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『うつ病九段』(読書メモ)

先崎学『うつ病九段:プロ棋士が将棋を失くした一年間』文春文庫

羽生さん世代の天才棋士、先崎学さんのうつ病記録である。

うつ病のリアルな世界が伝わってきた。

先崎さんがうつ病になってしまったのは、将棋界を盛り上げようと、棋士として戦いながら、将棋映画『3月のライオン』の監修やエッセイ執筆をして、働きすぎたことが原因らしい。

本書で一番印象に残ったのは、精神科医である先崎さんのお兄さんのアドバイス。

「うつにとって散歩は薬のようなものなんだ」(p.42)

「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。風の音や花の香り、色、そういった大自然こそうつを治す力で、足で一歩一歩それらのエネルギーを取り込むんだ!」(p. 63)

必ず安定します」(p. 136)

そして、本書を書くことを勧めたのもお兄さんである。

「学ぶが経験したことをそのまま書けばいい、本物のうつ病のことをきちんと書いた本というのは実は少ないんだ。うつっぽい、とか軽いうつの人が書いたものは多い。でも本物のうつ病というのは、まったく違うものなんだ。ごっちゃになっている。うつ病は辛い病気だが死ななければ必ず治るんだ」(p. 161)

誠実なプロフェッショナルがそばにいるということの大切さがわかった。




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信じる者には何でもできる

信じる者には何でもできる
(マルコによる福音書9章23節)

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『ディア・エヴァン・ハンセン』(映画メモ)

『ディア・エヴァン・ハンセン』(2021年、スティーブン・チョボウスキー監督)

ここ数年で一番良かった作品。

高校生のエヴァン(ベン・プラット)は、友達も少なく(一人だけいる)、自分の中にこもりがちな高校生

心療カウンセラーから、自分に宛てた手紙を書くように言われたが(一種の療法)、それをある生徒に取られてしまう。

後日、その生徒が自殺したことで、エヴァンが親友だと勘違いされる事態に・・・

自殺した生徒の両親を悲しませないため、親友のふりをしているうちに話が大きくなり、にっちもさっちもいかなくなるというストーリー。

ミュージカル仕立ての作りで、エヴァンの心のうちが歌になるところが良かった。

物語が進むにつれて、登場人物全員(自殺した生徒、両親、妹、エヴァンの母)が何らかの「闇」を抱えていて、それが交差していくところが絶妙である。

さまざまな出来事に巻き込まれ、一歩、二歩と外に踏み出すうちにエヴァンの中に生きる力が湧いてくる。

人生いろいろなことが起こるが、前を向いて乗り越えようとすれば成長できる。そう感じさせる映画だった。

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わたしたちは粘土、あなたは陶工 わたしたちは皆、あなたの御手の業

わたしたちは粘土、あなたは陶工 わたしたちは皆、あなたの御手の業
(イザヤ書64章7節)

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『老後資金なしでも幸せに生きられる』(読書メモ)

荻原博子・森永卓郎『老後資金なしでも幸せに生きられる』宝島新書

老後が気になるので読んでみた。

タイトルにある『老後資金なしでも幸せに生きられる』方法についてはあまり書かれておらず、「?」という箇所もあった。

しかし、我々の生き方に疑問を投げかけてくるメッセージもあった。

それは、森永さんによる「グローバル資本主義に絡めとられるな」という発言。

「つくづく、グローバル資本主義者は病気だと思っています。マルクスが指摘するように、「無限に終わらない価値増殖運動」を続けているのがグローバル資本主義者です」(p.21)

「人間を最もダメにしてしまうのは、そういったマニュアル的な労働です。グローバル資本主義の中で片っ端からマニュアル化されていき、労働者が機械の歯車になってしまったうえ、ノルマだけがどんどん押しつけられてきた結果でしょう」(p. 132)

これは実感できる。研究の世界でも、インパクト・ファクター(研究の影響力の指標)を巡る競争があって、そこに巻き込まれると大変である。

じゃあ、どうすればいいのか?

森永さんの答えは、トカイナカ(都会に近い郊外の町)に住み、働きながら農業をして、近隣の人と助け合いながら暮らせ、ということ。

たしかに一理あるが、他にもグローバル資本主義に縛られない生き方があるはずである。

本書を読み、そうした暮らし方を探求してみたい、と思った。
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あなたがたの内に働いて、御心のままに望ませ、行わせておられるのは神であるからです

あなたがたの内に働いて、御心のままに望ませ、行わせておられるのは神であるからです
(フィリピの新手への手紙2章13節)

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『犬部!』(映画メモ)

『犬部!』(2021年、篠原哲雄監督)

北里大学獣医学部(十和田キャンパス)における実話をもとにした映画。

楽しそうだと思って借りたら、保護犬問題を扱ったヘビーな映画だった。

一匹でも多くの犬を救いたいという熱い思いにあふれた獣医学部生・花井颯太(林遣都)と、その仲間たちが「犬部」を作り、犬の保護活動に取り組む物語。

大学時代と獣医になってからのエピソードが交互に映し出される構成となっている。

とにかく熱い颯太もよかったが、殺処分される犬をなくすことを目指して保健所に勤め、心を病んでしまう涼介(中川大志)の演技が切なすぎる。

改めて、ペットを捨てる人たちの無責任さに憤りを感じるとともに、そうした犬や猫を救おうとする人たちの愛とプロフェッショナリズムに感銘を受けた。

ミッションを遂行するときには、思いを共有する仲間が欠かせない。そのことが伝わってくる映画である。
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主よ、あなたの道を教えてください

主よ、あなたの道を教えてください
(詩編86章11節)

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『拝啓、本が売れません』(読書メモ)

額賀澪『拝啓、本が売れません』文春文庫

小説家の額賀澪さんが、「どうしたら本が売れるのか?」を知るために、累計六千万部の本を売った編集者、知る人ぞ知るスーパー書店員、Webコンサルタント、映像プロデューサー、装幀デザイナーに取材するという本。

取材を通して

・デフォルトの読者に届けるために書く
・自分が面白いと思うことを全力で書く
・Webサイトを立ち上げオリジナルコンテンツを提供する
・素敵なカバーを作る


といった学びを得ていくのだが、額賀さんがたどり着いた結論は

「私は《売れる本》が書きたいんじゃない。自分が「面白い!」と思った本を、売りたいんだ」(p. 158-159)

シンプルだけど深い教訓である。

本だけではなく、いろいろなモノを売るときの本質だと思った。
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