柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

記憶

2009-05-04 08:17:17 | Weblog
忌野清志郎の映像がTVに何度も流れました。ビッグな人だったと教えてくれています。また一つ訂正します、昨日坂本龍一との共演共作曲を素敵なルージュマジックと書きました、見事な覚え間違いでした、「素敵な」ではなく正確には「い・け・な・い」でした。訂正してお詫びします。昨日はずっとRCサクセションの唄聴いてましたが、トランジスタ・ラジオが一番好きです。短い言葉の中にどれだけの情景や思いを込められるか、私は詩を書く人の才能はこれだと思うし、できぬ者が百字を使っても伝えられぬことを十字でばちっと言ってしまう、これこそが才だと思います。「彼女 教科書ひろげてるとき ホットなナンバー 空にとけてった」初めて聴いた時からこのフレーズにバチンとやられて、今聴いてもここでパーっと景色が広がる気がします。一度聴いてみて欲しいと思います。懐かしいことといえば、こんなことはこうやって重なっていくのだとにやりとすることがありました。毎年五月連休の広島はフラワーフェスティバルで大賑わいです。中国新聞も大はしゃぎの態です。その中に、おお!という記事です、拓郎のバックバンドしていたイノクチヨシノリとタナベナントカが写真に載っています、拓郎の曲を演奏して盛り上がったとの事。この人たちの演奏を聴きたいわけではなく、この人たちがどうのこうのでもない(申し訳ないのですが)のですが、初期のライブアルバム「ともだち」を中学時分に友達に借りて(拓郎好きの友人がいてその影響です)ガツンとやられてそれから拓郎にはまっちゃった私とすれば、この二人の名前はライブのトーク(空で覚えているくらい聴いてますから)で沁みこんでます。あのライブ盤もきっと名作のうちで、トークは荒削りで粗野(私が中学生でしたから、拓郎は27、8ですね、若い男の無計画なトークですからこんなもんですが)バックもこの二人がベースとエレキギターで入っているだけ、音もエフェクターの類は何もつないでないんでしょう(そんなに種類もない時代でしょうし)もちろんPAで制御しているのでもない、ストレートに舞台のアンプから出てくる音を拾ってるだけの感じです、拓郎のギターストロークは綺麗に聞こえます(声も)、この二つはオンマイクで拾ってミキサー卓から録音されているのでしょう。なんて解説してもどうにもならぬくらい、この録音、このテイクが秀逸な曲がいくつかあります、夏休み、マークⅡ、イメージの詩。このどれもが別にアレンジを変えてスタジオ録音されてますが、この粗い隙間だらけの録音作に敵いません。こっちの方がいいんです。特に夏休み。これはバックのギターが(タナベナントカさん)何とも素直で匠まざる味を出し、ヘタウマなんて言いますがこの妙味と拓郎の歌声の良さです。拓郎の声が若くていいです。ギターのカッティングも確実で音が良いです、やっぱり違うんですなモノが。実は音源探し出して今聴きながら書いてます。マークⅡのイントロ、あの頃(中学時分)どうしてもまね出来ずにごまかしごまかし弾いていた事や、イメージの詩の前奏、今聴いても拓郎のギターストロークは強く響きます、あのかっちりさに惹きこまれたんですねきっと。(ギターが)ヤマハからギブソンに格上げされたな、なんてトークにどれだけ心がときめいた事か・・あの頃一緒にギター弾いて歌ってた奴とは今も友達でよく唄います。同じ空気吸ってた安心感というのは何物にも代えがたいものです。イノクチヨシノリさんは井口喜典さんで会社社長、タナベナントカさんは田辺和博さん獣医さんだそうです、59歳、ああ拓郎より年下で。だからあれだけぼろくそにいじられていたわけですね、と35年経って知った事実でした。ちなみにご存じない方のために、拓郎は広島の人です、売れる前に広島フォーク村という団体で活動していたことから、中国新聞が採り上げるわけです(というか、中国新聞ならではのローカルな話題なのです)。次はこの人なんでしょうか。何だかいつもいつもこの人を逝かせたがってるように、つまり先に逝く人が次々に出てくるのでおかしな言い方になってますが。最新作「午前中に」を買いました、「すごい」わけでもなく落胆するのでもなく、でした。拓郎節が体に沁みてる身にとればあの響きが少しでも出れば勝手に共振します。私のような者が日本中にどれだけいるんだろうか、なんて果てしなく思いながら、古い古いアルバムの古い古い曲を聴き直しながら思うことは、ああ、この人と同じ時代に生きられて幸せだったなということでしょうか。地方紙の片隅の記事から記憶が大きく呼び覚まされたことでした。こういうのは悪くありませんね。
 
コメント
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