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人を自分よりまさっていると思いなさい

『尊敬をもって互いに人を自分よりまさっていると思いなさい。』
ーマ12章10節

良く考えると、他人には必ず自分よりもまさっているところがあるはず。他人から学ぶ力のある人は、他人の短所ではなく、長所を見ているのだろう。
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すごい会議

この本は、会議の仕方というよりも、問題解決の技法について紹介したものだ。著者の大橋さんが、アメリカで起業する話も面白い。

アメリカのコンサルタントから伝授されたという「すごい会議」にはいくつかのエッセンスがある。それは、

1)会議のはじめに、参加者が「いまイケていること」を話す
2)会議に参加する人は、自分の意見を紙に書いて、順番に発表する
3)問題点を挙げるとき「なぜ~だろう」と言わずに、「どうしたら~できるだろうか」という問い方で話す

というもの。これらは、ポジティブシンキングをうながし、さまざまな意見を引き出すための工夫だ。実は、この会議をアレンジしたミーティングを、企業、大学、学生サークルなどいろいろな場で試しているが、なかなか使える手法であることがわかった。

普通だと、暗くなってしまう会議、悲しくなってしまう会議、個人攻撃になってしまう会議、特定の人がしゃべりまくる会議になってしまうのを防いでくれる。なぜなら、1)まず良いことを思い浮かべ、うれしい気持ちになる、2)皆が必ず発表するので参加感があり、多様な意見が出る、3)「どうしたら?」という問いによって、他人を攻撃することなく前向きに解決策を考えることができる、からである。

上記3つのエッセンスを会議やミーティングに取り入れると、生産性が高まると思う。
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学習を支援する環境とは?

デービッド・ガービンは、ハーバード・ビジネススクールの教授。あまりアカデミックとはいえないが、TQMをベースとした実践的な組織学習論は明快だ。

彼の著書である『アクション・ラーニング』(ダイヤモンド社)は、ちょっと詰め込みすぎという感じはするが、書いてある内容は面白い。一番印象に残ったのは、「どのような環境が学習を促進するか」についての箇所だ。ガービンによれば、「学習を支援する環境」の特徴は次のとおり。

・考え方の違いを受け入れ、議論する
・タイムリーで率直なフィードバックを提供する
・新しいアイデアを常に追求する
・間違いや失敗に寛容

これらの逆を考えると、「学習できない環境」が見えてくる。

・自分たちの価値観と違う考え方を拒否する
・いいたいことを言わない
・従来のやり方に固執する
・失敗すると厳しく罰する

こちらの方を見て「うんうん、うちの会社と同じだ」と思ってしまう人も多いかもしれない。では、どうしたらいいのか?リーダーのあり方が重要になる。リーダーが取るべき行動は次の3つ。

・学習のきっかけとなる場を設定する
・安心感を与えつつ、オープンな議論をうながす
・討論の枠組みを作る

つまり、「日常的な打ち合わせなどを利用して、学習のためのフォーラムを開催し」、その際「リスクを負うことを支援し、徹底的に議論できる雰囲気を作り」、「攻撃的・介入的な議論ではなく、支援的・内省的な議論になる枠組みを作る」ことがリーダーの役目である。


やや全体の構造がわかりにくいところはあるものの、いろいろな事例やヒントが盛り込まれている良い本だ。
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あすのことはあすが心配します


『あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。』(マタイの福音書6章34節)

いろいろと先のことばかりを心配していては、疲れてしまう。目の前のことに集中して、「明日は明日で何とかなる」という気持ちでやっていかないと、やっていけない。先のことを考えつつ、今日のことに集中する。これがストレスをためないコツかもしれない。
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マニュアルで「考える」(しまむら)

大学院の授業で使った「しまむら」のケースは、業務プロセスを考える格好の教材であると同時に、ナレッジマネジメント(知識管理)の優れたお手本でもある。この会社には、いろいろとスゴイところはあるが、1点だけ紹介しておきたい。それは、

進化するマニュアル経営

である。この会社のオペレーションは徹底的にマニュアル化されている。「商品の仕入れ」から「店舗の運営」「システム開発」「社員研修」などなど、すべてをマニュアル化している。マニュアル作成の担い手はパートやアルバイトの社員である。日々、業務の中で気づいた改善点を提案書として本社に上げる。その数は月に3000件。マニュアルは毎月更新され、3年経つとガラリと変わるという。

「マニュアル」という言葉には、あまり良いイメージはない。決められたルールや規則にしたがって、何も考えずにロボットのように働いているという印象を受ける。実際、マニュアルが固定化してしまうと、働いている人が「何も考えなくなってしまう」という弊害が起こるのも事実である。

ただ、環境の変化に応じて、マニュアルを変えていくのであれば、何の問題もない。むしろ、個人の内部に固着しがちなノウハウを形式知に変換しているという点で、マニュアルは「組織の記憶装置」である。

しまむらのマニュアルが進化し続ける要因は3つある、と思った。

一つめは、マニュアルを作成する目的が、従業員の負担軽減と効率化にあること。しまむらでは「仕事を楽に」を合言葉として、働きやすい職場づくりのためにマニュアルを改訂している。改訂するほど社員の負担が大きくなる企業では、マニュアルは進化しない。

二つめは、「仕事=改善活動を通してマニュアルを改訂すること」という考えが社内に浸透していることだろう。、「仕事=決められた作業をこなすこと」と考える職場ではマニュアルは進化しない。「より良い方法を探ることが仕事なんだ」という仕事観を持つことが大切になる。

三つめは、部門間の異動が頻繁に行われること。これによって、新鮮な目で業務を見ることができ、改善すべき点に気づきやすくなる。また、知識の抱え込みも防ぐことができる。

要は、「マニュアル作成自体が社員の負担」となっていたり、「業務を改善していこうという考え方」が職場に定着していなかったり、「業務を改善する目が養われていない」と、マニュアルが生かせないといえる。

しまむらには「自分で考え、自分で行動する風土」があるといわれている。こうした風土があるからこそ、マニュアルが進化するのだろう。ただ、見方を変えると、マニュアルの改訂を通して「自分で考え、自分で行動する」風土を醸成しているともいえる。

組織の学習は、知識の「獲得」→「共有化・制度化」→「棄却」というサイクルを回すことで起こる。学習する組織とは、このサイクルをグルグルと回すことができる組織である。マニュアルは、適切に使えば「考える文化」を創るための強力なツールとなる、ということをしまむらのケースは教えてくれる。




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わくわく感

企業の問題を解決する授業も、今年最後だ。各チームの解決案も、だいぶカタチが見えてきた。同じ企業を担当しているチームでも、提案内容にはチームのカラーが出ていて面白い。問題への光の当て方が違うからだ。

具体性
創造性
現実性

という3つのポイントをクリアするように、という高いハードルを課せられている学生たちだが、なかなかいい感じでワークが進んでいた。

議論をする際に大事なことは、絵や図を描いてイメージを共有すること。散策バスのルート図、お酒の新商品のパッケージ、オルゴール堂の売場レイアウト、天狗のキャラクターなどなど、手元の紙にイメージを描きながら議論しているチームは、どんどん案が具体化していく。「発表のときにも、完成イメージを絵や写真で見せるようにしてください」という指示を出す。

ただし、作業がすすむ中で、振り出しに戻ってしまうチームもある。「わくわく感」がないからである。自分たちが楽しんでいないことに気づいたとき、「このままでいいのか?」という疑問が生じる。「これだったら、自分たちも使いたい、買いたい」と思えるような商品・サービスを考えることが基本だ。企画とは、自分たちの「思い」をカタチにする作業だからである。

授業が終了するとすぐに退室する学生たちだが、今日は居残っている。どうも、1月の最終発表会に向けて、詰めの作業をするための時間を調整しているようだ。授業を運営する側としてうれしいのは、学生たちに「やらされ感」がないこと。最後の追い込みを、楽しんで乗り切ってほしい。
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愛がヒット商品を作る

これまで、「ファイア」「生茶」などのヒット商品を開発してきた、キリンビバレッジの佐藤章さんのケースを授業(経営学原理Ⅰ)で見た。昨年に放送されたNHKの番組「プロフェッショナルの流儀」である。いくつかの点が印象に残った。

佐藤さんは、「開発の掟14か条」というのを決めているらしいが、その中の一つに「確信犯の開発者一人がすべてを決めていく」というものがある。商品開発はチームで進めていくが、「ちゃんと考えている人を中心にすることが大事で、いろいろな人の意見を混ぜた折衷案は作らない」ということ。これは納得がいく方針だと思った。商品には「思い」を込めなくてはいけないからだ。

今はヒットメーカーとしてノリにノッている佐藤さんだが、若い頃は、売れる商品が作れずにノイローゼになった頃もあるという。そんな佐藤さんに「本場ドイツでビールづくりを見て来い」と言ってくれた上司がいたそうだ。ビール作りの本場、ミュンヘンの職人に「どうすればおいしいビールが造れるのですか?」と質問した佐藤さん。その職人は次のように答えた。

ビールは作るんじゃない、醸し出すんだ

いい環境と、いいきっかけを与えれば、おのずといい味が醸し出される、という意味だ。この言葉が佐藤さんを劇的に変えることになる。「自分で生み出すのではなく、引き出していけばいい。それだったら自分にもできるかもしれない」と気づいた。

ここで、ある企業の方から聞いた話を思い出した。「新規事業の立ち上げで成功した人が別の会社に移ると、次の会社ではうまくいかないことが多い。そういう人は、自分の力にのみ頼っているからね。成功する人は、部下からアイデアを引き出すことができる人です。」という話だ。他人の力を引き出す力。これがマネジメントの本質なのだろう。

この番組では、最後に「あなたにとってプロフェッショナルとは何ですか?」という質問がある。これに対し、佐藤さんは

「テクニカルな面だけあってもプロとはいえません。愛情ですね。人の気持ちに入っていける人が本当のプロフェッショナルだと思います。」

と答えていた。ちなみに、良い商品を開発できる人は「あいつ、いいヤツだなあ」と思える人だそうだ。

「他人のことを思いやる気持ち」がプロフェッショナリズムの根底にあることを、改めて感じさせられたケースだった。
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安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ

『安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。六日間、働いて、あなたのすべての仕事をしなければならない。』(出エジプト記20章8-9節)

これはモーセの十戒の一つである。このあと「しかし七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはどんな仕事もしてはらなない。」と続く。

30代の頃は、ほとんど休みなく働いていた。40代になって、日曜日は休むようになった。歳をとったということもある。ただ、1週間に一度は精神や身体を休めることは、次の一週間によい働きをするためにも大切だと感じている。考えてみると、がむしゃらに働いていた30代よりも、休むようになった40代のほうが、集中して仕事をすることができ、生産性が高くなったようにも思える。



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いかにPDCAを回すか

職場の問題解決力は、いかにP(計画)D(実行)C(検証)A(修正・定着)を回すかにかかっている。先日、大学院の授業で、

どうしたらPDCAを回すことができるんですか?

という質問を受けた。けっこう難しい質問だ。個人的には、次のように考えている。

第1に、「PやDまではやるけどCやAができていない」という声を聞く。つまり「やりっぱなし」だ。何らかの「チェック→修正→定着」の仕組みが必要となる。会社によっては、異なる部門同士が定期的に視察して、相互チェックしているところもある。やりっぱなしを許さない評価システムを何らかの形で取り入れたらどうか。

第2に、楽しく改善することだ。授業に出席していた学生は「うちの会社でも業務改善を常に実施していましたけど、やればやるほど負担が増えて疲弊してしまいました」とコメントしていた。これなど、ムリ・ムダ・ムラを省くどころか、ムリを増やしている例だろう。しまむら」では「いかに楽をするか」を目的として業務改善している。人間、楽しいことはやり続けることができる。業務改善も同じだ。

第3に、成長感を感じることができるかどうか。提案制度などが数年たってマンネリ化してしまうのは「やらされ感」があるからだろう。問題を解決することを通して「自分は学んでいる」と思えるよう、改善している人に対する何らかのフィードバックが必要だ。

最後に、「仕事のやり方を進化させること=仕事」という仕事観を持たせることだろう。つまり、「PDCAを回すこと=仕事」という考え方を浸透させること。これを徹底させているのがトヨタだ。

「改善=仕事」という意識を持ちつつ、「いかに楽をするか」を考えて改善し、改善の成果をしっかり「チェック」して、「成長しているよ」というフィードバックを与えれば、PDCAが回り出す。まずは、自分の仕事についてPDCAを回し、次に自分の職場内でPDCAを回し、最後に、全社的にPDCAが回るようになれば、個人学習から組織学習へと学習のレベルも上がっていくだろう。


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具体性、独自性、現実性

今日の授業(経営学原理Ⅱ)の目標は、前回の授業で明らかにした「企業の課題」をどのように解決するか?その方向性を考えること。

まず、フィッシュボーン(魚の骨のような図)を使って「なぜ問題が生じたのか」という原因分析をする。そのあとは、解決策のアイデア出しだ。この段階では、まずアイデアの質よりも量が大事となる。まずは個人が考えて、それを発表し、みなでふくらませる作業をする。ポストイットを用意してアイデア出しに使用しているチームもあれば、紙をちぎってポストイット替わりにしているチームもある。

「自分たちで現場を調査したときの感覚を思い出してください。解決策を考えるときには3つの点が大事になります。一つは、具体的であること。イラスト・図・写真・模型などビジュアルに訴えることも大切です。二つ目は、独自性です。誰もが考えるものではなくて、皆さんのオリジナリティが感じられるアイデアを出してください。最後に、実現性です。企業が採用でき、お客さんに受け入れられる解決策を考えてください」という指示を出したが、なかなか難しい注文だ。

ほぼ1時間、学生は熱い議論を展開していた。オルゴール堂を担当しているチームを見ると、売場レイアウトをみなで考えているところもあれば、新商品を考えるチームもある。天狗山ロープウェイチームは、閑散期のイベントや天狗のキャラクター図に取り組んでいた。

最後に、全チームが黒板に「解決策の方向性を3つ」書いて全員で共有し、教員が「具体性・独自性・実現性」の観点からコメントした。「来週の授業までに、解決策に必要な材料やデータを、チーム内で分担して作ってくるように。」という説明をして授業終了。

来週はいよいよ、議論できる最後の授業だ。
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