拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

影武者/ペースメーカー

2024-07-21 07:23:55 | 音楽

横野好夫です。O姫がメンテのため短期入院。入院先は、ちゃんとした人がちゃんとした楽器を診せにいくちゃんとした工房。そういうちゃんとした所に私のようなちゃんとしてない人間が行くのは憚られたが、O姫自体は元はと言えばマリゴ家という由緒正しい旧家の出身である(その後、身を持ち崩して私の元に来たが。因みに、来週の朝ドラでは、ヒロインのクラスメイトだった元華族様が登場する模様である)。

その工房の主人(とっても親切)が、私に「高いレはどういう指遣いで出してますか?」と聞く。その指遣いによって調整が違ってくるらしい。よかった。私は高いレまでは出している。これが高いミだったら答えられないところであった。

O姫の入院中は影武者にがんばってもらう。

この影武者、生まれは平民の家であるが、何処の馬の骨とも分からなくはなく、一応、お里が知れている。その点、ウチにいる鞍属のベー姫(旧家出身)の影武者(お里知らず)よりはずっとましである。しかも、大吠属の姫で最初にわが家に来たのはこちらである。大吠を一度触ってみたくて、どうせちょっと触るだけだからと家名を気にせず安く購入したのだが、これが箸にも棒にもかからなければそれで終わったのだが、思いのほかいい音が出る。すると欲が出てきて、それで旧家出身のO姫を迎え入れた次第である(そのときO姫はもう身を持ち崩していたから、家の名前からすれば格安であった)。その影武者であるが、久しぶりに吹いてみたらかなり良い。ウチに来た当初、いろいろ不備があったが(だからO姫を迎え入れたのだが)、今回、ほとんど気にならない。当初の不備は結局私の腕の問題であったか(そりゃそうだ。そのとき私は初めて大吠に触ったのだから)。家のせいにした私は間違っていた。平民出身でもちゃんと扱えばそれなりに使えることが分かった。リードについても同じである。当初、5枚一組の安い輩が箸にも棒にもかからないと思って、どんどん高いヤツを買い足していったのだが、今回「安い輩」がそこそこ鳴るのでびっくりした。考えてみたら、家柄を言ったらそもそもの私が影武者嬢とどっこいどっこいである。家がどうのと言える立場ではなかった。

O姫をドックに入れたのは、とある本番にO姫で出演する話(既述)が、どうやら夏の夜の夢で終わらずホントになるかもしれないので、焦って、できることは全部しとこうと思ったからである。

短期入院で思い出すのは亡き母のこと(がらっと変わって次は人間の話である)。ペースメーカーの電池の交換のため入院したとき、当初は二泊の予定だった。ところが、入院した翌日病院から電話があり、母が病院内を徘徊して手に負えないから今日にも引き取ってくれ、ということだった。だから引き取った。え?じゃ、もともと一泊でも足りたの?とも思ったが言わなかった。その電池について言われたのは、「これまでペースメーカーはあまり動く必要がなかったみたいなので(え?じゃ、もともとなんでペースメーカー入れたの?と思ったが言わなかった)、電池の電力をしぼって10何年持つようにした」ということだった。母が亡くなったのは、その半年後である。そんなこんながあったので、私は、ペースメーカーだけは生涯何があっても絶対入れないつもりである。

因みに、写真に写っている黄色いメガホンのようなブツは、メガホンとは逆で、歌用の消音器である。


サインはV

2024-07-20 11:15:34 | 音楽

チコちゃんのお題は「写真を撮るときのピースサインをするのはなぜ?」だった。思い起こせば、私が右手の人差し指と中指を突き立てるポーズを知ったのは「巨人の星」であり、甲子園に向かう青雲高校野球部を乗せた列車が発車する際、ホームの片隅にいた星一徹が息子・飛雄馬に指し示したそのサインは「勝利のVサイン」であった。だから、私にとっては「Vサイン」こそが出発点であり「ピースサイン」は後から来たものなのだが、チコちゃんによると、私の認識の変遷は歴史的変遷に符合するものであった。すなわち、このサインは第二次世界大戦で連合国側で「Vサイン」として定着した後、ベトナム戦争に対する反戦運動の過程で「ピースサイン」に変貌したということである。

因んだ話その1。写真を撮るときのポーズは国よってまちまちで、チコちゃんの解説VTRでイタリア人は腰に手をやっていた。その際、発していた「コーシー」がイタリア語の「こう(cosi)」なのか日本語の「腰」なのかは不明である。因みに、モーツァルトのあるオペラの題名について、多くの人は「コジ」と言ってるけど、横野君は「コシ」と言っている。南の方は濁らないからだって。そもそも横野君はてっかてかのジャパニーズなんだから北も南もあるまいに。

その2。「巨人の星」で星一徹は青雲高校野球部のコーチを引き受けたことがあった。その報酬は100万円で、その額を聞いた野球部部員が「ひゃ、ひゃ、ひゃくまんえーん?」とびっくりするのだが、そりゃあ聞いたのが私なら「ひゃ、ひゃ」で失神するだろうが、星雲高校は超お坊ちゃん高校で、生徒は大金持ちの子弟揃いである。そんな彼らにとって「100万円」は「はした金」のはずなのにこの驚きはなに?と不思議に思ったものだ。時代だろうか。

その3。「巨人の星」と同時期に「サインはV」というバレーボールをネタにしたドラマがあった。その主題歌の出だしは「ヴイアイシーティーオアールワイ」であった。意味も分からず歌っていたが、今、そのスペルを起こしてみる。”VICTORY"! おお!(と驚くまでもない)「ヴィクトリー」(勝利)である。なお、主人公が属するチームの名前は「立木大和」であるが、原作の漫画では「立木武蔵」であり、モデルとなったチームは「日立武蔵」である(戦艦大和と戦艦武蔵は同型船である。沈没した戦艦大和を隠れ蓑にして建造されたのが宇宙戦艦ヤマトである)。岡田可愛が演じたヒロインの武器は、ジュン・サンダース(演:范文雀)と組んでする「X攻撃」のほか、雷のようにジグザグに落ちるサーブがあったが名前を忘れた(追記。もしかして「稲妻サーブ」?と思ってぐぐったら「稲妻落とし」がヒットした。そうだ、これだ!)。同時期、「アタックナンバーワン」というバレーボールをネタにしたアニメがあったが、私の父は、「アタックナンバーワン」はアニメだから見ちゃダメだが「サインはV」は実写だから見てよい、という全くナンセンスな規制をかけていた(それがブログネタになるのだから役に立ったと言えば立った)。それでも、父はいつも飲んで帰りが遅かったから「アタック」も見ていた。主題歌だって歌える。そう言えば、歌の途中に台詞が入ったっけ。「でも、涙が出ちゃう。女の子だもん」これはいかん。涙の出方に男も女もあるものか。今なら許されざるジェンダー差別である。なお、「アタック」と書いて博多華丸さんが思い浮かぶことの因果関係は、「風が吹けば桶屋が儲かる」よりももっと短絡である。すなわち、「アタック」→「パネルクイズ・アタック25」→「司会の児玉清」→「その物真似をする博多華丸さん」というわけである。


ヨハネ・パウロ通唱会

2024-07-15 07:59:28 | 音楽

横野好夫です。ヨハネ・パウロ通唱会でアルトを歌ってきました。通唱会とは、お題の曲を歌いたい人が集まって、合唱もソロも問わず好きなところを好きに歌う一発勝負の会。で、この日のお題は、バッハのヨハネ受難曲とメンデルスゾーンの「パウロ」であったわけ。以下は、私の参加に至るまでの経緯。文中に「神託」「神」が多く登場する理由は両曲の内容が頭に作用したためだと思われる。「美女」が登場する理由は、美女が好きなためと思われる。

ずっと前:Y先生から「ヨハネはピアノを弾くけどパウロは別に弾く人がくるのでクラリネットを吹く。一緒に吹かないか」とお誘いを受け、その気になる。
ちょっと前:会場が管楽器NGであることが判明。私の参加は白紙に。
1週間前:謡いまくる会(仮名)で会ったM美女から、通唱会で歌わないかと誘われ、私は美女に弱いので(キンドルなら、ここに「100人がハイライト」と出るはず)歌で参加する気に傾く。
6日前:いっそう傾く。
5日前:ほぼ参加する気になり、楽譜はネットで著作権切れのヤツをただでゲットしようと思ったら、タダ楽譜のアルトのパートの歌詞が英語になっている(ホントはドイツ語)。そこで、神託を仰ぐため有料楽譜をポチった。当日までに楽譜が来ればそれは参加しろとの神の思し召しである。来なければ諦めろとの思し召しである。
4日前:神託は下った。楽譜が届いた。しかも、この日、拝島さんの奥地の家に行こうと思っていたところ、その出発前、午前中に届いた。行きの電車の中で楽譜を読めとの思し召しである。で、アルトパートを読んでたら、あと数ページってところで降車駅に到着しそうになった。テンポを急速にしてぎりぎりで読み終えた(暮れの東急ジルベスターのカウントダウンでは、逆に、早く終わりそうになり、年変わりまで音が伸ばすことがときどきある)。
3日前:Y先生から「今回、弦楽器の参加者は1stヴァイオリン一人だけだから、ヨハネ受難曲でヴァイオリンを弾かないか」とのお誘いを受ける。楽譜を見ると2ndならすぐ弾けそうなので即断。2ndヴァイオリンを弾く旨をY先生と事務局に連絡。そしたら1stヴァイオリンの参加予定者が急遽キャンセル。1stがいなくて2ndだけっていうのはおかしい。そうかと言って1stのパートを二日半でさらうのは不可能。これは、ヴァイオリンを弾くなという神託である。即断。ヴァイオリンでの参加をとりやめて歌に戻る旨をY先生と事務局に連絡。真夏の昼の夢であった(まだ梅雨が明けてないんだっけ)。
前日:パウロの歌詞を全部読んだ。第1部でサウルと呼ばれた人が第2部でいきなりパウル(パウロ)になっていた。
当日:行きの電車でキンドルで「ソフィーの世界」(少女が哲学史を学ぶ物語)を読んでたらちょうどパウロが出てきた。会場は、目印である赤いピアノが遠くからでもよく見えた。で、歌った。パウロは超面白かった。こんなに面白いなら何か月も前からしっかり準備すべきだったと悔やんだ。なぜもっと早くにM美女をお遣わしにならなかったのかと神を恨んだ。いや、今後もパウロを歌う機会があるかもしれない。実は、所属しているA合唱団で、パウロを歌う話が出たが、同じくメンデルスゾーンの大曲のエリアを歌ったばかりなので、ちょっと違う曲をということで現在シューマンを歌っている。これが終わって、またパウロの話が出たら、今度は大いに賛成しようと思う(って、こないだ、ジェンキンスの「テ・デウム」を推薦する、と書いたばかりである)。


第九のレコードをひっくり返してないことが気になりました(ドクターG)

2024-07-11 10:21:10 | 音楽

NHKの「ドクターG」が復活した。先生役のベテラン医師が実際にあった症例を持ってきて、研修医に病名を当てさせる番組。今回の症例は「だるくて動けない」。正解は脚気心。患者さんは、3か月前まで息子家族と同居してたのだが息子の転勤で一人暮らしになった。それまでの食卓は豪華だったが、現在は、
朝=菓子パンとコーヒー
昼=素麺
夜=漬物と筑前煮(息子の奥さんが持ってきてくれる)とビールを少々とご飯をお椀に半分ほど
この食事が災いして、特に豚肉などに多く含まれるビタミンB1が不足し、ああなってこうなって脚気心(心不全の一種)になったそうだ。

因みに、私も一人暮らし。その食事の平均的なパターンは、
朝=ラーメン(具=ナス、キャベツ、キクラゲ、もやし、豚肉)
昼=ご飯、味噌汁(具=ワカメ)、玉子
夜=生野菜、野菜と豚肉の炒め物、パスタ、お酒(たくさん)
ご覧の通り、豚肉=ビタミンB1は十二分に摂っている。だから、件の患者さんのように心配して食事を持ってきてくれる「息子の奥さん」は不要である。そもそも、配偶者や子はもちろん愛人、知人、痴人、友人の類いは一人もいない。

件の患者さんは、幸いにして、ビタミンB1の投与により症状はすぐに良くなったそうだ。この患者さんへの食事に関するアドバイスは、例えば菓子パンをライ麦パンに代えるとか。すると、今朝のあさイチで、つくばのドイツパン屋さんを紹介していて、美味しそうなライ麦パンが映っていた。話はつながるモノである。だから、私は今日の昼はライ麦パンにするつもりである。ドイツ風にチーズやハムをはさめばビタミンB1もしっかり摂れる。

「ドクターG」に戻る。先生役の先生が研修医さんたちに、しきりに「他に気になったことはないですか?」と聞いていた。横野君はこんなことが気になったらしい。以下、横野君がその場にいたと仮定しての架空シーンである。
先生:他に気になったことはないですか?
横野:はい!
先生:はい、横野さん、どうぞ。
横野:再現VTRで、患者さんは第九のレコードをかけて第1楽章が始まった途端に苦しくなって動けなくなりました。その後、息子の奥さんが来たときは第4楽章が終わる頃でした。第九のレコードを全曲通して聴くには、少なくとも一回はA面からB面にひっくり返さなければならないのに(晩年のカール・ベームのような遅い演奏の場合は二枚組だからひっくり返す回数はもっと増える)、それをした形跡はありません。患者さんは動けなかったのですから。これがとても気になりました。
アダム・スミス:そこに「見えざる手」が働いたのです。


異なるテンポの妙味(カーサクラシカのセッション)

2024-07-09 09:20:19 | 音楽

横野好夫です。ここ二回連続してカーサクラシカに行きそびれていた。満員札止めのためだが、今回は私の都合で参加が危ぶまれた。前日が謡いまくる会(仮名)で、かなりの確率でアフターで大酒を飲み翌日二日酔いになっていそうだったから。だが、二日酔い気味ではあるが、喉の調子は悪くない。よし!ってんで参加したわけである。ピアノはK澤さんである。

ここは、テーブルごとに作曲家の名前がついていて、私の定席は「グリーグ」。グリーグが好きなわけではなく(グリーグは好きだけど)、たまたま位置的に一番気に入った席が「グリーグ」だったのである。今回は、久しぶりの「グリーグ席」であった。

で、私は、1巡目にクラリネットを拭いて……ではなく吹いて(私のベー姫(クラリネットのB♭管)のキーは材質のせいで拭いても光らない。他の人の楽器がピカピカ光っているのを見るといつも羨ましいと思う)、2巡目以降に「水車屋の娘」の第1,8,11,14曲を歌った(もちろん、おかま声で。最初にクラリネット曲をもってきたのは二刀流のアピールである)。「水車屋」は全部で20曲から成るが、私が現在たどり着いてるのは第14曲。その曲と過去に歌った曲の中から選んだ曲が今回のラインナップであった。その第14曲は前日の謡いまくる会(ピアノは某子さん)でも謡った……ではなく歌ったのだが、そのときのテンポは倍だった。ベートーヴェンの交響曲第7番の終楽章に例えるなら、前日がカルロス・クライバーでこの日が晩年のカール・ベームってな案配。だから、前日はドイツ語の早口言葉のトレーニングになったし、この日は一個一個の言葉をかみしめながら歌うことができた。要は、大変お勉強になった、ということである。因みに、カルロス・クライバーは、生まれたときはカール・クライバーであった。なお、4か月後のリート会(歌曲限定の発表会。お客様にも来て聴いていただくことになっている)でも私は「水車屋」を歌うつもりである。持ち時間との関係で何曲か選択しなければならない。これから4か月の間に歌い直したり新たに歌ったりして「いいな」と思ったヤツを選ぼうと思う。すなわち、曲決めのための私自身によるオーディションってわけである。昨日もその意味合いがあったわけだが、当選確実が出たのは第1曲のみ。あとは接戦である。

カーサクラシカのセッションは、自分が演奏してない間は自席で他の人の演奏を聴くのだが、昨日は素晴らしい「聴き物」があった。なんとベートーヴェンのクロイツェル・ソナタの第1,3楽章を弾いた御仁がいらしたのである。私は全身耳になって聴き入った(因みに、バッハが世に埋もれていた時期にあってもモテットの第1番は演奏されていて、それを聴いたモーツァルトは全身耳になったそうである)。他にも、ドヴォルザークの「ルサルカ」を清く歌ったソプラノさんもいたし、たいそう多彩で充実したセッション・タイムであった。

私が頼んだ料理は「季節のグラタン」。ナスにつられて注文した。クロイツェル・ソナタを聴いて興奮してあがったかもしれない血圧も、きっとグラタンのナスが下げてくれたことだろう。お酒は、まずは瓶ビール、続いて赤ワインのボトル。きれいに向かい酒を飲み干して帰路についたワタクシであった。


開管楽器と閉管楽器

2024-07-06 21:33:51 | 音楽

昨日、横野君にブログを書かせたら、自分とこの御姫様の集合写真(一部丸写真)を載せて、御姫様方のご機嫌を取り結ぶ話ばかり書いてたけど、そういう昼ドラ的な話は横野君に任せるとして(昼ドラで一番印象に残ってるのは「牡丹と薔薇」)、私は、横野君とこの木管一族について深掘りをしたいと思う。

横野君は、パーツが一番多い=組立てに時間がかかるのはどれか、それはクラリネットって書いてたけど、そんなのは組み立ててしまえばどうでもいいこと。私は、三人の御姫様について、それ以外の異同に注目したいと思う。

現実の素材で言えば、写真で見る横野君ちの御姫様については、フルートが金属製で、あとは木製。でも、分類的には全部が木管楽器。要は、大昔はどうだったか?てことですね。オーボエとクラリネットだって、黒光りしてたって安いヤツは合成樹脂だからね(横野君とこのオーボエとクラリネットは文字通り木製)。フルートには金、つまりgold製のものもあるんだってよ。ある人が、この物価高のご時世、価値が下がらないのは金、だから金歯にして肌身離さないって言ってたけど、金ぴかのフルートも物価対策になるのかしらん。

三種のうち、リードを使うのがオーボエとクラリネットで、フルートは唇で直接触れあう(ちょっと淫靡)。

さあ、ここから今日のメインテーマ。開管楽器か閉管楽器かって話。開管楽器は管の両端が空いていて、閉管楽器は一方が空いてるけど他方がふさがってる楽器を言う。すると、フルートは管の一方の端に吹き口があって、他の端は空いている。だから開管楽器。それに対し、クラリネットは、ベルの部分はおおいに開放してるけど、反対側は、少し開いてる穴はリードで塞がれ、そのリードを震動させて音を出す。だから閉管楽器である。すると疑問なのはオーボエ。ベルの反対側の小さい穴は二枚舌で塞がれリードの震動で音を出す。だったらクラリネットと同じじゃんけ。ところが、一般に、オーボエはフルートと同じ開管楽器に分類されている。これは一体なにごとぞ?こういうことらしい。フルートのような開管楽器は、鳴る倍音が偶数倍音。近いところでは2倍。すなわち、オクターブである。だから、例えばソの指遣いのまま息を速めるとオクターブ上のソが出る。それに対し、クラリネットのような閉管楽器の場合、鳴る倍音は奇数倍音。近い所では3倍。すなわち、オクターブと5度である。だから、例えばドの指遣いのままオクターブキーを押すと、オクターブ上のドの上のソが出る。ではオーボエは?ソの指遣いのままオクターブキーを押すとオクターブ上のソが出る。フルートと同じでこれは開管楽器の特徴である。だから開管楽器ということのようである。すなわち、実際に開管か閉管かいうことではなく、鳴る倍音によって開管楽器か閉管楽器かが決まるのである。

おまけその1。オーボエが閉管楽器っぽいのに偶数倍音が鳴るのは、その形状(下に行くほど管が広がる円錐形)が関係しているそうである。

おまけその2。同じリード楽器と言ってもクラリネットは一枚舌なのに対し、オーボエ(ファゴットも)は二枚舌である。

おまけその3。組立てはクラリネットが一番大変と言っても、リードのことを考えると、支度に一番時間がかかるのはオーボエである。横野君などは、元来いい加減な人間で適当に鳴りゃあいいと思ってるからリードも完成品をポチってすましているが、オーボエのプロはリードを手作りしていて、オーボエの練習時間よりもリードの作成時間の方が長かったりするそうだ。

おまけその4。そうは言ってもやはりクラリネットの組立ては面倒。いったい、毎回組み立てて、練習が終わったら分解する必要があるのだろうか。それで思い出すのは、横野君の思い出話。高校の頃、クラリネットを吹き終わったら必ず分解してパーツごとに布を通して水を拭きとらなければならない、分解しない状態で上から下まで布を通して拭いたりしてはいけない、と先輩に教わったのだが、某N響のトップを吹いてた某奏者の講習会に行ったら、某奏者は、思いっきり分解しない状態で上から下まで布を通して拭いていた、後でみんなで「あれでいいのかね?」と言い合ったそうである。因みに、その奏者は、派手なネクタイをしていて、分解しない状態のクラリネットの管に通して拭くのに十分な長さを備えていたそうである。

 

 


姫ごぜ揃い踏み(マウスピースが調理器具と一緒だった謎)

2024-07-05 11:52:35 | 音楽

横野でござる。そんなわけで(いつかの記事の続き)、O姫のもとに毎日通うようになったのでござるが、当然、O姫をライバル視しているF姫は面白くない。「O子さんのところにいらしたんですね。だからってワタクシのことをおろそかにしたら許しませぬっ」と顔が怖い。もちろんじゃとも。Oのところに行くときは必ずお前のところにも寄るつもりじゃ、と言って機嫌をつなぐ。もっと怖いのが鞍姉妹、なかでもベー姫は一番のお局様。「殿。O姫とF姫のもとにまいられるのなら、それを合わせた時間だけ妾のところで過ごして下さいませ。この願いが聞き入れなかりせば、いつでも短刀を喉に突き刺して死ぬ覚悟でございます」。これはもう脅迫である。その結果、O姫のもと30分、F姫のもと10分、そしてベー姫のところには40分いて、努めを果たし申した。因みに、この三姫は、お支度に時間がかかることで共通している。どの姫も、事前に「組立て」が必要。いったい、一番支度に時間がかかるのはどの姫だろうか。「接合部分」に印をつけてみた。

おお!F姫とO姫は接合部分が二箇所(3パーツ)であるのに対し、鞍姉妹のべー子は接合部分が4箇所で5パーツからなる。さすがお局様である。

このように、三人の姫達は互いに競い合ってはいるが所詮は同じ管一族であり、城の奥の三つの勢力のうちの一つ。あとの二つのうちの一つが弦一族。

弦姫とチエ姫がこの一族出身である。この一族は古い一族だけあって気位が高い。管一族にばかり入り浸ったと言って機嫌を損ねられても面倒。しこうして管一族の後は両人のもとにも赴き、それぞれ30分ずつ努めを果たしのでごじゃった。実は、みどもと弦姫は幼なじみ。チエ姫は、弦姫の口利きで城に来たものである。この体格差の違いが1オクターブと五度の違いになるのである。

三大勢力の残りの一つが鍵一族。と言っても、この一族に属するのは電姫だけだが、

88鍵もあって存在感があるから、一人で一大勢力を維持している。88鍵と言ったが鳴らない鍵が一つあるから87鍵である。わが城でコンセントが必要な唯一の姫である。因みに、電姫に乗ってる漫画本は「エプロンおばさん」である。長谷川町子と言えば「サザエさん」だが、みどもは「エプロンおばさん」の想い出が強く、近年、古本をポチったのである。この日、最後に向かったのが電姫の寝所。三大勢力のうち鍵一族にだけまいらんわけにはいきもうさん。カタチだけでもまいらんと。滞留時間は10分でごじゃった。

というわけで、この日渡った先は管一族の3姫、弦一族の2姫、そして電姫。もはや唇の感覚はない(管一族の姫達を相手にするとき使う口周りの筋肉はまちまちである)。一日に全姫を訪問するなど滅多にないから、記念に、一族ごとに写真を撮って合成して集合写真とした。さすがに、一族を超えて集合というわけにはいき申さんからに。

あっ、「全姫」と書いたが全姫ではなかった。すっかりご無沙汰でその存在を忘れていた姫達がいた。金管一族のT姫(愛称=ペッ子)と、利口田一族のソプ姫とアルト姫である。城の姫には違いないのだから集合写真に載せないわけにはまいらん。卒業写真の撮影日に学校を休んだ卒業生は丸写真で追加するからそれに倣おう。こうして完成したものが冒頭の集合写真である。

そのペッ子だが、口元に何かが足りない。マウスピースだ。どこへいったんだろう?と思ったら、どういうわけだかキッチンの調理器具を入れた引き出しに入っていた。

一番右端にあるのがそれである。なぜこんなところにしまいこんだかは謎である。


アニメや映画に見るロボット、サイボーグ、A.I.

2024-07-03 10:54:13 | 音楽

昨日、アニメ主題歌の話をしたので、今日も引き続きその話から。「エイトマン」の主題歌は、トランペットの咆哮で始まる。これがたいそう奇っ怪である(楽譜は、横野君に耳コピで作らせた)。

何調だか分からない。それが、4小節目から歌が入ると、

ようやくヘ長調だと分かる。このトランペットの後のヘ長調がいかにも唐突な感じがしたのだが、トランペットのシ♮を、歌の最初の音のドの導音だと思えばつながる。この後、5小節に渡ってまだイントロが続き、その間、「エイト!」のかけ声が繰り返されるのだが、耳をすますとその背後でヴァイオリンの16分音符が躍動している。これがたいそう出色である。さらに、本編が始まった後は、同じヴァイオリンが、今度は一転して長い音符で歌を支えるがこれも出色、素晴らしいアレンジである。世の中に才能とはあるものである。

ところで、殉職した警官の再生がエイトマンと言えば、ロボコップとそっくりである(エイトマンの方がずっと先)。だが、エイトマンはロボットでロボコップはサイボーグ。違いの所以はこう。エイトマンは警官の記憶をロボットの電子頭脳に移したから100%機械であるのに対し、ロボコップは警官の生体をベースにしているからサイボーグなのである。Ma(イタリア語。日本語でも同義)、ロボットと言っても、人間の記憶で動いてるからエイトマンの考え方は人間のそれである。

それに対し、鉄人28号となると、これはもう120%ロボットで、操縦機の指令のまま動く。「いいも悪いもリモコン次第」(主題歌より)。だから「敵に渡すな大事なリモコン」(同)なのである。

これが、同じ横山光輝原作でも「ジャイアントロボ」となると、最初にその声をインプットした大作少年の言うことしか聞かないから安心である。なんと、半世紀前に声認証によるセキュリティ対策があったわけである。だが、最終回で悪の権化をやっつけるとき、ジャイアントロボは大作少年の命令を無視して自分の判断で動いた。現在のA.I.の走りである。因みに、「ジャイアントロボ」の主題歌を歌うのはぶっとい声の男声合唱であった。

そもそも善悪の判断を自分ですることを売りにしてるのが鉄腕アトムである。すると、もはや人間はいらなくて、A.I.だけになると言ったらそれは映画「A.I.」がたどり着いた世界である。その点を怖い、と思う人もいる。現在の戦争では、A.I.の分析に従いながらも攻撃の最終決定は人間がしているが、決定さえもA.I.がするようになるのだろうか。思い出すのが「ロボコップ」の冒頭。試作品のロボットがその場にいた人間を撃ち始めたのに誰も止められない様は恐怖であった。

だが、怖がってばかりでは進歩はない。こないだ、サンデーモーニングにソフトバンクの孫さんが出てきて、日本が停滞したのは、(専門家と称する輩やメディアが)「知りもしないのに」「上から目線で」「IT等の新しい技術を否定した」からだと言っていた。そう言えば、ドローンが世に現れたときも、日本では「そんな危ないモノは止しましょう」と言う議論が多かったように記憶している。日本人は「怖がりのDNA」を持っている人が多いのだそうだ。因みに私も、怖がりのDNAを持っているのだろうけど、何かを始めるときにそれが出てこなくて、やってから思い出したように出てくる変異型である。だから、人生、考えなしにいろいろ初めては失敗ばかりしている。


オーロラ三人娘の歌(巨人の星)

2024-07-02 18:09:54 | 音楽

ウチのパソコンは、ディスプレイ下部のタスクバーをクリックすると、決まってクリックしたかったアイコンの横のアイコンが起動していた。これって目の病気?と以前だったら心配したところだが、眼科検診で異常なしだったから目のせいではない。原因を特定すべく、ある日、ゆーっくりクリックしてみた。するとどうだ!マウスのポインターがタスクバーエリアに入った次の瞬間、タスクバーがアイコン一個分横にずれるではないか。これが原因だった。それにしても、なぜそうした作りになっているのだろうか。誤起動して誘導される先は、大抵、このパソコンのメーカーのサイトである。メーカーの策略かもしれない、と75%くらい疑っている私である。

さて。「巨人の星」は大好きだった漫画だが、漫画も、それを原作としたアニメも今日的には赤信号の灯る要素にあふれている。例えば、アニメの主題歌。「行くが男のど根性」はジェンダー・フリーの観点からレッドカードだし、「腕も折れよと投げ抜く闘志」は選手の身体のことを全く考えてない点で現在の風潮からはアウトである。

歌と言えば、この作品のアニメは、原作にないシーンがたくさん盛り込まれていたが、星が日高美奈と知り合う前に「恋愛ごっこ」をした橘ルミ(女性コーラスグループの「オーロラ三人娘」のセンター)が歌うシーンは、原作にはなかったと思うがアニメではあって、しかもオリジナルの曲まで用意されていた。♪アイラヴュー、アイラヴュー、ほればもう(ラードラ、シーレシ、ドレドミー(移動ド))というものだった。振りもあって、寅さんのような渡世人が仁義を切るときのポーズに似ていた(歌詞も振りも、いずれも半世紀前の記憶の断片によるものであるから極めて不確かである。「ほればもう」などは日本語として変だから間違った記憶である可能性が高いが、正解が明らかになるまでは「惚れればもう」が詰まったものだと思っている)。

それにしても、星飛雄馬も伴宙太も花形満も左門豊作もみんな二十歳前後なのに老けている。特に伴と左門は相当なメタボであり、立派なおじさんである。


O子、千載一遇のチャンス

2024-07-01 21:22:41 | 音楽

私、名前は、おおぼえのちゃるめらのひめみこ。夫からはO子と呼ばれてます。その夫は横野の好夫の殿。私は、その何人もいる妻の一人。でも、本妻じゃないので、あなた方の世界ではお妾さんと呼ばれてる身分(本妻の席は現在空席)。お妾さんだろうがなんだろうが「お通い」があればよい。これでもね、殿の妻になった当初はしょっちゅう「お通い」があった。でも、この数年、全くない。まるで「光る君へ」の吉田羊が演じた藤原詮子のよう(「よう」で韻を踏んだ)。殿のご寵愛は、もっぱら鞍一族のべー姫やあー姫、あと、弦子さまとその親戚筋のチエ子様に向かってるらしい。それから、これが気にくわないのだけど、私とほぼ同時期に嫁入りした、新参者という意味では私と変わらないF子さんの寝所にも頻繁に通われてるそうな。ささっと済まされるらしいけど、それでも日参されてるんだったら私の待遇とは比べものにならない。

ところが、そんな殿が、どういう風の吹き回しか2年振りに私の寝所にお渡りになった。なんでも、だいぶ先になるんだけど、殿にお披露目の会のお話があって、その際、私を同伴するようにとの指名があったという。それでか。とにかく、久しぶりの殿のおなりだから、私、がんばって歌った。声を出した。でも、殿は、全然だめだな、お前がそんなだと話が流れてしまう、とため息をついている。それって殿のせいでしょ。殿がずっとかまってくれないから声を出してなかったんじゃない。いきなりではいい声は出ません。つうか、そもそも殿の取扱いが下手なんです。ところが、殿ったら、私の身体のどこかがさび付いてるんだ、って言って、人間ドックに入れることを考え始めた。で、ある人間ドックに問合せをしたら、もしかすると入院加療が必要になるかも知れないんだって。2年振りに「お通い」があったと思ったらすぐ入院か。でも、それで声が出るようになるんだったら私、行ってもいい。だって、陽の目を見る千載一遇のチャンスですからね。大谷翔平さんだって、肘の手術を受けたしね。

因みに、随分前に映画館で見た「ライフ・オブ・パイ」って映画を久しぶりに動画配信で見た。虎を始めとする野生の動物がたくさん出てくるんだけど、その話を信じてもらえなかった主人公が、じゃ、って言って、別のストーリーを話し始めた。動物が人間に置き換わった話。どっちが本当なのだろう(って、所詮は全部がフィクションだけれども)。言いたかったのは、今回の記事も、内容が分かりにくかったら、姫たちをムジークインストゥルメンテに置き換えると見えてくるかもよ、ってこと。


下総の国に音楽を聴きに密入国した件

2024-06-30 19:49:04 | 音楽

横野好夫です。今日は、こちらの演奏会を聴きに行ってきました。

演奏会が執り行われたのは下総の国。ワタクシは、下総の国への入国ヴィザを持ってござらん。だから、江戸川を超えて彼の地に行くのは密入国となるからして相当な覚悟が必要。だが、TsY先生のピアノとE先生のクラリネットは是が非でも聴きたい(第1回千人通唱会では、このお二方とワタクシとでクラリネットのトリオを構成した関係である(TsY先生はピアノが本業だがクラリネットも吹かれる))。加えて、プログラムが重厚で魅惑的。で、結果は、密入国の危険を冒してでも聴きに行った甲斐が十分あった。前半二曲のE先生のクラリネットは出し惜しみなく超絶技巧が披露されたし、最後のブラームスは、TsY先生のピアノという大船に乗ったうねるような熱演であった。

終演後、ロビーでそのTsY先生とE先生が二人並んでおられる。こりゃちょうどいい。いっぺんに二人にご挨拶できるぞ。で、ご挨拶した。E先生は握手を求めてくださった。あと、聴衆の中に、味噌煮込合唱団(仮名)でともにアルトを歌ったお姉様がいらして、こちらともご挨拶ができた。なにやら、亡命中に祖国に戻って知人との再会を喜んでいる風のワタクシであった。

因みに、モーツァルトの「ケーゲルシュタット」の「ケーゲル(ン)」は9本ピンのボーリングであり、「シュタット」は「場所」の意味である。モーツァルトはボーリング場でこの曲を作曲したという噂からその名が付いたという。

因みの因み、私が決死の覚悟で渡った江戸川は、その原型は利根川であった。利根川は、江戸時代における河川大改修によって注ぎ口が東京湾から銚子沖の太平洋に付け替えられたものである。


クラシック・イントロ当てクイズ(架空)

2024-06-29 17:16:06 | 音楽

クラシック・イントロ当てクイズ(架空)。第1問。変ホ長調の和音がトゥッティで鳴るや否や横野君がボタンを押した。横野君はこう続くと思った。

司会者「はい、横野さん」
横野「ベートーヴェンの『英雄』です」
ブザーの音「ブー」
司会者「残念。もう少し聞きましょう」
横野君がすぐ切れると思った音は切れずに長く伸びた。

司会者「正解はベートーヴェンの『皇帝』。惜しい。同じベートーヴェンだし。どっちもフォルテだし。あとほんのちょっと待ってたら横野さんなら分かったはず。因みに、ベートーヴェンは、民衆の英雄だと思ったナポレオンが皇帝になって激怒して、英雄交響曲の楽譜を破いたんだった。つながりはあった。では、気を取り直して二問目」。
変ホの低ーい音が鳴る。横野君は、今度はちょっと待って音が伸びることを確認してからボタンを押した。横野君はこう続くと思った。

司会者「はい、横野さん」
横野「ワーグナーの『ラインの黄金』です。
ブザーの音「ブー」
司会者「残念。もう少し聞きましょう」
横野君の意に反して、ずっーと伸びると思った音は横野君がボタンを押した直後からのたうち回り始めた。

司会者「正解はリヒャルト・シュトラウスの『英雄の生涯』。あとほんのもうちょっと聞けば横野さんなら分かったはず。では、気を取り直して三問目。おっと、ここで早くも(博多華丸さんの声で)アタック・チャーーーーンス!」。
すると、まだ何の音も鳴ってないのに横野君がボタンを押した。
司会者「まだ曲が始まってない。これはお手つきだ。どうした、横野さん。焦って手が動いてしまったか。でも仕方がない、何か答えて下さい」
横野「ショパンの『英雄ポロネーズ』」
ブザーの音「ブー」
司会者「英雄つながりで、そうお答えになったか。残念。お立ちいただく。あと二問のご辛抱……」

第1問と第2問を間違えたときなぜ立たなくてすんだかは不明である。第1問、第2問とも正解は変ホ長調の曲であったように、この日のテーマは「変ホ長調」。因みに「英雄ポロネーズ」はイ長調である。なお、説明するまでもないと思うが、博多華丸さんの「アタック・チャーーーーンス!」のオリジナルは児玉清さんである。博多華丸大吉さんのうち、博多にご実家があるのは華丸さんである。パネルクイズ・アタック25は、オセロのルールに従って正解した人がパネルをとっていくのだけれど、私は最後までオセロのルールが分からなかったので、解答者のパネルの取り方についてはとうとう疑問のままで終わってしまった。


茨田リツ子/高知なす

2024-06-27 08:43:21 | 音楽

民法の「直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない」という条文は、もちろんかつて法律職の末席を汚していたから知ってはいたが、今日の朝ドラでウメ子が「こんな当たり前なことを条文に書いて、姑を嫁におしつけようとする」と言ったのには思わずうなってしまった。そうか、そういう見方もあるのか。ウメ子の発言は、直接的には、姑の面倒はあなたたち(ウメ子の子=姑の孫=直系血族)で見なさいね、あたしは知りません、って意味のようだが、私は、もう少しひねくれていて、「私(嫁)は姑の直系血族ではない。家を出れば同居の親族でもない。だから姑の面倒は見ません」と言ってると思った。いやいや、法律ものと聞いて当初冷ややかに見ていたが、なかなか奥の深いドラマである。前作の「茨田リツ子」が同役で引き続き登場したのも、大サーヴィスであった。

そんな朝ドラを見て、ながれでテレビをつけてる人なら、私が、昨日、スーパーに行って高知ナスを探した理由が分かるだろう。「スーパーに大概ある」と言っても、そりゃ綾瀬駅前のスーパーにはあるかもしれないが、そこから徒歩50分の「23区の奥地」のスーパーにあるとは限らない。だが、あった。

米ナスも、長ナスも、もちろん普通のナスも売っていた。しかも、高知なすは1袋99円、米なすは1個79円である。最近、野菜は見切り品コーナーでしか見てなかったので気付かなかったが、今、ナスは旬真っ盛りなのだな。

「あさイチ」を見てなかった人のために一応解説すると、ナスは、血圧を下げる成分が他の野菜の1000倍(!)入っているという。さらに、高知ナスは、その成分が普通のナスの3倍(=他の野菜の3000倍)入っているという。パックにも「高めの血圧(拡張期血圧)が気になる方へ」という表示がある。科学的裏付けがあるのでこういう表示が許されるそうだ。下がったとは言え、血圧の上が正常値の上限プラスαあたりでうろうろしている私だから、さっそくこれに飛びついた次第である。

売り場には「高知なす」の他に「高知産なす」もあった。後者は普通のなすである。

で、夜、早速、天ぷらにして食べた。

美味であった。普段は捨ててしまうガクの部分も食べられると聞いて、天ぷらなら尚更いけるだろうと思って使ってみた。いけた。

ナスは、これまで栄養価に乏しい食材とされていたというが、あの紫色からしてポリフェノールを含んでることは容易に想像できる。ナスが含むナスニンという成分はポリフェノールの一種だそうだ。

ナスは、これまで印象の薄い食材だったそうで、子どもの好きな野菜ランキングにも嫌いな野菜ランキングにも入ってこなかったそうだ。私はパスタに和えてときどき食べていた。美味だが、オリーブオイルを吸い過ぎて、茹で上がったパスタと和えるときにはオイルが無くなっていて足さなければいけないことがままあった。昨日の番組ではその対策としてナスに塩をまぶせばいい、と言っていたが、塩はダメじゃん、血圧に。


流浪の民

2024-06-24 09:17:05 | 音楽

まひるが家に戻ってみると、下女が男を作っていた(大河ドラマ)。下女曰くその男は「なんでも言うことを聞く」。そういう男が好きな女性は確実にいるし、女に「なんでも命令されたい」と思ってる男も確実にいる。天の配剤である。

新しい民法では相続分は妻が3分の1で残りを子どもが分け合うと言っていたが(朝ドラ)、それは古い新民法の話で、現在の民法では妻が2分の1で残りを子どもが分け合う。今朝の放送で、確実に間違った知識が広がるのを憂えるワタクシである。では、残りは横野好夫君に書いてもらいます。

横野です。シューマンの「流浪の民」についての想い出は高校のときに遡ります。私が所属していた吹奏楽部と、音楽部という名の合唱部はともに音楽室を拠点にしていました(東京ドームを巨人と日本ハムが共用していたごとし。因みに、この括弧内、初稿では「東京ドーム」は「後楽園球場」で、「日本ハム」は「東映フライヤーズ」でした)。で、昼休みにはどっちの部員も音楽室に集まってくるのだけど、棲み分けができていて、音楽部はピアノの周りに集まって歌を歌い、吹奏楽部はちょっと離れた場所に陣取ってその歌を聴いておりました。で、音楽部がよく歌っていたのが「流浪の民」。

特に、途中で、ソプラノ→アルト→テナー→バスと順繰りにソロを歌う場面があって、

ここが一番記憶に残っています。最後のバスのソロを歌った人が、これみよがしに太く張った声を出すと、音楽部員の中におおー!という仲間内自賛の歓声が湧き上がったものでございます。

その後、大学で私は合唱に転じたのだけど、そこが古楽専門だったから、とうとうこれまでこの歌を歌ったことはなく、聴いたのも高校の音楽部の歌が最後でした。

ところが。それからきっちり半世紀後の今、所属しているA合唱団がシューマンのミサ等を歌ってるので、ついでに「流浪の民」を歌うことになりました。半世紀前に毎昼聞かされていたあの曲をいよいよ自分で歌うことになるとは!と感無量のワタクシなのでございます。

ところで、高校のとき聴いていたのは日本語訳。今回はドイツ語の原詩。それ故に初めて知ったことが多数あって、まずタイトルの「流浪の民」。私、戦争等で家を失ったりして、不本意に放浪する人々をイメージしてたんだけど、「Zigeunerleben」と言ったら「ロマの生活」じゃないですか。ロマなら移動するのは当たり前。さらに、歌詞には「ナイル川」(Nil)や「Spaniengarten」(スペインの庭)が出てくるんだけど、ロマは、ヨーロッパ人の認識では、「エジプトで生まれてスペインを通ってヨーロッパに入ってきた人」だから符合してます。

因みに、「ロマ」は昔は「○○○ー」と言われていたが、今日では世界的に差別用語とされていて、日本では放送禁止用語にもなっているそうな。それでいて、ヨハン・シュトラウスの喜歌劇の「○○○ー男爵」はそのままの表記がまかり通ってるってことは、前後になんかの言葉が付けばよいのだろうか。ドイツ語の「Zigeuner」も、やはり差別用語には違いないけど、どこまでダメなのかは明らかでない。ググってみると、ドイツ人も「Darf man "Zigeuner" sagen?」(「Zigeuner」って言っていいの?)なんて質問投稿をしてて、それに対する答えが「微妙」だったりしてなかなか微妙なようです。そう言えば、サラサーテの「チゴイネルワイゼン」ってヴァイオリン曲があるけど、あれを「○○○ーの曲」って直訳してたら、今頃「言っていいの?」って疑問が起きるところだった。そのまま「チゴイネルワイゼン」で輸入したことが結果的によござんした。

因みに、「チゴイネルワイゼン」と言えば、私の大昔の宴会芸でございました。すなわち、この曲の冒頭をヴァイオリンで弾き始めるのだけど、

赤で囲った超速の部分を口三味線で歌って、その後からヴァイオリンに戻る、という芸です。なかなかウケたものでございます、はい。


皇居一周ラン&ウォーク

2024-06-18 11:34:06 | 音楽

石川さゆりさんのお父上は、食卓についてもお箸が出てないとご飯に手をつけず、なぜかと聞かれると「箸がなくて食べられるかっ」と言ったそうな(徹子の部屋)。石川さゆりさんは、「そういう態度は今じゃ許されない。『お箸がないんだけど』と言えばすむこと」と言っていたが、私に言わせれば「自分でお箸をとりに行けばすむこと」である。

はて、ではなく、さて、こないだ内濠沿いを歩いたら、皇居を一周するランナー達とたくさんすれ違ったので、よし、私も皇居一周ランをしよう、と心に決めて実行したのだが、途中で脚が痛くなった。「自転車」「歩き」「走り」では使う筋肉が違うらしい。思えば、かつて炎天下に二時間自転車を漕ぐのもへっちゃらだった私がひらすら歩くようになってから久しぶりに自転車に乗ったら脚がすぐ疲れたときも、使う筋肉が違うんだなと実感した。走ることが部活動であった点は半世紀前の話だから筋肉はすっかり別物である(使う筋肉云々の話ではない)。そういうわけで、走っては歩き、歩いては走りの「ラン&ウォーク」で完走。もともと写真を撮るときは止まろうと思ってたから予定通りと言えば予定通り。徐々に慣らしていけばよい(つまり、今後もやるつもりである)。

今回走った(歩いた)コースは、前回の「内堀~外堀」のコースとは若干異なるため、見た景色も異なる。例えば、

今回、内濠通り(橋からは少し距離がある)から正門鉄橋と正門石橋の二つが同時に見えた。

奥の黒いのが正門鉄橋であり、手前の茶色のが正門石橋である。前回は、正門石橋の手前からだと重なってしまって正門鉄橋が見えなかった(同時に二つの橋を見られなかった)。今回は、奥の正門鉄橋の方が高台にあることと、それを遠くから見たことによって両方同時に見えたのである。坂道は、二つの橋の間だけではない。外苑から二重橋までずーっとタモリさんの好きな坂道である。江戸城が台地のヘリに造られたことがここでもよく分かる。因みに、二つの橋があるから二重橋だと思われがちだが、二重橋は正式には奥の正門鉄橋のみを指す。昔、木橋だった頃、補強するために下に丸太を伸ばしていて、それで二重に見えたのだそうだ。

この二つの橋がかかってるのが二重橋濠。今回は、これより外側の日比谷濠と馬場先濠沿いを走った(歩いた)。「外側の堀」だが、外堀ではなくやはり内堀である。こっち方面の外堀の役目は外堀川(山手線他の線路の東側にあった。現在は埋め立てられている)が担っていた。その馬場先濠の様子がこう。

真っ黄色。人は、同じ黄色でも黄金(こがね)なら喜び藻なら「すん」と言う(植物学者は逆だろう)。隣の日比谷濠の水は普通の水の色。橋の両隣で堀の様子が全然違うってことは、水が通ってないのだろうか。

そんなこんなで、歩く時間が大半を占めたにせよ皇居一周を完了して、銭湯に向かう。そう、皇居の近くに銭湯があるのである。都会に銭湯があって、奥地に全然見当たらないのは不思議である。この後、御茶ノ水まで歩き、再び聖橋でカメラ小僧になったのであるが、その話は改めて。