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当たり前のことができる雰囲気

今年の夏の甲子園で優勝した日大三高の生徒たちは、毎朝の散歩のときにゴミを拾っていたため、町内会から感謝状をもらったという。これは監督が指示したことではないらしい。

日大三高の監督はこうした雰囲気を作っていくことが最も大事であると指摘する。

「挨拶をしっかりとする。練習では手を抜かない。苦しいことから逃げ出さない。先輩が後輩をいじめない。どれを取っても当たり前のことです。それを当り前にできるチームが強くなるんですよ。」

当たり前のことができる雰囲気を作ることの大切さと難しさを感じた。

出所:日経ビジネス2011年9月26日号、p.122.

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『楢山節考』(読書メモ)

深沢七郎『楢山節考』新潮文庫

笛吹川が面白かったので、深沢七郎の代表作『楢山節考』を読んだ。

この作品は、第1回中央公論新人賞を受賞したのであるが、その時の選考員である正宗白鳥が「人生永遠の書」として絶賛したらしい。

ストーリーは、誰もが知っている「姥捨て山」。僕が小学校のとき、クラスでこの劇を上演したので深く覚えている。

食糧が極端に少ない山間の村では、70歳を超えると「楢山まいり」に行かなくてはならない。主人公のおりんは「楢山まいり」を人生のフィナーレとして明るくとらえている。しかし、楢山に行かせたくない息子・辰平は悩む。

一方、村の中には、はやく親を厄介払いしたい息子と、楢山まいりを拒むおじいさんもいる。

よく考えてみると、現代においても姥捨ては存在する。ただし、そこに向かう家族は、この小説と同じように「明と暗」に分かれるような気がした。家族の在り方が、最後のときによく表われるのだろう。

いかに生きるか」は「いかに死ぬか」と表裏一体である。正宗白鳥が「人生永遠の書」と評したことが実感できた。

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主が良いと思うことを

主が良いと思うことを行ってくださるように
(歴代誌上19章13節)

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無我夢中と冷静さ

先日紹介した『オーケストラの職人たち』の中で、世界トップクラスのオーケストラであるウィーン・フィルハーモニーについて、おもしろいことが書いてあった。

ウィーン・フィルの本拠地はウィーン。そこでは、温かく見守ってくれる会員がいて、定期演奏会のときには、家族的な雰囲気の中で、楽団員はのびのびと演奏することができるという。いわば、サッカーでいう「ホーム」だ。

これに対し、ヨーロッパの他国に行くと状況は一変する。ヨーロッパ各国には一流のオーケストラが存在するため、他の国で演奏するときには、シビアに評価されるらしい。つまり「アウェイ」状態である。

指揮者の岩城さんが、ドイツのハンブルクで開かれたウィーン・フィルの演奏会を聴きにいったときのことを次のように振り返っている。

「さすがにハンブルクでは、客席の中に知り合いを見つけることなんかできないらしいから、コチコチではないけれど、真面目そのものの集団だった。プログラムの最後の「運命」では、あんなに無我夢中に”気が狂ったように”、われを忘れて演奏している彼らを見たことがなかった。演奏家は、オーケストラでも独奏者でも、本番である程度の冷静さを維持していないと、ときには目茶苦茶になってしまうものである。つまり、無我夢中と、冷静な客観性のバランスが、よい演奏の鍵を握る。」(p.233)

ウォームハートとクールヘッドの両方が大事であることはよく言われるが、岩城さんが言うように、「無我夢中」と「冷静さ」のどちらが欠けても、良い仕事ができないような気がする。

いかに自分をこの状態に持っていけるか。良い仕事をするポイントがそこにあるような気がした。

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『オーケストラの職人たち』(読書メモ)

岩城宏之『オーケストラの職人たち』文春文庫

指揮者の岩城宏之さんといえば、30年以上前にやっていたCM「違いのわかる男」(ネスカフェ・ゴールドブレンド)を思い出す。

その岩城さんが、オーケストラを支える裏方の人々の働きを紹介したのが本書。

楽器を運ぶ運送屋さん、作曲家が書いた楽譜を清書する写譜屋(シャフヤ)さん、ピアノの調律師さん、音楽会のチラシ屋さんなどなど。岩城さんは、一日アルバイトをしてみたり、突撃インタビューをしたりして、取材を続ける。

クラッシック音楽を愛し、自分の仕事に誇りを持っているプロフェッショナルな気持ちが伝わってきた。

一番印象に残ったのは、最後にチラッと出てくる「もぎりのおばさん」。

高校生の頃から日比谷公会堂に通いクラッシックコンサートを聞いてた岩城さんだが、時に値段が高すぎたり、売り切れになり、会場に入れなかったことがあったらしい。岩城さんは回想する。

「なんとか聴きたくて、会場の入り口でウロウロしていたものだ。もぎりのおばさんたちは、いつも同じ顔ぶれで、キリッとした勝気らしい小柄の人と、小太りのノンキそうな人だった。キリッとしたおばさんが、もぎりを忙しくやりながら、小声で、「いいから、そっと入んなよ」と、背中の後ろから入れてくれた。ずっと後になってから名前を知った。石井さんだった。そして、ぼくと同世代の多くの音楽家―黛敏郎さんや武満徹さんたちが、まだ音楽家のタマゴの頃、何度も石井のおばさんに感謝したことを知った。「この子はモノになる。勉強させてやろう」おばさんの直感である。」(p.266-267)

これからという若い人を励ますことの大切さを感じた。また、いろいろな人に支えられながら働いていることを忘れがちであることに気づいた。


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だれでも高ぶる者は低くされ

だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる
(マタイによる福音書23章12節)

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不器用さを武器にする

お笑い芸人の狩野英孝さんは、東北出身。若手の頃は、きまじめな性格のため、何事もみっちりと準備するが、すべって会場の空気が凍ってしまうことが多かったという。

狩野さんはいう。

「簡単に笑いをとっているかのように見える関西出身の芸人さんと比べ、東北人の自分はこの世界に向かないのかなと考えたこともありましたね。」

では、今はどうなのか?

「今も以前と大きく変わったわけじゃないんです。今でもすべってばかりだし、慎重に構えすぎて一言もしゃべらないうちに番組が終わってしまったなんてこともあります。でも、一つ変わったのは、コンプレックスをプラスに考えられるようになったこと。シャイな自分はお笑いに向かないんじゃないかと思ったこともあったけど、きまじめなところとか不器用なところが、個性になって光ることもあるんだとわかったんです。」

器用な人がもてはやされる今の時代に、不器用さを武器にするという発想がすごいと思った。たしかに、何かに秀でた人の話を聞くと「自分は不器用ですから」という言葉を聞くことが多い。

「不器用さ」「ひたむきさ」を突き詰めていくと、自分にしかできない仕事が見えてくるのかもしれない。

出所:ビッグイシュー日本版174号(2011.9.1), p.3.


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『笛吹川』(読書メモ)

深沢七郎『笛吹川』講談社文芸文庫

『楢山節考』で有名な深沢七郎の小説である。異様な迫力に圧倒された。

時代は武田信玄・勝頼が活躍した戦国時代。武田家の領内を流れる笛吹川のほとりにある、ギッチョン籠(かご)と呼ばれるアバラ屋に住む農民たちが主人公。

この当時は、農民であってもお屋形様(殿様)のいくさで活躍すると武士にとり立てられる可能性があった時代である。だから、出世したい若者は戦に行く。

ギッチョン籠の息子たちもいくさに参加するが、武田家の没落とともに殺されてしまう。裕福な商家に嫁いだ娘も、一時は羽振りがよいが、やがて武田家に憎まれて殺される。しかし、「戦には行くな」という言いつけを守った者だけが生き残る

いくさに行った息子(惣蔵)は言う。

「この土地のものは、みんなお屋形様のおかげだ

これを聞いた親父(定平)はびっくりして心の中で叫ぶ。

「お屋形様には先祖代々恨みはあっても恩はないのである。先祖のおじいは殺されたし、女親のミツ一家は皆殺しのようにされてしまい、ノオテンキの半蔵もお屋形様に殺されたようなものである。」(p.204)

名誉や金にこだわった者は悲惨な末路をたどり、自分なりの生活を守り抜いた者は生き続ける。

なんだか、昔も今も同じだな、と思った。

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安らかに信頼していることにこそ力がある

安らかに信頼していることにこそ力がある
(イザヤ書30章15節)

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現場という訓練の場

トヨタ自動車会長の張富士夫氏は、人を育てることについて次のように述べている。

「人を育てるには何よりも実践が大切です。私もそうでしたが、若い人にはまず簡単な仕事をやらせます。大切なのは結果だけを教え、手段は自分で考えさせることです。自分で工夫し、うまくいったら本人もうれしいものです。そして、順序を踏んで難しい仕事をやらせます。こうすれば必ず人は育ちます。それには現場という訓練の場が必要です。手元に現場を残さなければ、長期的に失うものがとても多いと危惧しています。」

人が育つには「現場」という訓練の場が必要になる。これは製造業に限ったことではない。

今、育て上手の小売店長さんの調査をしているが、彼らも「人を育てるには、売り場において考えさせることが大事」と強調していた。

働いている人はそれぞれの「現場」を持っているが、その「現場」を意識し、現場で考え抜くことは、成長にとって欠かせないことだと思った。

いかに「現場における学びの質」を高められるか。これが組織の成長を左右する鍵になると感じた。

出所:日経ビジネス2011年8月29日号138ページ
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