今週、日本未輸入のチリの2ワイナリーが来日し、在日チリ大使公邸にてプレゼンテーションを行ないました。
Villard Fine Wine / Casa Romero Winery
チリワインは、チリを代表する産品で、今や世界中にその名を轟かせています。
「安くておいしい」と、消費者には嬉しいはずですが、その一方で、「安いのは当然だよね」という思い込みが世間的にあり、「チリワイン好きだと公言しにくい」なんていう友人もいます。
Villard(ヴィラール)もCasa Romero(カサ・ロメロ)も、現地での販売価格を聞くと、コスパ良すぎでしょ!と思ったほどの良心的プライスでしたが、なによりも品質が本当に素晴らしかったのです。
Casa Romeroからは、シャルマ方式のスパークリングワイン(シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%)、ピノ・ノワール、マルベック、シラー、マルベック+シラー+メルロのブレンドが紹介されました。
Casa Romeroのアンヘリカさん
カサブランカ・ヴァレーにアンヘリカさんの父は2009年に設立した若いワイナリーで、すべての畑をオーガニックで栽培しています。
畑としては200万本を生産できる広さを持っていますが、オーガニックでの栽培が大変なこともあり、現在の年間生産本数は72,000本です。
ここの赤ワインは、いったん新しい樽にすべて入れ、6~8カ月たったら2年使用樽に移す、という醸造方法です。
こうすることで、よりバランスのいい味わいになるそうです。
試飲すると、どれも本当によくできています。
特に、赤ワインはフルーツが凝縮し、のみやかさもある、おいしいワインです。
「カサブランカのテロワールを伝えるワインを造りたい」と、アンヘリカさん。
Edicion Limited 2014
アンヘリカさんの友人のアーティストが描いてくれたラベルとのこと。
2014年ヴィンテージの生産量は2,000本のみ。
果実味がよく凝縮し、スパイシーさのある高品質ワインです。
若いワイナリーでここまでの品質を出してくるとは、海に近い冷涼なカサブランカ・ヴァレーの素晴らしいテロワールもあると思いますが、技術力もある、ということです。
もう1社 Villard は、来日したジャン・フランソワさんの父(フランス人、チリでチリ人女性ージャン・フランソワさんの母ーと結婚)が1989年にカサブランカ・ヴァレーに立ち上げたワイナリーです。
ほぼステンレスタンクのみで醸造し、飲みやすくリーズナブルなレンジ「EXPRESSION」。
エントリーレベルのレンジでも、バランスよく造っています。
格上のレンジ「GRAND VIN」シリーズになると、脱帽モノです。
だてにグラン・ヴァンと付けていません。
ジャン・フランソワさんは、世界各地のワイナリーでの経験を積み重ね、2005年にヴィラールに戻ってきました。
「エレガントで繊細で、酸が乗った、余韻が長いワインを造りたい」と、ジャン・フランソワさんは言います。
TANAGRA 2017
TANAGRAは、トップキュヴェを造ろう!と、ジャン・フランソワさんが初めて単独で手掛けたワインで、シラー100%。
初ヴィンテージの2005年の時は買いブドウでしたが、2008年に3つの異なる植樹しました。急勾配の畑に株仕立てで密植(8000本/ha)しています。
最初から樽の中で破砕し、1日に樽を8回も回転させて醸造するため、パンチダウンは行ないません。
色が非常に濃く、フルーツがよく凝縮しています。タンニンが非常になめらかで、こっくりとしたボディが楽めます。
父から、まだラベルに「Villard」の名前を載せられない、と言われているため、Villardの名前は表にはありません。
が、これも素晴らしいワインです。
ジャン・シャルルさんは、ピノ・グリージョでオレンジワインにも着手。
グルナッシュも植え始めました。
2社のバックグラウンドは異なりますが、どちらも、キレイな果実味の凝縮感を持ちながら、アグレッシブさを感じない、エレガントで、しなやかなワインです。
海に近い冷涼なカサブランカ・ヴァレーということもあるのでしょう。
かつて、「チリカベ」と呼ばれていた時代の、ガツンとパワフルなワインではなく、それぞれのテロワールを出そうという努力が表現され、洗練された味わいに変わってきています。
それを知らずにいるのは、もったいないことだと思います。
残念ながら、この2社はまだ日本未輸入ですが、プレゼンテーションには輸入元のバイヤーも参加していたので、どちらかが輸入してくれることを期待しています。
ちなみに、Villardは、小規模生産者のグループ「MOVI」に参加しています。
「MOVI」は10年前に結成されました。
私が6年前にチリを訪問した際、サンチアゴにあるメンバーの一人の自宅に招かれ、彼らのワインを飲む機会がありました。
その時の写真には、ジャン・フランソワさんの姿はありませんでしたが、Villardのワインはしっかりと映っていました。
小さな、しかし、意思を持った造り手が集まる「MOVI」は、チリワインを探求する上で、今後も注目です。
MOVIのメンバーの皆さん(2013年9月、サンチアゴにて)
チリワインが急成長を遂げた時代、大手3社が全体の生産量の50%を占めていたそうです。
現在は、チリのワイナリー数は400ほどに増え、生産地も南北に広がってきています。
北のアタカマ砂漠、南の南極、西の太平洋、東のアンデス山脈と、四方を自然の要塞に囲まれ、細長い国土には、さまざまなテロワールが存在するチリ。
DOも細分化されてきました。
また、魅力的なワイナリーも増えてきました。
チリのテロワール、生産者の個性に注目して飲む時代が、すでに始まっています。
Villard Fine Wine / Casa Romero Winery
チリワインは、チリを代表する産品で、今や世界中にその名を轟かせています。
「安くておいしい」と、消費者には嬉しいはずですが、その一方で、「安いのは当然だよね」という思い込みが世間的にあり、「チリワイン好きだと公言しにくい」なんていう友人もいます。
Villard(ヴィラール)もCasa Romero(カサ・ロメロ)も、現地での販売価格を聞くと、コスパ良すぎでしょ!と思ったほどの良心的プライスでしたが、なによりも品質が本当に素晴らしかったのです。
Casa Romeroからは、シャルマ方式のスパークリングワイン(シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%)、ピノ・ノワール、マルベック、シラー、マルベック+シラー+メルロのブレンドが紹介されました。
Casa Romeroのアンヘリカさん
カサブランカ・ヴァレーにアンヘリカさんの父は2009年に設立した若いワイナリーで、すべての畑をオーガニックで栽培しています。
畑としては200万本を生産できる広さを持っていますが、オーガニックでの栽培が大変なこともあり、現在の年間生産本数は72,000本です。
ここの赤ワインは、いったん新しい樽にすべて入れ、6~8カ月たったら2年使用樽に移す、という醸造方法です。
こうすることで、よりバランスのいい味わいになるそうです。
試飲すると、どれも本当によくできています。
特に、赤ワインはフルーツが凝縮し、のみやかさもある、おいしいワインです。
「カサブランカのテロワールを伝えるワインを造りたい」と、アンヘリカさん。
Edicion Limited 2014
アンヘリカさんの友人のアーティストが描いてくれたラベルとのこと。
2014年ヴィンテージの生産量は2,000本のみ。
果実味がよく凝縮し、スパイシーさのある高品質ワインです。
若いワイナリーでここまでの品質を出してくるとは、海に近い冷涼なカサブランカ・ヴァレーの素晴らしいテロワールもあると思いますが、技術力もある、ということです。
もう1社 Villard は、来日したジャン・フランソワさんの父(フランス人、チリでチリ人女性ージャン・フランソワさんの母ーと結婚)が1989年にカサブランカ・ヴァレーに立ち上げたワイナリーです。
ほぼステンレスタンクのみで醸造し、飲みやすくリーズナブルなレンジ「EXPRESSION」。
エントリーレベルのレンジでも、バランスよく造っています。
格上のレンジ「GRAND VIN」シリーズになると、脱帽モノです。
だてにグラン・ヴァンと付けていません。
ジャン・フランソワさんは、世界各地のワイナリーでの経験を積み重ね、2005年にヴィラールに戻ってきました。
「エレガントで繊細で、酸が乗った、余韻が長いワインを造りたい」と、ジャン・フランソワさんは言います。
TANAGRA 2017
TANAGRAは、トップキュヴェを造ろう!と、ジャン・フランソワさんが初めて単独で手掛けたワインで、シラー100%。
初ヴィンテージの2005年の時は買いブドウでしたが、2008年に3つの異なる植樹しました。急勾配の畑に株仕立てで密植(8000本/ha)しています。
最初から樽の中で破砕し、1日に樽を8回も回転させて醸造するため、パンチダウンは行ないません。
色が非常に濃く、フルーツがよく凝縮しています。タンニンが非常になめらかで、こっくりとしたボディが楽めます。
父から、まだラベルに「Villard」の名前を載せられない、と言われているため、Villardの名前は表にはありません。
が、これも素晴らしいワインです。
ジャン・シャルルさんは、ピノ・グリージョでオレンジワインにも着手。
グルナッシュも植え始めました。
2社のバックグラウンドは異なりますが、どちらも、キレイな果実味の凝縮感を持ちながら、アグレッシブさを感じない、エレガントで、しなやかなワインです。
海に近い冷涼なカサブランカ・ヴァレーということもあるのでしょう。
かつて、「チリカベ」と呼ばれていた時代の、ガツンとパワフルなワインではなく、それぞれのテロワールを出そうという努力が表現され、洗練された味わいに変わってきています。
それを知らずにいるのは、もったいないことだと思います。
残念ながら、この2社はまだ日本未輸入ですが、プレゼンテーションには輸入元のバイヤーも参加していたので、どちらかが輸入してくれることを期待しています。
ちなみに、Villardは、小規模生産者のグループ「MOVI」に参加しています。
「MOVI」は10年前に結成されました。
私が6年前にチリを訪問した際、サンチアゴにあるメンバーの一人の自宅に招かれ、彼らのワインを飲む機会がありました。
その時の写真には、ジャン・フランソワさんの姿はありませんでしたが、Villardのワインはしっかりと映っていました。
小さな、しかし、意思を持った造り手が集まる「MOVI」は、チリワインを探求する上で、今後も注目です。
MOVIのメンバーの皆さん(2013年9月、サンチアゴにて)
チリワインが急成長を遂げた時代、大手3社が全体の生産量の50%を占めていたそうです。
現在は、チリのワイナリー数は400ほどに増え、生産地も南北に広がってきています。
北のアタカマ砂漠、南の南極、西の太平洋、東のアンデス山脈と、四方を自然の要塞に囲まれ、細長い国土には、さまざまなテロワールが存在するチリ。
DOも細分化されてきました。
また、魅力的なワイナリーも増えてきました。
チリのテロワール、生産者の個性に注目して飲む時代が、すでに始まっています。