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専門知と人文知

東京大学教授の姜尚中(かん・さんじゅん)氏は、知を「人文知」と「専門知」に分けた上で、これからのリーダーは人文知を身につけるべきである、と主張している。

ところで、人文知とは何か?

姜氏いわく、宗教、哲学、文化、社会など、人生をいかに生きるべきかを考えるための教養が人文知である。これに対し、すぐにカネに結びつくような専門的な知識は「専門知」だという。

一見、ビジネスの役に立ちそうもない人文知がなぜ重要になるのか?姜氏は、次のように説明している。

「右肩上がりの成長が期待しにくくなった今、社員がわくわくするようなモチベーションを持つことは難しい。その中でモチベーションを発揮してもらうためには、リーダーは自分の仕事や社会の行動に意味を与える必要があります。この意味を付与する能力は、人文知からしか生まれないでしょう。」

「何のために仕事をするのか」という問いは「なんのために生きるのか」という問いと密接に結びついている。人間が生きる目的を考えるとき、人文知は、いろいろなヒントを与えてくれそうである。

出所:「役立たずの「人文知」が付加価値を生む」日経ビジネス2009年9月14日、p113.
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メッセージが活力を生む

組織が成長し続けるためには、活力が必要である。そのために、経営者は何をすべきか?

警備を中心に多角的に事業を発展させてきた「セコム」の飯田亮最高顧問は、次のように語っている。

「組織が活力を保つためには、メッセージを出すことだよ。経営者の思い込みだな。これをやりたいんだ、やるべきなんだ、というメッセージがなくなったら組織は活力を失うね。」

神戸大学の金井壽宏先生は、変革型リーダーシップのあり方を「大きな絵を描いて、人々を巻き込んで実行すること」と説明しているが、飯田氏のいう「メッセージ」とは、「大きな絵」にあたる。

セコムが目指すべき姿は「社会システム産業」と定義され、実行のために必要な理念として「正しさの追求」「現状打破の精神」「まともの精神」が打ち出されている。これまでセコムは、防災、地理情報サービス、医療サービス、保険サービスなどを育て、これらの事業は全売上の4割を占めるようになった。

ただし、やみくもにメッセージを出せばいいというものではない。リーダーが迫力・魅力のあるメッセージを打ち出し、それに共感するメンバーがいるとき、組織は活性化するといえるだろう。

出所:「セコム:永遠のベンチャー精神」日経ビジネス2009年2月23日号p46-50.
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神は、みこころのままに

『神は、みこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ、事を行わせてくださるのです。』
(ピリピ人への手紙2章13節)
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『知の巨人 ドラッカー自伝』(読書メモ)

ピーター・ドラッカー『知の巨人 ドラッカー自伝』日経ビジネス人文庫

ドラッカーは、経営の世界に大きな影響を与えた人である。特に、実務家の人々に。本書を読んだ後のドラッカー氏のイメージは「自分の頭で考え、自分の足で歩んだ人」である。

ウィーンで生まれたドラッカー氏は、ドイツの大学で学士号と博士号を取得している。しかも、授業に1回も出ずに。当時の大学は、論文をしっかり書けば修了できたらしい。誰にも教わらず(本はたくさん読んでいたが)、自分の手で研究していたのである。

オーストリア、ドイツ、英国、米国を渡り歩き、新聞記者、証券アナリスト、コンサルタント、大学教授を経験したドラッカー氏は、自分のアイデンティティを次のように語っている。

「私は大学教授とかコンサルタントとか呼ばれ、時に「マネジメント(経営)の発明者」とも言われるが、少なくとも経済学者ではない。基本は文筆家だと思っている。」

MITやハーバードから声がかかっても断り、カリフォルニアの田舎町、クレアモントの大学で自分の好きな授業をすることを好んだドラッカー氏。まさに、「一匹狼」が「筆一本で食っている」という感じがした。

面白かったのは、マネジメントの父と言われたドラッカー氏が、大学のマネジメント業務を苦手としていたこと。

本書を読み、「自分の頭で考え、自分の足で歩いた」ドラッカー氏の生き方に魅力を感じた。
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「またやりたい」と思う気持ち

先日の夜、スポーツ番組で「イチロー特集」が組まれていた。

その中で、オリックス時代に、イチローに最もボールを投げたというバッティングピッチャーの方が、イチローの言葉を紹介していた。

またやりたいと思う気持ちが人を進化させる」。

どんな世界でも「またやってみたい」と思えれば、その人は進歩するが、逆に「もういいよ」「もうかんべんして」と思うと、その人の進歩は止まってしまう。

継続がなければ進歩もない。

「またやりたい」と思う気持ちを起こさせる人こそ、優れた指導者なのだろう。
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ハードファン

同志社女子大学の上田信行先生によれば、困難を乗り越えるときに感じる楽しさのことを「ハードファン(hard fun)」と呼ぶらしい。

困難という意味の「ハードシップ(hardship)」には、悲壮感しか感じない体験と、挑戦的で前向きの体験の2種類あるということだろう。

人が成長するためのポイントは
・ストレッチ(挑戦的な課題をこなす)
・フィードバック(問題点を振り返る)
・エンジョイメント(楽しむ)
だが、「ハードファン」は、これらの3要素が詰まった言葉である。

単に楽しいだけでも伸びないし、苦しいだけでもダメ。「苦しいけど、楽しい」=「たのくるしい」状態が「ハードファン」だ。

ただ、あまりハードファン状態が続くのも病的な感じがするので、危ないかもしれない。
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今、私を力づけてください

『ああ、今、私を力づけてください。』
(ネヘミヤ記6章9節)
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『フェルメール全点踏破の旅』(読書メモ)

朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』集英社新書

オランダの画家フェルメールの絵は、三十数点しか見つかっていないらしい。世界に散らばっているそれらの絵を、いろいろな美術館を巡り取材したのが本書である。

読みやすかったのは、著者が美術専門家ではなく、ジャーナリストであるためかもしれない。写真がふんだんに使われていて、まるで自分が美術館に足を運んでいるような錯覚におちいった。

著者の朽木さんも指摘しているように「フェルメールのシンプルな絵には、私たちを黙想に誘う不思議な力がある(p.56)」。

例えば、「窓辺で手紙を読む女」は次のように解説されている。

「女性の読んでいる手紙は、残念ながら明るい内容であるようには見うけられない。それどころか、見ているだけで手紙の内容が胸騒ぎのようにこちらに伝わってきて、私たちの人生の過去に起こった出来事、特に不安や失望などが関連した出来事を覚醒させる効果を持っている。こうして私たちも、この絵の前でしばしば現実から遠ざかってもの思いに耽る。」(p.56)

しかし、すべての絵からスピリチャリティを感じたわけではない。個人的には、「窓辺で手紙を読む女」「青衣の女」「デルフト眺望」「小路」「真珠の首飾り」は凄いと思ったけど、他はそうでもなかった。

フェルメールにも、やはり「旬の時期」というものがあったらしい。いくつもの絵を見ていると、絵が持つ迫力は、技術的な力量だけでなく、画家の精神的エネルギーの充実度が大きく影響していることがわかる。

絵に限らず、「技術と精神」のバランスがとれたときに、良い作品、良い仕事を生みだすことができる、と感じた。
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考える店長

不況にもかかわらず、「餃子の王将」は既存店の売上高が24か月連続でプラスであるという。

その秘訣は、「考える店長」である。

同社では、約40種類の定番メニューと本部が仕入れた食材を使うという基本ルール以外は、店長に裁量権が与えられている。店長は知恵を絞って、独自のメニューや販促活動を考える。

例えば

・麺が4玉入っている「びっくりラーメン」
・子供向け「スーパーボールすくい」
・皿洗いすれば代金が無料
・子供客が店員とジャンケンして勝ったら餃子無料
・お子様ランチ100円キャンペーン

などなど。まさに「個店主義」である。

しかし、チェーン店であるかぎり、もっと効率的運営をすべきではないか?という疑問が生じる。王将でも、1995年頃に、メニューを統一化してセントラルキッチン方式(工場で料理を作って店舗に配送する方式)に移行しようとした。その結果、店が均一化し、失敗したらしい。

ビジネスを成功させるには、「顧客適応(顧客ニーズへの対応)」と「標準化(効率化)」が大事である。しかし、いくら効率化してもお客さんが来ないと話にならない。

王将は、「顧客ニーズへの対応に徹底的に力を入れて、効率化はそこそこ」というポジションをとっているがゆえに、競争力を保つことができているのだろう。

それにしても、500店舗、売上高約550億円の規模でありながら、地域に密着したサービスを提供している点はスゴイ。王将における「店長マネジメント(選抜・育成・評価)の方法」を知りたくなった。

出所:「王将フードサービス:破格の裁量が店長鍛える」日経ビジネス2009年9月14日号, p128~130.
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締め切りの力

小説家の石田衣良さんの講演録が新聞に載っていた。

来場者とのQ&Aコーナーで、「小説を書いている最中に「神が降りてくる」瞬間はありますか?」という質問に対し、衣良さんは次のように答えている。

「そんな風に書いている人は誰もいないと思います。結局は、締め切りの力が一番強いのではないでしょうか。物理的な限界で、「明日の昼までに原稿があがらなかったら配本が遅れる」と言われると本当に頑張ります(笑)。」

僕も、締め切りを作らないと仕事が進まない方である。これまで「締め切りがないと仕事ができないなんて、情けないヤツだなあ」と思っていたので、少しホッとした。

藤子不二夫Aさんが書いた自伝的マンガ「まんが道」の中にも、原稿の締め切りがなくなったとたんにマンガが描けなくなってしまう場面が出てくる。

良い仕事を進めるには、「内から湧き上がる意欲」(やるぞという意欲)と「外からの強制力」(やらないとマズイという焦り)の両方が必要なのだろう。これら2つをうまくブレンドした環境を作り上げることが大切になる、と感じた。

出所:北海道新聞2009年9月12日5ページ
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