拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

雌雄同体/不倫幇助

2021-06-15 08:21:34 | 音楽
人がいないからテナーやバスを歌えと言われるとあんなにぶんむくれる私であるが、こと美女に対する恋心が燃え上がると、自ら男の歌を歌ったりする。もし、私が某会のソロ・コーナーで「ケジェリダマニーナ……」(ボエームのロドルフォのアリア「冷たい手」)を歌い出したら、それはいとしい人に対する心持ちなのだと思ってくだされ。え?その「いとしい人」には男も入るんだろって?最近、イージマさん=オホホ説をひろめている某美女が言いそうである。本当なら、真っ先に当該美女をくどき倒して「男の証明」をしたいところであるが、当該美女のゲリープターに殴られるかもしれないので自粛している(「ゲリープターに殴られるかもしれない」には二義ある。「ゲリープターがいるかもしれない」と「確かに存在するゲリープターに殴られるかもしれない」の二義である。真偽の程は本人に聞いて下され)。ところがでござる。せっかく「冷たい手」を歌って男になったあたくしなのに、歌い終わった直後、絶対、「スィー、ミキアマノォミーミ」と歌い出すに違いない(「冷たい手」に続いてミミが歌うアリア。たしかに、本当に歌いたいのはこっちかもしれない)。せっかく男になったというのに逆戻りである。つうか、雌雄同体である。そう言えば、ワタクシが大好きであっちこっちで推奨している「ボエームごっこ」も雌雄同体であった。どういう遊びかというと、「冷たい手」が歌われる前、ミミが落とした部屋の鍵を暗がりでロドルフォと探しているうちに手がふれあって「なんて冷たい手」と始まるわけだが、その鍵を探すシーンを一人で演じるのである。右手がロドルフォ、左手がミミで、両手を交錯させているうちに右手が左手をつかむ、という遊びである。ポイントは、音楽を口三味線で歌うことと、左手が右手につかまれた瞬間「はっ」と言うこと。こんな具合である。♪ティラリラッラー(ラ♭シ♭ドソ♭、ソ♭ー)、ティラリラッラー(ファソ♭ラ♭ミ♭、ミ♭ー)、ティラリ(レ♭ミ♭ファ)、ティラリ(ドレ♭ミ♭)、ティ、ラ、リ(シ♭、ド、レ♭)(ここで右手が左手をつかむ)ポーン(ラ♭-)「はっ」(右手につかまれた左手のため息)。そして、おもむろに「ケジェリダマニーナ……」と始めるわけである。このように、「正しい」ボエームごっこは、一人で、雌雄同体でするべきものだが、この遊びを利用して意中の美女の手を握ったのが女房持ちのS君である。一人でする=誰にも迷惑をかけないところに意義のあるこの遊びを不倫の道具にするなどけしからん……とか言って、現場で、♪ティラリラッラー……を歌ってはやしたてたのはワタクシである。すなわち、ワタクシはこの不倫劇の幇助犯である。因みに、今回のタイトルは、難しそうな漢字4文字が二組あって、いかにも厳粛な感じでありますなー。それから「冷たい手」はヴァイオリンを弾くのがいいかも。プッチーニの弦は泣かせます。