goo

堅実な市民

ハーバードビジネススクールの教授であるデロングらが書いたメンタリングに関する論文の中に興味深い箇所があった。

「現代の典型的なプロフェッショナル・サービス会社で、Aクラスといえる人材が占める割合は20%にすぎない。Cクラス人材の割合も10%程度だから、残る70%はBクラスということになる。この大集団を、我々は「堅実な市民(ソリッド・シチズン)と呼んでいる。一流企業でも、組織の中核はBクラス人材にある。彼ら彼女らが凡庸だと、組織も凡庸に終わる。逆になかなかのやり手だと、組織もそうなる。Aクラス人材は相対的に少数であるため、いかに優秀であろうと、Bクラス人材の不足を埋め合わせることは不可能である。」(邦訳63ページ)

組織を支えているのは7割を占める中堅クラスのメンバー、ということだ。そして、デロングらは、Aクラス社員だけでなく、Bクラス社員に対してもメンタリングすべきである、と主張する。

面白かったのは「Aクラス社員はかまってほしがる人材が多いためメンタリングに時間がかかるが、Bクラス社員はあまり手がかからない。eメールを送ったり、挨拶の言葉をかけることが効果的である」という点。

メンタリングというと面倒くさく時間がかかるように思えるが、ちょっとした言葉がけが大切であることがわかる。自分を振り返ってみても、管理職や年長の先生方とすれ違うときに声をかけてもらえるとうれしいものだ。「あなたを応援していますよ」という気持ちを伝えることが大切なのだろう。

出所:DeLong, T.J., Babarro, J.J., and Lees, R.J.「プロフェッショナルのやる気を引き出すメンタリングの原点」Diamond Harvard Business Review, March 2008, 56-68.
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )