prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「天国と地獄」あれこれ

2005年03月18日 | 映画
前に「天国と地獄」の特急こだまを使った身代金受け渡しの手口を真似して、山手線の窓から身代金を投げさせるってえ犯行が実際にあった。なんで特急を使ったのか(どこで受け渡しするのかぎりぎりまでわからないし、身代金を投げさせた後、列車は遠い次の駅まで通り過ぎてしまうから逃亡の時間を稼げる)という意味がぜんぜんわかっていなかったらしく、あっという間に非常線を張られて捕まっていた。バカ。

滝田洋二郎監督のピンク映画で、列車から金が入った米俵を投げさせるという変なのがあった。

モーガン・フリーマン主演「スパイダー」でも列車を使った受け渡しという手を取り入れてましたね。ついでに言っておくと、同作では「ダーティハリー」の公衆電話で身代金受け渡し係を街中ひっぱりまわすという手も入れていた。「ダイ・ハード3」でも日本映画の「誘拐」でも使ってた手だ。なかなかまったくの新手というのは出て来ませんね。

TBS系「王様のブランチ」でジョン・ウーの新作予定(あてにならないんだ、こういうの)紹介コーナーで、「王様の身代金」というのが入っていた。Kingって、頭文字が大文字になってい ることからわかるように、人の名字ですよ。スティーブン・キングとかいるでしょ。
エド・マクベインの「キングの身代金」っていったら「天国と地獄」の原作ですからねえ。いくら「王様のブランチ」だからって、なんか冗談みたいな間違いだ。(後註・ジョン・ウーが「キングの身代金」を撮る話は結局流れた。「映画秘宝」の'04年3月号のウーのインタビューでも「王様」と間違えて表記されていた)

余談だけど、実際にエド・マクベインの原作「キングの身代金」を読んでみると、初めの方は台詞までほとんどそのままで、基本的設定も踏襲しているし、中盤からは別物になるにせよ俗説ほど原作と違う話ではない。ただ、キャラクターがぜんぜん違うのです。これは山本周五郎の「日々平安」と「椿三十郎」にも言えること。

原作で割とよく覚えているのは犯人の一人がガンマニアで、ものすごい量の銃を貯えており、「これだけの銃があったらリー将軍(南北戦争の時の南軍の司令官)も勝てただろう」なんて言っているとこ。



天国と地獄

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黒澤作品のネタいろいろ

2005年03月17日 | 重箱の隅
江戸時代、花がぽとりと落ちるのが首を打ち落とされるようで不吉と、武家屋敷には決して椿を植えなかった。
ところで「椿三十郎」の椿屋敷には庭いっぱいに何百ともつかない数の椿が咲いている。つまりまるっきりの作り物、ホラ話として作っているということ。ラストの血の噴射だってまるっきり噴水みたいですからね。

「七人の侍」で、勘兵衛(志村喬)が人質をとった泥棒に握り飯を投げて油断したところを斬ったのは、上泉伊勢守(新陰流の始祖)がやったとされること。他にも戸袋に隠れた敵を見破るとかずいぶんと剣豪伝のエピソードの類を使っている。

「酔いどれ天使」のラストのペンキまみれの格闘は近松門左衛門の「女殺油地獄」のクライマックスの油まみれの殺し場がもとだろう。


椿三十郎

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七人の侍

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酔いどれ天使

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「MAKOTO」

2005年03月15日 | 映画
幽霊はだいたいぼーっと立っているだけで、それを見たマコトが代わりに何かするかというとそうでもなく、死に関する謎がなんとなく解けるのだけれど、それまでに積極的に捜査したりして話が進展したという感じが全然ないものだから、すごくかったるい。
30分で済む話をくっつけた感じ。

カメラを動かしていくと幽霊がフレームに入ってくるといったカメラワークは違和感がある。実体がない(であろう)ものなのだから、なんか変。
キャスティングがバラエティ風でアンサンブルになっていない。

色を抜いたような画調や、幽霊のぼやけたような効果、窓ガラスに花火が写っている合成など技術的にはところどころ見どころあり。
(☆☆★)




防衛庁跡再開発

2005年03月15日 | Weblog

六本木の元防衛庁跡地の再開発工事現場の塀には、樹々の絵が描かれています。


六本木にも屋台があります。


檜町公園を塀で断ち切って工事が進んでいます。


公園の銅像のそばまで迫った塀。突然片方だけのバスケットボールのゴールが作られています。

黒澤明と金へんの漢字

2005年03月14日 | 重箱の隅
黒澤明の「天国と地獄」の三船敏郎の役名は権藤金吾、山崎努のは竹内銀次郎。つまり“金”と“銀”の対照になっている。「八月の狂詩曲」のおばあちゃんの兄弟は釘之助とか鉈吉とか全部、金へんがつく名前という設定(これは原作にはない)。

で、NHKの「影武者」のメイキング番組で黒澤が話していたことだが、黒澤の父親の名前はふつう“勇”とされているが、なんでも改名前は“キンゴ”といったそうだ(なぜ改名したか、どういう字を書いたかは不明)。無関係とはちょっと思えない。

「白痴」の原作でナスターシャにあたる名前が那須妙子(なすたえこ)。アグラーヤにあたるのが綾子。ちょっと恥ずかしいネーミング。なお、ムイシュキンにあたるのは亀田欽吉と、また金へんがついている。



天国と地獄

東宝

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影武者

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八月の狂詩曲(ラプソディー)

松竹

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白痴

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外人CM

2005年03月14日 | Weblog

外出しようとしたら雪がちらついていたので、傘を持っていったらすぐやんでずっと持ってまわる羽目になる。バカみたい。

写真は、工事現場の上に浮かんでいる風船。

今頃取り上げるのもなんだが、ロバート・デニーロがアメリカン・エキスプレスのCMに出ているのを見て、10年くらい前に広告代理店がCMに出したい外人の2位だったことを思い出した。その時の1位はトム・クルーズ。今だとどうなってるのだろう。

CMといったら、ちょっと前にやっていたニコール・キッドマンのやたら派手なCM、誰の演出かと思ったらバズ・ラーマン(「ロミオ+ジュリエット」「ムーラン・ルージュ」)。なるほどね。




「パニパニ キワモノ大作戦」

2005年03月13日 | Weblog
劇団蓮(REN)第27回公演。

体調を崩し気味の駆け出しの小説家の元に死神、ざしきわらし、貧乏神、サンタクロースなど変な連中ばかりぞろぞろやってきて、さらにそこに三つの願いをかなえようという悪魔や、霊感のある妹などが絡むドタバタ。大半のキャラクターが人間ではなくて、人間も半分あっちの世界に足を突っ込んでいるのが多い。

三つの願いというと、皮肉な展開を見せるのが多いが、これは良くも悪くもドタバタとしては割とウェット。仇役がかったキャラもたいてい実はいい奴。

蔵前のアドリブ小劇場は場内にトイレがなく、わざわざ外に出て一階から三階まで昇っていかなくてはいけない作り。



部分的映画化

2005年03月12日 | 重箱の隅
ドストエフスキーの「悪霊」の(正確に言うと完成作品からカットされた)「スタヴローギンの告白」の章を読んで、スタヴローギンが少女を犯して自殺に追い込むという内容が、まるっきりルキノ・ヴィスコンティの「地獄に落ちた勇者ども」のマルチン(ヘルムート・バーガー)がユダヤ人の少女にするのと同じなので驚いたことがある。

あと「家族の肖像」のラスト近く、2階にいる住人の足音がよく聞こえてくるようになってくると“死”が近付いてくる、というエピソードはヴィスコンティが終生映画化を望んだマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」の一節だといいます。読んだんですけどね(ホント)よく覚えてない。

黒澤の「赤ひげ」の後半は、完全にやはりドストエフスキーの「虐げられた人々」そのまんま。虐待されていた少女が優しく扱われるのを信じられず乞食をしてまで稼いで借りを返そうとする場面もそっくりある。もっともこのドストエフスキー作品も、もとはディケンズ。少女の名前を元のネリに対してネリーとしているくらいで。



地獄に堕ちた勇者ども

ワーナー・ホーム・ビデオ

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ルキーノ・ヴィスコンティ DVD-BOX 3枚組 ( 揺れる大地 / 夏の嵐 / 家族の肖像 )

紀伊國屋書店

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赤ひげ

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悪霊 (下巻)

新潮社

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失われた時を求めて 全10巻セット

筑摩書房

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虐げられた人びと

新潮社

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郵便局もと暗し

2005年03月12日 | Weblog
郵便局のATMで500円硬貨が使用禁止。偽物が出回っているからだという。迷惑な話。

あと、自動販売機用の切手がいつのまにか50円だろうが140円だろうが、同じ柄になっているのにびっくり。知らないこっちがアホなのか知らないが。



池袋の古本屋

2005年03月11日 | Weblog
池袋の新文芸座近くの光芳書店が、久しぶりに行ったら閉店していて、パチンコの景品交換所になっていた。
ウナギの寝床みたいに長細い作りの店で別に愛用もしなかったが、まるで殺風景な中に窓だけが空いている交換所よりはいい眺めだった。池袋は立教大学があるせいか結構古本屋があるのだが、じりじりと減っているみたい。

このまた豊島区役所近くに、二階建ての古本屋もあり。
二階に上がる時、鞄類を預けるシステム。何も買わずに出ていくのがはばかられる(でも平気で買わないで出ていく)。



「ビヨンド・the・シー 夢見るように歌えば」

2005年03月11日 | 映画
ボビー・ダーリンのステージの再現かと思うと、ダーリンその人の伝記映画の撮影現場になり、さらにその伝記映画の場面となるという具合に、自在に場面が知的に飛躍構成されていて、それが理屈っぽくややこしくならずに、音楽とともに生き生きとリズミカルに処理されているのがいい。
ケヴィン・スペイシーの歌と踊りもだが、演出のミュージカル・センスが見事。見ていてスウィングする。

主人公がもともと病弱で複雑な出生という設定だから、下手するとボブ・フォッシー風にダークな作りになりかねないのを、ダーリンの少年時代(と、それを演じる子役)がダーリンの生涯を目撃していく作りにして、全体をあくまで“生きる歓び”でまとめている。
死んでオシマイではなく、後に何事かを残していることをはっきり印象づけられる。

スペイシーはいつもと変わらない顔で出ていて、特に外観を似せているとは思えない。しかし、スペイシーがこれほどのエンターテイナーぶりを見せるとは思わず、芸人の根性そのものから近づこうとしているよう。

映画での演技者の印象ばかりが強いが、この人がもともと舞台でスタンダップ・コミックをやっていたのを改めて思わせる。役と役者の関係のやりとりだけで完結するのではなく、生の観客の前に立っていた感覚が出ている。
ちらっとだけダーリンがオスカーをさらわれる「ハッド」のメルヴィン・ダグラスの物真似が似ているのが可笑しい。
(☆☆☆★★★)



ビヨンドtheシー 夢見るように歌えば - Amazon

字幕の規則

2005年03月10日 | 重箱の隅
CMで映画の字幕風の字体を使うことがあるけれど、どういうわけかほとんど必ず違うところがある。句読点(、や。)を使うことです。
実際の映画の字幕では句読点は使わない。文字を打ち抜いて穴をあける(そうでないやり方もある)ので、丸く囲ってしまうと中が全部抜け落ちてしまうからだ。

しかし、CMでは平気で使っている。知らないのか、使わなくてはいけない規則でもあるのか。
CMって妙な規則があるからわからない。たとえばオロナインCみたいな“医薬用外品”だと口をつけて飲んでいるところを見せてもいいけど、同じドリンク剤でも“医薬品”扱いだと飲んでいるところを見せてはいけない、とか。
そのくせ酒やサラ金の広告は山程やってるんですけどね。



シンクロニシティ?

2005年03月09日 | 重箱の隅
アイルランド映画「白馬の伝説」の題名のもとになっている伝説というのは、妖精の国に行った男がどうしても故郷に帰りたくて頼み込んで帰るのを許され、その時白馬を送られてそれから降りてはいけないと言われるが、いざ帰るとどうしても地面を踏みしめたくなって白馬から降りるとあっという間に年とってしまうというもの。
どこかで聞いたことのある話ですね。

ユングはこういう同じような話のパターンがまったく違う文化圏に渡って見られるところから、“集合的無意識”という概念を考えたそう。
ちなみに相対性理論でいうところのウラシマ効果を、西洋ではリップ・ヴァン・ウィンクル効果っていうそうだけど、こちらは寝ている間に長い時間が過ぎてしまうというお話。



白馬の伝説(ワイドスクリーン・バージョン)

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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PCの大掃除

2005年03月09日 | Weblog
母のパソコンがやたら動作が遅いというので見たら、空いているリソースが4%。動くのが不思議みたいな状態。
使わないアプリケーションを削りまくり、ファイルの大掃除をしたら、65%に戻る。それにしても、余計なソフトが初めからやたらたくさん入っていたもの。
これでだいぶネットの動作速度は早くなったが、まだどういうわけかメールの調子が悪い。こっちは別口らしい。