拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

尾野真千子のナレーション

2024-07-19 14:19:55 | 朝ドラ

あさイチに尾野真千子が登場。現朝ドラでのナレーションが絶賛されていた。異議なし。私もナレーションがたのしみ。だから、土曜日のダイジェストは、ところどころ尾野真千子でないナレーションが入るのが残念である(その男性ナレーターのご家族はお喜びだろうが)。そう言えば、尾野真千子がブレイクした12年前の朝ドラ「カーネーション」でも尾野真千子はヒロインを演じるとともにナレーションも担当していた。すなわち、現朝ドラでは寅子の心の声を代弁しているのだが、カーネーションでは糸子の表の声も心の声も一人で担っていたわけである。

現朝ドラのナレーションの秀逸の例として、寅子がむかついて心の中で「ムッ、ムッ、ムッ」とつぶやくシーンが紹介されていた。「ムッ」を三回繰り返す間にむかつきが徐々に膨れ上がる様が見事に表現されていた。同様に、カーネーションの戦死した幼なじみの勘助の葬列のシーンでは、糸子が心の中で「勘助、勘助、勘助」と三回繰り返す間に哀切の情が満ちあふれてきて一層視聴者の涙を誘ったものである。尾野真千子は、奈良の山の中の普通の中学生だった頃、中学校の下駄箱で河瀬直美監督にスカウトされたのがきっかけで俳優になったそうだが、こうした才能は生まれつきだろうか。それもすごいが、そうした才能を下駄箱で一瞬のうちに見抜いた河瀬監督もそうとうな慧眼ぶりである。

そんな尾野真千子は、2年前から沖縄に住み、時間のあるときは居酒屋の女将をやっていると聞いて驚いた。沖縄の中でもなかなかの奥地らしく、自宅に住みついた二匹のヤモリがペット代わりで名前が付けられているそうだ。もともと、奈良のご実家は相当の山の中だそうだから、そうした自然の中の暮らしに戻った、ということなのだろうか。私も、育ったのは横浜と言っても現在のズーラシアの近くだから横浜の奥地である。その頃は、たまに横浜の中心部(都会)に行くときまって頭痛がしたものだから生粋の田舎者である。最近、奥地の家を買ったのもそうした育ちが影響してるのかもしれない。因みに、私が子どもの頃、ヤモリは飼わなかったがイモリは飼った。似ているが、ヤモリはは虫類でありイモリは両生類でありタモリは尊敬する森田一義様である。そう言えば、昔、電気店にいた店員が「田守さん」とおっしゃる方であった。こちらは、生粋のタモリさんであった。


小林薫/尊属殺重罰規定

2024-07-06 09:49:55 | 朝ドラ

今週、穂高先生がめずらしく大声を挙げた(朝ドラ)。だが、もともと演じる小林薫さんは、大声を挙げる役が得意である。カーネーションのお父ちゃんしかり。「東京タワー オカンと僕 ときどきオトン」の冒頭で酔い潰れて玄関をたたき壊すお父ちゃんも誰かと思ったら小林薫だった。だから、穂高先生のような温厚な役を演じる小林薫を見て、こんな役もこなすんだ、役者さんってすごいなーと思ったものだった。今週、穂高先生が寅子にやり込められて、大声を挙げたのを見て、ようやく「来たー」と思った。このときの穂高先生はちょっと可愛そうだった。翌日、仲直り(らしきもの)ができて良かった。その後すぐに穂高先生は亡くなったから。あれで、仲直りせずに死なれていたら寅子のダメージはマリアナ海溝並みだったろう(深いということ。世界最新がマリアナ海溝で、第2位が日本海溝である。2位と言えば、七夕決戦で誰が2位になるかに注目が集まっている)。

ところで、穂高先生は、尊属殺重罰規定(直系尊属を殺した犯人は死刑又は無期懲役に処すとしていた旧規定)が合憲か違憲か(つまり、尊属を殺した犯人と尊属以外の人を殺した犯人とで刑が違うのは平等原則を定めた憲法に違反する(違憲)のではないか)が問題となった事件で、当該規定が違憲であるとの反対意見を唱えたのだが、反対意見は穂高先生を含めて二人だけで、このときは当該規定は合憲(憲法には違反しない。尊属殺人犯を重く罰してもよい)となった。だが、ドラマで言っていた事件内容(父親から鍋や鉄瓶を投げつけられた被告人がついかっとなって鉄瓶を投げ返したら運悪くそれが父親の頭に当たって父親が死んだ)なら、そもそも殺人罪ではなく傷害致死罪ではないか?との疑念が湧いた。「当たって死ぬかもしれない、でもいいや」という未必の故意が認められたのだろうか。因みに、尾野真千子のナレーションが「この規定が再び20年後に問題となった」と言っていた。それは昭和48年の最高裁判決である。事案は、日頃から実父による性的被害に遭っていた娘が(何度も実父の子を妊娠した)、ようやく彼氏ができてこんな生活から抜け出せると思ったのに実父にじゃまされて、思いあまって実父を殺害したという案件。最高裁は、当該規定を違憲と判断し、被告人に執行猶予を言い渡した。この「執行猶予」がポイントである。この事件、どう考えても被告人が不憫だから執行猶予を付けたいところだが、当該規定が幅を効かせていると、どんなに刑を軽くしても懲役3年6か月がいいとこで、それだと執行猶予(懲役は3年以下であることが条件)を付けられなかったのである。だから、当該規定を違憲無効として、被告人に普通の殺人罪を適用する必要があったのである。

因みに、最高裁ってとこは相当に保守的で、滅多に「法律が憲法に違反して無効」とは言わない。最高裁が最初に違憲無効としたのが当該規定である。そう言えば、つい先日、優生保護法についても最高裁は違憲であると宣言した。

因みの因みに、ドラマの中で、寅子が、「尊属殺」のことを「上の世代の人を殺すこと」と言っていたが、これだと、親戚でもなんでもない赤の他人を殺した場合も含まれるように聞こえて相当ではないと思った。

なお、本日のタイトルを見て、小林薫自身と尊属殺重罰規定との間になにかしらの関連性を感じたならば、それはまったくの誤解である(断るまでもないだろうが)。同様のことは昨日のアサイチにもあって、「ファーストサマーウイカ/打首獄門同好会」と並べて表記すると、まるで清少納言が打首獄門になったみたい、というのはご本人の感想であった。なお、打首獄門同好会のベーシストのjunkoさんが私とタメであることは昨夜のブログにも書いたが、あまりに驚異的で、かつ嬉しいのでここに再掲する次第である。


えん罪

2024-05-04 09:12:05 | 朝ドラ

今の朝ドラのだいぶ前の放送で裁判所の職員がやたらとえばってるシーンがあったが、あれは十分ありうることである。なにせ、今から40年前……今からはだいぶ前だが朝ドラの時代からはだいぶ後……私が某地方裁判所に不動産に関する書類の閲覧に行ったとき職員からの呼び出しは呼び捨てだった。「はいじまっ」と怒鳴られたときは、怒られたのかと思った。しばらくして「さん」が付くようになっても怒られてる感じはそのままで、まるで「さん」を付けるのが口惜しくてたまらない、という風であった(ああいう人が生きていけるのは裁判所の中だけに違いない)。

そして今週の放送では検察の横暴さがきわだった。検察による事件のでっちあげを「あたかも水中に月影を掬い上げようとするかのごとし」と表現した判決文は出色である。この事件のモデルは帝人事件。ドラマ同様被告人全員が無罪となった。えん罪は、現代でもなくなっておらず、村木厚子さんが無罪を勝ち取った事件が有名だが、つい最近でも大河原加工機(おおかわら・かこうき)事件では、検察が公訴を取り下げた。因みに、帝人事件では、「株券が金庫の中にあったこと」が無罪の鍵になったそうだが、時代だな、と思う。現在では、(上場会社の)株式はペーパーレス化していて、紙の株券は無意味である。

それでも、今の若い世代のなりたい職業ランキングでは、弁護士よりも検察官の方が上だそうだ。検察官を描いたドラマ(朝ドラではない)の影響らしい。そこで描かれる検察官は正義の人である。それに対し、弁護士は依頼人を勝たせるのが仕事だから、依頼人が極悪人であってもその極悪人に有利になるように努めなければならず、またそれが義務である。その点、鉄人28号と同じである。鉄人28号は操縦機を操る者の意のままに動くから、操縦者が悪人なら「悪魔の手先」となる。それに対し、鉄腕アトムは、自ら善悪を判断することができる。きょうびの若者は、あくまで鉄腕アトムになりたいのだろうか。だが、えん罪をでっちあげたら正義の味方が台無しである。村木さん事件で後に自分がとっ捕まった検察官などは、まさに「水中に月影を掬い上げようとするかのごとし」を地で行った人々だ。その場合は、正義は弁護士の側にある。今の朝ドラなどはそのスタンスのようだ。

この一週間、検察官は、日本中を敵に回して肩身が狭かったろうか?いや、検察官たる者、朝ドラなどは眼中においてないかもしれない。

口直しにモッコウバラの写真でも眺めよう。

奥地の家の「猫の額」で今満開を迎えている。正義も不正義もわれ関せず、と言った風情である。


門地

2024-04-04 10:10:39 | 朝ドラ

スーパーの見切り品コーナーで買ったアボカド5個150円は超お買い得。安いだけではない。アボカドは食べ頃の判断が難しいけれど、この5個はどれもぶよぶよですぐに食べられました(中身が外皮と同じくらい黒いのもあったけど)。

新しい朝ドラのヒロインのお兄さんを演じてるのは「まんぷく」で画家の弟子を演じた人ですね。そんなことを言ったら前作で歌劇団の部長を演じた人は「ひらり」でみのりの婚約者を演じた人ですよね。そんなことを言ってそんなことを言ったら今の大河のヒロインのお父上は「てるてる家族」のお父ちゃんで、おしんの父ちゃんは「私の青空」のなずなのお父さんで……きりがないのでやめます。

あらためて、新しい朝ドラの話。放送中の時代は昭和一桁。私の両親が生まれた頃、ということは、ヒロインは私の祖父母の年代ってことか。因みに、私が物心ついた頃は、祖父はもういなくなっていて、私は身近に祖父を感じたことはありません。当時、女性は選挙権を持っていなかった。女性が選挙権を持つようになったのは、戦後、新憲法14条が性別による差別を禁じたことを受けてのこと。この新憲法(日本国憲法)の草案はアメリカ人が作った。アメリカは当時も今も自分たちが人権の最先進国だと任じていて、人権を知らない人には自分たちが教えてあげます風。たしかにアメリカは、世界で最初に人権条項を憲法に盛り込んだ国ではある。以前、国連の会議で、米中がやり合った際、アメリカのパウェル国務長官は「世界最古の民主主義国から来た」と言って胸を張った(それに対し、中国の代表は「4000年の歴史のある国から来た」と言って応酬した。なかなか高次元の「ああ言えばこう言う」だった)。だけど、「大草原の小さな家」(ドラマ)で、ローラの母さんたちが「女性にも選挙権を」と言って起ち上がったときがあって、そのときのローラの父さんの反応は極めて冷笑的だった(あら珍しい、あんなにいつも母さんを尊重する父さんなのに、と思った。最後には、父さんは母さんの側に回るのだけど)。この物語の舞台は19世紀後半=日本で漱石が生きた時代=明治時代。ってことは、人権を憲法に盛り込んで100年経ってもまだ最先進国様の女性は選挙権を有していなかったってこと?そう、アメリカで女性が選挙権を獲得したのは1920年になってから。なんだ、日本とはたかだか30年の違いじゃないか。ちょっと最先進国様の化けの皮がはがれた思い。因みに、文中のパウェルさんのことを、私すごく尊敬していて、この人が大統領になればいいと思ってたんだけど(よその国のことだけど)、実際、そういう動きはあったんだけど選挙に出なかった。「黒人が大統領になったら暗殺される」とする妻の反対があったからとも言われてるそう(ウィキペディア)。オバマさんの前の話です。人種による差別なんてアメリカ人が草案を作った日本国憲法14条で真っ先にダメと言われてるのにね。

日本国憲法14条は、ほかに「門地」による差別もダメと言っている。門地って言えば、新朝ドラのヒロインの家は塀に囲まれ立派な門があった。これが門地。家柄の立派なおうちの門地も立派だろうから(逆もまたしかり)、転じて、門地は家柄のことを意味していて、家柄で差別するのもダメよ、と憲法は言っているだね。だけど、こっちの差別も根強く残っている……というか、今日、貧富の差はますます広がるばかり。

ヒロインの家(立派な門地のある家)には、「書生」と「下女」がいた。漱石の小説で見慣れた世界です。そうか、門地の立派な家(漱石も属した上級国民の住む家)には「書生」と「下女」が付きものなのだな。

因みに、私の奥地の家にも「門地」はあることはある。

撮ったのは去年の夏だから今よりずっと草ぼうぼう。その他、ヒロインの門地と違うのは塀がなくて門に屋根がないところ。あれ~、こういうのを「門」と言っていいのだろうか。いけない気がしてきた。そうそう、そう言えば、そう石の小説には(「そう」で駄洒落てみた)、一戸建ての門から玄関までの距離のことを書いたものがあったっけ。漱石先生に怒られそうね、ウチみたいなのを「門」と言ったら。


「釣書」の「音楽鑑賞」

2024-04-03 10:31:09 | 朝ドラ

新しい朝ドラに「釣書」なるものが出てきた。お見合いの際に相手と交換するプロフィール書きのことらしい。なぜ「釣書」と言うのだろう。嘘八百を並べて、相手を騙して「釣って」結婚に持ち込むから?まあ、嘘八百だと詐欺になるから、そこは上手に言い方を変えて、後から「嘘つき」と言われないような書き方の工夫をするのでしょう。

ヒロインの相手の一人は帝大出身者。また出た「帝大」。漱石の時代=明治時代は、「ていだい」=(ほぼ)「とうだい」だけど、今週の朝ドラの時代は昭和初期。この頃は既にいくつも帝大ができてたから、「帝大のどこか」(今でいうところの国立大学のどこか)という意味だろうか。だけど、私の田舎の伯父さん(父の兄)は、「こくりつ」を「とうだい」の意味で使ってたからなー。

その相手だったか他の相手だったか、趣味が「音楽鑑賞」だった。思うに、「鑑賞」と言うからには「音楽」はクラシックではないかと思う。だって、「演歌鑑賞」とは言わないし。ジャズやロックだったらそう言うだろうし。因みに、現代の「J-Pop」と「演歌」を合わせたものが「歌謡曲」なのだと思うのだけど、「歌謡曲」ってもはや死語だろうか。

そう言えば、「サラメシ」に登場した人については、その人の趣味と好きな有名人が画面に出るんだけど、こないだの人の趣味は「晩酌」だった。私、ちょっと、え?と思った。だって、生活の一部になってるような事や、生きてくために必要な事は趣味って言わないでしょ?私にとって「晩酌」はそうした事柄だから。もし、こうしたことも趣味と言って良いんなら、「睡眠」「ちょめちょめ」だって趣味と言っていいことになる。

因みに、私の歳だと結婚相談所に登録するのはむずかしいらしい。今後介護の問題が生じるからだって。だったら、お相手は自分で探すしかない。そのための「釣書」を作ろう!と思って下書きを作ってみた。

仕事=プータロー
趣味=低山歩き、競馬鑑賞、睡眠
好きな有名人=タモリ、NHKの山内泉アナウンサー
好きな食べ物=イタリアン、中華
付き合う条件=デートはサイゼリヤで、注文する飲み物は赤ワインのデカンタ。マグナムボトルでもいい。

こんな感じ。でもこの「釣書」をマッチングアプリに入れるのはやめておきますね。デートのお誘いが殺到したら困るからね(来るわけない、って突っ込んでくださらなくてもいいから)。