ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

品質の高さに注目!今こそ飲みたいアルゼンチンワイン

2009-12-02 11:14:45 | ワイン&酒
世界のワイン生産地の中で、私が以前から注目しているのが アルゼンチン です 

チリワインが大注目を浴びたのは、今から10年ちょっと前のこと。
「安くて濃くておいしい」と、「チリカベ」(チリのカベルネ・ソーヴィニヨン)は大人気でした。

その隣にありながら、アルゼンチンワインは当時それほど注目を浴びなかったのが不思議ですが、チリワインのインパクトがあまりにも強かったので、他は出る幕がなくなってしまった、というのが実情でしょうか。

確かにチリワインのコストパフォーマンスの良さは素晴らしいのですが、惜しむらくは、チリは海洋性気候で雨や湿気の影響を受けやすい環境にある、ということです。

湿気を含む空気は、チリとアルゼンチンの国境にあるアンデス山脈を越える際に雨を落とし、カラリと乾いた空気がアルゼンチンに流れ込みます。

そうした素晴らしい環境の下、アルゼンチンでは健康で質の高いブドウが育ち、良質のワインができるのは当然です。



アルゼンチンのワイン生産量は世界5位、輸出量7位。
世界有数のワイン大国といえます。

にもかかわらず、なんとなーく地味な存在ですよね?
アルゼンチンでは自国でワインを消費する割合が多く、輸出に関心がない、といった話を以前に聞いたことがあります。

アルゼンチンでは年間の牛肉消費量が一人当たり120kgもあるらしく、
それを胃袋に収めるにはワインが欠かせないようです。

現在の輸出先の40%はアメリカやカナダなどの北米で、
日本への輸出は少なかったのですが、ここに来てようやく顕著な伸びを見せ始めています。

実際、ここ5、6年くらいで、日本でのアルゼンチンワインのプレゼンテーションの機会が増えていますし、ワインの品質自体も10年前と比べてより洗練されエレガントなスタイルに変わってきているのを感じます。

機会があれば、ぜひ今のアルゼンチンワインを飲んでみてください。



ということで、10月に開催されたアルゼンチンワインの試飲会で出合ったいくつかのワインを紹介したいと思います。


Finca Mirador 2007 
Finca Altamira 2003


メンドーサの 「Achaval Ferrer」 がつくるマルベック100%の赤ワインで、
いまだかつて出会ったことがないほど最も価格の高いワインで、しかも、飛び抜けた味わいのワインだと思いました。

どちらもフレンチオーク樽で15カ月熟成していますが、

ミラドール (左)は凝縮感があり、酸味がしっかりしてナチュラルな味わいが魅力。

アルタミラ (右)は超なめらかで、こなれてしなやか。
非常にエレガントできれいなスタイル、かつ旨味系で、余韻が驚くほど長いのです。
1920年に植えた樹齢89年になる木で、収量は15hl/ha、つまり、1リットルのワインに3本の木が必要だと聞きました。

ミラドールもアルタミラも12,500円と、アルゼンチンワインとしてこの価格で売れるの?と心配してしまいますが、とにかく品質が素晴しいので、一度は飲んでみる価値があるワインだと思います。
(輸入元:ジェロボーム)



Amalaya de Colome Red 2006

アルゼンチン北部、ボリビアに近いSalta(サルタ)地域にもワイナリーがいくつかありますが、緯度が南回帰線付近(約23度)なため、標高の高い涼しい高地でブドウ栽培が行われています。

「Bodegas Colome」 が所有する最も高所の畑は標高3000mを超えています
写真のワイン「アマラヤ・デ・コロメ・レッド」は標高1700~2500mの畑のブドウを使っています。

標高の高い畑は、夏の日中は35度まで気温が上がりますが、夜になると10度くらいまでグンと冷え込むため、ブドウが成熟する期間が長くなります。

また、高所で紫外線をたくさん浴びるため、果皮がより厚いブドウになり、ポリフェノール含有量が多くなるのはもちろん、より深い色、複雑味を持つワインができます。

マルベック50%以上に、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、タナ、ボナルダなどをブレンドした赤ワインで、こちらは輸入元希望小売価格1,720円

この上のクラスになる「Colome Estate Malbec 2007」は樹齢90~150年になるブドウを使い、標高1600m、2300m、2500mと高さの違う畑のブドウをブレンドしています(3,500円)。

標高の違う畑のブドウをブレンドすることは、アルゼンチンではよくあることです。

コロメの白ワイン「トロンテス」も透明感のある果実味が心地良く、私好みでした。

なお、コロメではビオディナミ栽培を行っていますが、高所がビオディナミを可能にしています。
(→ビオディナミについては明日紹介します)

(輸入元:ヴィレッジ・セラーズ)




メンドーサのPascual Toso S.A. はスパークリングワインからハイエンドのスティルワインまで幅広く生産し、品質が良くオススメのワイナリーです。

(輸入元:ピーロート・ジャパン)

コメント (3)
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