ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

シャンパーニュJean Vesselleの新作キュヴェはBlanc de Blancs

2015-10-23 10:08:15 | ワイン&酒
シャンパーニュの生産者 「Jean Vesselle ジャン・ヴェッセル」から、当主のデルフィーヌさんと夫のダヴィッドさんが来日し、この秋にリリース予定の新しいキュヴェ を紹介してくれました。


デルフィーヌさんと 夫のダヴィッドさん

モンターニュ・ド・ランスのブジー村を拠点とするジャン・ヴェッセルでは、90%がブジーのピノ・ノワールをつくっています。ブジーといえばピノ・ノワールのグラン・クリュ畑で有名ですからね。

だからこそ、デルフィーヌさんは、「ブジーのシャルドネのシャンパーニュをつくってみたいと思ったんです。新キュヴェは ブジーのシャルドネ100%のブラン・ド・ブランで、ヴィンテージは2011年です」と言います。


Jean Vesselle Par B3 2011 Blanc de Blancs de Bouzy

2011年は1700本のみの生産で、他の国ではまだ紹介していません。
今回は日本にいち早く紹介しようと、スーツケースに3本入れて持ってきてくれました。
リリース予定は2015年11月頃だそうです。


Blanc de Blancs de Bouzy の頭文字のBが3つ並ぶのでB3

花のような、春のような、雪のような、非常にデリケートなタッチの辛口。やさしく繊細なフルーツと、フレッシュな酸が上品に広がり、洗練されたスッキリとした味わいのシャンパーニュです。まさにエスプリ系。


熟度の高いブドウを使うため、ドサージュは2.5g/Lと低く抑えています

このB3に合わせるなら、水分を含んだ、しっとりとした質感の料理がいいと思います。
かつお節の出汁、濃すぎないしょうゆ味の料理、生湯葉、蓮根まんじゅうなど、味わいの濃くない、繊細な料理が良さそうです。そう考えてみると、和食系もいいかもしれません。


明るいゴールデンカラー

シャルドネにこだわったのは、ダヴィッドさんがシャルドネを産するコート・デ・ブランのシュイイ出身だからだそうです。
ダヴィッドさんの実家はブドウ栽培農家ですが、ワインはつくっていません。ダヴィッドさんのお父さんが、この実家のシュイイの畑のブドウを使っていいと言ってくれたので、また別のシャルドネのシャンパーニュをつくり、2019年頃にリリースを予定をしているとか。それも楽しみですね。




今回は、B3を含め 7つのキュヴェを紹介してくれました。



Jean Vesselle Brut Grand Cru Prestige 2005

ブリュット グラン・クリュ プレスティージュ 2005は、ピノ・ノワール75%、シャルドネ35%のブジー・グラン・クリュ・シャンパーニュで、熟成期間は9年。

複雑な香りがあり、泡はクリーミーでふっくらした口当たり。ボディに厚みがあり、丸みがあり、余韻も長く、ワイン的な落ち着きがあるシャンパーニュです。これは乾杯用というよりも、食中酒として食事とともに楽しみたいタイプだと思いました。
上等な牛肉、できればそれほど脂が多くない繊細な肉質のものをていねいに焼き、ピリリとするえホースラディッシュなどを添えて。
飲み進めていくと、まったりしてくるので、スイーツでもいけそうな感じでした。
ピノ・ノワールが入るとボディが出るので、色々な料理と合いやすくなります。



次はロゼシャンパーニュ2つを飲み比べました。
上の7本の画像では、左から3本目と4本目です。


Jean Vesselle Brut Rose de Saignee / Jean Vesselle Brut Oeil de Perdrix

セニエのロゼ(左)と、ウイユ・ド・ペルドリのロゼ(右)。
ペルドリは淡い桜色、セニエは赤ワインに近い濃い色をしています。
どちらもピノ・ノワール100%

ウイユ・ド・ペルドリはブドウをプレスする際、ピノ・ノワールの黒い果皮からにじみ出る色素の影響で色づいたもので、セニエは、プレスした後に果皮をしばらく漬け込んで色をより引き出したもの。

味わいは、ペルドリはふわり軽やかでチャーミングで、少し官能的なニュアンスも加わります。
セニエは果実の厚みがあり、ボディがビシッと引き締まり、フレッシュ感があってタンニンの骨格があり、いいバランスです。

シャンパーニュでは、ロゼの生産はアッサンブラージュ(赤ワインの添加)が90%と多く、セニエは少ないため、デルフィーヌさんはセニエのロゼをつくりたかったと言います。
ただし、果皮の濃い色は欲しいけれど、タンニンは出したくなく、それが難しいとか。

ちなみに、ジャン・ヴェッセルでは、ペルドリの方は、“ロゼ”というよりも、“白とロゼの中間的存在”と考えているようです。



同じつくり手のロゼシャンパーニュなのに、これだけ色が違い、味わいも違うので、合う料理も違ってきます。

刺身なら、ペルドリはマグロのトロを少しのしょうゆで、セニエなら、中トロから赤身にかけての部分をミネラリーな塩で食べたいですね。
ペルドリは、鱧を塩で食べるのもよさそうです。
ペルドリは質感がしっとりしてなめらかなもの、セニエは身質が比較的しっかりして味の濃いものが合いそうでしょうか。

※2つのロゼについては以前に詳しく取り上げたので、過去の記事をご覧ください → コチラ



Jean Vesselle Extra Brut (画像右から3番目)
エクストラ・ブリュットは、ピノ・ノワール80%、シャルドネ20%、ドサージュ2g/L
フレッシュでバランスよく、日本の料理によく合う、とデルフィーヌさん。
広島の牡蠣、白身魚の寿司や刺身、天ぷらなど。
これは入手しやすいキュヴェです。

Jean Vesselle Brut Grand Cru Cuvee "Le Petit Clos" 2000 (画像右から2番目)
プティ・クロは、ジャン・ヴェッセルで最も生産量が少ないキュヴェです。ピノ・ノワール100%で、畑は8アール、生産量はレギュラーボトル800本とマグナム50本のみ。
2000年はセラーで14年熟成させています。
シャンパーニュ地方モンターニュ・ド・ランス製の樽の中でアルコール発酵を行ない、マロ(MLF)は行なっていません。マロをしないのは、長期熟成させるためには酸が必要だからです。樽に入れたのは、少量ゆえ、ちょうどいいサイズのステンレスタンクがなかったからだそうです。
味わいはがっしりとした厚みがあり、香りとともに複雑味があります。

※プティ・クロの詳細は過去の記事をご覧ください → コチラ

Jean Vesselle Demi Sec Rose Friandise (画像右端)
ドゥミ・セック・ロゼ・フリアンディーズは、ピノ・ノワール100%で、ドサージュが32~33g/L
ベースはセニエ・ロゼで、ドサージュの量が異なります。よって、色は非常に濃いです。
上品な甘さのあるロゼシャンパーニュで、デザートに合わせるにはもってこい。



つまり、セニエと、ウイユ・ド・ペルドリと、フリアンディーズの3つのロゼシャンパーニュがある!
ひとつの生産者で、これだけのロゼシャンパーニュの飲み比べができるのは嬉しいですね。



今回は3つのロゼを含む7つのシャンパーニュを試飲し、それらの味わいの違いを私なりに認識することができたことは、非常に貴重な体験でした。
デルフィーヌさんとダヴィッドさん、そして輸入元の皆さんに感謝いたします。

(輸入元:大榮産業株式会社)


※ジャン・ヴェッセルは、昨日紹介した「ワイン割烹 神楽坂 宙山」ハウスシャンパンに使われています


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