(承前)そのグルベローヴァの日本で初めてのソロ・コンサートでは他にルチアの狂乱の場やハムレット(トーマ)の狂乱の場も歌われた。後者は最後に3点Eがある。そりゃー、夜の女王は3点Fですがあっちはぴんポイント。こっちは長ーく伸ばすからインパクトが違う(実は、楽譜ではこっちもピンポイント)。そんななかで、特に印象深かったのは、椿姫の「ああ、そはかの人か~花から花へ」。しっとりと「そはかの人か」を歌った後、「follie,follie」((真面目な恋をすることなど)馬鹿だわ)と言って「Gioire!」(楽しみましょ!)とコロラトゥーラで歌う。この中に3点Dsがあって、楽譜では一瞬なんだけど、例によってグルベローヴァはこれでもかと伸ばす。で、「Ha,ha,ha,ha,ha」と高らかに笑って「花から花へ」へ移る。聴いてるこっちはもうノックアウト。なのに攻撃はやまない。この後、いったんアルフレードの三拍子の歌が入って、で、もう一度「Follie~Gioire!」がくる。アルフレードを打ち消すように今度は一層攻撃的。ダウンしてる私に容赦ないパンチを繰り出し(反則)、最後は3点Esをえいやっと伸ばしておしまい。数年後、グルベローヴァのヴィオレッタで椿姫全曲を聴くことができました。ところで、さっきの「Ha,ha,ha,ha,ha」は台本にない。どう訳せばいいんだろ?「はーはっはっはっ」(オヤジっぽい)「おーほっほっほっ」(オカマっぽい)「ひやーひゃっひゃっひゃっ」(下品)「いーひっひっひっ」(もっと下品)