少年がニューヨーク中を訪問してまわる、その先々で出会う人たちの顔がNYらしくさまざまな人種からそれぞれ物語を感じさせる顔を敷き詰めているのが見もの。
監督のスティーブン・ダルドリーは「リトル・ダンサー」でもそうだったが、少年俳優(トマス・ホーン)をとてもうまく使う。あるいはキャスティングの勝利。
トム・ハンクスやサンドラ・ブロックといったビッグ・ネームもバランスを崩さずに脇を固めている。
マックス・フォン・シドーがセリフなしであらゆる感情と人との距離感のニュアンスを出していて、左手を挙げるとイエス、右手を挙げるとノーの意味で、そう掌に書いているのだから、いちいち字幕に出すことはないと思った。
退場カットのひょこひょこした情けなくもちょっとユーモラスな動きなど微妙な味わいの出し方はさすが。
ひょんなことで手に入った鍵が何の鍵なのか追い続けるというストーリーは星新一にあったが、父が残した鍵が誰の何の鍵のものというお話上の納め方もうまい。
原作を読んでみたいと思った。本のハードカバー版の作りは、映画で少年が作るアイテムとしていくらか再現されているらしい。
父親を失った喪失感と向き合う通過儀礼の物語であり、原作だとその結果としてまとめられているのが本そのものというエンデの「はてしない物語」ばりの仕掛けになっているのではないかと想像する。
脚色は「フォレスト・ガンプ」のエリック・ロス。映画「ガンプ」の冒頭のナレーション「人生はチョコレートの箱のようだ」が原作では「人生はチョコレートの箱のようではない」なのにびっくりしたが、今回はどうアレンジしたのだろう。
(☆☆☆★★★)
![](https://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/1109/img3338.gif)
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