とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

万能鑑定士Qの探偵譚/松岡圭祐著

2013-12-09 20:51:49 | 読書
お馴染み万能鑑定士Qシリーズの新刊本だ。11月末に購入していたが、先に読まなければならない本が多くて、なかなか読む機会がなかったが、やっと先日読み終わった。シリーズ最長編という事もあったが、読み始めたら面白くてあっという間に読み終えてしまった。テーマは<再生>と<復活>だ。凜田莉子は内面に潜む幼少期の悪夢と向き合い、小笠原悠斗とふたたび謎解きの旅にはばたくために、究極の試練を乗り越えるというお話である。

物語は、莉子の生まれた日本最南端の島「波照間島」から始まる。波照間島といえば、今年の5月に行ってきたばかりの島だ。島を一周したので、作品中の波照間島の情景がしっかり書き込まれていたのが嬉しい。読みながら懐かしくなって、当時の写真を引っ張り出してきた。作品では、下記のように波照間島の情景が書かれている。

「プレハブの平屋に、コンクリ製の円筒が隣接していて、青く日本地図がペイントされている。よく見ると、下端にある波照間島のみ赤くマーキングされているのがわかる。最も南に位置する駐在所という誇りをしめしているのだろう。」


「集落から自転車で四キロ、ヤギの放牧地帯ばかりが連なる緑の丘を抜けていくと、高那崎の崖に達する。」


「芝生の上を海に向かって歩けば、切り立った崖の頂上に“日本最南端平和の碑”が見えてくる。しかし、その奥には、もっと小さな記念碑があって、そちらにも“日本最南端之碑”と刻んであった。」


「広々と開けた視界には、星空観測タワーという白い建物が小さくぽつんと見えている。国内では南十字星が最もよく見える天文台として知られていた。」


「記念碑へとつづく遊歩道は、日本じゅうの都道府県から集めた石に縁どられている。」


作者は、しっかり現地取材をして書いていたことが良く分かる。現地に行ったことがある人は、この部分を読むと情景がはっきりと浮かんでくるだろう。

また、この作品では野底岳のマーベー伝説が、重要なキーポイントとなる。石垣島にある野底岳は、悲しい伝説があり莉子の幼少期の悪夢に起因しているという設定だ。波照間島から石垣島にも行ったのだが、残念ながら野底岳には行ってなかった。石垣島をレンタカーで移動している時、やけに尖がった山を見かけて気になったのだが、どうやらそれが野底岳だったようだ。この作品を読んだ後だったら、絶対に野底岳に登りたくなっていたはずだ。

そして、万能鑑定士Qシリーズでは、時事ネタが相変わらずいろいろ盛り込まれているのが面白い。「…、食品棚に入ったり、冷蔵庫におさまったりして、ツイッターに画像流す手合いか。…」とあるが、しばらく前に若者がふざけてネットに投稿して問題となったことが、登場人物のせりふの中で使われている。また、ドコモのSPモードメールがドコモメールに変わり、データがサーバーに残されるようになったことを、謎解きの一つに使っているのもさすがだ。

映画化も決まり、シリーズもさらに続いていくようであり今後の展開が楽しみな作品である。

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