今度は飛騨牛の偽装です。びっくりしなくなりましたし、新聞やマスコミの扱いも小さいものです。社長の専横、内部告発とこれまたお定まりです。何年も続けてきた「不正」は今さら直せません。「ズル」して何とか回してきた(あるいはやっと利を得てきた)経営状況なれば尚更のこと、お前達の給料はここから出ているのだぞ!って脅迫。これまた陳腐な表現ですがチリも積もれば山となるのです、人の口に戸は立てられないのです。毎日の生活と良心の呵責との鬩ぎ。従うしかない労使の上下関係と積もるばかりの鬱屈との均衡。何時かは破れる、なんて解説もつまんないことです、殆どの職場では皆黙って我慢して知らん顔しているんですから。その嘘も自分の給料の糧です、うしろめたさは同じことですから。解雇失業を覚悟しての告発です。ここまで行くにはもう社長に対する憎しみしかないんでしょうね。全部発表してゼロからもう一度やり直しましょうなんてことをチクった従業員は言ったんでしょうか、社長にそれだけの意気地も決意も社会正義感もなくて、馬鹿野郎!どこでもやってることだ、こうでもしなけりゃお前達の給料が出ないんだ!とかなんとかのすれ違いになって。今さら他のどこの例を挙げるほどのこともなく、初めの一言、初めのひと嘘が全てをぶちこわしてしまうんです、後からバレる、その後謝るという順がどれだけ傷を拡げるか、いい加減に学習せねばならぬですが、ここの社長、わかってないようです。元従業員達の証言の嵐に晒されます。もう心の呵責がなくなりましたから、証言する側は正義の味方です。あれもこれもあんなことまで。潰れる運命の会社に未練などないわけです。あんな所で働かされていた私達の身にもなって下さい!の哀願調です。今は世論はこっちについてますから言いたい放題ではありますが、抗えなかったという状況にあったにせよ、安物肉をさも高級肉らしく販売していたことに加担していたことには違いないことです。でもやはり従業員に責任はないのです、ひとえに社長の責任です。世の中はズルで回っています。清濁併せ呑むことが人間として上等のような言い方がありますが、いいえ、一番上等な人は濁りを寄せ付けぬ人です。信用を第一に据えて真っ当に生きている人達です。嘘ついたら世間様に、お天道様に申し訳がたたぬと考えている人達です。正しく生きるということはやはりいかに襟を正していられるかの我慢比べのようです。正直者が馬鹿を見るという謂の真意は奈辺にありや。
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