続いて、この夏のサルツブルク音楽祭の「バラの騎士」(Rosenkavalier)の話(映像を見た)。マルシャリンがクラッシミラ・ストヤノヴァだっていうんで大いに期待したら期待達成度120%!上から下までむらなく出る深い声。寝起きの顔(第1幕幕開き。情事の後)を見て、え?こんな顔だっけ?思ったんだけど、劇中髪を整えていくうちに見慣れたストヤノヴァの顔になる。髪型で顔は変わるんだのー。オックス(ギュンター・グロイスベック)にはびっくり。こんなイケメンのオックスがいたろうか(声も申し分ない)。まるで、ロバート・レッドフォード。ガタイもいいし。これじゃ、ゾフィーが迷っちまうぞ。ゾフィーはモイカ・エルトマン。童顔でちっちゃこくて、役柄にぴったり。オクタヴィアンは、ソフィア・コッホ。この人、いつも口を上下に鼓みたいな形で開ける(カーネーションのマサちゃん(玄覺悠子さん)がこんな口で歌う)。別の公演の映像では真っ赤な口紅をつけてこんな口をするもんだから、食虫植物みたいだったけど、今回は口紅が薄くておそろしいものは見ずにすんだ。大詰め、ファーニナルが「Sind halt aso, die jungen Leut'!」(若い人はこんなもの)と歌うとこ、「Sind」が「ザント」になってた(ホントはズィント)。え?この人(アドリアン・エレート)フランス人?そしたらオーストリア人だった(だから拍手が多かった)。お母さんがフランス人だった。それでか。てなわけで、私的には突っ込み所満載のこの上演、タイトルはどれにしよう?「最高のマルシャリン」「Rレッドフォードみたいなオックス」「食虫植物でなくなったオクタヴィアン」等々考えたが、全部ぶっとんだ。最初と最後に出てくる召使いのモハメドは坊やではなく青年。その青年モハメドが、最後にゾフィーが落としたハンカチを拾う。私、モハメドがこのハンカチの匂いを嗅いだら面白いのに……と思ったら、ほ、ほ、ほ、ほんとに嗅いだ。で、この記事のタイトルとなったわけです。