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感動したいから

お嫁さんにしたい女優No.1にも選ばれたことのある市毛良枝さんは、人前に立つのが苦手なため、苦しみながら女優を続けていたらしい。

しかし、最近、あることがきっかけで「なぜ自分が芝居をしているのか」がわかったという。

そのきっかけとは「山」である。

40歳の頃、山登りをするようになって、本来の自分を取り戻せる場所を見つけたことで、精神的なゆとりができたという市毛さん。「どうして私は山に登りたいんだろう?」と考えたとき「感動したいから」ということに気づく。

市毛さんは次のように語っている。

「崖に咲いている小さな花に感動したり、頂上が間近に迫って心躍ったり・・・・。そうした感動は実は芝居や映画を通して得る感動と変わらないものだったんですよね。ずっとかけ離れていた山登りと俳優の仕事が私の中でリンクした瞬間でした。」

俳優を初めて40年が過ぎようとしている現在、市毛さんは「この仕事を最後までまっとうしたい」と決意を新たにする。

私たちも、「自分はなんでこんなことしているのだろう」という疑問を抱きながら生活していることが多いが、その理由は後になってわかるものかもしれない。

出所:ビッグイシュー日本版167号(2011.5.15), p.3.

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『死ぬ瞬間』(読書メモ)

エリザベス・キューブラー・ロス(鈴木晶訳)『死ぬ瞬間:死とその過程について』中公文庫

ターミナルケア(末期医療)の分野で有名な本だが、読むまでに長い時間がかかった。内容がへビーなため、通勤の途中で少しずつ読んだからである。

出版されたのは1969年。40年以上たった今も読み継がれている名著だ。

私たちは必ず死ぬが、「死」について語ることを避ける傾向にある。それは、日々、死を見ながら働いている医療人も同じらしい。

著者は、死に直面した200人以上の患者へインタビューを行い、あることを発見した。それは、人が死を自覚してから亡くなるまでの間に、次の5つの段階を踏む、ということである。

1)否認
2)怒り
3)取り引き
4)抑鬱
5)受容


まず、不治の病であると告知されると「そんなはずはない」と信じようとしない。次に「なぜ自分なのか?」と自分以外の人間や神に怒りを覚える。その後、「良いことを行うから治してほしい」と神と取引をする。そして、抑鬱状態を経て、死を受け入れる。

なお、この五つのステップを踏む間、ほぼすべての患者が「希望」を持ち続けるという。何の希望か?それは、新しい薬が開発される希望、奇跡が起こる希望、「実は自分の検査結果が実は他人のものだった」という希望である。

この希望があるからこそ、人は死の恐怖に耐えることができる。

本書を読んで感じたことは、死について患者とオープンに話し合い、患者の気持ちを聞くこと自体が、心に平安をもたらす効果があるということ。

この本の中には、死に直面した患者との対話が多数収録されているが、彼らの声が最も雄弁に「死と生」について語ってくれる。
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日が暮れるまで怒ったままでいてはいけません

日が暮れるまで怒ったままでいてはいけません
(エペソ人への手紙4章26節)
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読書メモ『自伝大木金太郎』

大木金太郎(太刀川正樹訳)『自伝大木金太郎:伝説のパッチギ王・大木金太郎』講談社+α文庫

力道山にあこがれ、韓国から密入国してプロセスラーになった金一(キム・イル)は、大木金太郎として、プロレスのスターとなる。得意技は、頭突き(パッチギ)。僕も小さいとき、テレビで頭突きをしまくっていた大木金太郎の姿を覚えている。

入門当初、北朝鮮出身の力道山から「皆と同じことをやっていては、お前は日本で出世できない。お前は韓国人だから頭突きをやれ。それがお前の生きる道だ。」と言われ、ひたすら頭突きを鍛え上げた大木さん。

人気スターとなって再び韓国に帰り、母国のヒーローとなる。しかし、晩年は、頭突きによる後遺症に悩まされ、長い病院暮らしの末に亡くなる。ちなみに、この自伝は、韓国のスポーツ紙に掲載されたものの翻訳である。

「密入国→力道山道場での地獄の特訓→スター街道まっしぐら→韓国での活躍→没落」というドラマティックな人生を歩む大木さんだが、「オレは元祖韓流スターだ」と豪語する茶目っけがかわいい。

「大木金太郎といえば頭突き」というオリジナリティと、それによって人々に勇気と感動を与えた大木さんの人生が輝いて見えた。

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優れた指導の条件

低迷していたポーラの訪問販売が復調しているという。そのカギは、全国4500店ある営業所を指導するFC(フィールドワウンセラー)の仕事の仕方を変革したこと。

180人のFCのうち、優れたFCのノウハウをマニュアルにまとめ共有化した。優れたFCはどのような指導をしていたのか?ポイントは3点あった。

第一に、現実的な目標数値を設定するよう指導していたこと。

第二に、販売管理システムを活用し、データを駆使していたこと。

第三に、指導内容が具体的であること。例えば「昨年買ったAさんがまだ購入していないので、Aさんに営業しましょう」という具合に。

「現実的な目標、データの活用、具体的な指導」。これは営業に限らず、効果的な指導の条件であるような気がした。

出所:日経流通新聞2011年6月15日


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わが魂よ、力強く進め

わが魂よ、力強く進め
(士師記5章21節)

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『花と龍』(読書メモ)

火野葦平『花と龍(上・下)』岩波現代文庫

花と龍」という題名に惹きつけられ買ってみた。

小説かと思ったが、作者・火野葦平(本名、玉井勝則)のお父さんとお母さんの半生を記した書だった。ホントに実話?と疑いたくなるほどエキサイティングなストーリーである。

ちなみに「花と龍」とは、お父さん玉井金五郎の腕に彫られた刺青の文様。龍は金五郎を、花は奥さんのマンを表している。刺青を入れているといっても、金五郎はヤクザではない。北九州・若松港において、船の荷上げ・荷降ろしを担う沖仲仕をまとめる玉井組・組長である。

腕っ節は強いが、暴力を嫌い、正義を貫く金五郎と、気は強いが心やさしいマンが結ばれ、若松地域の暴力団と戦うことになる。誠実で強い夫婦の生きざまが描かれている。

ストーリーの面白さに加え、火野葦平の文章が魅力的だ。簡潔だが気品のある文章。講談調になる一歩手前で抑えられており、グイグイと引き込まれた。

私たちの日常生活はここまでドラマティックではないけれど、さまざまな誘惑や横暴に負けずに誠実に生きることは大変である。ときに道をふみはずしそうになりながらも、なんとか真っすぐに生きようとする金五郎とマンの歩みに励まされる。

ただ、本書を読み終えた後で、作者・火野葦平が自殺したことがわかった。ここまで懸命に生きた父母の生を受け継いだ作者が、自ら命を絶ったことを知り残念に思った。

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ビッグイシュー

先日、はじめて「ビッグイシュー日本版」を買った。

今まで興味はあったものの、躊躇して買えなかったのだが、読んでみてびっくりしたのはクオリティの高さ。

特集だけでなく、スペシャルインタビュー、小さなインタビュー、投書欄にいたるまで、ひと味違うこだわりの内容であった。

印象に残ったコーナーは「ホームレス人生相談」。読者の悩みに、販売員の方々がアドバイスするという内容だ。

「就職活動の面接でどうしても緊張してしまう」という大学4年生の悩みへのアドバイスは、適切かつ心温まるものだった。

また買ってみよう、と思った。


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天から与えられなければ

天から与えられなければ、人は何も受けることができない
(ヨハネによる福音書3章27節)

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ハートを持って仕事をする

山崎洋祐さんは、時計・宝石「ハナブサ」に勤務する一級時計修理技能士である。

あるとき、女性が「今だけでもいいから、動かしてください」と旅行用の古いタイプの目覚まし時計を持ってきた。

作業中、修理の様子をじっと見つめる女性。その時計は、ご主人が山で遭難したときの遺品だったらしい。

山崎さんはその時のことを振り返る。

「なんとか動きだして、アラームも鳴るようになってね、その方は涙を流して走るように帰られたんです。その時、思いましたね。どんなことも真剣に向き合わんと、大変なことになるわって。思い出の品を壊してしまったら、弁償もできません。とにかく、ハートを持って仕事しようって。」

これを聞いて、東京日産自動車販売・社長である林文子さんの「心をつかって仕事をしていますか」という言葉を思い出した。

出所:翼の王国No.504, June 2011, p.109(おべんとうの時間).


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