拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

下総の国~信長はテナー~好色な王様~動かない指揮者

2021-06-07 09:20:41 | 音楽
ここ数日、当ブログで話題にしている地域=ミナミジサイチョウがカエルを食べ放題してた地域=常磐線沿線、北総線戦線、そして京成本線沿線は、一言で言えば下総である。その南が上総。上総が「上」なのは、より都(京都)に近いから。上総の南が安房である。挙兵した源頼朝は、石橋山の戦いで敗れ、神奈川県の真鶴岬から船で安房に逃れた。そこから、上総、下総を北上後、江戸川と隅田川を渡って鎌倉入り。つまり東京湾をぐるっと回ったわけである。歴史と言えば、私は博多華丸さんが大好きだが、西郷隆盛はイメージとは違う。西郷さんは、史実では医者からダイエットを進められたほどの巨漢であるのに、華丸さんはほっそりとスマートでいらっしゃるからである。同様に、大概の織田信長役に違和感を感じるのはその声である。宣教師ルイス・フロイスは、信長について「その声、甚だ高く」と書いている。だから、私の信長の声のイメージは、リヒャルト・シュトラウスのオペラの「ヘロデ王」「エギスト」、又は歌劇「金鶏」のピピン王である(いずれも、超高音でキーキー歌う役である)。なのに、信長を演じる多くの役者の声は立派なバリトン。太い声で、光秀に「この金柑あたまー」と言ったり、本能寺の変に際して「是非に及ばず」と言ったりするのを聞き、オクターヴ上で言ってよと思う(だが、最近、「甚だ高く」は「とても大きい」の意味だったのかな、とも思う)。そのピピン王は、「リムスキー=コルサコフ」のオペラ「金鶏」に出てくる王様で、好色家。ボリショイ・オペラが日本でこのオペラを演奏したとき(日本初演)、ちょうど日本では、就任間もない某元首相の女性問題が勃発していた。その話を聞いた指揮者のスヴェトラーノフが、「ピピン王と同じだね」と言ったという。そう言えば、こないだ、Eテレで、N響の団員の心に残る指揮者の特集をしたときスヴェトラーノフの映像も紹介されていた。最高に盛り上げるところで、一切、動かなかった。団員の皆さんは「銅像」を仰ぎ見る心持ちだったいう。私もこの人の演奏は好きで、その昔、タワーレコードでN響を振ったCDを試聴して、びっくりして何枚か買い込んだ覚えがある。「動かない」と言えば、バーンスタインがウィーンで「バラの騎士」を振ったとき、ある部分で、「ここは皆さんの方が私よりはるかによく知ってるでしょう」と言ってあえて振らなかったと言う(「バラの騎士」はウィーンが舞台である)。ウィーンの人はそういう風に言われるのが大好きらしく、翌日、新聞はこのことを大々的に報じたそうだ。なかなか世渡り上手なバーンスタインである。さて、今回は「森と林」の話をしようと思っていた。房総半島に広がる森林からの流れでちょうどいいと思ったからだ。ああ、それなのに。筆任せで書いていたら、ウィーンのバーンスタインで終わってしまった。「森と林」は次回以降に回すことにする。