柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

外野

2007-06-22 08:42:50 | Weblog
勝手に私が思い込んでいただけなのですが、夏至は6月だったんですね、7月初旬とばかり思っていました。新聞コラムのどれかに、あるいは四コマ漫画のどれかに夏至の冬至のといった節季事が素材になってますので気づかされます。そういえばこの頃が一番日が長いですよね、午後八時になっても外はまだ仄明るいです。で、7月はあまり変化なく過ぎて、八月夏休み終わり頃になるとこれまた急に日が短くなり始めますよね、ああまた学校が始まる・・という切ないような追い立てられるような気分になったものです。季節の移ろいに心しみじみとするのはやはり年齢の積み重ねに比例することなんでしょう。そう思います。
 文芸春秋で塩野七生が、新潮45で曾野綾子が、老いについて書いています。お二人とも年齢的には十分に老女の第一線の作家ですから、どんなこと書くのか想像は付くことですが、そのまんまざっくりやってくれてます。歳取ってから男のお料理なんてみんなと同じことやってどうするのよ?!人と違うことしなさいよ。老いなんて突然にやってくることじゃないんだから、十分に用意準備しなさい。何をもたもたしてんのよ!そういう論調です。バッサリ。痛快。どうぞご一読を。
 昨夜NHKの看板番組で戦時沖縄での集団自決について特集していました。もちろん教科書からの軍の強制云々のくだりの削除に反対する色合いです。通常のニュース番組の中でも何度も流しています、明らかに反対表明です。ま、それはNHKなれば仕方のないことではありますが、昨夜の特集番組です、沖縄史編纂とかなんとかの肩書きでしたが年配の男が女キャスターの質問に答えます、要点は沖縄島民は日本軍の(つまりは日本国の)命令で死んでいったのだ、自ら死を選んだのではない、米軍と日本軍とに挟まれて逃げ場がなくなって死んでいったのだというものです。日本軍は沖縄人を女子供老人まで徴用して飛行場の整備などに使役した挙げ句、彼らが捕虜となり軍のこと日本の実状をぺらぺら喋られることを恐れたために、必要以上に米軍を悪く言い(男は股割き、女は強姦、の類)、捕まるくらいなら死ねと強要したというものです。殉国美談という言葉を何度も使ってました、ご丁寧にNHKも括弧付きでテロップ流してました。住民が進んで死んでいった、国に殉じたなんてとんでもない嘘だ!と言いたいようです。さらに証言を集めている学者のルポもあり、学者は少なくとも軍のいないところに集団自決はなかった、これは確かなことだと言います。番組は、島内で繰り広げられる反対運動を放映し、申し訳程度に藤岡教授(この人は新しい教科書を作る会に関わっている中心人物です、自虐史観反対論者です)の反対コメントを挟んではいましたが時間的に不公平なものでした。ううむ。私は寡聞にして殉国美談という言葉を知りませんでした。でも、私達外野(一般)はどういう理解なんでしょうか、沖縄の人達の、あの崖から次々に飛び降りる衝撃的な映像で象徴される状況をどう理解しているんでしょうか。殉国ですか?そうじゃないですよね。美しい話じゃないです。そんな理解じゃないですよね。乃木希典が明治天皇に殉死しましたね。極めて個人的な感情に拠るものです。この前もありましたが警官が職務中に撃たれて死ぬ、殉職と呼ばれます、美しくはないですが職務遂行の途中の不幸は讃えられます、顕彰されます。他人と助けようとして自ら列車に轢かれた警官、この事例は美しい話にまとめられましょうか。死んでいった人を批判するものでは決してありませんが、美談に仕立てているのはどっちなのかと言いたいわけです。つまり美談に仕立てておいて、それに何倍もする反論を浴びせる手法。違いますかね。美談じゃないですよね。先にも書きました、手榴弾渡すことが死の強要だったんでしょうか。いや、そう受け取った人が多かったのならそうなのです、生きる時代の違う者の後知恵で振り回すのはいけません。でも、そう受け取ること自体がそういう時代だったということでもあるでしょう?ああ、あの時代の女の人は身を固く思い、ああやって死んでいく事を選んだんだと心しみじみと思いいたすにせよ、立派なことなんて思いますか?気の毒、同情の気持ちじゃないですか。世が世ならばあんな思いもあんなこともしないですんだだろうに、という同情でしょう。沖縄がああいう戦場になってしまったこと、その沖縄にあの時代に生き住んでいたこと、そこに言及し始めると何故に戦争始めたのかということに行き着きます、曖昧に溶けます。軍の無体はもちろんあったでしょう。でも、私もくどいですが、あの時代は日本が戦争していたんです、沖縄も台湾も満州も朝鮮も日本だったんです。憎しみの深さには外野の人間は思い至らぬ事です、想像を超えないことですから。でも、こういう思いは不遜なんでしょうか。こういう特集を見る度に違和感も湧き上がることです。
コメント (2)
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