お友達がいい!って言ってたから映画「哀れなるものたち」を見てきた(ネタバレあり)。宣伝文句に「天才科学者によって蘇った女性が旅をする」ってあったから、あたし、ロボコップみたいなのを想像して、蘇って超能力を身につけたスーパーウーマンが世界の悪者を倒すSFアドヴェンチャーだと思ってたら、全然違った。旅はするけど、それは駆け落ち旅。その過程で、ヒロインは性に目覚め、娼婦になり、社会主義者になり、最後は……ネタバレありと書いたけどそのくらいは伏せておきましょう。予想と違ったけど、とーってもよかった。生きる活力をもらいました。
表層的に言えばね、全編「エロ」と「グロ」にまみれてる。「エロ」=性描写は「R18+」に偽りなし。「グロ」=死体損壊のオンパレード。でもね、良い映画なの。すかっとするの。なぜかしら。ヒロインが既存のしがらみから無縁で、なんでも経験して吸収して、で、前向きだからかしら。自分の生い立ちを聞いたときも、「あたしって不幸な女」と言ってよよと泣き崩れるなんてことはしない。そういう前向きな映画だからタイトルの「Poor things」を「哀れなるものたち」と訳すのは、直訳として間違ってはないけど、ミスリードな感じがする。さっき「悪者退治」ではない、と書いたけど、考えようによっては、彼女に群がる悪い奴はどんどん没落するからある意味悪者退治でもある。
ヒロインを熱演したのはエマ・ストーン。「エマ」で思い出すのはエマ・トンプソン、宮澤エマ、横野君的にはエマ・カークビー。エマ・トンプソンで思い出すのは「日の名残」。「日の名残」で思い出すのはアンソニー・ホプキンス。アンソニー・ホプキンスと言えば殺人鬼のレクター博士(連想ゲームはここまで)。因みに、エマ・トンプソンってあたしの1個下です。
「ストーン」で思い出すのは、シャロン・ストーン。この人はぴったりあたしと同い年。さあ、ここからは、「哀れなる」同様、18禁で行きますからね、お子ちゃまは読んじゃダメよ。シャロン・ストーンで思い出すのは「氷の微笑」。この映画もエロいシーンが有名だったけど、当時は映画館でモザイクがかかってた。でも、「哀れなる」ではモザイクなし。あたし、かねがね、エロくてグロいのは女体じゃなくて男の身体だと思ってる。だって、でっぱっててブラブラしてるでしょ?そうよ、エマ・ストーン演じるベラが公の席で平然と「ピーナス」と呼ぶそれのことよ。茄子じゃないわよ。だから、女性のヘアヌードが解禁されて、菊地凛子さんの「バベル」にモザイクがかからない世の中になっても、男のピー茄子は解禁にならなかった。「バベル」の数年後よ、ピー茄子を写した海外の写真集の輸入を認めなかった税関が裁判で負けたのは。その後、国内でも見かけるようになって、あたしが初めてモザイクなしでピー茄子を見たのはね、横野君から勧められて見た「バラの騎士」ってオペラの映像。最近の舞台で、第3幕で素っ裸のおじいさんがブラブラさせながら舞台を横切るの。筋とはなんの脈絡なしに。ヨーロッパのオペラの演出家ってとにかくやたらに裸を見せたがるらしい。そういう土台があるからかしら、「哀れなる」でベラが「ピー茄子」と言っても同席した高齢の貴婦人は結構余裕をかましてる。日本の上流気取りのご婦人なら目も口も三角にして怒るだろうに。で、今回の「哀れなる」でもピー茄子にもざいくがかかってなかった。
そう言えば、大昔、アラン・ドロンが全裸で走り回る映画があって、もちろん解禁前で、当局の目があるからしかるべき措置がとられて(モザイクだかカットだかは忘れた)、で、その映画を配給した会社の人が残念がって、「是非、日本のファンの方々にアラン・ドロンのふり○んを見てもらいたかった」って言ってたのを覚えてる。
そうだ!今回、一つ英語を覚えた!娼婦のこと「ホー」って言うのね。役者が「ホー」って言ってる時の字幕が「娼婦」だったから。用法等々はいずれまた。取り急ぎ、書いときます(挨拶文かっ)。