goo

変えるべきもの、変えるべきでないもの

変革」という言葉には、「良い響き」がある。しかし、変革にも、良い変革と悪い変革がある。悪い変革とは、組織にとって大切な理念や能力など、変えるべきでないものを変えてしまうことである。

白洲次郎について書かれた金井壽宏先生の記事(「変革が叫ばれる時こそ原理原則を守り抜くリーダーシップが重みを増す:白洲次郎」商工にっぽん2008.12, p40-43)を読み、「変えるべきものと、変えるべきでないものを識別する」ことの重要さに気づかされた。

原理原則を守り生き抜いた白洲次郎もすばらしいと思ったが、印象に残ったのは金井先生が引用している次の文章。アメリカの神学者ラインホールド・ニーバーが書いた祈りの一節である。

「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。」

組織の学習でも、個人の学習でも、「変えるべきものと、変えるべきでないもの」を見分ける力が大切になると思った。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

わたしはあなたの祈りを聞いた

『わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの涙も見た。見よ。わたしはあなたをいやす。』
(列王記Ⅱ20章5節)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『さとしわかるか』(読書メモ)

福島令子『さとしわかるか』朝日新聞出版

本屋を歩いていたら、この本のタイトルが飛び込んできた。タイトルにインパクトがあると、つい買ってしまう。

本書は、9歳で失明し、18歳で聴覚を失った福島智氏のお母さんが綴った闘病記である。ヘレンケラーと同じ状態でありながら、昨年十月、福島智氏は東京大学先端科学技術研究センターの教授に就任している。

ちなみに、智氏が執筆した博士論文のタイトルは『福島智における視覚・聴覚の喪失と『指点字』を用いたコミュニケーション再構築の過程に関する研究』である。自分を題材に研究しているところがすごい。誰にも真似できないオリジナリティがある。

この本には、さまざまな苦難に見舞われ、苦しみながらも、明るく立ち向かう母子の姿が描かれている。智氏による次の言葉が心に残った。

「本当の神があるのなら、苦しめてばかりもいない。僕をこのようにしたからには、何か大きな意味があって、僕に何かを託しておられるのではないかと思えてならない。」

この箇所を読んで、「未来を信ずることができた人のみが、収容所の中で生き残ることができた」というフランクルの言葉を思い出した。

その希望を育んだのは、母令子さんの愛である。

視覚と聴覚を失い、盲ろう者になった智氏に対し、点字のタイプライターを打つ要領で、令子さんが智氏の指をたたいた次の箇所は感動的だ。

「「さ と し わ か る か
智は即座に、「ああ、分かるで」と答えた。」

「指点字」が発明され、盲ろう者の方々に、コミュニケーションの道が開かれた瞬間である。やはり、福島母子の闘病には、大きな意味があったのである。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

需要と供給のマネジメント

サービス企業にとって、二つの大きな問題がある。

一つは、お客さんがたくさん来てさばききれずに、サービスのクオリティが低くなったり、顧客を逃してしまうこと。もう一つは、お客さんが少なくて低稼働のガラガラ状態になり、生産性が低下することである。

このような状況に対応するには、次の3つの能力が必要となる。

・需要を予測する力
・需要を平準化する力
・柔軟な供給体制をとる力

昨日の授業では、需要と供給をマネジメントしている事例を考えてもらった。演習で出てきたのは次のような例。

・ピーク時とオフピーク時の需要を予測する航空会社
・昼間の料金を割り引いて顧客を吸引するバス会社
・時間限定のクーポンを発行するマクドナルド
・深夜帯で割引する映画のレイトショー

ちなみに、以前このブログでも紹介したシーガイヤを運営するフェニックスリゾートでは、忙しい土日には12時間働き、平日は4時間勤務というシフトをとると同時に、勤務経験のある主婦・学生・退職者を「助っ人」として登録しておいて、ピーク時に支援してもらうという柔軟な体制をとっている。これなどは、需要に応じて供給体制を組んでいる優れた事例といえるだろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

集中モードと対話モード

役員や社長が個室に入らず、皆とワイワイ、がやがやと自由に議論しながら仕事をするスタイルを「ワイガヤ」と言う。

このワイガヤについて、吉越浩一郎氏が、日経ビジネス(2009.6.22, p148)に興味深いエッセイを書いておられた。

氏いわく、ワイガヤの多くは「ミッションが不明確で権限委譲がなされていない、けじめのない職場」であるという。だから、自分の仕事に集中せず、常に上司にお伺いを立てることになる。

吉越氏が理想とする職場は、「管理職が社員に明確なミッションと締め切りを与えるが、仕事の方法論は任せ」「全員が一心不乱に自分の業務に打ち込んでいる、張りつめた空気のある職場」である。

とても共感ができる考え方だ。

ただ、仕事には「集中モード」と「対話モード」があるような気がする。「明確なミッション、締切、権限委譲」という条件のもと、自分のあらん限りの力を振り絞り集中して仕事をする。これが集中モードである。

しかし、ずっと一人きりだと煮詰まってしまう。自分のアイデアを他者に聞いてもらい、議論することは、アイデアを練る上で重要だ。これが「対話モード」である。

吉越氏は、集中モードがない職場の問題点を指摘しているのだろう。企業によっては、基本的にはオープンスペースにしながら、集中して仕事ができる部屋やコーナーを作り、集中モードで仕事をする場所を確保しているようだ。

集中モードと対話モードのバランスは、個人が仕事をする上でも大切になる。ちなみに、僕が集中できるのは、新幹線や飛行機で移動している途中である。最近は出張が多いが、生産性は高くなっているような気がする。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

勇敢でありなさい

『あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。』
(ヨハネの福音書16章33節)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『学ぶ力』(読書メモ)

河合隼雄・工藤直子・佐伯胖・森毅・工藤左千夫『学ぶ力』岩波書店

この本は、2003年11月16日に小樽で行われた「絵本・児童文学研究センター主催第8回文化セミナーの記録である。

「学ぶ」とは何かをテーマにした講演や討論を記録したものだが、いろいろと触発されるところが多かった。特に記憶に残ったのは次の2点。

まず、数学者の森毅さんが、「森流「学び」術のすすめ」という講演の最後におっしゃっていた次の言葉。

「だいたいムリとムダとムラをなくそうというのは効率主義者のスローガンで、僕のような快楽主義者のスローガンは、ムリとムダとムラを楽しみましょう、ということです。ときにはムリしたほうがええんです。学力なしで何かやってみたりする。将来役に立たんけどおもろいでとムダをやったほうがいいんです。全部満遍なくやらんでも、人それぞれムラがあってええ。ムリとムダとムラを生かしましょうというのがスローガンです。」

「ムリ、ムダ、ムラ」をなくせというのが業務改善の基本だが、確かに個人の人生の中でも「ムリ、ムダ、ムラ」をなくしたらチョッと怖い気がした。ムリ、ムダ、ムラを楽しむことが、人生の幅を広くするのかもしれない。

二つめは、児童文学者の工藤左千夫さんの論文の中にあった次の文章。

「教育もしくは児童文化なるものの発祥は、古代のギリシャまで遡る。当時の教育的目的は、パイディア(教養)の育成にあった。その内容については、現代の「自己実現」と近似している。現代的な「自己実現」は、「自らの課題を自らが見つけ、それに自らが応えていく」という意味に収斂されるだろう。古代ギリシャでは、その課題に対応するものとして「探究」「感動」という二つの力を教育と考えた。」

「探究」と「感動」を教育目標に掲げる、ということは凄いことだ。探究力と感動力があれば、たぶん何でもできるだろう。これは、子供に限らず、大人の世界でも核となる力である。イノベーションを起こす人は、例外なくこれら2つの力を持っているのではないか。

「探究」と「感動」を大切にしながら、ムリ・ムダ・ムラを楽しむことこそ学ぶ力の源泉なのかもしれない。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

フラワー・オブ・サービス

「フラワー・オブ・サービス」とは、サービスのコア要素補足的要素からなる理論モデルである。

花の中心にあたるところに「コア要素」を描き、花びらの部分に「補足的要素」を描くことで、サービス全体を可視化することができる。

例えば、宅配便サービスのコアは、「短時間で荷物を配送してくれる」ことだが、これに「時間指定」やら、「カードでの支払い」やら、「荷物追跡情報」など、いろいろな補足的要素が加わる。

コアサービスで差別化することが難しくなっている現在、いかに補足的サービスを組み合わせて競争優位に立つかを考える必要がある。

演習では、優れたサービス企業を思い浮かべてもらい、「どのような補足的サービスを提供しているか」について考えてもらった。3チームに発表してもらったところ、「情報提供」と「ホスピタリティ」が多く挙げられた。

例えば、ツタヤ、アマゾン、マクドナルドなどは、「クーポン配信、期間限定価格、お届け時間」などを知らせてくれる。これが情報的な補足サービスである。

ホスピタリティとしては、「店員の対応が心地よいスターバックス」「どのキャストに聞いても、アトラクションの待ち時間を無線で聞いてくれるディズニーランド」などの事例が挙がっていた。

ただ、何がコアサービスで、何が補足サービスかの区別がつきにくいところが、このモデルの弱点である。コアと補足の区分けをせずに、全部の要素を花びらにしてモデル化するという方法もあるだろう。

理論やモデルは、使いやすいようにカスタマイズすることが肝要である。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

プロセス管理が学習を促す

営業マネジメントでは、売上・利益のような財務指標の他に、営業の質を反映するプロセス指標が必要であるといわれている。しかし、なかなか良いプロセス指標が見つからないのが普通である。

そんな中で、プロセス管理の事例としてよく取り上げられるのがカルビー。同社では、製造から45日を過ぎた商品が店頭にどれくらい並んでいるかを示す「店頭鮮度不良率」という指標を用いてマネジメントしている。この指標は二つの面で優れている。

第1に、スナック菓子は、油の劣化や酸化で風味が落ちるのが早く、鮮度と味が直結している。45日という期間は、賞味期限の半分もしくは三分の一に近づいた日数である。

第2に、この指標は、商品の回転率とも直結している。つまり、商品のクオリティと同時に、財務業績とも近い指標を用いることが、プロセス管理で重要になる。

カルビーでは、20年前から、店頭で商品の鮮度を調べるフィールドレディ制度(現在はゾーンセールス)を導入し、店頭鮮度不良率をチェックしている。この指標をもとに、店頭販促や提案を繰り返した結果、2001年には12.1%だった不良率は、2008年には6.3%に減少したという。

ちなみに、店頭鮮度不良率を出すためには2つの壁があった。一つは、製品パッケージに製造年月日を記載すること、二つめは、店頭に並べる点数から実際に売れて足りなくなった分だけを補充する「実需在庫」方式にするよう卸売業者に依頼することである。

これらの壁を乗り越えたからこそ、店頭鮮度不良率という指標が意味をもつようになった。

カルビーの事例は、顧客満足と財務業績を反映する骨太のプロセス指標を用いることが、改革や学習を進める強力な武器となることを示している。これは、営業マネジメントに限ったことではない。組織の目標が達成されているかどうかを反映する指標を用いることは、病院や学校という非営利組織においても有効である。

管理会計の世界では「測れないものは、管理できない」と言われているらしい。もちろん何でもかんでも測ることはできないだろうが、学習を促進するためには何らかの指標が必要になると思った。

出所:日経産業新聞2009.5.28
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ついには、わたしを忘れた

『養われて、彼らは腹を満たし 満ち足りると、高慢になり ついには、わたしを忘れた。』
(ホセア書13章6節)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ