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『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(映画メモ)

『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(2015年、ジャン=マルク・バレ監督)

ボクシング映画『サウスポー』の主演男優ジェイク・ギレンホール主演の作品。

はっきり言って、この映画は「詩」である。

原題は「Demolition(破壊・解体・破滅)」なので、邦題に無理があると感じたが、観終わった後、邦題も悪くないなと思った。

同乗していた車の事故で、妻を亡し、自分は無傷だったデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)が、事故後に心を病みつつ、復活するまでを描いた作品。

正直言って、途中で観るのを止めようと思ったけれども、観てよかった。

本作は、複数のメッセージが折り重なっていて、とても深い。

前半は、「ちょっとヤバイんじゃない?」と思う展開なのだが、後半は「心にズシーン」とくるものがある。

この映画は、おススメである。
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ロスト・イン・マンハッタン(映画メモ)

『ロスト・イン・マンハッタン』( 2014年、オーレン・ムーヴァーマン監督)

なんと、あのリチャード・ギアがホームレス役

舞台はニューヨークのマンハッタン。女友達の家に居候していたジョージ(リチャード・ギア)は、彼女がいなくなったためアパートを追い出されてしまう。

プライドが高かったジョージも、徐々に本格的なホームレス状態に陥り、シェルター(保護施設)に入居することに。昔、見捨てた一人娘のところを訪ねても相手にされず「もう来ないで」状態

一番驚いたのは、ホームレス役を完璧に演じているリチャード・ギア。

街でお金を恵んでもらい、そのお金でビールを飲む場面(プシュ、クハーッ)が印象的である。

マンハッタンをさまようジョージの姿が淡々と描かれているのだが、哀愁が漂っていて、なかなか渋い映画だった。

うっすらと希望を感じさせるラストシーンも良かった。

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経営会議のオープン化と助言収集

企業向けにソフトウェアを開発しているサイボウズでは、経営会議(オンライン)に全社員が参加できることに加え、議事録や録画映像も公開されている。

なぜか?

「情報をオープンにしたほうが、一人ひとりの納得度が上がって成果につながる」と考えているからである。

社長の青野慶久氏は「全員が同じ情報を持っていることが、皆が平等に意見を表明したり、議論に参加するために重要なんです」と語っている。

さらに面白いのは、「助言収集アプリ」を通して、社員が議題に対する意見やアイデアを出せること。

具体的には、「賛成」「反対」「積極的に議論に参加したい」など自分の立場を選択したうえで、意見を書き込む仕組みである。

こうした試みの裏には「社員のわがままは仕事や職場をよりよくする変化の種である」「提案や意見を表明することが不利にならないようにする体制づくりを心掛けている」という青野社長の考えがある。

何でも言える風土はイノベーションの土台となるといわれているが、助言収集アプリは才能のある社員の発掘にもつながると思った。

出所:https://hybridwork.cybozu.co.jp/articles/management-meeting/
Works Report 2023, p. 34-35.
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労働力不足の原因

労働経済学を専門とする一橋大学教授の神林先生によれば、人口が減少しても、すぐに労働力人口が減るわけではないという。

むしろ、労働力人口は、戦後から緩やかに増え続けているらしい。

では、企業が人手不足を感じるのはなぜか?

先生はいう。

「単純化すれば、企業が人手不足だという一因は、労働者が希望する賃金を提示できない、必要だと思っている人材が見つからないことにあります。労働市場全体で人が不足しているというよりも、企業のミクロレベルで足りないと感じる、ともいえます」(p. 10)

賃金を含めて「働きたくなるような条件の提示」が必要になるという。

高い賃金を払えない企業としては、「働きがいのある職場づくり」や「少ない人員で生産性を上げる工夫」が重要になる、と感じた。

出所:Works No.177 (2023.4-5), p. 10-11.

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人への投資と時間的視野

2022年5月10日の日本経済新聞「経済教室」にて、慶應義塾大学の鶴光太郎先生は次のように述べている。

「労働者によってのメリットは企業にとってコストでしかないという対立関係・常識が、急速に陳腐化してきている。企業の生産性向上の源泉が物的資産から無形資産を含む広い意味での人が生み出す資産に移り変わっていることも、その背景の一つであろう」

そして、鶴先生が提唱するのが、「従業員のウェルビーイングの向上」「社会的課題への貢献」「企業価値向上」の3つが両立し、補完関係を生む「ステークホルダー資本主義2.0」である。

ただし、この関係が成立するためには、企業の時間的な視野が重要になるという。なぜなら、従業員への投資はその時点では企業のコストになるが、ある程度の時間が経過すると、従業員のスキルやパフォーマンスに反映され、企業の利益に結び付くからである。

長期的視点を持てるかどうかが鍵となるが、目先の利益が得られないと企業がもたないのも事実である。

人へ投資する際、短期的利益と長期的利益の両方を考えておく必要がある、と思った。

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オンライン雑談

テレワークが広まると、何気ない雑談の機会が少なくなる。そうなると、コミュニケーションの基盤となる「相互理解」が低下してしまう。

注目したいのは、テレワークの中に、あえて雑談を取り入れる試み。

例えば、テレワークによって生産性を向上させることに成功した日立製作所のケース。

某マネジャーは、毎週月曜日の午後1時から部下5人とオンライン会議を開くらしいが、「前半30分は雑談に充て、後半30分で打ち合わせ」をしているらしい(日本経済新聞2021.1.17)。

また、クラフトビール大手のヤッホーブルーイングでは、朝礼にて、休日の出来事や趣味などを自由にチームで話し合う「雑談朝礼」を取り入れているという(日本経済新聞2022.2.21)。

進捗確認やディスカッションに入る前に、「オンライン雑談」を10分でも取り入れれば、テレワークの孤独感が減り、メンバー相互の理解が深まるだろう。

ちなみに僕のゼミでも、オンライン・対面にかかわらず、授業を始める前に、3~4名のグループを作り「最近あったちょっと嬉しかったこと」を話してから(10分程度)、本格的なプレゼンやディスカッションを行う。そうすると、お互いを知ることができ、激しい議論をしても後に引かないという効果がある。

意識的に雑談を取り入れることで、チームワークを向上させることができるような気がする。
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『実践共同体の学習』(読書メモ)

松本雄一『実践共同体の学習』白桃書房

我が国における学習論の第一人者である松本雄一先生による研究書である。
(本書は、日本経営学会賞を受賞している)

ところで、実践共同体とは何か?

松本先生によれば「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」だという(p. 7)

簡単に言うと「学びのコミュニティ」である。

本書では、「自治体マイスター制度」、「陶磁器産地」、「教育サービス会社」、「介護施設における学習療法」に関する事例が分析されており、どれも興味深い。

上記の教育サービス会社とは「くもん」でおなじみの公文教育研究会であり、最後の事例は、その「くもん」が提唱する「学習療法(高齢者の認知症予防のためのプログラム)」を導入した介護施設に関するものである。

最も印象に残ったのは、「介護施設における学習療法」の事例。

ちなみに、学習療法とは「音読や簡単な計算によって脳機能を活性化することで、認知症の予防や改善につなげる非薬物療法」を指し(p. 228)、「くもん学習療法センター」がサービスを提供している。

このセンターに加入した介護施設の職員は、次の4つの実践共同体を通して学習療法について学ぶ。

①月に一度、施設内で、学習療法の実践の様子を報告・共有する「月次検討会」
他施設と交流する「施設見学会」
地域・都道府県単位で事例を報告し交流を図る「事例研究会」
④年1回全国の施設が事例を発表し交流する「学習療法シンポジウム」

つまり、実践共同体が、①施設内、②施設間、③地域間、④全国にまたがっており、これらが重なり合って、職員が「重層的」に学習するしくみになっているのだ。

面白いのは、②や③で他施設と交流した職員が、「学習療法」について学ぶだけでなく、「介護のあり方」や「自分たちの施設の特徴」に気づくところ。松本先生は、これを「二次的意義」と呼んでいる。

要は、越境しながら新しいことを学ぶ過程で、「本業の意味や意義」に気づくわけだ。

本書を読み、「越境学習(領域を超えた学習)」の重要性を感じた。






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テレワークと評価・コミュニケーション不安

パーソル総合研究所が実施したテレワーカー1000名に対する調査によれば、「評価不安」と「コミュニケーション不安」が高かったという。

具体的には、次のような内容だ。

評価不安
「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安だ」38.4%
「上司から公平・公正に評価してもらえるか不安だ」34.9%

コミュニケーション不安
「非対面のやりとりは、相手の気持ちが察しにくく不安だ」39.5%
「相談しにくいと思われていないか不安だ」33.3%

同研究所の青山さんによれば、こうした不安を解消するために、「上司の観察力(部下に関する情報を把握するスキル)を高めること」と「業務進捗・ジョブアサインの透明性を高めること」が大事になるという。

経験する→振り返る→教訓を引き出す→応用する」という経験学習サイクルをしっかり回す工夫をすることで、上司の観察力や業務進捗の透明性が高まるのではないか、と思った。

出所:青山茜「まだれテレワーク職場で発生する評価不安とその解消法」HITO vol.16, p.44-46.
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「困った」やる気

日経新聞(2020年10月31日)の「なやみのとびら」に、「51歳の会社員です。その気がなかった管理職への昇進を伝えられました。断れないので頑張りたいとは思うのですが…。どのようにモチベーションを上げればいいでしょうか?」という相談が寄せられていた。

これに対し、回答者の石田衣良さんは「やる気がないくらいで十分」という答えをしている。

なぜか?

それは、石田さんが広告会社で働いていた頃、やる気はあるが「困った上司」がいたからである。

「業務上の能力や人望が決定的に欠けるのに、やる気だけは抜群に豊富という地獄のような組み合わせです。この手の上司(決してすくなくはなかった!)は、無能さを気合とやる気で埋め合わせ、部下にも実際の業務処理能力より、仕事に対するやる気と献身を求めてくる。いやはやうざくてたまりませんでした」

うーん、暑苦しい。確かに、こういう人はイヤかも。

「その類の熱い上司は上級者に向かって自分のやる気をアピールするのも得意な人が多かった。上と下への態度を使い分け、すぐに強い者に尻尾を振るので、部下からすると信頼関係を築くのがはなはだしく困難なのです」

フーム、もっとイヤかも。

たぶん、「自分の業績を上げよう」というやる気は高いのだが、「部下を育てようとか、信頼関係で結ばれたチームを築くというやる気」は低いのだろう。

人を管理職にするときには「何に対してやる気を持っているか」を見極める必要がある、と思った。



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1on1ミーティングの効果

マイクロソフト社がリモートワークをしている社員を対象に実施した調査によれば、マネジャーに多くのしわ寄せが来ているという。

ただし、マネジャーと「1対1のミーティング」を実施した社員は、在宅勤務時間の増加が少なかったらしい。

これは、マネジャーによる支援によって、部下の仕事がしやすくなっていることを示している。

ミーティングを実施するマネジャーは大変だが、いわゆる「1on1ミーティング」には、部下の仕事効率を向上させる効果がある、といえそうだ。

出所:「マイクロソフトのデータが示す在宅勤務の課題」Dimamond Harvard Business Review, 2020年11月号、p. 44-51.
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