提案する側も意識が高まるのではないか。

なお、社員は年4回「無駄とその改善策」を提案しなければならない。2003年から始まったこの活動であるが、今年の4月までに42500件の提案があり、そのうち23000件を実施し、44億円の削減効果を上げたという。

全員に義務を課し、②成果を数値化して、③インセンティブでモチベーションを上げ、④改善リーダーが現場をまとめる。こうしたリンケージが改善活動を推進するのだろう。

出所:日経産業新聞2008.8.22
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営業の改善ミーティング

日産自動車の地域統括会社、中央日産では、生産現場の品質管理手法を営業に導入する試みが行われている。日産の工場からQC活動の専門家を招き、営業活動や事務作業の見える化に取り組んでいるという。

その中でも注目したいのが「改善ミーティング」。ビデオや顧客アンケートを使って、グループ単位で顧客サービスの向上について研究する、というもの。各拠点で出された優れた試みは、複数店舗の指導にあたっている「ゾーンスーパーバイザー」が、他の地域の店舗に広める役割を担う。

生産現場と営業現場の大きな違いは、活動の見えやすさ。外回りが基本の営業担当者の活動は見えにくい。

ただ、自動車販売の方法は、訪問販売から店頭販売へとシフトしているようなので、営業活動は比較的見えるようになった。そのため、生産現場のノウハウが活用しやすいといえるかもしれない。

とはいえ、生産と営業では、モノの考え方や価値観が大きく異なる。生産におけるQCを単に移植するだけでは限界があるだろう。営業独自の品質管理手法を生み出すことが大切になる。

出所:日経産業新聞2008.8.22
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『専門家の知恵』(読書メモ)

『専門家の知恵:反省的実践家は行為しながら考える』
(ドナルド・ショーン、佐藤学・秋田喜代美訳、ゆみる出版)

この本は、専門家研究において必須の一冊といえる。

世の中の問題は複雑化しているので、過去に蓄積された知識体系だけでは問題を解決することは難しい。だから、専門家は、つねにクライアント(問題の解決を求める顧客)とともに学び続けなければならない。

これがこの本のメッセージである。

当たり前と言えば当たり前だが、こうした態度をとる専門家は少ない。

なぜか?

それは、自分の持つ専門性を過信していたり、自分は専門家であるというプライドが高すぎたり、自分が解決できない問題にトライすることを恐れたりするからである。

ショーンは、アージリスとともに「シングルループラーニング」「ダブルループラーニング」という概念を提示したことでも有名だ。

前者は、ある枠組みの中でのみ学習することを、後者は枠組み自体を修正する学習を意味している。専門家は、問題を認識し解決するための枠組み(フレーム)を持っているが、真の専門家とは、その枠組みを変えることができる人である。

専門家は、どうしても自分の世界に閉じこもりがちだ。なぜなら、その方が居心地がいいからである。しかし、ショーンは、「それじゃダメだ」と言う。

専門家のスキルを有効に使用できる「高地」ではなく、自分のスキルが通用しないめちゃくちゃに混乱した「ぬかるんだ低地」で活動すべきだ、と彼は主張する。

そのときに大切なのは、行為をしながら、驚き、困惑し、混乱しながら、クライアントとともに反省することである。ショーンは、このことを「行為の中の省察(reflection-in-action)」と名づけ、それができる専門家を「反省的実践家(reflective practitioner)」と呼んでいる。

真の専門家は、学び続けることができる人である。
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人間の道は、その人によるのではなく

『主よ。私は知っています。人間の道は、その人によるのでなく、歩くことも、その歩みを確かにすることも、人によるのではないことを。』
(エレミヤ書10章23節)

「自分の道は自分で切り開け」という言葉を聞く。そうだなと思う一方で、人生において個人の力は非常に限られているのも事実である。周りの人々の助けや状況の変化を見ていると、そこに人間の思いや力をはるかに超えた意思が働いているように思える。
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営業のプロセス管理

SAPジャパンは、営業活動を支援するCRMソフトを販売しているが、ウリは顧客関係管理機能である。

数字に表れにくい顧客との親密度を指標化し、営業担当者の活動について、定期的にアドバイスしてくれるという。

どのような関係構築活動が重要になるかについては、コンサルティングが調査し、それに基づいてソフトをカスタマイズするらしい。

営業マネジメントでは「プロセス管理」が重要になると言われているが、うまく管理できている企業は少ないと聞く。

プロセス管理をするためには、次の作業が必要になる。

・業績に直結するような活動を洗い出し
・それらの活動を測定し
・フィードバックや評価を与える

難しいのは、業績アップの鍵となる活動を明らかにすること。あまり細かく設定しすぎると営業担当者の活動を縛ってしまうし、アバウトすぎるとあいまいになる。

シンプルかつ重要な営業活動が特定できて指標化できればプロセス管理がうまくいくように思う。

出所:日経産業新聞2008.7.28
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フィッシュボーン

品質改善のときに使われるツールに「フィッシュボーン」というものがある。魚の骨の形をしていることからこう名づけられた。通常は、ある問題が生じた原因を、魚の骨のように分解して考えるツールである。

携帯電話向けにプロ野球の動画配信サービスを手がけるモビーダ・スポーツでは、少し変わった形でフィッシュボーンを使っている。

例えば、「オペレーションコストの削減」といった目標があるとする。これを魚の頭の部分に書く。次に、この目標に関係する課題、例えば「配信オペレーション」「販促」「設備」など、骨の部分に書く。

さらに、「販促」「設備」といった個別課題について、細かい「課題」を挙げていく。ここまでは通常のやり方と同じ。違うところは、詳細な「課題」を挙げたら、その隣に「解決策の案」も出すところだ。

授業では、原因分析のためにフィッシュボーンを使うことが多く、その次に実施する解決策の立案の作業とどうしてもつながりにくかった。

しかし、モビーダの方法を使うと、原因分析と解決策の立案が同時にできる。ちょっとしたことだが、とても良い方法だと思った。

実際に使ってみると不具合も出てくるだろうが、そのときにはまた工夫をすればいいだろう。

出所:日経産業新聞2008.7.10
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現場は生き物

トヨタ生産方式をベースにして、ソニーやキャノンをはじめとする日本企業の生産現場を指導しているコンサルタント、山田日登志氏によれば、主なムダには3つあるという。

停滞のムダ
動作のムダ
運搬のムダ

「これを省くと三人でやっていた作業を二人でできるようになり、会社もびっくりする」とのこと。

どんな組織でも分業しているので、各担当者の「動作」にムダがあれば、関連する担当者に影響して「停滞」のムダが生じる。また、動作にムダがなくても、担当者間のやりとりに「運搬」のムダがあると、全体の効率が落ちてしまう、ということだろう。

ただし、山田氏は次のように述べている。「トヨタ生産方式は現場で積み上げられた実践論だ。本で勉強し、頭で理解したつもりでも現場では身体がついてこない。現場は生き物だ。同じ改善をしても同じ結果にならない。」

「現場は生き物だ」というのは、やはり人間が関わっているからだと思う。山田氏は、現場のにおいを感じとりながら、その現場にあったやり方を指導しているからこそ、成果を上げているのだろう。

カイゼンの基本を理解した上で、各職場のメンバーが自分の頭で考え、現場にあった創意工夫をすることが大切になる、と思った。

出所:日経産業新聞2008.8.20
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量が質を生む

吉野家ホールディングスの安部社長は次のように述べている。

「未来のリーダーを目指す人材は、集中的なハードワークが必要な時期があると思う。量をこなして初めてつかめる仕事の勘所が往々にしてある。量によって、質が向上するというわけだ。」

安部社長は、名ばかり店長問題に対応するために労働時間を制限すると、人材が育ちにくくなることを示唆しているが、同感である。

どのような領域でも、熟達者になるには、20~30代の頃に数や量をこなすことが欠かせない。数や量をこなすことで、状況の微妙な違いや解決方法のパターンが見えてくるからだ。

ただし、量をこなすことは熟達の必要条件ではあるけれど、十分条件ではないと思う。いくら量をこなしても漫然と働いていては得られるものは少ないだろう。問題意識を持って真剣に働くことで、はじめて量から質に転換できる。

このとき注意しなければならないのは、過労死やメンタルの問題。質が高まる前に、身体や心がダメージを受けてしまう危険性は高い。

量を質に転換するためには、自分の限界を知る自己管理能力が必要になる、といえる。

出所:安部修仁「労働時間を限る弊害」日経ビジネス2008.7.14, 148p.
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